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平成23年3月18日

医政局経済課

流通指導官 橋本 昌浩

流通指導官 矢作  均

(代表電話) 03(5253)1111(内線2536)

(直通電話) 03(3595)2421

「医療用医薬品における情報化進捗状況調査」の結果公表


 厚生労働省では、日本製薬団体連合会と(社)日本医薬品卸業連合会の協力により、医療用医薬品のバーコード表示状況などを把握するために、「医療用医薬品における情報化進捗状況調査」を行い、結果がまとまりましたので概要を公表します。
 医療用医薬品のバーコード表示は、医薬品の取り違え事故防止、市販後のトレーサビリティの確保を推進する観点から、厚生労働省では、平成18年9月に表示のための基準を通知し、製造販売業者に取り組みを求めています。また、「新医薬品産業ビジョン」のアクションプランにおいても、流通機能の効率化・高度化に向けたバーコード表示の取り組みを促しています。
 現在、医薬品製造販売業者では通知に基づく取り組みが進められており、その進捗状況などを把握するための調査となります。


※1:通知とは、「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について」(平成18年9月15日付薬食安第0915001号)」を指します。
 通知では、バーコード表示の基準となる対象範囲や必要項目を必須表示項目と任意表示項目と分けて定めており、平成20年9月以降の出荷分から表示を求めています。

※2:新医薬品産業ビジョンとは、創薬環境を整備し優れた医薬品を国民に迅速に提供することを目的として、平成19年8月30日に策定(平成20年9月9日一部改訂)しています。その具体的な施策をアクションプランで定めています。


1.調査方法

 日本製薬団体連合会が加盟団体を通じ医薬品製造販売業者に、(社)日本医薬品卸業連合会が所属の医薬品卸売販売業者にそれぞれ調査票を送付し、平成22年9月末時点で新バーコードの表示状況や利用状況などに関する調査を実施しました。

製造販売業者 卸売販売業者
送付先企業数 264社(215社) 64社(67社)
調査対象企業数* 218社(201社) 64社(67社)
有効回答企業数 204社(172社) 54社(52社)
回収率 93.6%(85.6%) 84.4%(77.6%)

                 (  )は平成21年度調査の実績

* 調査対象は自社の製造販売承認の有無に関わらず、医療用医薬品を販売している企業としています。調査対象企業数欄では、送付先企業数のうち、販売を他社に委託していると回答のあった場合など、調査客体に適さなかった企業を除いた企業数を示します。

2.製造販売業者への調査結果(概要)

(1) 製造販売業者への調査は、通知に基づき進められている医療用医薬品への新バーコード表示状況などを把握するための調査となります。
(2) JANコード取得状況については、100%の取得率となっています。
(3) MEDIS-DCデータベース登録状況については、どの包装単位でも90%を超える登録率となっており、昨年度より2%から10%程度増加していることから着実に登録が進んでいます。
(4) 新バーコード表示状況については、通知において求めている項目毎に表示状況を調査しています。
 必須表示項目では、どの包装単位・種類でも98%を超える表示率となっており、通知で求めている新バーコード表示が、必須表示項目では概ね全ての製品に表示されている状況となっています。
 一方、任意表示項目では、1%から20%程度の表示率となっており、昨年度と同様の水準となっています。

※ 任意表示項目で昨年度より割合が減少となっている項目がありますが、これは昨年度の調査時に誤って表示と回答をしていた場合や、回答を製造元と販売委託先両社から重複して報告していた場合など、今回の調査で昨年度の回答誤りが判明したことによる影響があります。この影響を除けば昨年度より減少とはなっていません。

3.製造販売業者への調査結果一覧

1.調剤包装単位

医療用医薬品の種類 JANコード
取得割合
MEDIS-DCテ゛ータ
ヘ゛ース登録割合
新バーコード表示割合
商品コード 有効期限 製造番号又
は製造記号
特定生物由来製品 100%(100%) 98.6%(93.7%) 100%(98.5%) 100%(98.5%) 100%(98.5%)
生物由来製品(特定生物由来製品を除く) 100%(100%) 95.3%(90.1%) 99.0%(93.9%) 20.9%(17.6%)* 20.9%(17.6%)*
注射薬(生物由来製品を除く) 100%(99.9%) 92.3%(88.1%) 99.7%(97.7%) 3.9%(5.0%)* 3.9%(5.0%)*
調剤包装単位計 100%(99.9%) 92.8%(88.5%) 99.7%(97.4%) 9.6%(10.1%) 9.6%(10.1%)

2.販売包装単位

医療用医薬品の種類 JANコード
取得割合
MEDIS-DCテ゛ータ
ヘ゛ース登録割合
新バーコード表示割合
商品コード 有効期限 製造番号又
は製造記号
特定生物由来製品 100%(100%) 98.6%(92.9%) 100%(97.1%) 100%(97.2%) 100%(97.2%)
生物由来製品(特定生物由来製品を除く) 100%(100%) 96.3%(93.9%) 99.1%(99.1%) 99.1%(92.6%) 99.1%(92.6%)
注射薬(生物由来製品を除く) 100%(100%) 91.5%(89.2%) 99.8%(98.9%) 10.9%(14.1%)* 11.1%(14.1%)*
内用薬(生物由来製品を除く) 100%(99.9%) 90.2%(82.6%) 98.8%(89.6%) 0.6%(4.2%)* 2.0%(4.2%)*
外用薬(生物由来製品を除く) 100%(99.9%) 89.9%(79.8%) 98.9%(89.5%) 0.8%(2.6%)* 0.8%(2.6%)*
販売包装単位計 100%(99.9%) 90.4%(83.3%) 99.0%(91.0%) 3.9%(7.1%) 4.9%(7.1%)

3.元梱包装単位

医療用医薬品の種類 新バーコード表示割合
商品コード 有効期限 製造番号又
は製造記号
数量
特定生物由来製品 100%(94.2%) 100%(94.2%) 100%(94.2%) 100%(94.2%)
生物由来製品(特定生物由来製品を除く) 98.1%(89.3%) 98.1%(89.8%) 98.1%(89.8%) 98.1%(89.8%)
注射薬(生物由来製品を除く) 22.4%(22.2%)* 19.6%(20.5%)* 20.0%(20.5%)* 21.1%(20.1%)*
内用薬(生物由来製品を除く) 19.0%(18.7%)* 16.2%(16.5%)* 16.2%(16.5%)* 17.1%(14.4%)*
外用薬(生物由来製品を除く) 11.6%(11.2%)* 6.6%(6.7%)* 6.6%(6.7%)* 8.9%(9.1%)*
元梱包装単位計 19.8%(19.5%) 16.7%(17.1%) 16.8%(17.1%) 17.9%(16.0%)

※1) (   )は昨年度調査結果(平成21年9月末時点)を示します。
※2) 包装形態の単位における医療用医薬品の種類毎のアイテム数に対する割合を示します。
※3) 新バーコード表示割合欄において、「*」の箇所は通知における任意表示項目、任意表示項目を除いた箇所が必須表示項目です。
※4) 内用薬と外用薬の調剤包装単位については、通知において「実施時期については別途通知する」としていますので、調査対象からは除外しています。
※5) 元梱包装単位でのJANコードは、販売包装単位で取得したJANコードをそのまま使用するため、元梱包装単位については新バーコード表示状況のみの調査を行っています。

4.卸売販売業者への調査結果(概要)

(1) 卸売販売業者への調査は、特定生物由来製品と生物由来製品に表示されている新バーコードについて、物流センターと支店・営業所での利用状況を把握するための調査となります。

※ 特定生物由来製品と生物由来製品は、通知で有効期限、製造番号(製造記号)を含めた新バーコード゛が必須表示とされているため、この種類について調査しました。また、卸売販売業者が取り扱う包装形態は、販売包装単位と元梱包装単位であるため、この包装単位について調査しています。

(2) 物流センターでは、販売包装単位・元梱包装単位とも新バーコードを利用していると回答した企業の割合は30%強で、昨年度より5%程度増となっています。一方で、新バーコード以外を利用している割合は50%強で、昨年度より販売包装単位では横ばいですが、元梱包装単位では10%程度増となっています。
 また、いずれかの包装単位で新バーコード以外を利用していると回答した企業の70%程度は新バーコードの利用について準備中としています。

(3) 支店・営業所では、販売包装単位・元梱包装単位とも新バーコードを利用していると回答した企業の割合は30%程度で、昨年度より販売包装単位では20%増、元梱包装単位ではほぼ横ばいとなっています。一方で、新バーコード以外を利用していると回答した企業の割合は両包装単位とも70%程度で、昨年度より販売包装単位では横ばいですが、元梱包装単位では30%程度増となっています。
 また、いずれかの包装単位で新バーコード以外を利用していると回答した企業の60%程度が新バーコードの利用について準備中としています。

(4) 物流センターと支店・営業所で保有しているバーコードリーダーの本数についても調査しました。
 物流センターでの総数は約7千台(1社平均約170台)ですが、このうち新バーコードに対応するバーコードリーダーの保有率は約35%で昨年度より6%程度増となっています。
 一方、支店・営業所における総数は約5千台(1社平均約140台)で、このうち新バーコード対応率は約25%で昨年度より5%程度増となっています。

(5) 参考アンケートとして、現在新バーコードを利用しておらず、更に今後も利用を考えていないと回答した企業を対象に、仮に医療用医薬品の全製品に有効期限・製造番号(製造記号)を含めた新バーコードが表示された場合の対応について包装単位毎に調査しました。
 販売包装単位では、利用すると回答した企業が11社、利用しないと回答した企業が4社ありました。同様に元梱包装単位では、利用するが7社、利用しないが8社となっています。

5.卸売販売業者への調査結果一覧

1-1.物流センターにおける新バーコード利用状況(特定生物由来製品・生物由来製品)

包装形態 新バーコード 新バーコード以外 未回答
販売包装単位 20 ( 17) 29 ( 30) 5 ( 5)
37.0%(32.7%) 53.7%(57.7%) 9.3%( 9.6%)
元梱包装単位 17 ( 14) 32 ( 26) 5 ( 12)
31.5%(26.9%) 59.2%(50.0%) 9.3%(23.1%)
※ パーセント表示は全回答企業中の構成比   未回答には、自社で物流センターを保有していない場合を含みます

1-2.新バーコード以外を利用している場合

新バーコードの利用について準備中 21 ( 23)
72% ( 77%)
新バーコードの利用を考えていない 8 ( 7)
28% ( 23%)
※ パーセント表示は当該項目回答企業中の構成比

2-1.支店・営業所における新バーコード利用状況(特定生物由来製品・生物由来製品)

包装形態 新バーコード 新バーコード以外 未回答
販売包装単位 17 ( 7) 37 ( 37) 0 ( 8)
31.5%(13.5%) 68.5%(71.1%) 0.0%(15.4%)
元梱包装単位 15 ( 13) 39 ( 22) 0 ( 17)
27.8%(25.0%) 72.2%(42.3%) 0.0%(32.7%)
※ パーセント表示は全回答企業中の構成比

2-2.新バーコード以外を利用している場合

新バーコードの利用について準備中 21 ( 17)
58% ( 59%)
新バーコードの利用を考えていない 15 ( 12)
42% ( 41%)
※ パーセント表示は当該項目回答企業中の構成比

3-1.物流センターのバーコードリーダー仕様

区     分 総数 対応率 1社平均
バーコードリーダー 7,082 (7,720)   172.7(183.8
うち新バーコード対応 2,575 (2,357) 36.4%(30.5%) 62.8( 56.1)
※ 1社平均はバーコードリーダーを1台以上保有する企業の平均

3-2.支店・営業所のバーコードリーダー仕様

区     分 総数 対応率 1社平均
バーコードリーダー 4,992 (5,290)   138.7(176.3)
うち新バーコード対応 1,238 (1,015) 24.8%(19.2%) 34.4( 33.8)
※ 1社平均はバーコードリーダーを1台以上保有する企業の平均

○参考アンケート(1-2または2-2で新バーコードの利用を考えていないと回答した企業が対象) 4-1.全製品の販売包装単位に新バーコードが整備された場合

利用する 11( 6)
利用しない 4( 1)

4-2.全製品の元梱包装単位に新バーコードが整備された場合

利用する 7 ( 9)
利用しない 8 ( 3)
(注)( )は昨年度調査結果(平成21年9月末時点)を示します。

【本調査における用語説明】

○生物由来製品:
薬事法第2条第9項に規定する「生物由来製品」であって、同法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当するものを指します。ただし、体外診断用医薬品及び特定生物由来製品を除きます。

○特定生物由来製品:
薬事法第2条第10項に規定する「特定生物由来製品」であって、同法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当するものを指します。ただし、体外診断用医薬品を除きます。

○JANコード:
国コード、企業コード、商品番号から構成される商品識別コードであり、1978年に我が国流通業界の共通商品コードバーコードシンボルとしてJIS規格化されたもので(JIS-X-0501)、GS1(旧国際EAN協会)が規格化したEANと互換性があります。
 本コードは、世界規模で情報識別ができるように日本の国コードとして“45”と“49”が決められています。
通知では、商品コードとしてJANコードの利用を規定しています。

○MEDIS-DCデータベース:
(財)医療情報システム開発センターで運営している医薬品製品情報コードデータベースのことです。医薬品HOTコードマスター(HOTコード)、JAN商品コード、商品名称、規格、販売業者名等、取扱製品のデータを登録し、公開しています。
 詳細についてはホームページhttp://www.medis.or.jpを参照して下さい。

○新バーコード:
通知により規定しているGS1コード体系に基づくバーコードシンボル(UCC/EAN-128,RSS Limited,RSS-14 など)を指します。
 固定情報(商品コード)に付帯して可変情報(有効期限、製造番号など)を表現できる国際標準規格の体系を以て表示されたバーコードです。

○調剤包装単位:
 製造販売業者が製造販売する医薬品を包装する最少の包装単位を指します。例えば、錠剤やカプセル剤であればPTPシートやバラ包装の瓶、注射剤であればアンプルやバイアルなどです。

○販売包装単位:
 卸売販売業者等から医療機関等に販売される最小の包装単位を指します。例えば、錠剤やカプセル剤であれば調剤包装単位であるPTPシートが100シート入りの箱、注射剤であれば10アンプル入りの箱などです。

○元梱包装単位:
 製造販売業者で販売包装単位を複数梱包した包装単位を指します。例えば、販売包装単位である箱が10箱入った段ボール箱などです。なお、原則として開封されていない状態で出荷されるものであり、販売包装単位が規定数量に満たないものや2種類以上の販売包装単位を詰め合わせたものは除きます。

○アイテム数
 各包装形態の単位及び医療用医薬品の種類毎に、その中で異なる商品コードを付すべき商品の数です。
 例えば販売包装単位の内用薬において、同一製剤のPTPシート10シート入り販売品とPTPシート50シート入り販売品は別アイテムとして計上します。

【参考】
通知に基づく、医療用医薬品へのバーコード表示の対象範囲と必要項目(概要)

医療用医薬品の種類 調剤包装単位 販売包装単位 元梱包装単位
商品
コード
有効
期限
製造番号
又は
製造記号
商品
コード
有効
期限
製造番号
又は
製造記号
商品
コード
有効
期限
製造番号
又は
製造記号
数量
特定生物由来製品
生物由来製品
(特定生物由来製品を除く)
内用薬
(生物由来製品を除く)
◎*
注射薬
(生物由来製品を除く)
外用薬
(生物由来製品を除く)
◎*

注1:「◎は必ず表示するもの(必須表示)」、「○は必ずしも表示しなくても差し支えないもの(任意表示)」を示します。
注2:実施時期は、平成20年9月以降に製造販売業者から出荷されるものについて適用します。
 ただし、「*」については、関係業界等によって、通知から3~5年後を目標に行われている技術開発等の状況を踏まえた上で別途定めるとしています。
注3:任意表示項目については、今後の表示状況や利用状況を踏まえて、その後の表示範囲の拡大について検討することとしています。

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