あなたの事業所の職場環境づくりにお役立てください!

障害福祉の仕事とは障害福祉の仕事とは

職員の方々が、長く、活き活きと働くことができる職場環境づくりを目指して。障害福祉関連事業所の職場環境改善への取り組みや、実際に働いている方々の声をご紹介します。

社会福祉法人心愛会「コパン」

人材確保及び定着CASE 13社会福祉法人心愛会「コパン」

育成の基本思想を整理してマニュアル化し信頼関係をベースに個々のスキルをアップ

ばらつきがあったOJT内容を全社統一の社内マニュアルとして整備

ばらつきがあったOJT内容を全社統一の社内マニュアルとして整備

2000年に設立した当法人では、「やってみんべ!」を合い言葉に、福島県内初のハードソフトともにユニットケアの特別養護老人ホームを設立するなどお客様のために良いと思ったら、新しいことでもチャレンジをしてきました。現在は会津と郡山の2エリアで、障がい者支援と高齢者介護の38事業を20事業所で行っており、「コパン」は障がい福祉サービス事業所として、就労継続支援A型事業で高齢者介護施設等でのリネン交換や清掃、調理、就労継続支援B型事業ではパン工房と喫茶、野菜・米作りなどの農業・園芸、調理加工、生活介護事業では創作やレクリエーション、医療的ケアなどを実施しています。
人材育成は約500名の従業員を擁する心愛会全体で取り組んでいます。15年前からは入職者1人に1~3人の先輩がついてOJTで教えるエルダー制度を設けていました。しかし事業内容や事業所が増えていく中、社内面談によってわかったのは、自分が習ったことしか教えられない、人によって教え方が違う、新人にひんぱんに声をかける人と困っている時だけという人が混在するなどの状況に、教える側・教わる側共に戸惑っていたということです。関係性が保てないことからの離職者も見られました。そこで2018年、これまでの蓄積をもとに人材育成制度を洗い直し、当法人の思想を含めた「エルダー制度マニュアル」として従業員誰もが見られる形に整備しました。

定期的な面談やチェックシートを通して一人ひとりの悩みや今後の希望を汲み取る

定期的な面談やチェックシートを通して一人ひとりの悩みや今後の希望を汲み取る

マニュアルには入職者用と指導者用があります。就職志望者はまず希望とのギャップがないように事前に施設見学等を実施し、面接では現場の担当者が仕事内容を説明します。入職が決まれば正社員・パートを問わずマニュアルを説明し、その後最低1年間はエルダーがつきます。エルダーは勤続2、3年の先輩が担当します。エルダーを務めることで自身のステップアップも促すためです。働きはじめて1か月後、4か月後、10か月後にはスキルチェックシートによる自己の業務習得の振り返りに加え、エルダーとその上司による面談と、人事担当による面談があります。目指したい職務や資格などもそこで話せます。また上司や人事には話しにくい相談は、完全な守秘義務を持つ第三者のキャリアコンサルタントの窓口もあります。またエルダーや現場責任者には「他者理解」「説明」「任せる」「気づかせる」「後押しする」の循環を作り、マニュアルだけにとらわれない信頼関係を構築することの重要さを伝えています。エルダーや現場責任者も人事との面談の機会は多く設けています。
エルダー未経験でもマニュアルを参考にチャレンジしやすくなった、先の見通しが持てるようになったなどの声も多く、早期離職者は徐々に減少しています。

多種の研修や手厚い育児支援などにより安心してキャリアアップを目指せる環境に

多種の研修や手厚い育児支援などにより安心してキャリアアップを目指せる環境に

社内では新人のフォローアップ研修や、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修を開講したり、介護支援専門員等の国家資格取得の補助もしています。定期的に行われる社内研修は年間計70コマほど実施しています。その他事業所ごとの研修も行っており、コパンでは月1回全員参加で、新型コロナ対策、障がい特性、虐待防止、災害時の避難誘導などさまざまなテーマで学んでいます。希望や適性に応じて、別部署あるいは障がい者支援と高齢者介護の事業所間の異動もあります。多様な経験を通してのキャリアアップを目指すためです。異動先でも一定期間エルダーがつきます。こうして個々のスキルを高めることがチーム力につながります。全社で行うイベントやコンテストも事業所間の交流を促進しています。
働きやすさにもさまざまなしくみで配慮をしています。残業時間は全事業所の月平均は5時間です。産前産後休暇、育児時短勤務、配偶者出産休暇など育児支援では法定を上回る制度を整備し、女性の育児休暇取得率と復帰率は100%。2022年からは男性の育児休暇や、事実婚・同性婚を想定した慶弔金・休暇の制度も設けました。
働きやすい環境の中、育成の好循環によって一人ひとりが仕事に自信や誇りを感じ、最大限の力を発揮できること。そのしくみ作りは着実に成果を上げつつあります。

職場環境の課題

  • ●OJTの指導内容が人によってばらつきがあった
  • ●交替制業務のため指導する側とのコミュニケーション不足があった
  • ●仕事内容のギャップによる早期離職者があった

改善ポイントとその成果

① 人材育成のプロセスと方法をマニュアル化
入職者にも指導する側にも、OJTをどう進めればよいかがわかりやすくなり、数か月や1年先のあり方も展望しやすくなった。
② 現場の上役や人事担当が定期的に面談
現場での悩みなど話せるほか、今後希望する部署や資格なども伝えることでキャリアパスが明確になった。目的に合った研修にも誘導できる。
③ 各種の休暇制度を拡充
従来からの女性の各種育児支援に加えて配偶者の育休などを拡充。働きやすく復帰もしやすい環境により、長いスパンでのキャリアアップが目指せる
改善ポイントとその成果改善ポイントとその成果

働く人の声

エルダーになんでも相談しながら将来をイメージして長く働ける職場です

エルダーになんでも相談しながら
将来をイメージして長く働ける職場です

小野 (おの )成美(なるみ)さん

コパンで支援員をしています。2019年に精神保健福祉士資格を持って入職し、最初は生活介護事業でOJTを受けて重度身体障がいの方々の介護をしながら介護職員初任者資格を取りました。4年目からは次のステップへという上司のアドバイスから、就労継続支援A型事業に異動して、障がいのある利用者さんの仕事のサポートをしています。わかりやすいマニュアルをもとにエルダーに見守られた新人時代を経て、今は自分一人で判断することも多く、やりがいを感じます。困った時は今もエルダーに話します。窓口が決まっているから相談もしやすいですね。実は今年結婚しましたので、特別休暇やお祝い金も申請中です。そうした各種制度もぜひ使うよう勧めてもらえて、長く働いていける職場です。今後は同じ部署に来る新人さんのエルダーを務めるのが楽しみです。

【事業所DATA】

  • 事業所名/社会福祉法人心愛会「コパン」
  • 代表者/三瓶英司
  • 所在地/福島県会津若松市一箕町亀賀字北柳原52番地
  • 従業員数/478名(法人全体)
  • 事業内容/就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、生活介護事業
  • ホームページ/https://sin-ai.com/