あなたの事業所の職場環境づくりにお役立てください!

障害福祉の仕事とは障害福祉の仕事とは

職員の方々が、長く、活き活きと働くことができる職場環境づくりを目指して。障害福祉関連事業所の職場環境改善への取り組みや、実際に働いている方々の声をご紹介します。

社会福祉法人 滝乃川学園

業務効率化CASE 05社会福祉法人滝乃川学園

ICT導入で業務の効率化を大幅推進

非効率だった既存のシステムを根本的に見直してICT化に着手

非効率だった既存のシステムを
根本的に見直してICT化に着手

同学園は、日本で初めての知的障がい児のための福祉施設として開設されました。20年ほど前からパソコンにインストールした記録ソフトで利用者の日々のデータを記録・保存・運用していたのですが、事業の拡大に伴って部署数、職員数も増え、施設内のパソコンは100台を超えるまでになりました。それぞれの部署で働く職員は一日の利用者支援終了後に記録を部署内のパソコンまで足を運んで入力するのですが、他の職員のパソコン仕事が終了するまで待たなければならない場合もあり、各部署間での連絡や記録の閲覧、情報の共有、勤務の引き継ぎなどもパソコンのある場所に赴かなければならないという効率の悪さが目立ってきました。そこで2019年頃から職員が本来の業務に専念できるようにとICTの導入に取り組み始めました。

Wi-Fi環境、新記録ソフト、グループウエア導入でICTが始動

Wi-Fi環境、新記録ソフト、
グループウエア導入でICTが始動

まず、パソコンだけに頼ることなく現場からいつでも記録・閲覧・保存できるよう3年ほどかけてWi-Fi環境を構築しました。同時に全部署にタブレット端末を複数台、職員に1人1台ずつスマートフォン端末を配布し、新たな記録ソフトも導入してすべての利用者情報が共有できるようになりました。また、Wi-Fi環境を活用してリモート会議も実現したため、どこにいても打ち合わせができるので会議室を取る必要がなくなるなど業務の効率化が一気に進みました。とくに各種研修での利用頻度が高いようです。
さらに、グループウエアを導入して会議議事録や各種告知がいち早く全職員と共有できるようになり、ワークフローシステムの採用で園外10カ所ほどのグループホームの職員が書類の提出だけのために事務所を訪れる必要もなくなり、事業計画書・稟議書などの申請も迅速になったといいます。
また、勤怠システムもオンライン化し、勤務時間の打刻や休日休暇などの各種申請もパソコンやスマートフォンから行えるようになりました。この20年間で職員は200人も増えましたが、労務管理や勤怠管理の管理職や事務職員にとって大幅な労務時間の短縮、紙の削減に繋がっています。また、自宅からも急な休暇申請もできるため、子育てや介護と両立する職員が手続きしやすくなるよう取り組みました。

「見守りシステム」が職員の労力を大幅軽減。ICT化の浸透で、働く環境の効率化を推進

「見守りシステム」が職員の労力を大幅軽減。
ICT化の浸透で、働く環境の効率化を推進

現場でのICT導入では「見守りシステム」が職員をサポートしています。夜間、利用者の睡眠中の動き、心拍、呼吸などがセンサーやデータでモニター管理できるので緊急時の対応が速やかになるだけでなく、職員が利用者の居室を見回る回数も激減し、労力負担にも大きく貢献しています。また、しぐさや表情にぬくもりがあり生き物のような家庭用ロボットも導入して利用者とのコミュニケーションを図っています。
Wi-Fi環境の整備によってICT化が進んだ同学園ですが、すべてのシステム稼働はまだ端緒についたところと法人本部経営管理部の橋爪貴裕部長。「新しい記録ソフトは以前とまったく入力方法が異なるため、戸惑う職員もいます。グループウエアもスケジュール管理やワークフロー、メールくらいしか使えていないのが現状ですが、業務の効率化は大きく進みました。今後は送迎の自動車予約、備品・文書管理などへも活用範囲が広がれば、より働きやすい環境になるはずと期待しています」と語っていただきました。

職場環境の課題

  • ●パソコンのみでの記録入力が非効率だった。
  • ●情報の共有が行き届かず書類の持ち寄りなどに無駄が多かった。
  • ●夜間の利用者の見守りが職員の負担だった。

改善ポイントとその成果

① Wi-Fiネットワークの構築
Wi-Fiを構築し、タブレット、スマートフォンの採用と新記録ソフトの導入で、どこにいても利用者情報の記録・保存・閲覧などが可能となった。
② グループウエア、ワークフローシステム導入
会議議事録や各種告知が素早く全職員と共有でき、書類の提出だけのために本部の事務所を訪れる必要がなくなり、事業計画書・稟議書などの申請も迅速になった。
③ 「見守りシステム」が職員をサポート
利用者の睡眠中の動き、心拍、呼吸などをモニター監視し、速やかな緊急時の対応だけでなく職員の労力を大幅に軽減した。
改善ポイントとその成果改善ポイントとその成果

働く人の声

グループウエア、ワークフローの導入で仕事の負担がかなり軽減されました

グループウエア、ワークフローの導入で
仕事の負担がかなり軽減されました

糸永 (いとなが )健太(けんた)さん

経営管理部総務科で、建物の機械の修繕・管理、害虫駆除、機器の導入など、主に設備を担当しています。ICT導入ですが、ネットワークやパソコンのトラブルはシステムが複雑になるほど原因が分からないので業者さんとのコミュニケーションが大切だと痛感しました。利用者様に関わる修繕では、支援する職員とのコミュニケーションが大切ですが勤務日の違いなどが原因で希望していた状態にならないことがあります。グループウエアの導入で見積書の共有、意見交換が簡単になって問題もぐんと少なくなりましたし、スケジュール管理もひと目で分かるようになりました。ワークフローでは計画書・稟議書が見えるので、引き継ぎや情報共有、対応がスムーズになるなど、1人で仕事を抱え込まなくなり負担がかなり減ったように思います。

【事業所DATA】

  • 事業所名/社会福祉法人 滝乃川学園
  • 代表者/石井慈典
  • 所在地/東京都国立市矢川3-16-1
  • 従業員数/275名
  • 事業内容/障害福祉事業(障害児入所支援、施設入所支援、生活介護、短期入所、放課後等デイサービス、相談支援事業、居宅介護、重度訪問介護、行動援護、共同生活援助)、介護保険事業
  • ホームページ/https://www.takinogawagakuen.jp/