あなたの事業所の職場環境づくりにお役立てください!

障害福祉の仕事とは障害福祉の仕事とは

職員の方々が、長く、活き活きと働くことができる職場環境づくりを目指して。障害福祉関連事業所の職場環境改善への取り組みや、実際に働いている方々の声をご紹介します。

一般社団法人コレカラ コレカラ堂

業務の効率化CASE 02一般社団法人コレカラコレカラ堂

業務支援サービスの導入で事務作業を大幅に軽減し余裕を持って利用者に寄り添える環境を整備

手作業での請求業務や工賃計算で月末月初は時間外の労働も常態となっていた

手作業での請求業務や工賃計算で
月末月初は時間外の労働も常態となっていた

当法人は2012年に設立され、2014年から就労継続支援B型事業所「コレカラ堂」を運営しています。一般の事業所に雇用されることが困難な障害のある方々に就労の機会を提供するとともに、知識および能力の向上に必要な支援を行う事業です。利用者は職員と一緒に箱の組み立てなどの軽作業、パソコン作業、ミシンでの布小物製作と販売などの生産活動を行い、希望者には昼食(実費負担100円)を提供。研修旅行や季節行事などのレクリエーションもあります。
月初は国保連合会と利用者へのサービス費請求業務を行いますが、開設当初は担当者が始発電車で出勤し手入力で作業をしていました。また手入力のため入力ミスの修正も多くありました。月末の工賃計算も利用者が押したタイムカードの記録をもとに手入力しており、職員の残業は常態化していました。また、利用者ごとの日々の支援記録も手書きだったため、記録に時間がかかる、全員の状況把握には全ての個人ファイルを出す必要があるなどの課題もありました。そこで開設4年目に導入したのが障害福祉に特化したクラウド型業務支援サービスでした。

クラウド型の業務支援サービスを入れたことで残業は減り、利用者に向き合う時間が増えた

クラウド型の業務支援サービスを入れたことで残業は減り、利用者に向き合う時間が増えた

サービスを導入したことで、効率化された部分が多くありました。利用者に出退勤の際に受付にあるタブレットを操作して頂くことで出退勤時刻が記録されます。作業時間も分単位で自動計算されるためミスも少なくなりました。請求に必要な書類も自動的に作成され、データとして国保連合会に送信できます。以前は4時間以上かかっていた請求業務は20分程度になりました。また、職員各自がパソコンで、支援記録をいつでも手早く入力できるようになりました。1日の利用者の記録を複数台のパソコンからまとめて見たり、過去の記録を時系列で確認したりもでき、利用者の状況を把握することが容易になりました。
これにより職員の事務的な負担は減少し、残業が減ると同時に職員のミーティング時間も確保でき、精神的・体力的な余裕を持った支援が可能になりました。

職員の勤務時間や発注元の見直しにより利用者・職員ともに働きやすい職場作りへ

職員の勤務時間や発注元の見直しにより利用者・職員ともに働きやすい職場作りへ

2022年に広いスペースに事業所を移転して利用者定員を20名から30名に増やし、職員を5人から6人に増やしました。サービスを導入し事務作業に関わる時間を減らしただけでなく一層の働きやすさへの取り組みも進めています。ひとつは就業時間の変更です。出勤時間を30分遅くし、さらに効率よく仕事が出来るように休憩時間とミーティングの時間の取り方を変更しました。またこれまで職員は利用者が帰ってから事務仕事をしていましたが、やるべきことが多く結果的に残業をすることが多くなっていました。この課題を解消するために作業指導業務を行わずに事務仕事に集中できる日を交替制で設けるという就業内容の変更を行いました。そのことにより残業時間数の減少につながりました。
有給は時間単位半日単位でもとれるようにし、取得率は100%となっています。
また研修の受講や他施設の見学も奨励しています。個々の職員のスキルアップや働きがいが、利用者に還元されていくことにつながります。直接支援を行う職員の直近4年間の離職率は0%です。育児休業を取得した職員も活躍しています。
現在は軽作業発注元の見直しも進めています。コロナ禍を発注元を増加させることで乗り切ってきましたが、職員や利用者の負担が大きくなった部分も多くあります。負担を減らしつつも情勢に見合った工賃をお支払いできるよう、受注単価や発注元の整理を計画的に行っているところです。
利用者と職員双方にとってより働きやすい環境の整備に向けて、今後もさまざまな改革を続けていきます。

職場環境の課題

  • ●手書きなどのアナログ形式による非効率な事務作業
  • ●月末月初の残業や早出の常態化
  • ●事務作業時間の利用者支援時間への圧迫

改善ポイントとその成果

①クラウド型業務支援サービスの導入で請求事務を効率化
利用者の出退勤時刻や作業時間などをもとに、請求書類作りも自動で行えるようになり、4時間以上かけていた作業が20分に短縮。
②個々の支援記録の記入・把握・共有が容易になった
職員が記入や確認にかけていた時間が減り、利用者の状況にも余裕を持って向き合えるようになった。
③就業時間や作業内容の見直し
休憩時間の取り方を調整し、ミーティング時間を確保。出勤時刻も変更。職員各自の事務作業専用日を設けたことで残業時間の減少につながった。
改善ポイントとその成果改善ポイントとその成果

働く人の声

利用者の方々が通いたいと思える事業所へ職員皆で喜びを持って改善に取り組んでいます

利用者の方々が通いたいと思える事業所へ職員皆で喜びを持って改善に取り組んでいます

鈴木 (すずき )宏太郎(こうたろう)さん

業務支援サービスを導入してから働き方は大きく変わりました。私が入職した施設スタートアップ時からおよそ3年間は、記録は全て手書きで負担がかかり、個々の支援ファイルなどの確認も手間がかかりました。その状況が変わらないままで利用者も作業発注元も増えてくると、業務をこなすのに精一杯になり、残業も増え、利用者の方の言葉の背景など深く考える余裕もなくなっていきましたが、今は違います。時間的な余裕が生まれた事で、通所する方一人ひとりとの交流にしっかり意識を向けられます。更に現在、各作業部門の担当者とともに工賃アップへの取り組みも新たに進めています。業務で悩む事も多々ありますが、いつでも職員間で相談し合える時間も確保出来た事で気持ちの余裕も生まれたと感じております。職員同士も見る視点が違う事で、自分自身気が付かない事でもそれぞれ補う事が出来、相談のしあえる環境が心地いいです。

【事業所DATA】

  • 事業所名/一般社団法人コレカラ「コレカラ堂」
  • 代表理事/鈴木美幸
  • 施設長/高井久美
  • 所在地/東京都足立区大谷田4-18-2ユリイカ1階
  • 従業員数/6名(2024年2月現在)
  • 事業内容/就労継続支援B型事業所
  • ホームページ/https://www.korekaradou.com/