あなたの事業所の職場環境づくりにお役立てください!
職員の方々が、長く、活き活きと働くことができる職場環境づくりを目指して。障害福祉関連事業所の職場環境改善への取り組みや、実際に働いている方々の声をご紹介します。

業務の効率化CASE 01社会福祉法人 エルム福祉会エルムの園
職員のワーク・ライフ・バランスと利用者支援を充実させた電子勤怠管理システム

慢性化していた時間外労働削減のために電子勤怠システムを導入
1997年設立の当法人は、障がい者支援、障がい児支援、障がい者グループホーム、高齢者介護、学童保育など、多様化する利用者のニーズに応えるため、12の事業所を展開しています。そのひとつである『エルムの園』は、仕事を行いながら工賃を得て一般企業への就職を支援する「就労移行支援」、より高賃金を目指す「就労継続支援B型」、身の回りの支援を受けながら仕事をする「生活介護」、提携企業に出向いて仕事をする「施設外就労」を支援する就労支援事業所です。
当法人は、事業拡大に伴って各事業所の事務処理が膨大となり、時間外労働の慢性化が発生していました。子育てや介護など、職員一人ひとりのライフスタイルに応じた始業時間・終業時間・休憩時間などに応えるため、400超のオーダーメイド的な就業パターンとしています。こうした管理は、いわゆる紙ベースのタイムカードで行っていましたが、各事業所からのデータを統括する本部は1カ月分の出退勤管理だけでも1週間を要する事態となって、さらに時間外労働時間も増え、当法人が目指していた職員のワーク・ライフ・バランスの充実とはほど遠い状態となっていました。そこで数年前に導入したのが電子勤怠管理システムでした。

法人と職員のコンセンサスによる
管理体制が時間外労働の削減に寄与
当法人の導入した電子勤怠管理システムは、タイムカードの代わりにICカードでレコーダーに認証させ、クラウド上で管理するタイプです。出退勤時刻、早退、有給休暇などの各種申請、勤務シフトなど多種多様な管理がリアルタイムに行えるため、全職員のデータは5分もあれば確認できるようになりました。また、職員がシフトどおりに働けているかどうかや時間外労働時間もすぐに把握できるため、人員配置やオペレーションまできめ細かく踏み込んで効率化を進めてきました。その結果、導入前は月に20時間から30時間あった時間外労働が『エルムの園』ではほぼゼロとなりました。当法人では、勤怠管理システムの導入目的は時間外労働をなくすためではなく、あくまでも職員のワーク・ライフ・バランスを充実させるためです。計画的に仕事をすれば自然と無駄がなくなり効率的に働くことができるということを職員に徹底してもらったことが時間外労働の削減に結びつきました。こうした取り組みで心がけたのは、勤怠管理システムの導入による管理体制の整備や職員の能力・経験を考慮した当法人の人員配置と職員の希望する人員配置のコンセンサスだが、当法人の想いが浸透してきた結果だといえます。

利用者との信頼関係を深め
よりよい福祉事業を目指す
職員一人ひとりのライフスタイルに合わせた終業パターンと電子勤怠管理システムの導入によって計画的な仕事の効率化がもたらしたものは、利用者さんへのより手厚い支援でした。『エルムの園』での利用者さんの仕事は部品組み立て、加工、名札の作成などですが、職員が利用者さんを支援する時間が増えれば仕事の効率もよくなり、結果として利用者さんの工賃も上がります。当法人は対人援助サービスなので信頼関係は非常に重要です。業務効率化が利用者さんの仕事の成果に表れているのは嬉しいことです。職員のワーク・ライフ・バランスの充実面では、有給休暇の取得率が向上しました。育児休暇の取得は男女とも100%を達成しています。自由に使える時間を資格取得の勉強に充てている職員も多く、毎年2、3人があらたな資格を得ていますが当法人では取得に関わる費用の半額(上限10万円)を補助して応援しています。今、電子勤怠管理システムとビッグデータを活用して人事管理のシステム化を進めています。資格取得者やスキルに応じた適材適所の人事を構築して、よりよい福祉のあり方、職員と利用者さんが幸せになれる環境作りを進めています。
職場環境の課題
- ●肥大化する時間外労働を削減したかった。
- ●職員の働きやすい就業パターンの模索。
- ●法人と職員の人員配置コンセンサスの立脚

改善ポイントとその成果
- ① 電子勤怠管理システムを導入
- 紙ベースで行っていた膨大な勤怠管理が一気に軽減され、時間外労働削減の大きな力となった。
- ② 職員一人ひとりのライフスタイルを反映
- 350もの就業パターンを構築して職員の要望に応えた。
- ③ 法人と職員のコンセンサスの立脚
- 職員の能力、経験を考慮した法人の意向と職員の希望とのバランスを取った体制作りを進めてきた。


働く人の声

業務効率化で気持ちや時間に
余裕が生まれ、笑顔も増えました
大賀 桂子さん利用者様の作業指導、生活支援をしています。以前は時間外労働が当然という職場環境だったので働き方に無駄がありました。仕事を後回しにすることも多かったのですが仕事が減るわけでもなく、結局そうした仕事に追われて利用者さんへの支援が雑になりました。そのうえミスも重なることで利用者様と保護者様からの信頼も薄れてしまい、クレームも増えるという悪循環に陥りました。電子勤怠管理システムが導入されてから業務の効率化が進み、時間だけでなく気持ちにも余裕が生まれました。その結果、利用者様が落ち着いて過ごせるようになったと思います。職員の笑顔も増え、保護者様から「施設の雰囲気が明るくなりましたね」と声をかけていただけるようになりました。
【事業所DATA】
- 事業所名/社会福祉法人エルム福祉会 エルムの園
- 代表者/青栁秋男
- 所在地/栃木県大田原市中田原381-1
- 従業員数/258名
- 事業内容/障害福祉サービス事業(就労移行支援、就労継続支援B型、生活介護、施設外就労)
- ホームページ/http://elm-fukushikai.com/