研究課題 | 実施期間 | 合計金額 (千円) |
主任研究者所属施設 | 氏名 |
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(3) その他の社会的インパクトなど(予定を含む) | 発表状況 | 特許 | 施策 | (4) 普及・啓発活動件数 | 研究事業名 | ||||||||||||||
原著論文(件)※2 | その他論文(件) | 口頭発表等(件) | 特許の出願及び取得状況 | 反映件数※3 | ||||||||||||||||||||||
涙腺の分化増殖機構の解明と再生医療への応用 | 平成14-16年度 | 34,500 | 慶應義塾大学医学部 | 坪田一男 | (ア)スティーブンス・ジョンソン症候群などの難治性疾患に起因する涙液分泌障害では、その治療法として対症療法が認められるのみで根治療法が存在しない。このような種々の難治性疾患の治療法として組織幹細胞を用いた再生医療の応用が想定されている。Side population cells (SP細胞)は骨髄、筋肉、乳腺組織においては組織幹細胞を多数含む分画として知られており、涙腺における組織幹細胞同定に応用可能である。造血幹細胞ではATM(ataxia telangiectasia mutated)を介した酸化ストレスの抑制機構が自己複製能の維持に働いている可能性が示され他臓器においても同様な機構の存在が想定される。(イ)涙腺組織のSP細胞を同定した。加えて放射線照射により誘導した涙液分泌障害モデルマウスの涙腺組織にSP細胞を移入することにより涙液量が回復することを明らかにした。また、cDNA microarrayを用いた解析によりSP細胞が酸化ストレス抑制因子を特異的に発現していることを明らかにした。同定された因子は造血幹細胞で報告された因子とは異なるものであったが、組織幹細胞の機能維持に酸化ストレス抑制因子が関与している可能性が考えられた。さらに、同定された因子は分泌蛋白であり細胞内および細胞外においても酸化ストレスを抑制することが明らかとなった。また、プロラクチンが涙腺組織の再生を促進することを明らかにし、この再生過程を詳細に検討するため涙腺上皮不死化細胞株を樹立した。 | スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)では皮膚症状、粘膜症状、眼症状すなわち口唇、口腔粘膜、鼻粘膜、外陰部、尿道、肛門周囲、眼の結膜等の粘膜や躯幹に発赤、紅斑、びらん、水疱形成、涙液分泌障害が認められ眼症状が重篤な場合には失明に至ることが報告されている。この原因の多くは薬剤の副作用に起因していることが知られ、その治療方法の開発は行政的見地からも極めて有用であるが根治療法が認められないのが現状である。このような背景において本研究はSJSの眼症状に対する新規治療法として組織幹細胞を応用した再生医療の確立を目的に行われ、動物実験モデルを用いた治療実験によりその可能性を示した。このことは、今後の臨床応用の具現化に際して不可欠であり、これらの結果をふまえて、我々は現在、臨床応用を遂行している。(難治性疾患克服研究事業、研究課題:難治性疾患による涙腺の障害に対する新規治療法の開発、課題番号:H17-難治-45) | 我々は、涙液分泌障害に対する治療法として以下の二つの方法を想定している。 1)涙腺組織幹細胞移植による新規治療法の確立 2)同定された酸化ストレス抑制因子を点眼特に2)の点眼による酸化ストレス抑制因子の点眼は非侵襲的で涙液分泌障害による角膜障害に対する治療法としても期待され臨床応用に直結した試みである。これにより従来治療が困難であったSJSのような重篤なドライアイを救済できる可能性があり、患者様のクオリティオブライフに大きく貢献できると思われる。 |
11 | 2 | 17 | 2 | 2 | 2 | 難治性疾患克服研究 | ||||||||||||
(ウ)SP細胞を用いた細胞治療が涙液分泌障害患者の新規治療法として応用可能であることが示された。また組織幹細胞を多数含むSP細胞に特異的に発現する因子が酸化ストレスを抑制する因子の一つであったことは、涙腺組織幹細胞が酸化ストレスに抵抗性を有している可能性を示唆するとともに本因子を応用することにより酸化ストレスに起因すると考えられる黄斑変性症や角膜障害をはじめとした種々の眼疾患の治療法が可能になると考えられる。さらに、近年、酸化ストレスは老化の一因と考えられ、幹細胞の機能低下が老化の原因となりうることより本研究成果は極めて注目に値すると考えれ、Nature等のpeer review journalに投稿予定である。 | 1) | 難治性疾患克服研究 | ||||||||||||||||||||||||
アミロイド沈着による病的要素の検索に関する研究 | 平成14−16年度 | 56,000 | 山口大学医学部構造制御病態学講座 | 石原得博 | ア,アミロイドーシスとは、さまざまな前駆蛋白が共通の線維構造からなるアミロイドとなり,諸臓器に沈着し、障害を引き起こし致死的ともなる疾患群であり,一部の実験的マウスアミロイドーシスでは,プリオン病のように外来性のアミロイド線維が,線維形成の核となりアミロイドーシスの発症を促進することが示されている。 イ,種々の動物および実験的アミロイドーシスにおいても,これらの外来性のアミロイド線維によってアミロイドーシスが発症することが示された。また,この発症促進効果は,経口摂取でも認められ,容量依存性であることも示された。さらに,自然界の鳥や食用牛にも,予想以上に高い頻度でアミロイドーシスの発症を認めた。これらの実験とともに,アミロイドーシス発症に関連した因子についてもいくつかの知見を得た。 |
平成16年9月30日には,厚生省にこの領域の専門家が集まり,「アミロイドーシスに関する研究」についての打ち合わせが行われた。本課題は,食の安全性を考える上で,重要な課題であり,施策を考える前にさらに十分な検討が必要である。 | 現時点では,実験的マウスAAアミロイドーシスでは,炎症刺激下に外来性アミロイド線維が導入されると,発症促進効果が認められることが分かっているが,炎症刺激が必須であり,公表については十分慎重に行う予定である。 | 27 | 86 | 83 | 3 | 1 | アミロイドーシスに関する公開シンポジウム(2005.1.21, KKRホテル東京) 第41回日本臨牀細胞学会秋期大会,石原得博会長講演「たかがアミロイドされどアミロイド」(2002.11.1, 海峡メッセ) 2 |
難治性疾患克服研究 | ||||||||||||
ウ,アミロイドーシスは難病であり稀少疾患ではあるが,その発症に,食生活が関与する可能性が示されたもので,十分な検討を要する。またこれらの実験を行う上で必要な,また学術的にも貴重な遺伝子操作を行った細胞株やモデルマウスを作製した。 | ||||||||||||||||||||||||||
難治性疾患克服研究の企画又は評価に関する研究 | 平成14-16年度 | 60,725 | 関西電力病院 | 清野裕 | 新たな評価表を用い各研究事業を評価することにより、主任研究者の役割・班の構成・報告書の重要性・明確な研究ロードマップの必要性など、難治性疾患克服研究事業の発展に不可欠な要素を明らかにした。 当班の性格上成果の論文化等は不可能である |
難治性疾患克服研究事業に関する提言としてまとめ、平成16年12月20日に厚生労働省へ提出した。 | 平成14年度から16年度にかけ進行した各難治性克服研究事業を評価することにより、平成17年度からの新たな研究事業の展開を促進した。 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 難治性疾患克服研究 | ||||||||||||
産科領域における安全対策に関する研究 | 平成15-16年度 | 8,000 | 母子愛育会愛育病院 | 中林正雄 | (ア)高齢出産や生活習慣病の合併などによりハイリスク妊娠が増加している一方、急激に進行する少子化により、周産期医療は斜陽化している。 (イ)本邦では一次、二次、三次医療施設の役割分担が不明確なことにより、ハイリスク妊娠とローリスク妊娠が混在している。そこで前年度の妊婦のリスク評価に関する基礎研究を元に、妊娠リスクスコアを作成し、2800例の妊娠例でその妥当性を検討した。さらに一般の妊婦が妊娠のリスクを自己評価できるよう、「妊娠リスク自己評価表」を作成した。 (ウ)本研究で新たに作成した妊娠リスクスコアの活用によって産科医が妊婦のリスクを事前に正確に把握できることにより、分娩の集約化・医療施設の機能別役割分担(ハイリスク、ローリスクの管理)を行うことができる。また、医療施設の機能別役割分担には病診連携の緊密化が必要不可欠であるが、この新しい周産期医療システムへの移行のため、欧米諸国のオープンシステムを調査し、日本型オープンシステムの普及の提言を行った。さらに日本型オープンシステムの普及のために、中小施設の医療経済にも配慮した施策の提言も行った。 |
「妊娠リスクスコア」(妊婦の年齢や既往歴、妊娠後期の感染症や胎児異常などを点数化したリスクスコア)を産科医向けに作成した。 平成17年4月、「妊娠リスク自己評価表(前期・後期)」を作成した。 日本型オープンシステムの普及を提言した。 日本型オープンシステムへの移行が可及的速やかに、かつスムーズに行われるための問題点を分析し、とくに中小施設の医療経済にも配慮した施策を提言した。 |
妊婦のリスク評価に基づいて、地域の診療所と中核施設が連携・役割分担する「産科オープン・システム」の普及を目指す。 妊婦の自己評価が可能なため、社会的にも妊娠のリスクに関する知識が普及すると期待される。 |
0 | 2 | 8 | 0 | 「周産期医療施設オープン病院化モデル事業」(厚生労働省) 「産科オープン・セミオープンシステムに関する現状における日本産婦人科医会の考え方」(日本産婦人科医会) |
「安全で快適なお産のために、今、何をなすべきか」シンポジウム(H16.12.5) 「妊婦自らリスク診断」(日本経済新聞H17.5.1) 「妊娠・出産リスク判定」(産経新聞H17.5.1) 「妊婦さん!リスク知って=出産年齢、喫煙など点数化-自己評価表作成・厚労研究班」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050430-00000282-jij-soci 「お産リスク点数化」(朝日新聞H17.5.8) |
医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
精神科領域における医療安全対策に関する研究 | 平成15-16年度 | 3,000 | 日本精神神経学会 | 佐藤光源 | ァ)精神科医療安全管理は日本精神科病院協会や精神科看護でとり組まれていたが、システム構築の先行研究は見あたらない。 ィ)精神症状を主因とする人身自己や精神保健福祉法による非自発入院中の事故など精神科医療の安全管理には他の一般診療科の医療安全対策とは異なる諸問題のあることが明らかになった。 ウ)精神科の特殊性を考慮した医療安全システムを構築して、他診療科のシステムとの整合性を図ることは医療全般の安全管理に不可欠であり、医療水準の向上にとって意義がある。 |
精神科医療安全管理システムの構築に着手し、その方向付けを明示した。他診療科の安全管理システムとの整合性に向けて大きく前進した。 | 本格的な精神科医療安全管理システムの構築により、精神症状を主因とする医療現場での人身事故の予防につながる。 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
高齢者に対する口腔ケアの方法と気道感染予防効果等に関する総合的研究 | 平成15-16年度 | 22,000 | 秋田看護福祉大学社会福祉学部 (学長) | 佐々木 英忠 | (ア)高齢者の口腔衛生状態は、加齢と共に悪化している。これは世界の先進国で共通して見られる。 (イ)口腔ケアにより老人性肺炎は、40%減少し、要介護老人の肺炎での死亡率を、これまでの80%から50%に、口腔ケアにより減少せしめた。口腔ケアは,認知機能の低下を有意に予防する。口腔ケアは、嚥下反射と咳反射を有意に改善する。口腔衛生状態は,15年間の追跡調査により、70〜80歳代の人の生命予後を決定する。 (ウ)口腔衛生状態が、口腔の健康のみならず、全身の健康、更には、生命予後まで広く決定している事が示され、口腔衛生を保つことの重要性が社会に初めて示された。 |
口腔衛生は、加齢と共に、劣悪に成っていく事が示されていたが、口腔衛生を保つことの健康に及ぼす影響が示され、行政指導を行う根拠となった。 | 私共の口腔衛生の健康に与える影響の研究から端を発して、今日、要介護老人に広く口腔ケアが実施され、効果を上げるようになった。平成17年度より、介護保険から口腔ケアに対して、お金が支払われることになる資料となった。 | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 | なし | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
医療施設における療養環境の安全性に関する研究 | 平成15-16年度 | 28,000 | 日本赤十字社東京支部武蔵野赤十字病院 | 三宅祥三 | (ア)医療事故に占める入院患者の転倒・転落の割合は高く、その防止対策の検討は急務である。現況では人的努力による防止対策が主となっている。しかしながら、転倒・転落は予測不可能な側面があり、いつ誰にでも起こる可能性があるため、人的努力による防止対策には限界がある。 (イ)そのため、物的環境の側面から転倒・転落への対策を検討した。転倒・転落が予想される患者への物的対策を導き出すためのチェックシートを作成し、それをもとに患者タイプ別に発生予防・傷害予防の両側面から、転倒・転落への物的対策を具体的に検討した。また、物的対策に必要な諸物品の数量算定を行った。 (ウ)具体的に物的対策を検討することによる転倒・転落への防止対策および、物的対策が看護師の意識改革につながることを示唆した本成果は、看護展望、医療安全などの雑誌に掲載され、大きな反響があった。 |
具体的な転倒・転落対策の検討を示すことができた。その成果を、平成16年11月25日に開催された「医療安全に関する研究発表会(主催:厚生労働省)」において報告した。 | これまで人的努力による防止対策が主であった転倒・転落に対し、物的側面から対策を具体的に検討した本成果は現場看護師の意識改革に大きく貢献している。また、多くの病院において、対策を含めたアセスメントシートの開発が行われ始めた。 | 2 | 3 | 8 | 0 | 1 | 40 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
歯科医療における安全性の向上に関する総合的研究 | 平成15-16度 | 10,500 | 新潟大学大学院医歯学総合研究科う蝕分野 | 興地隆史 | 歯科医療事故及び感染予防対策のための問題点を抽出し、歯科診療における系統的な医療事故防止対策を検討し、その対策の標準化を試みた。 | 本成果をもとに歯科医療事故及び感染予防対策のためのガイドラインを検討し、厚生労働省の歯科医療安全対策に関する指針の策定に反映。 | 歯科医療対策に対する啓蒙論文及び総説論文を著し、歯科臨床の場に反映させた。 | 0 | 18 | 3 | 0 | 0 | 2 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
国家試験プール制を早期実現するための問題作成ソフトに関する研究 | 平成14-16年度 | 20,000 | 北海道大学大学院歯学研究科 | 森田 学 | (ア)歯科医師国家試験問題のプール制の導入が強く望まれている。 (イ)OA機器を利用して問題を作成し、自動的にプールできるコンピューターソフトを開発した。 (ウ)従来の紙と鉛筆で問題を作成しその問題を逐次手入力で入力する方法と比較して、作業効率が格段に向上した。 |
本研究で開発されたコンピューターソフトを利用することで、歯科医師国家試験のプール制導入の早期実現が可能となった。 | プール制導入により、過去に社会問題となった「国家試験漏洩」を防止することも可能となり、国民から信頼できる歯科医師・歯科医療を提供できる。 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
「医療安全管理者」の標準的な養成及び活動方法の確立に関する研究 | 平成15-16年度 | 10,000 | 社団法人日本病院会 | 山本修三 | (ア)医療安全の仕組みについては厚生労働省によって示され、全国で充実が図られたところである。 しかし医療安全管理者の業務、活動の実態は未だ各施設の較差も大きく、医療機関の安全管理者として身につける知識、分析技術など標準化され、医療事故の現象につながる状況は十分とはいえない。 (イ)安全管理の概念、用語の理解、品質管理、病院の組織概念、または統計の利用、分析ツールとしてのコンピュータの利用と役割など、安全に関わる分野、要因を広くとらえ、単に事例の収集と分析にとどまることなく、安全管理の本質を理解する「理論」と医療事故の現象につなげる「実践」をほぼ網羅できた標準的な要点と考えている。 (ウ)医療安全管理者の養成と医療機関での利用に資するためには、これを用いて安全管理者の養成を推進するとともに、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、医療法人協会、日本精神科病院協会)として、この研究内容を踏まえて、その成果を国内の各施設が利用しやすいものに改良してゆく必要もあると考える。 |
究極の目的である国内における病院医療の現場で、医療従事者が患者に対し「安全」と「安心」の診察と治療を提供できるものとなる。 | 研究内容をより掘り下げ、さらに詳細にまとめ、わかりやすく図などを取り入れながら、医師をはじめとする医療従事者を対象にした「本格的なテキスト」を今年中に作成するため、四病院団体協議会研修・認定センターで委員会を設置し、計画中である。 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 病院団体協議会研修・認定センターが主催する「医療安全管理者養成講習」にて同研究者及び同研究協力者らによるプログラムで、既に修了者440名を全国に輩出している。 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
医師国家試験コンピュータ化に関する研究 | 平成14-16年度 | 24,200 | 財団法人 日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院 | 細田瑳一 | (ア)医師国家試験のマークシート方式の限界とコンピュータ化試験の基本的構想。 (イ)MCQ、患者管理問題のコンピュータ化の実証試験。 (ウ)我が国における医師国家試験をコンピュータ化し、CBTでもマークシートと同様の結果を得、CATとして行う可能性、またPMPを行うことによる有用性を実証した。 |
平成15年度ならびに平成17年度の医学教育学会に発表した。 文部科学省主導で行われているコンピュータを用いた共用試験と比較して医師国家試験にコンピュータを用いる可能性について試行を含め根拠を示している。 |
国家試験のコンピュータ化に対して具体的な提言をした | 0 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
医療紛争における裁判外紛争処理手続に関する基礎的研究 | 平成15-16年度 | 6,000 | 東京都立大学法学部 | 我妻学 | (ア)被害者を救済するために、医療紛争において公正な裁判外紛争処理手続を設けることが急務であること (イ)諸外国において医療紛争について多様な裁判外紛争処理手続が整備されていること (ウ)我が国において、医療紛争について裁判外紛争処理手続を設ける際に検討すべき種々の論点を明確にしている。 |
我が国の医療における裁判外紛争処理手続きのあり方を検討する上での重要な基礎資料となる。? | 患者側弁護士、医療機関に対して、諸外国における医療紛争の裁判外紛争処理手続制度の概要を紹介し、啓蒙活動を果たしている。 | 1 | 10 | 3 | 0 | 0 | 医療技術評価総合研究 | |||||||||||||
歯科医師国家試験への実技試験導入を目的とした客観的技能評価法に関する研究 | 平成14-16度 | 21,900 | 大阪歯科大学 | 川添堯彬 | (ア)現行の国家試験では基本的に多岐択一方式の筆記試験が実施されており、過去に実施されていた実技試験に代わって筆記による臨床実地問題が併用されている。 この筆記による臨床実地試験では精神運動領域の判定・評価には限界がある。そして、手技レベルの向上にはより実際の治療に近い実習が必要である。 (イ)基本的臨床技能の評価に耐える試験課題の作成、媒体の選定を行い、さらにモデル試験の実施および評価法について検討を加えた。そして、ヒューマノイドロボット技術の実用的な応用の一つとして,歯科治療実習用患者ロボットの開発を目指した。 (ウ)新卒受験者の精神運動領域の評価に耐える客観的技能評価法ならびに患者ロボットを開発し,実習に供し得ることを確かめた。 |
6年間の大学教育の中で習得した実技能力の均質化を図り、これを評価することは卒直後臨床研修のシステムの構築に必須のことである。 | 社会から容認される実技試験システムを構築し、これを実技評価に提供し、新卒歯科医師のレベルの均質化に資することができる。 | 3 | 0 | 4 | 1 | 1 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
21世紀における小児救急医療のあり方に関する研究 | 平成14-16年度 | 14、692 | 国立保健医療科学院生涯保健部 | 田中哲郎 | (ア)小児救急医療が十分に整備されていないことより、保護者の不安が強いこと,および子どもの救急医療を担当する小児科医不足、小児医療の不採算性が明らかになっていた。 (イ)1.小児科医の育成・増員がなされるまでの間、次善策として小児科専門医以外の医師が子ども救急診療に際して困難を感じた際に、テレビ電話等のIT技術を用いて診療助言が有効な方法であり、技術的にも可能であることが明らかになった。2.小児医療の不採算性について検討したところ、その原因は現在の診療報酬が子どもの疾病の特性から著しく不利であることが明らかになった。しかし、この10数年間に子どもの診療報酬は2倍になり是正されつつあるものの、まだ高齢者に比べ著しく低いことが明らかになった。3.新臨床研修の現状のカリキュラムは子どもの救急診療の充実につながるかどうか疑わしいことが明らかになった。 (ウ)小児救急医療の混乱の要因が明らかになったことより、今後小児救急医療体制の充実の道がひらかれたこと。 |
○平成14年の診療報酬の改訂において紹介率の変更などの基礎資料として利用された。○小児救急医療支援事業・小児救急医療拠点病院事業の基礎資料として利用されている。○ITを活用した小児科以外の医療が小児科専門医のコンサルテーションを受けることのできる遠隔医療制度の整備についての予算化などの施策の立案に使われた。 | 小児救急医療体制の議論の多くはは本研究班のデータを基に行われている。 | 26 | 2 | 16 | 0 | 0 | 20 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
急性期入院医療における医療および看護の集中度を基礎とした患者分類方法に関する研究(H14−医療−012) | 平成14〜16年度 | 9,540 | 国立保健医療科学院 | 筒井孝子 | ア.わが国が指向している効率的な医療体制の評価において必須な課題と想定される看護資源(看護料)と必要な看護資源量を結び付けて検討していく必要がある。 イ.開発を行なった看護必要度評価尺度は、すべての一般急性期病棟での利用が可能であり、臨床に働く看護婦らが経験的に判断している看護の手間の多さや看護業務の投入の集中度を「看護集中度」によって概念化し、尺度を用いたわが国におけるはじめての分類システムとなる。 ウ.患者分類とその分類の基準となる看護の集中度は、提供される看護時間の多寡だけではなく、いわば、看護資源の内容(看護密度)を示すものであり、本研究の結果は診断群別支払いを指向する際にも有益な情報を与えるものと期待できる。 |
本研究で開発された具体的に業務を提供する看護婦の看護内容やその時間、看護の必要性を予測できる「看護の集中度」はわが国ではじめての看護に関する評価指標であるだけでなく、平成14年2月20日に発表された診療報酬改定で示された効率的な医療提供体制の構築の評価にも利用され、特定集中治療室管理に係る評価の見直しに際して重症患者等の入院割合に応じた評価として、すでに本研究の成果である「重症度基準」が用いられている、これは本研究の成果を行政が用いることが可能であったことを示しており有益な研究であったといえよう。 | 本研究で開発を行なった看護必要度評価基準に関する研修を国立保健医療科学院で実施し、全国の看護必要度導入予定の看護管理者にその概要と評価基準、具体的な運営方法等についての内容を紹介した。 また、看護必要度評価基準に関しては、テキストを作成し、その内容について普及を推進している。 | 3 | 3 | 5 | 医療技術評価総合研究 | |||||||||||||||
認定看護師による看護ケアの評価に関する研究 | 平成15-16年度 | 8,550 | 日本看護協会 常任理事 | 廣瀬 千也子 | (ア)認定看護師の導入と活用が推進される中,認定看護師による実践そのものが明らかになっておらず,客観的評価を得ていない。 (イ)認定看護師による実践の評価指標が作成され,その妥当性を検証できた。さらに自己評価と他者評価によって,認定看護師によるケアの客観的評価を得た。 (ウ)本研究で作成した評価指標を使って,新規認定看護師登録者が勤務する施設にて認定看護師のケアをプロスペクティブに評価することが可能となる。加えて,認定看護師教育専門課程における研修生の育成,そして認定看護師の成長過程に活かせる。 |
年々認定看護師教育課程の受講応募者は増加し多くの看護者がキャリア開発の一つとして認定看護師資格を得ている。最近の特徴として,医療機関から派遣されて受講する看護師が増え,既に認定看護師を配置している病院は毎年新たな受講生を送り出す傾向がある。これは認定看護師の実践による何らかの実績があり,それが評価されているといえる。これらが実証されたことで,客観的評価が得られたとともに,認定看護師とスタッフ看護師の実践の差別化ができ,認定看護師によるケアに対する診療報酬点数への反映を提言できる。 | 本研究成果により,さらに認定看護師を目指す看護師や認定看護師の導入する施設が増加する。そのニーズに応えて多くの教育専門課程が開設される。認定看護師数の増加に伴い,多くの実践現場でスタッフ看護師が困難に感じるている実践に対し,認定看護師がケアを提供すれば解決可能になる。つまり認定看護師熟練度の高い看護行為によって,直ぐに対処が求められる現場にすみやかに貢献でき,その活動範囲が拡大されることから,看護の質の保証につながる。 本研究で作成した評価指標は,実践現場はもとより,教育機関にも活用できる。また認定看護師が自己評価によって自己研鑽する領域が明確になり,そのモチベーションが高まる。また他者評価によって育成という視点から達成目標が定まり,効果的な教育に繋げることができるので,キャリアラダーの作成など的確なキャリア開発に通ずる。 | 4 | 1 | 5 | 0 | 0 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
医療安全の評価指標の開発と情報利用に関する研究 | 平成15-16年度 | 12,000 | 東邦大学医学部 | 長谷川友紀 | (ア)臨床指標を用いた医療パーフォーマンスの測定は一定程度可能である。医療安全面での臨床指標の利用、医療安全における患者参加については検討が始まったばかりである。(イ)・ 医療の質を確保するにはutilization review、チェックリスト、パス、認定、患者満足などの手法が用途に応じて併用される必要がある。これらの役割分担について整理を行った。オーストラリアACHSの方法に基づいて、臨床指標を、構造、過程、結果の3つに分類し、また機能面から効果、適切性、効率、応需、アクセス可能性、安全、継続性、サービス提供可能性、持続可能性に分類を試みた。米国50州の衛生担当者を対象にしたアンケート調査では、21州(1999年には15州のみ)が強制的報告制度を有していることが明らかにされた。医療事故の定義が州により異なること、連邦レベルでの免責が未確立なこと、JCAHOなど他機関との整合性に問題が指摘された。患者参加による医療安全確立の試みとして、3病院の入院患者を対象にアンケート調査を実施し、患者が経験する非安全事象と院内レポートシステムの結果の比較検討を実施した。患者の回答は、「非安全事象」と、説明不足など安全は維持されているものの不安・不快などを生じた「不安・不満事象」に分類された。非安全事象のうち1/3のみが院内リポートシステムでは掌握されておらず、また患者が経験した非安全事象のうち約半数しか医療側には伝えられていなかった。医療安全についての医療者・患者間のコミュニケーションの向上は優先度の高い課題である。(ウ)医療安全確保の方策の包括的レビューを実施した。特に、用語の統一、適切な臨床指標の選択、結果の適時の病院へのフィードバックが医療の質と安全の向上をもたらすかを検証する必要があることを明らかにした。医療側のみの活動には限界があり、患者参加を促進する方策が優先度の高い課題であることを明らかにした。 | 本研究の知見は、医療安全対策検討ワーキンググループ、日本医療機能評価機構医療事故防止センターにおける制度設計の検討において利用された。 | 本研究の成果を基に第5回患者中心の参加型医療安全大会が開催されるなど、患者参加のあり方、医療安全での役割について方向性を示すことが可能となった。 | 0 | なし | 4 | なし | 2 | 1 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
医療安全推進に関する法的問題に関する研究(H14-医療-017) | 平成14-16年度 | 26,000 | 上智大学法学部 | 岩田太(平成14年度より児玉安司(三宅坂総合法律事務所)から交代) | ア.医療事故に関する情報収集をめぐる包括的な法的検討はこれまでほとんど行われてこなかった. イ.そのような状況において,諸外国の制度を丹念にしかも包括的な研究を行うことによって,日本において現在重要な政策課題として問題となっている医療事故報告制度の構築,また,医療事故を頻繁に起こすいわゆるリピーター医師に対する懲戒の可能性について,有用な視点を与えることができたのではないかと考えている.研究実施期間の3年間においては,諸外国の医療安全向上のための制度についての網羅的な検討,英国における最近設置された事故情報収集機関であるNational Patient Safety Agencyに関する研究,さらに,事故後などに安全対策向上のために医療機関が作成した書類などが裁判上どの程度開示または保護されるかについての検討,被害者救済もしくは医療者の責任について,包括的被害者救済制度の構築と問題点に関する研究,患者の苦情処理に関する研究,さらに,医療過誤に関する刑事的な規制に関する研究を行った.また,諸外国における医師の懲戒手続きの基礎資料たる事故情報の収集にあり方について検討を行った. ウ.前述のように医療事故に関する情報収集についての法学的な研究はこれまでほとんどなかった状況に対し,諸外国における基礎情報を収集し,さらに,諸外国の現況を分析した点に本研究の最大の貢献があるのではないかと考える.とりわけ,医療事故情報の取扱いに関しては,現在各国とも様々な政策や取り組みに着手してはいるが,それらはまだ緒についたばかりであり,どの国の施策,政策も一定の明確な方向性に基づいたものであるとは言えないことが明らかになった.これらの詳細はこれまでの研究報告書に譲るが,それら諸外国の研究によれば,(1)医療安全推進のための努力と(2)被害者救済・アカウンタビリティという医療事故後の対策をめぐる2つの大きな柱において,その緊張関係を解きほぐす容易な解決策はなく,むしろ両者のバランスをいかにとっていくかという微妙で困難な課題に,諸外国が真摯に取り組んでいる姿が見出された. |
医療事故に関する情報収集をめぐる包括的な法的検討はこれまでほとんど行われてこなかった.そのような状況において,諸外国の制度を丹念にしかも包括的な研究を行うことによって,日本において現在重要な政策課題として問題となっている医療事故報告制度の構築,また,医療事故を頻繁に起こすいわゆるリピーター医師に対する懲戒の可能性について,有用な視点を与えることができたのではないかと考えている.とりわけ,本研究期間である3年間には,厚生労働省・医療安全推進室の室長を含めおおよそ平均月1回の会合を開き,20回を超える回数の情報交換を行ってきた.また,時折,医療安全推進室からの問い合わせ,また,ご要望にあわせ,資料作り,調査(諸外国の医師懲戒制度,事故報告制度,被害補償制度などについて)なども行ってきた.このような作業を通し,厚生労働省・医療安全推進室による医療安全政策策定に少なからず貢献できたのではないかと自負する次第である. | 初年度の代表者であった児玉安司は平成13年度より厚生労働省・医療安全対策検討会議委員を継続し,また,2年度目以降の代表者である岩田太は,(1)厚生労働省・院内感染対策有識者会議委員(2002/6-2003/3);(2)厚生労働省・ヒアリ・ハット事例検討作業部会・委員(2002/7-2004/3).(3)厚生労働省・医療安全対策検討会議ヒューマンエラー部会・委員(2004/5-2004/7)などに参画してきた. | 19 | 35回 | 5件(研究の性格上,具体的な数字は挙げにくいが,左記(2)の行政的観点に記したように医療安全推進室との恒常的なコンサルテーション,情報提供を通し,医療安全政策の下地作りに貢献できたのではないかと考える.) | 100回超.初年度の代表者である児玉安司を中心に医療界,厚生労働省主催のセミナー,大学における講義,さらに法学界にわたり,優に100回を超える講演,発表などを重ねてきた.ちなみに,児玉安司の記録だけでも,厚生労働省関係のセミナーなど9回,医学界での発表24回,法学界での発表11回,大学での講義28回,さらに,医療関係者などに対する医療安全についてのセミナーなどは65回にわたる.その他のメンバーである山口斉昭,佐藤雄一郎などもそれぞれ複数の大学で医療安全に関する授業などを行ってきた. | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||||
保険証認証のためのデータ交換基準に関する研究 | 平成16年度 | 5,000 | 千葉大学医学部 | 里村洋一 | (ア)保険証の有効性の確認は健康保険の効率的な運用に寄与する(イ)認証に必要なデータ項目との整理と交換基準の作成、通信安全の手法の確立。(ウ)データ交換基準の整備によって、実際の医療機関と保険者を結ぶ認証システムの実証実験が可能となった。 | ○このシステムの全国的な展開が行われれば、保険証の誤った使用の80%が解決し、医療事務の効率化によって800億円を越すメリットが得られると推定される。 | このような健康保険サービスの入り口でのチェックは、医療事務の効率化という功利的な面ばかりでなく、社会的公正を貫く意味で重要である。 | 2 | 2 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||||||
電子化された肝癌診療ガイドラインの活用と評価に関する研究(H16-医療-066) | 平成16年度 | 5,000 | 東京大学医学部肝胆膵外科人工臓器・移植外科 | 幕内雅敏 | (ア)EBMの手法に基づいた肝癌診療ガイドラインはわが国では存在せず、肝癌治療法選択のための情報が不足していた。(イ)EBMの手法に基づいた肝癌診療ガイドラインを作成し、外部評価を行い、その成果を公表した。ガイドラインをWeb上で公開するための電子化作業を終了した。(ウ)わが国初の)EBMの手法に基づいた肝癌診療ガイドラインが公表され、肝癌診療医、患者の両側から大きな反響があった。 | 肝癌の診療ガイドラインが策定され、全国に普及。第40回日本肝癌研究会で報告。わが国の肝癌治療医および患者が同じ基準に基づいて治療法を選択できるようになり、ひいては肝癌治療成績の向上が期待される。新しい治療法の保険採用の判断材料となる。 | 電子化されたガイドラインがWeb上で公開され、さらに多くの医療者、医療消費者が利用することが期待される。英訳作業が終了し、これも公開されれば国外からの大きな反響があり得る。 | 4 | 74 | 9 | 0 | 0 | 5 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
尿路結石症診療ガイドラインの適正評価に関する研究 | 平成15-16年度 | 22,000 | 名古屋市立大学大学院医学研究科 | 郡健二郎 | (ア)尿路結石症診療ガイドラインが平成14年12月に出版されている。(イ)ガイドラインでエビデンスが十分でない項目について研究し再検討した。診断でのCTの有用性、尿中生化学検査の必要性、経尿道的尿管砕石術の有用性、疼痛発作時の処置の妥当性、定期通院間隔の妥当性が確認された。(ウ)診療ガイドラインを作成に携わった中心メンバーで再検証し、エビデンスに基づいたガイドラインの改訂に有用な研究となった。 | この研究成果をもとに尿路結石症診療ガイドラインの改訂を行う。平成17年4月日本泌尿器科学会総会でガイドライン改訂を行うことが決定された。平成17、18年度に改訂作業を実施し、平成19年度中に改訂版を発行する予定である。 | 現在の尿路結石症診療のあり方を再検証したた結果を公表し、ガイドラインの改訂を進めることで、泌尿器科医以外の医師についても診療の方法に変革をもたらす可能性がある。 | 5 | 0 | 5 | 0 | 0 | 1 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
「電子化に向けた肺癌診療ガイドラインの整備」 に関する研究 |
平成16年度 | 5,000 | 東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野 | 近藤 丘 | (ア)平成13〜14年度厚生労働省科学研究補助金21世紀型医療開拓推進事業により策定された「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2003年版」が平成15年10月25日金原出版株式会社より「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2003年版」として発行されたが、その使用状況及びそれに対する意見の調査は行われていなかった。(イ)本ガイドラインに対するアンケート調査をはじめて行った。本ガイドラインが多数の医師により実地診療の場で使用されていること、患者への適用度も比較的高いことが明らかとなった。反対に本ガイドラインを適用できない事例があることもわかり、その原因も明らかとなった。今後記載されることが望ましい臨床的疑問点や体裁・記載内容に関する多数の意見が得られた。(ウ)本ガイドラインの重要性が再認識された他、得られた多数の意見が日本肺癌学会主導で行われている改訂作業に反影されている。また、今後の改訂作業にあたり、新しい「臨床的疑問点」のソースとなり得る他、体裁・記載内容の修正にあたり参考にされる予定。 | ○本研究(アンケート集計)の中間解析結果が平成17年1月13日の日本肺癌学会ガイドライン検討委員会 会議で報告され、進行中の肺癌診療ガイドライン改訂に反影された。 ○成果(アンケート集計結果)を小冊子にまとめ平成17年4月に日本肺癌学会ガイドライン検討委員会に提出した。今後の肺癌診療ガイドライン改訂に反影される予定。 | ○発行された診療ガイドラインに対する評価を行いフィードバックする具体的な手法のひとつを示したことにも意義があると考えている。 ○アンケート調査によってはじめて本ガイドラインの存在を認識した医師も少なからずいることが明らかとなった。本研究はガイドラインの普及にも寄与したものと考えている。 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 1 [研究成果(アンケート集計結果)を小冊子にまとめ、日本肺癌学会ガイドライン検討委員会に提出した他、アンケートに回答してくださった診療施設に配付した] | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
遠隔医療の診療の質、費用対効果に関する研究 | 平成16年度 | 7,000 | 信州大学医学部附属病院 医療情報部 | 村瀬澄夫 | (ア)国内の遠隔医療実施状況(実施施設数、実施種類、内容)288プロジェクトを調査した。平成9年調査より倍増している。 (イ)徴収・支払状況と費用(約半数の施設で支払実績、種別毎相場)、依頼・受託件数、医療の質に関する満足度、一部種類についてのクリニカルインジケーターなどに関する具体的状況や定量的データ (ウ)遠隔医療の経済的実態を定量的に捉えた数少ない研究である。 |
本研究成果は国内の遠隔医療の経済的状況、支払実態を具体的数字で明らかにしたこと、医療の質に関する意識などを明らかにしたことから、今後の遠隔医療の課題の一端を明らかにした。遠隔医療推進策立案や支払制度検討の参考になると期待される。 | (1) 平成17年3月の公開報告会で、研究成果を広く提示した。 (2) この成果は、遠隔医療学会大会(平成17年10月)や各種専門誌に公表予定である。 |
0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2(報告会2回) | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
急性膵炎の診療ガイドラインの電子化、活用に関する研究(H16-医療-069) | 平成16年度 | 5,000 | 帝京大学医学部 | 吉田雅博 | (ア)2003年に日本腹部救急学会主導で急性膵炎診療ガイドラインが出版された。 (イ)電子ファイル化し難治病ホームページおよびMindsに掲載した。さらに内容を再検討し、英文化作業をおこなった。 (ウ)英語版ガイドラインを英文雑誌に掲載予定である。日本における診療方法を世界に提示し、世界的な外部評価を受けて国内の研究者にフィードバックする。 |
(1)急性膵炎診療ガイドライン全内容を電子ファイル化し、難治病疾患ホームページ、関連学会ホームページおよびMindsに掲載し、全国に普及。 (2)英語版ガイドラインを作成した。日本のガイドラインが世界的な外部評価を受ける初の作業となる。 |
(1)学会ホームページー難治病ホームページ−Mindsホームページを連結することで、国民に医療情報と公費負担制度等をわかりやすく提示。 (2)日本で作られたガイドラインの英語版が英文雑誌に掲載予定である。これまで、日本のエビデンスに基づいたガイドラインが世界的な外部評価を受けたことはなく、初の作業となる。 |
13 | 27 | 20 | 0 | 4 | 5(http://plaza.umin.ac.jp/~jaem/)、(http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/048_i.htm)、(https://minds.jcqhc.or.jp/lo/sp/s_medinfo.aspx)、(http://www2.convention.co.jp/60jsgs/), (http://www.jsge.or.jp/) | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
クリニカルインディケーター算出可能な標準的機能に関する研究 | 平成16年度 | 9,800 | 東京大学大学院医学系研究科 | 小山博史 | (ア)クリニカル・インディケータ(以下CI)算出のほとんどは手作業である。(イ)電子カルテシステム用DBからCIを算出するための機能として現状の診療用RDBの登録項目数では不足していること、追加のCI算出を行うためにはRDBの論理設計を頻回に改編することは困難であり、HL7メッセージやHL7CDA(Clinical Document Architecture)などで作成された電子カルテデータを検索できるためのXMLデータベースやそれに類するDBの重要性を示した。(ウ)CIを電子的に処理を行う上で重要な次世代の病院情報システムの仕様を明らかにしたことで今までの病院管理学や病院経営学の対象データを拡大した意義は大きい。 | 本研究の成果により電子カルテの機能にCIの自動算出機能が追加することで、e-Japan構想の中に謳われている病院や診療所への電子カルテの普及促進やCIを用いた診療の質の評価を可能とする環境整備への貢献が期待できる。 | 本研究の成果をもとに病院情報システムの基本的な仕様が策定され、全国に普及し、人手を可能な限り介せない病院評価指標が病院情報システムの機能として具体化することで病院の質や経営に貢献することが期待される。 | 0 | 10 | 17 | 0 | 0 | 2 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
臨床研修病院における患者安全向上に寄与するEBM教育企画の開発に関する研究 | 平成16年度 | 12,000 | 佐賀大学医学部 | 小泉 俊三 | (ア)先行研究で、臨床研修医を対象とした標準的EBM教育カリキュラム例が試行され、その有用性が確認されている。 (イ)上記標準カリキュラムを参考に、複数の臨床研修病院で研修環境に応じた工夫を加え、患者安全に配慮した診療態度としてのEBMを身につけさせる教育企画を実施した。 (ウ)患者中心のチーム医療、患者安全とともに、EBMの手法がすべてに臨床医にとって必須のツールであることが、標準カリキュラム例と新たに開発した教材の活用によって、新人研修医にも比較的受け入れ易いことが実証された。 |
○新医師臨床研修制度が平成16年4月より実施され、わが国医学教育改革の大きな推進力となっているが、医療人としてのコンピテンシー(行動様式)を身につけさせることが最も重要な課題とされている。患者中心のチーム医療には、1.コミュニケーション能力、2.患者安全と医療の質、3.EBM(根拠に基づく医療)がコンピテンシーの核をなしているが、本研究の成果(カリキュラム例と教材)は研修病院の教育現場におけるEBM 普及に大きく貢献することが期待される。 | 診療態度としてのEBMが、卒後臨床研修を通じて、研修医を始め広く臨床医の間に普及すれば、医療の透明性が高まるとともに、質の保障された安全な医療が広く行き渡り医師患者関係が改善することを通じて、国民の医療観が望ましい方向に変化することが期待される。 | 0 | 4 | 14 | 0 | 0 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
標準的電子カルテに要求される基本機能の情報モデルの開発 | 平成15-16年度 | 105,400 | 東京大学医学部附属病院 企画情報運営部 | 大江和彦 | (ア)ベンダーに発注する際の電子カルテ機能の仕様書はすでに各種存在していたが、モデルとして体系的に整理されたものは存在しなかった。(イ)電子カルテの標準的な機能が体系的に分析され、オブジェクト指向分析が加えられた結果、機能モデルが国際標準的なUML記法により記述できることが示された。(ウ)今後の電子カルテの開発や普及にあたって標準化に必要な機能モデルが示されたことにより、これを基盤とした研究の発展が期待される。 | 厚生労働省標準的電子カルテ推進委員会で資料として報告され、報告書の内容に大きく寄与した。また厚生労働省の標準的電子カルテの今後の取り組みに一定の方向性を示した。さらに総務省のe-Japan2005政策パッケージにおける厚生労働省関係の部分において関連する内容が組み入れられた。 | 日本の標準的電子カルテの機能のあり方を示し、これにもとづく仕様書の策定や普及に大きな影響を与えると考えられる。 | 3 | 2 | 3 | 3 | 5 | 医療技術評価総合研究 | |||||||||||||
諸外国における医療情報の標準化の動向に関する研究 | 平成14-15年度 | 24,000 | 東邦大学医学部 | 長谷川友紀 | (ア)医療におけるITの利用は、医療の質と効率を向上させるために、各国において優先度の高い課題とされているが、包括的なレビューはない。(イ)韓国は、日本と医療制度が類似しており、医療制度改革が進んでいる。EDIを1996年に導入し、大統領のリーダーシップ、システム開発、各種のインセンティブが有効に機能したため、6年間で全レセプトの80%で実施されるに至った。請求情報の電子化にともない、審査支払機関における審査方法、病院での請求事務が大きく変わったほか、事務の効率化をもたらした。2004年からは支払データの一般公開、二次利用の促進が試みられている。豪州においても請求の大部分は電子化され、インターネットを利用して行われている。EDI運営会社も複数存在し競争環境にある。審査支払は民間保険会社が実施し、コンピュータ上でのデータ管理やセキュリティーシステムが種々実施されている。米国では、HIPAAにより医療IT化が促進した。大統領によるEHR構想発表後、次々と大型投資計画が発表されている。英国の地域ベースIT化計画、カナダの医療情報標準化の試みも、政府の役割に重要な示唆を与える事例である。日本では、各関係機関で取組みに温度差がある。自治体独自の医療保障、IT化戦略策定担当部署がないこと、技術的問題よりも制度間での齟齬が問題である。また審査支払機関の現状は効率的にも問題があり、科学的データに基づく医療政策決定、医療機関経営の妨げとなっている。(ウ)医療の質向上に、IT化と質関連の支払方法の導入・開発は不可欠である。IT化には、政府の役割が大きい。先進事例の検討では、政府の役割が発揮されるとともに関連組織も大規模なIT計画を発表し、IT関連投資が増加することでIT化が促進した。医療のIT化促進には政策目標での位置づけを明確にすることが重要であることを明らかにした。 | 本研究の知見は、厚生労働省医療計画のあり方に関する検討会、内閣府相互規制改革会議などでの医療提供体制、医療計画の今後のあり方に関する検討に利用された。 | 医療の質向上とITの役割は関係団体においても注目されている。本研究の知見は、全日本病院協会、東京都病院協会などでの検討に利用された。 | 0 | 1 | 2 | 0 | 2 | 2 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
診療ガイドラインの評価と活用に関する研究 | 平成15年度 | 24,000 | 東邦大学医学部 | 長谷川友紀 | (ア)EBM手法を用いた診療ガイドライン評価方法としてAGREEは代表的なものであり、先行研究においてその日本語版の開発、これを用いた試行が行われている。(イ)(1)診療ガイドラインの評価:年次推移では最近作成されたものほど完成度が高く、また同一疾患での改訂では改善を認めた。診療ガイドライン作成に一定程度の習熟が認められた。(2)診療ガイドラインの利用:クリアリングハウスへのアクセス数は、2001年からの5年間で6倍以上に増加し、利用者は医師、薬剤師、一般市民の順であった。利用診療ガイドラインは、脳神経疾患、循環器疾患、呼吸器疾患で多く、利用目的は、診療、教育・研究・論文執筆で多かった。WEBによるガイドライン・クリアリングハウスは診療ガイドラインの利用促進に有用であり、掲載数と全文公開が重要であることが示唆された。(3)喘息の事例検討:喘息診療ガイドラインの臨床的インパクトの分析では、作成・改訂年頃から死亡率、入院率の低下、救急搬送重症患者の減少が見られた。また医療費の低下も認め、診療ガイドラインの普及は費用削減と実際の健康の向上に貢献したと考えられた。社会医療診療行為別調査による推計では、ガイドラインのコンプライアンスが上昇した。吸入ステロイド剤は、世帯健康調査、開業医への質問票調査ともに数十%が使用していたが、特に小児で低く、ガイドラインの更なる普及が死亡率や医療費を低下させる可能性を示唆した。(ウ)診療ガイドラインの作成者と利用者(医療スタッフ、一般人)に焦点をあて、これら関係者の間での診療ガイドライン普及状況、代表的疾患について死亡率などの改善効果を明らかにした。今後は、作成者への支援体制、利用者別の情報提供、医療スタッフ対象のEBM、診療ガイドラインの研修プログラムについての検討が必要である。 | EBM手法を用いた診療ガイドラインにおいて政府の役割は、(1)実態調査、(2)作成方法の開発と普及、(3)医師・患者などへの周知、(4)効果と検証、(5)医療計画、疾病管理、医学教育など他領域での活用の順に進められるべきである。先行研究においては(1)(2)、本研究においては(4)についての概念的、技術的な知見を提供した。 | 各学会などで、現在診療ガイドラインの評価、改訂作業が行われている。本研究で開発したAGREE日本語版はその有力な手法として用いられている。 | 1 | 1 | 5 | 0 | 1 | 10 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
保健医療福祉分野における個人情報保護の取り扱いに関する研究 | 平成15-16年 | 14,000 | 東京大学大学院情報学環 | 山本隆一 | (ア)保健医療福祉分野でプライバシーの保護が重要であることは論を待たない。また情報開示については指針等が整備されている。(イ)HIPAA Privacy Standard等との比較により、保険医療福祉分野での個人情報保護の特殊性、特に第三者提供の一部が本質的な利用目的に含まれることを明らかにした。また医療情報システムの安全管理に関して要件を整理することができた。(ウ)法学的、倫理学的な既存の成果に情報学的な側面を加えることができた。 | 成果の一部は厚生労働省の医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドラインに活かされ、また厚生労働省の医療情報ネットワーク基盤検討会が作成した医療情報システムの安全管理ガイドラインにも大幅に取り入れられている。また標準的電子カルテ推進委員会の最終報告にも一部取り入れられている。 | 主任研究者および分担研究者は個人情報保護法の全面実施にあたって、精力的に講演活動を行い、保健医療福祉分野における個人情報保護のあり方について知識の普及につとめている。また有斐閣から「医療の個人譲歩保護とセキュリティ」の出版に参画した。これらを通じて本研究の成果は保健医療福祉分野、なかでも医療情報システムに関連した個人情報保護を推進する大きな力となっている。 | 0 | 12 | 7 | 0 | 2 | 20 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
電子カルテ導入における標準的な業務フローモデルに関する研究 | 平成15-16年度 | 35,000 | (社)全日本病院協会 | 飯田修平 | (ア)医療機関における病院統合情報システムの導入にあたり、業務プロセスの正確な把握と体系的な整備を行うための基盤が整備されていない。 (イ)業務プロセスを整備するための手法およびテンプレートを提供した。 (ウ)本手法により、医療機関における質および安全に寄与する業務プロセスの構築、ならびに情報システムの導入を効果的、効率的に進められる。 |
本手法を活用することにより、医療機関における電子カルテ等の統合情報システムの導入において業務プロセスが改善されることが期待され、医療として避けることができない質および安全の追求に対する貢献が見込まれる。 | 本手法の普及により、医療機関間、および医療機関とベンダーの間における業務プロセスに関する共通の基盤の提供が可能となり、関係者間で質および安全の向上および情報システム導入に関するコストの軽減に対する議論の基盤が形成される。 | 2 | 2 | 2件 ・ホームページへの掲載(予定) ・出版物によるモデル提供(予定) |
医療技術評価総合研究 | |||||||||||||||
電子カルテシステムの標準化コンポーネントとしての医療効果予測提示システムの開発 | 平成15-16年度 | 7,080 | 京都大学医学部附属病院 | 小山弘 | (ア)電子カルテは実用的に使われており、情報交換形式には学会標準がある。(イ)診療支援システムが組み込み可能であることが証明された。(ウ)臨床疫学の方法の一つである健康危険度評価が患者教育に役立つことが分かった。 | 厚生労働省の医療安全にかかわる電子カルテ研究に利用された。 | 市中病院での患者向け生活習慣病教育に応用されている。 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 3 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
電子カルテシステムにおける標準的診療録の開発研究 | 平成16年度 | 20,000 | 財団法人緒方医学化学研究所 | 只野壽太郎 | 電子カルテは現在約500病院に導入あるいは導入が進められている。しかし、我国の電子カルテは様々な問題点が未解決のまま、開発が進められたため、導入した多くの施設では必ずしも満足されていない。この研究はカルテの標準的な記載法である、Weedが1960年代の提案し、紙カルテの記載法としては我国で最も普及しているPOSによる診療記録を、電子カルテで具現化するために必要な条件を提案した。かつ我国のPOSによる紙カルテ方式で最も評価の高い佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)と聖路加国際病院を対象に、紙カルテから電子カルテへの移行に際して問題となった点を洗い出した我国最初の研究として専門的・学術的価値を持つ。また、既存の電子カルテをPOS方式に改め、これをパッケージ化するための必要十分条件を電子カルテベンダーとの協力の下で提案した。 | 医療情報の電子化は喫緊の問題であるが、その作業は遅々として進まない。原因としては、電子カルテを導入した殆ど全ての施設で、カストマイズが要求され、これにより膨大な導入費用が必要となるため、コストパフォーマンスが極めて悪いことが挙げられる。しかもカルテの原点とも言うべき、POS方式が使える電子カルテが提供されていないことも原因の一つであろう。一定のフォーマットで書かれた電子カルテがあれば、その診療内容の分析はきわめて容易であり、ここから我国の長期・短期の医療政策を決めるデータが容易に得られるはずである。この研究では現時点ではばらばらの電子カルテの基本部分だけでも、決められたフォーマットにするための方式を提案している。この方式の普及により診療内容の良質なデータベースが得られ、医療行政の一助となることが期待される。 | 安価な電子カルテが開発されれば、医療施設での導入は容易となる。また電子カルテは診療情報ネットワークの構築が容易であり、病・診、診・診連携の促進、セカンドオピニオンの普及に資する事がある。総体的に見れば我国の医療水準の向上に役立ち国民に満足度の高い医療を提供できることになる。 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
患者状態適応型クリティカルパスシステム開発研究 | 平成16年度 | 30,000 | 東京大学 大学院工学系研究科 |
飯塚悦功 | (ア) 患者状態適応型パスは、状態適応型のシステムである医療プロセスを、質安全保証して再現するためのツールとして概念モデルが設計され、紙ベースのツールが作成・運用された。すべてのプロセスを俯瞰し、可視・構造化が可能であった。 (イ) 患者状態適応型パスを電子化パスツールとして開発した。当該パスは、プロセスの俯瞰図である臨床プロセスチャートと、それを構成する各ユニットにおける業務・患者状態・条件付き指示・達成目標・移行ロジックをセット化して設計したユニットシートからなる。6疾患に関してプロセスチャートを作成し複数施設での検証調査によって、実際の治療工程を概ねカバーできることが実証された。 (ウ) 当該研究結果の公開シンポジウムに対して、実際の医療プロセスに適応しており、電子化パスの可能性を秘め、経営・政策への活用可能性も有すると、大きな反響があった。 |
電子化パスとして、医療プロセスの標準化を推進するツールとして期待される。標準コンテンツの普及によって、各種の比較が可能となる。医療経営・政策に有用な質安全保証・質経営のための情報を提供可能である。 | 患者状態適応型パスは、医療マネジメント学会・クリニカルパス学会の主要メンバーから注目されている。パス講演依頼が各病院からきており、1−2年後の電子カルテ導入計画のある病院が本パスシステムの導入を希望している。 | 20 | 27 | 25 | 1 | 0 | 6 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
保健・医療・福祉領域の電子カルテに必要な看護用語の標準化と事例整備に関する研究 | 平成15−16年度 | 30,000 | 東京大学 大学院工学系研究科 |
水流聡子 | (ア)標準化された看護用語のためのマスターが存在しないことが、電子カルテの効果を妨げている。今回開発したマスタの有用性は高い。 (イ)看護行為マスタは、基本看護実践部分を精緻化し、事例を追加、またすべての行為名称の患者用解説の初期文書を作成し、評価を行った。高度専門看護実践部分は、必要な領域を特定し、ケアアルゴリズムを一部可視化した。臨床で活用可能な看護観察マスタを開発した。 (ウ)学会発表・ワークショップ・成果報告会が行われ、いずれも大きな反響があった。 | 当該研究で開発された看護用語マスター、看護観察マスターはMEDIS−DCホームページにて無償公開されている。電子化を検討中の病院、導入病院から多数問い合わせがきている。 | 電子カルテ導入を準備している施設にて採用したいという要望は多く、すでに2件の500床以上の病院に対して当該研究事務局よりマスターを提供し、電子カルテが稼働している。各病院や看護協会の研修など、講演依頼が多数あり、すべて対応してきた。現在は、パス内で使用する用語としての価値にも気づいた病院からの問い合わせもある。 | 17 | 14 | 3 | 1 | 0 | 16 (http://plaza.umin.ac.jp/npt/index.html) |
医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
医療情報投資の経済的効果推計と投資効果向上インフラに関する研究 | 平成16年度 | 3,800 | 新潟医療福祉大学社会福祉学部 | 藤澤由和 | (ア)他の産業分野においては、ITへの投資効果を直接的な経済性にもとめることへの疑問が投げかけれれてきている。(イ)医療分野においてもITへの投資を単に直接的な経済効果によって評価するのではなく、組織戦略を実現するためのインフラとしての評価が必要であるとの認識は散見されるが、実際にはこのような観点からの医療IT投資は行われていないのが現状である。(ウ)国内医療機関へのアンケート調査の結果から、医療IT投資を組織戦略上の観点から実行している組織は非常に少ないことが明らかとなり、多くの医療機関が医療IT投資の明確な評価を欠いている現状が明らかとなった。 | 医療IT投資の促進のためには、単に一組織における、情報化というレベルを超えて、組織戦略との関連において、医療IT投資を促す環境整備がもとめられることをわが国の医療IT投資を既に実施している医療機関を対象とした調査結果をふまえ提示。さらに現在、医療組織に求められる最も重要な戦略的課題が、地域連携などの地域を基盤とした医療サービスの再構築であることを踏まえ、医療情報のinteroperabilityを可能にする医療IT投資のあり方を提示。 | 愛知県厚生農業協同組合連合会をはじめとする複数の医療機関を保持する病院グループなどが本研究での知見を参考に病院事業の広域展開の調査研究活動を開始した。 | 1 | 3 | 4 | 0 | 1 | 松山弘幸2005.4.20日パレス会講演(講師依頼医政局指導課)1件、松山弘幸、藤澤由和2004.3.30愛知厚生連講演2件、本研究アンケート結果の配布1件 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
電子カルテの相互運用に向けたHL7メッセージの開発および管理・流通手法に関する研究 | 平成14-16年度 | 48,000 | 神戸大学医学部附属病院 医療情報部 | 坂本憲広 | (ア)電子カルテの相互運用において保健医療情報を安全・確実に共有・交換するためには、HL7メッセージを始めとする標準化規格を用いることが重要である。 (イ)電子カルテ開発において標準化規格(HL7メッセージ)を容易に扱うことを可能にする基盤ソフトウェアライブラリを開発し、そのライブラリに基づき臨床検査や処方といった電子カルテの相互運用に必要な標準メッセージの開発とそれらのメッセージを扱うライブラリを実装した。 (ウ)標準メッセージに基づく電子カルテシステムを容易かつ効率的に構築し、保健医療情報を安全・確実に共有・交換するための基盤を構築することができ、相互運用性が確実に担保された電子カルテシステムの普及が期待できる。開発したメッセージやライブラリは、神戸大学医学部附属病院を始めとする実システムに組み込まれ活用されている。 |
厚生労働省「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」の中で電子的情報交換のために用いるべき推奨規格としてHL7が挙げられている。しかし、用いるべき規格を指定されても、それをどのように実システムに適用してよいかが明確ではなく、実装を断念したり誤った適用を行なっている例が多々見受けられる。特にHL7バージョン3では、その膨大な仕様の詳細を理解し標準化規格に基づいたシステムを構築することが非常に難しく、これまで、多大な時間と労力を費やす必要があった。本研究の成果であるHL7基盤ソフトウェアライブラリを基盤として用いることで、標準化規格に基づき相互運用を可能にする電子カルテシステムの構築を容易かつ効率的に行なうことができる。これにより、グランドデザインで示される標準化規格に基づく電子カルテシステムの普及に貢献することができる。 | 本研究で開発した標準メッセージ及び基盤ソフトウェアライブラリは、神戸大学医学部附属病院のシステムだけではなく、静岡県版電子カルテプロジェクトや国立大学病院共通ソフトウェアとして構築されている感染症管理システム等、実システムへの組み込みが予定されており、医療情報システムの社会基盤として本研究の成果が普及しつつある。 | 19 | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 (http://www.cgi.med.kobe-u.ac.jp/hl7/) |
医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
標準的電子カルテシステムのアーキテクチャ(フレームワーク)に関する研究 | 平成15-16年度 | 49,000 | 熊本大学医学部附属病院 | 高田 彰 | (ア)情報システムを体系的に開発する枠組みとして「最適化計画」(EA:Enterprize Architecture)やモデル駆動型のシステム開発手法(MDA: Model Driven Architecture)というコンセプトが提示されている。(イ)業務・システムの体系的整理、記述、設計、開発プロセスを統一的な手法により文書化し、利用可能なモデルを整備し、モデル技術の利用を促進した。モデル駆動型(MDA)のシステム開発手法という観点から、電子カルテが提供すべき機能とその構成について検討を行い、ソフトウェア部品の標準化について研究を行い必要な提言をした。各種標準化団体とコラボレーションしながら、国際的な枠組みの中での電子カルテシステムの基本設計図および実装コンポーネント仕様を導出する手法を明らかにした。(ウ)産官学の連携体制のもとに推進すべき保健・医療・福祉分野の情報基盤整備について、基本的なフレームワークを示し、マルチベンダー開発環境の整備、柔軟な使い勝手選択の提供、新しいITインフラへの移行コストの最小化、蓄積された診療情報の継続性と寿命の確保、地域医療連携に必要な情報共有を行うための技術的基盤整備について、社会的情報基盤として普及させるための方策を明らかにし、必要な施策について提言をまとめた。 | 平成15、16年度に厚生労働省医政局長の私的検討会として設置された「標準的電子カルテ推進委員会」と「医療情報ネットワーク基盤検討会」の活動に研究成果を反映し、提言をまとめることに貢献した。「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」(IT戦略本部)の「e-Japan戦略」ならびに、厚生労働省の「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を推進することに貢献し、産官学の連携体制のもとに推進すべき保健・医療・福祉分野の情報基盤整備について、基本的なフレームワークを示した。 第3回標準的電子カルテ推進委員会(厚生労働省内会議室)2004年3月19日(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/txt/s0319-3.txt) 高田彰.標準的電子カルテシステムのアーキテクチャ(フレームワーク)に関する研究.(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0319-6a.html) 第6回標準的電子カルテ推進委員会(経済産業省内会議室)2005年1月27日(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/txt/s0127-1.txt) 高田彰.関連組織・団体の有機的な連携体制の構築.(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0127-3a.html) 高田彰.共通の機能に対応するソフトウェア部品の標準化.(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0127-3b.html) |
業務・システムの体系的整理、記述、設計、開発プロセスを統一的な手法により文書化し、利用可能なモデルを整備し、モデル技術の利用を促進した。この結果、ユーザ側がベンダー側にシステム要件を明確に伝えることが可能となり、マルチベンダーによるシステム構築においてもベンダー間の医師疎通が円滑になり、システム開発が安全で容易になることが期待され、使いやすいシステムがより低価格で実現できる基盤が整備された。 標準的電子カルテに関連する研究班の合同研究報告会に参加し、研究成果の早期公開と研究班相互の連携推進を図った。また、医療情報学連合大会におけるオーガナイズド・セッションならびにワークショップの開催、さらに保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)における諸活動において研究成果を発表し、電子カルテシステムの開発推進に関する指針の策定について貢献した。 |
3 | 21 | 20 | 0 | 5 | 12 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
標準的電子カルテシステムにおける安全なユーザ・インタフェイス作成のためのガイドラインに関する研究 | 平成16年度 | 4,000 | 静岡大学 工学部 | 作佐部 太也 | (ア)電子カルテ等の病院情報システムを導入した医療現場において、それらのシステムのユーザ・インタフェイスが使いにくいことが、ことあるごとに指摘されていた。 (イ)既存の病院情報システムは、情報システムとしての品質については改善が進められているが、人間工学的側面からみた医療現場の劣悪な環境についての考慮が十分にはなされていないことがわかった。そこで、ユーザ・インタフェイスの人間工学的側面についてのガイドライン案を策定した。 (ウ)電子カルテの実際の開発現場にまで踏み込んだ調査はいままで成されてこなかった。また病院情報システムについての人間工学的な検討についても情報化初期の世代にわずかな研究がなされただけだった。これらの実践的な研究の必要性について提示する事ができた。 |
厚生労働省の標準的電子カルテ推進委員会(第7回)において報告された。 電子カルテにおいて、導入時のコストの削減および、運用時の操作ミスなどの予防が期待される。 |
電子カルテが安全で使い易いものになり医療現場の環境が改善されることで、医療従事者がより患者ケアに注意を払うことができるようになることが期待される。 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
診療情報の統一コーディング対応による診療結果比較 についての研究 |
平成14-16年度 | 20,650 | 東京都病院協会 | 河北博文 | (ア)医療の質の評価は、ストラクチャ、プロセス、アウトカムの3側面から行われる。現状では臨床指標を用いてアウトカムを測定し、さらにその結果をプロセスレベルに落とし込むことに関心が払われている。 (イ)医療機関の診療記録管理体制を明らかにするとともに、外部機関に対してあらかじめ定められた臨床指標に基づきデータを提供することにより、医療のパーフォーマンス評価が可能であることを検証した。診療記録管理体制は、全国の約1000病院を対象に毎年実施され、この間に管理体制が大きな進展を遂げたこと、しかしながら、管理のための部署の設置、電子化、疾病統計の作成、専任担当者の設置に関しては未だ改善の余地が大きいことが示された。臨床指標を用いたアウトカム評価では、対象疾患として採用した24疾患は、標準的な急性期病院においてはこの24疾患により全退院患者の30-40%をカバーし、病院全体の機能をほ ぼ反映することが可能である。約20病院の参加により年間12000人のデータを収集し、アウトカム評価が日本でも可能であることを示した。 (ウ)本研究で開発・確立した診療アウトカム評価事業は、日本ではじめて臨床指標を用いたアウトカム評価を継続的に実施するプロジェクトであるという点で画期的である。また病院団体が主導で同プロジェクトを実施するという点からは、医療の質向上における病院団体の役割についての知見を与えるものである。医療の質を維持・向上させるための仕組つくりについては世界的にも現在模索されつつあり、同プロジェクトについても既に米国、シンガポールなどの外国から照会が行なわれるなど注目されている。 また、診療情報管理体制について1998年より継続してを実施した。調査結果から、委員会の設置が進み、その活動が活性化していること、入院患者疾病統計の作成が2003年以前に比べ顕著に増加してきたこと、診療情報管理状況はコンスタントに改善が認められたこと、診療情報開示については、2001年までに開示促進に向けて大きな変化があり、2004年では80%を超える病院で院内規程を設けていることが明らかになった。診療情報管理の状況は改善傾向にあるが、今後は調査の項目を追加し、継続的に実施していく必要がある。また、個人情報保護法に対応した病院体制の構築について調査していくことも課題としてあげられる。診療情報管理などの重要な問題について、あるべき方向を示し、それに添った形で質問を設定し、定期的に調査を行ない、現状、問題点などを明らかにするという活動は、これまでほとんど行なわれていない。本調査はその意味で極めて重要なものと考える。 |
本研究により、(1) 患者の属性・重症度などケースミックスに基いて死亡率等の予後、在院日数、医療費などの診療アウトカムの分布、代表値などの標準を明らかにする、(2) 参加病院には自院の位置付けを明らかにすることにより医療の質向上へのインセンティブを与える、(3) 患者にインフォームドコンセントを与える際に医療側から提供される情報の質・量面での改善と、満足度向上をもたらす、(4) 同一疾患の治療に必要な実際のコストを算出・比較することにより医療経営の合理化・医療資源の配分のあり方を検討することが可能となる、が期待される。これらにより、厚労省で進めている「医療提供体制の改革に関する主な論点」でも取り上げられている、「患者の視点に立った医療提供が可能になる」ことが期待される。また、ここ数年、医療費の増大が問題視され続けているが、病院ごと、疾病ごとの医療費をデータとすることで、診療報酬の改定に適正に反映することが可能になる。 | 医療の質について知りたいという国民の要望は十分に尊重されるべきである。本研究により共通の臨床指標を用いた病院のアウトカム評価が可能であることが示された。また同種の事業で最大のものである米国メリーランド州IQuIPとの国際共同研究により、相互の事業デザインの比較、日本の数病院両事業に参加することによるデータの相互比較が現在検討されている。本研究で収集される患者情報は、属性、主傷病名、手術名、合併症・併発症、重症度、ADL、入院前・退院後の行き先、医療費(合計及び細目別)などであり、その結果は、医療機関の選択、質の改善、インフォームドコンセントの充実など多方面で利用可能である。前述のとおり、今後は同一の臨床指標を用いた参加病院の拡大、世界レベルでの臨床指標の標準化を図るために事業を継続運営し、医療の質の改善、患者満足度の改善について検討を行う必要がある。また、参加病院の増加によるデータサイズの増大、データの信頼性の向上があわせて図られる必要がある。さらに、個別の病院比較では治療結果に差異を認めることから、その原因についての解明、及び病院が改善を図る際に外部からの専門家派遣などの支援体制のあり方について検討を図る必要がある。 | 2 | 2 | 4 | 東京都病院協会ホームページ毎年の研修会 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||||
前立腺癌診療ガイドライン作成に関する研究 | 平成15-16年度 | 24,000 | 神戸大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学分野 | 守殿 貞夫 | (ア)前立腺癌は近年我が国でも増加傾向にあり注目を集めている疾患である。欧米においては前立腺癌治療に関するガイドラインが出版されているが我が国の事情を反映したものとは言い難い。(イ)従来の定評あるガイドラインを中心に診療ガイドラインの原案となるものを作成しさらに我が国および最新の文献評価を系統的に行なった上で我が国の事情に沿ったガイドラインを作成する。(ウ)大きな関心が寄せられている前立腺癌の診断および治療に関し指針を示すことができる。 | 作成されたガイドラインから要約した形での国民向けのガイドラインを作成することにより国民の福祉に寄与することができる。 | 関心の高い疾病に関するガイドラインの作成は社会的な要請も高いためその貢献度は高いものと推測される。 | 今後施行予定である。 | 医療技術評価総合研究 | |||||||||||||||||
医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究 | 平成14-16年度 | 19,000 | 札幌医科大学大学院医学研究科生体情報形態学 | 辰巳治之 | ア インターネット上の情報の信頼性を確保するための認証や暗号化技術はすでに開発されているが、現状の調査を十分に行い運用可能な範囲での社会的な枠組み形成・対策については非常に遅れている。イ インターネット上での医療情報流通に関する現状調査及びその分析を行った。ウ 信頼性確保の為の方策をねり、ガイドラインやeヘルス倫理コードなどを作成し、NPOを通じ広めるとともに、アンケート調査おこない、種々の方策を提案している。 | 医療情報消費者に対するアンケート調査などから実態をよく把握して、種々の提案、実験などをおこなっているという観点から、我々の研究メンバーが厚労省の「インターネット等による医療情報に関する検討会」や「医療情報ネットワーク基盤検討会」の委員として参加させていただき、「インターネット等による医療情報に関する検討会報告書」や、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(平成17年3月)」にこの研究成果を反映させて頂いた。 | 我々が行った調査研究データを報告書というかたちで製本するのみならず、NOPの協力をえてホームページ上に公開している。論文のみならず、このように広く公開することにより、シンクタンクや議員からの問い合わせもあり、今後の方策を考える上にも非常に寄与しているものと考える。また、厚労省の委員会などでも資料を配布させていただいた。 | 34 | 8 | 44 | 0 | 6 | 医療技術評価総合研究 | |||||||||||||
電子診療録の医療連携への応用と推進における問題点の検討に関する研究 | 平成13-15年度 | 12,000 | 医療法人 三原皮膚科 | 三原一郎 | (ア)ネットワーク化された電子診療を利用し複数の施設間で診療情報を共有するシステム(医療連携システム)が、多くの地域で開発され、試験運用された。(イ)医療連携システムには、カルテ情報や画像を添付した紹介状のやりとりを可能とする「紹介状発展型」と、地域連携サーバに種々の患者情報を集積し、医療機関同士でそれを共有する「ASP型電子カルテ(地域共通カルテ)型」に二分された。多くのシステムは頓挫し、実際の運用事例は極めて少ないのが現状である。しかし、成功事例では組織や職種を越えた医療提供者のコミュニケーションが向上し、医療提供者の職務充実や患者サービスの向上に寄与しているという確証を得ることができた。(ウ)普及への最大の阻害因子として、IT導入のコストや入力の手間に対して、経済的見返りが全く担保されていないことが指摘できた。しかし、一方で、IT以前に地域の医療圏における強固なヒューマンネットワークと信頼関係の構築が、成功に不可欠な要素として示された。頻繁に顔を合わせての議論等、地道な連携への取り組みは不可欠である。 | 本研究の大きな成果のひとつは、地域は限られるものの、電子診療録を利用した地域医療ネットワークが実際の医療現場で実運用され、地域での医療連携〜チーム医療を推進し、効率的かつ質の高い医療を提供することに寄与できていることを実証したことにある。一方で、全国的に普及するためには、多くの課題を克服する必要があり、とくにシステムの導入、運営に関わる多大なコストに対する経済的見返りが全くない現実は、大きな阻害因子として認識された。普及のためには、診療報酬加算など何らかの施策が必要なことを提言したい。本研究は、医療機関の機能分化と連携におけるIT利活用が、利用者や患者にとってメリットをもたらすことを具体的に示した点において、今後のわが国の医療政策に大きな含意を持つと考えられる。 | 各地での成功事例を参考に、今後、必要な機能を絞り込んだ、より廉価で、汎用性の高い医療連携ネットワークシステムが開発されることが期待できる。医療連携システムは、医療機関側よりも、むしろ患者側にとってこそ利点の多いしくみである。成功事例を、より広く知ってもらうことで、患者側からの要望が高まることが期待できる。 | 13 | 0 | 5 | 0 | 0 | 3 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
電子カルテシステムが医療及び医療機関に与える効果及び影響に関する研究 | 平成15-16年度 | 30,000 | 国際医療福祉大学国際医療福祉総合研究所 | 阿曽沼元博 | (ア)効果・影響に関しては、個別病院の事例発表レベルでは断片的に示されている。 (イ)導入済み病院(アンケート:60病院、ヒヤリング:13病院、詳細調査病院:1病院)の詳細調査により、患者の視点、財務の視点、病院機能の視点、意識改革・人材開発の視点など4つの視点での効果・影響を整理し、総合的に示すことが出来た。併せて効果を挙げるための「導入の目標管理手法」を示した。 (ウ)本研究で行った、導入及び運用のコスト分析は、今まで不明瞭であった実態を明らかにするものであった。またBSCをベースとした電子カルテ・スコアカード(仮称)は目標管理・評価手法として注目された。 |
●本研究において、厚生労働省が行った「電子カルテシステム導入支援の為の補助事業」が、導入促進はもとより、病院の機能アップや経営改善、また安全性の向上に貢献したことが明らかとなった。 ●また、本研究で行った導入等のコスト分析において、患者規模換算で患者一人当たり一日のコスト負担の現状が明らかとなり、今後の診療報酬化検討の基礎資料なると考えられる。今後の導入促進のために貢献。 |
電子カルテシステムが患者の安全性確保や、個人情報保護法の観点において医療情報の質確保及び信頼性確保の両面で寄与することが明らかとなったことは、情報の非対称性の解消や患者の医療へ信頼回復に好影響を与えると考えられる。 | 0 | 13 | 16 | 0 | 0 | 21 | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
電子カルテシステムにより集積したデータの診療情報解析に関する研究(H-15-医療-055) | 平成15-16年度 | 44,000 | 国立国際医療センター医療情報システム開発研究部 | 秋山昌範 | 今回分析対象とするデータの範囲は、国立国際医療センターと盛岡赤十字病院において使用承認されたデータに限定される。国立国際医療センターでは毎月約760万行のログ情報が存在する看護実施入力データから、延べ1000万件以上の有意なデータが蓄積しており、必ずしも忙しいときにアラームが鳴るとは限らないが、指示変更が多いときにはアラームが鳴りやすいことが判明した。伝達ミスが想定された。そのうち担当看護師が判別可能なデータを前処理で抽出し、解析対象とした。分析対象データの期間を、2003年9月から2004年8月まで蓄積された1年分のデータを用いた。その結果、勤務交代後にアラームが多発する傾向が見られた。また、金して始めての点滴に有意(p<0.00001)にアラームが多いことが判明した。 | 平成16年日本医療情報学会総会での発表には大きな反響があり、医学・医療界に強いインパクトを与えた。この手法が他の疾患にも応用できることから、多くの雑誌に掲載され、社会的にも強い影響を与えたと考える。 | 提供可能なEvidenceは、純粋な医学的見地における統計解析のみならず、診療に際して得られた診療報酬情報や単品管理などの物流情報も包括することで、稼働済みのクリティカルパスの妥当性検証ツールやDRG/PPS導入などにおける基礎検証ツールとしての応用も可能である。 | 33 | 62 | 117 | 1 | 対象を疾患のみならず、医療サービスの質の評価にまで展開することを前提に研究を継続する。 宮城県乳がん協会で実施している乳がん検診の解析モデル作成と、入院期間、収益等の解析とリスクの関連分析 |
医療技術評価総合研究 | |||||||||||||
死体検案業務の質の確保等に関する研究 | 平成15-16年度 | 12,350 | 国立保健医療科学院 公衆衛生政策部 |
曽根智史 | (ア)検案の必要な異状死体が増加しているにもかかわらず、死体検案業務の質が十分確保されていなかった。 (イ)米国・オーストラリアの監察制度の調査より、わが国における望ましい制度構築のアウトラインを示した。また、効果的な死体検案研修プログラムを開発し、実施・評価した。 (ウ)本研究の成果をもとに新たなモデル事業が立ち上げられた。死体検案研修には定員を大幅に超える医師が参加し、事後評価も極めて高かった。 |
・研究成果をもとに、平成17年度より「診療行為に関連した死亡の調査分析に関するモデル事業」が立ち上げられる予定である。 ・開発された死体検案研修プログラムに基づき、平成17年度は厚生労働省予算によって、同研修が実施される予定である。 |
わが国の死体検案制度が整備され、また、当該業務の質が担保され、(1)社会的秩序の維持、(2)公衆衛生対策への寄与、(3)死因統計の精度向上、(4)死者への尊厳等の社会貢献が期待される。 | 3 | 5 | 0 | 0 | 0 | 1件(シンポジウム) | 医療技術評価総合研究 | ||||||||||||
職域の健康障害における作業因子の寄与と予防に関する研究 | 平成14-16年度 | 36,995 | 北里大学 医学部 | 相澤好治 | (ア)作業関連疾患は生活習慣病の発生に作業要因が関与している疾患概念であるが、その関与割合については評価が困難である。(イ)脳血管疾患、心疾患、気管支喘息、難聴、シックハウス症候群、歯科技工士における肺疾患、土壌細菌の影響などについて、作業起因性を検討した。(ウ)それぞれの病態で、作業要因が様々な割合で発症に寄与することが示唆された。 | 作業関連疾患は、職業性疾患が減少する一方、労働人口の高齢化を背景として、労働衛生分野で主要な課題の一つであり、本研究成果をもとに具体的な行政的対策が立てられると思われる。長時間労働者に対して産業医の面談が義務付けられることになるが、職場での過重労働対策として行われる健康教育において、本研究成果が貢献する可能性が大きい。 | 作業関連疾患の範囲と病態・病因について、学会発表、雑誌、著書などにより一般臨床医に対する啓発を図ってゆく予定である。 | 6 | 3 | 4 | 0 | 0 | 労働安全衛生総合研究 | |||||||||||||
谷口初美 | (イ・ウ)上記のうち土壌細菌の遺伝子学的研究により、作業者の二硫化水素に対する暴露のリスクを評価した。 | 土壌の遺伝子解析を含めた細菌学的検査により、廃棄物処理作業者の健康リスク評価に適用できる可能性がある。 | 4 | 0 | 14 | 1 | 0 | 労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||||||||
森永謙二 | (イ・ウ)上記のうち歯科技工士における肺疾患とくにじん肺、肺がんなど呼吸器疾患の有病率および死亡率について疫学的調査を行い、粉じんの制御とともに健康診断の必要性が示唆された。 | 労働衛生管理が歯科技工士にも行われる必要性が示唆された。 | 0 | 1 | 4 | 0 | 0 | 労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||||||||
高木繁治 | (イ・ウ)脳血管疾患発症において作業要因の関与が認められると共に、発症により著しく作業能力を低下させる。 | 発症のリスク要因を労働衛生管理により低減して、発症を制御する必要性が強調された。 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||||||||
佐藤敏彦 | (イ・ウ)作業関連疾患発症における作業要因の寄与割合を計算すると疾患により異なるが、凡そ20%程度であった。 | 作業関連疾患発生における作業要因の寄与割合を計算することにより、対策の重点化が可能になる。 | 3 | 1 | 4 | 0 | 0 | 労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||||||||
和泉 徹 | (イ・ウ)冠動脈疾患発症後のリハビリテーションの効果を規定する要因を解析した。 | 冠動脈疾患は発症後、比較的社会復帰が可能であり、その可否を決める要因を明らかにすることは、労働衛生管理上も重要な視点である。 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||||||||
不安全行動の誘発・体験システムの構築とその回避手法に関する研究 | 平成14-16年度 | 29,206 | 大阪大学大学院 人間科学研究科 | 臼井伸之介 | (ア) 不安全行動(unsafe acts)はヒューマンエラー(human error)と違反(violation)に分類され、その生起メカニズムは異なること。注意の制御機能は切り替え(switching)、集中(focusing)、分割(dividing)など複数の側面から構成されること。 (イ)作業の中断や注意の偏り要因を操作することによりヒューマンエラーを誘発および体感可能であることを実験的に証明した。違反行動を誘発する課題を開発し、その生起メカニズムの一部を実証した。注意の制御機能の個人差を測定し、作業者が起こしやすいエラータイプを予測するのに利用できる可能性のある日常的注意経験質問紙を開発した。 (ウ)ヒューマンエラーや違反を誘発する課題の開発とその生起メカニズムを実験的に解明した研究、および注意制御の個人差を測定した研究は国内外でもほとんど無く、学会、講演会等で大きな反響を呼んだ。 |
○ 本研究課題においては,不安全行動回避手法の体得のための教育的フィードバックについて,疑似体験を通じた教育手法の課題,体験システムにおける展開例等の観点から検討を重ねてきたが、これは今後の労働安全行政における労働者教育に大きく貢献するものである。例えば,厚生労働省の指導のもと社団法人全国登録教習機関協会が中心となって展開を図る「危険再認識教育」は,資格取得後およそ10年を経過した掘削機オペレータ,ローラー運転者、高所作業車運転者を対象に、「慣れ」による危険軽視や不安全行動の防止を目的とした新たな教育手法の検討・開発を行うものであるが,本研究において検討を重ねてきた内容は,危険再認識教育手法の立案,実施要領の策定,補助教材の作成、講師養成,実施教育機関に対する指導等に活用されており,厚生労働省通達,平成15年4月8日,基発第0408006号「ローラー運転業務従事者危険再認識教育について」に反映されている。 ○ 平成17年には,高所作業車運転者を対象とした危険再認識教育の実施に関する厚生労働省通達として,本研究成果の一部が反映される見通しである。 ○ 平成17年3月11日に開催された中央労働災害防止協会主催の講演会「ヒューマンファクターを考える(厚生労働科学研究費補助事業)」において、約350人の安全担当者を対象に本研究成果を発表した。 |
本研究課題で開発された不安全行動誘発・体験システムは、製造業関連事業所や医療機関に関心を呼び、一部で安全教育プログラムに取り込まれている。またそれら教育システムの有効性を適切に評価する必要があるため、平成17年度厚生労働科学研究費補助金に「リスクマネジメント教育の有効性評価に関する総合的研究」と題して申請し、採択された。今後は産業界と連携しつつ研究を継続し、得られた成果を行政および産業界に寄与・反映させる予定である。 | 6 | 3 | 11 | 0 | 3 | 1件 日本心理学会第69回大会(平成17年9月、於慶應義塾大学)において、ワークショップ「新たな簡易注意機能測定法の開発と適用可能性−注意・認知機能分類の再構成化を探る−」を開催し、本研究で得られた成果を発表する。 |
労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||
健康増進効果の高い保健指導の方法等に関する研究−効果的な保健指導方法の開発とその評価− | 平成14-16年度 | 38,043 | 大阪市立大学大学院医学研究科 | 圓藤吟史 | (ア)経験に基づき保健指導がなされている。(イ)5つのエビデンスを明らかにした。事業場の特性にあった保健指導の提供システムを提唱した。(ウ)保健指導のガイドライづくりの基礎資料となる。 | 産業保健のみならず、すべての分野で、生活習慣病の一次予防対策として有効な保健指導のシステムづくりに反映することができる。 | ストレスについても解析が進んでいるので、メンタルヘルス対策としてのエビデンスも提唱できる。健康診断と効果的な保健指導のシステムを構築予定している。 | 0 | 47 | 53 | 0 | 0 | 31 www.kenkoukagaku.jp www.med.osaka-cu.ac.jp/pmenv/ | 労働安全衛生総合研究 | ||||||||||||
労働者の自殺リスク評価と対応に関する研究 | 平成14-16度 | 22,079 | 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 | 川上憲人 | (ア)被用者の自殺が増加しており、職場のメンタルヘルスが重要である。(イ)労働者の自殺の危険因子、リスク評価法および対処法を確立し、対策による効果を検証した。(ウ)わが国で労働者の自殺予防対策の効果を初めて検証した点は意義が大きい。 | 3つの労働者の自殺予防マニュアルが完成し、わが国の事業場における労働者の自殺リスクを軽減するための指針が事業場、産業保健スタッフ、労働者に向けて提供できるようになった。こうしたマニュアルやツール類がそろったことから、事業場においてこれまでよりも格段に容易に自殺予防対策を推進することが可能になる。 | 本研究班で開発した(1)事業場の自殺予防対策の実施状況チェックリスト、(2)職場におけるうつ病・自殺予防マニュアル(管理職用、一般職用、家族用)、(3)産業保健スタッフ向けのうつ病評価面接法および教育・研修プログラムは、すでに産業保健推進センターや事業場で有用なツールとして使用されはじめている。今後これらの研究成果を、出版、HPからの情報提供、学会活動などを通じて広く普及させる予定である。 | 3 | 80 | 57 | 0 | 1 | 7 http://eisei.med.okayama-u.ac.jp/jstress |
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テロ等による勤労者の・・・研究(分担研究)企業における危機管理としてのメンタルヘルス対策 | 平成14-16年度 | 国立精神・神経センター精神保健研究所 | 金 吉晴 | (ア)9.11事件等の海外テロでの被災企業の体験を通して、企業における危機管理の一環としてメンタルヘルス対策の必要性が確認された(イ)一部の被災経験企業を除き、多くの企業では危機管理としてのメンタルヘルス対策はほとんど行われていない。(ウ)海外進出企業の危機管理部門を対象に本テーマに関する調査が実施されたのはほぼ初めてといってよい。 | 企業を対象とした危機管理メンタルヘルス対策マニュアルを作成する準備資料を提供。 | 応用として、企業だけでなく、邦人の多い地区の商工会議所や日本人会、邦人保護を担う在外公館職員等に対しても、危機管理のメンタルヘルス対策に関して研修等で周知をはかれば効果的と考えられる。 | 0 | 3 | 14 | 0 | 0 | 0 | 労働安全衛生総合研究 |