医政発第0612004号
平成15年6月12日


各都道府県知事 殿


厚生労働省医政局長


医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について

 医師の臨床研修については、医療法等の一部を改正する法律(平成12年法律第141号。以下「改正法」という。)による医師法(昭和23年法律第201号。以下「法」という。)の一部改正により、インターン制度が廃止されて以来36年ぶりに抜本的な改革が行われることとなった。すなわち、診療に従事しようとするすべての医師は、臨床研修を受けなければならないこととされ、また、これに併せて、臨床研修の内容の検討を進め、医師が、適切な指導体制の下で、医師としての人格をかん養し、プライマリ・ケアを中心に幅広く医師として必要な診療能力を効果的に身に付けることができるものとすることとされたところである。これを踏まえ、平成14年12月11日に、医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令(平成14年厚生労働省令第158号。以下「臨床研修省令」という。)が公布・施行され、また、その後の検討を受けて、平成15年6月12日に、医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第105号。以下「改正省令」という。)が公布・施行され、下記のとおり、新たな臨床研修制度が定められたところである。また、本制度の円滑な実施を図るため、地方厚生局において、臨床研修病院、大学病院、医療関係団体等の参加を得て連絡協議会を設置することとしている。
 新たな臨床研修制度は、医師が、医師としての基盤形成の時期に、患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力を修得することにより、医師としての資質の向上を図ることを目的としており、地域の医療提供体制の整備に当たっても、重要な役割を果たすことが期待されるものである。ついては、貴職におかれても、臨床研修省令の趣旨、内容等について御了知の上、貴管内の保健所設置市、特別区、医療機関、関係団体等に対して周知に努めるとともに、地方厚生局において設置する連絡協議会に参加するなど、新たな臨床研修制度の円滑な実施に御協力をお願いする。



第1  臨床研修省令の趣旨
   法第16条の2第1項に規定する臨床研修については、改正法による法の一部改正により、平成16年4月1日から、診療に従事しようとするすべての医師に義務付けられるところであるが、臨床研修省令は、法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関して、臨床研修の基本理念、臨床研修病院の指定の基準等を定めるものであること。
 なお、改正法附則第8条(臨床研修修了医師の登録に係る経過措置)の規定により、同日前に医師免許を受けている者及び同日前に医師免許の申請を行った者であって同日以後に医師免許を受けたものは、改正法による改正後の法第16条の4第1項の規定による臨床研修修了者の登録を受けた者とみなされること。
第2  臨床研修省令の内容及び具体的な運用基準
 1  用語の定義
(1)  「臨床研修」
 法第16条の2第1項に規定する臨床研修をいうものであること。
(2)  「臨床研修病院」
 法第16条の2第1項の指定を受けた病院をいうものであること。
(3)  「単独型臨床研修病院」
 臨床研修病院のうち、単独で又は研修協力施設と共同して臨床研修を行う病院をいうものであること。
(4)  「管理型臨床研修病院」
 臨床研修病院のうち、他の病院と共同して臨床研修を行う病院(単独型臨床研修病院を除く。)であって、当該臨床研修の管理を行うものをいうものであること。
(5)  「協力型臨床研修病院」
 臨床研修病院のうち、他の病院と共同して臨床研修を行う病院(単独型臨床研修病院を除く。)であって、管理型臨床研修病院でないものをいうものであること。
(6)  「研修協力施設」
 臨床研修病院と共同して臨床研修を行う施設であって、臨床研修病院及び大学、大学の医学部又は大学附置の研究所の附属施設である病院以外のものをいうものであること。以下「臨床研修協力施設」という。
 なお、臨床研修協力施設としては、例えば、へき地・離島診療所、中小病院・診療所、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等が考えられること。
(7)  「臨床研修病院群」
 共同して臨床研修を行う管理型臨床研修病院及び協力型臨床研修病院をいうものであること。臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、臨床研修協力施設も臨床研修病院群に含まれること。
(8)  「大学病院」
 大学、大学の医学部又は大学附置の研究所の附属施設である病院をいうものであること。
(9)  「研修管理委員会」
 臨床研修を行う病院において臨床研修の実施を統括管理する機関をいうものであること。
 なお、研修管理委員会は、単独型臨床研修病院、管理型臨床研修病院等臨床研修を管理する病院に設置されること。
(10)  「研修プログラム」
 臨床研修の実施に関する計画をいうものであること。
(11)  「プログラム責任者」
 研修プログラムの企画立案及び実施の管理並びに研修医に対する助言、指導その他の援助を行う者をいうものであること。
(12)  「研修実施責任者」
 協力型臨床研修病院又は臨床研修協力施設において、当該施設における臨床研修の実施を管理する者をいうものであること。
 なお、研修実施責任者は、プログラム責任者及び臨床研修指導医を兼務しても差し支えないこと。
(13)  「臨床研修指導医」
 研修医に対する指導を行う医師をいうものであること。以下「指導医」という。
(14)  「研修医」
 臨床研修を受けている医師をいうものであること。
(15)  「臨床病理検討会」
 個別の症例(剖検例)について病理学的見地から検討を行うための会合(Clinicopathological Conference:CPC)をいうものであること。
(16)  「研修期間」
 臨床研修を行っている期間をいうものであること。
 2  臨床研修の基本理念
 医師については、単に専門分野の負傷又は疾病を治療するのみでなく、患者の健康と負傷又は疾病を全人的に診ることが期待され、医師と患者及びその家族との間での十分なコミュニケーションの下に総合的な診療を行うことが求められていること。また、医療の社会的重要性及び公共性を考えると、臨床研修は、医師個人の技術の向上を超えて、社会にとって必要性の高いものであること。
 このため、臨床研修については、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身に付けることのできるものでなければならないこと。
 3  臨床研修病院の指定
(1)  法第16条の2第1項の指定は、次に掲げる区分に応じて行うこと。
 単独型臨床研修病院
 管理型臨床研修病院
 協力型臨床研修病院
(2)  単独型臨床研修病院、管理型臨床研修病院及び協力型臨床研修病院は、それぞれ他の区分の臨床研修病院となることができること。
 4  臨床研修病院の指定の申請
(1)  単独型臨床研修病院の指定の申請
 単独型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の8月31日までに、当該病院に関する指定申請書(様式1)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。なお、既に単独型臨床研修病院の指定を受けている病院であっても、他の病院とともに臨床研修病院群を構成しようとする場合は、新たに管理型臨床研修病院又は協力型臨床研修病院の指定申請を行わなければならないこと。
 指定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならないこと。
(ア)  当該指定に係るすべての研修プログラム
(イ)  プログラム責任者履歴書(様式2)
(ウ)  当該病院の医師名簿(様式3)
(エ)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、臨床研修協力施設となる施設に係る臨床研修協力施設概況表(様式4)及び臨床研修協力施設承諾書(様式5)
 指定申請書及び添付書類は、厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(2)  管理型臨床研修病院の指定の申請
 管理型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の8月31日までに、当該病院に関する指定申請書(様式1)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。なお、既に管理型臨床研修病院の指定を受けている病院であっても、臨床研修病院群の臨床研修病院の構成を変更しようとする場合は、新たに管理型臨床研修病院の指定申請を行わなければならないこと。
 指定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならないこと。
(ア)  当該指定に係るすべての研修プログラム
(イ)  プログラム責任者履歴書(様式2)
(ウ)  当該病院の医師名簿(様式3)
(エ)  当該指定に係る臨床研修病院群を構成することとなる病院相互間の連携体制を記載した書類(様式6)
(オ)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、臨床研修協力施設となる施設に係る臨床研修協力施設概況表(様式4)及び臨床研修協力施設承諾書(様式5)
 管理型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、当該病院に関する指定申請書及び添付書類と、協力型臨床研修病院として共同して臨床研修を行うこととなる病院に関する指定申請書及び添付書類とを、一括して厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(3)  協力型臨床研修病院の指定の申請
 協力型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の8月31日までに、当該病院に関する指定申請書(様式1)を、管理型臨床研修病院として共同して臨床研修を行うこととなる病院の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。なお、既に協力型臨床研修病院の指定を受けている病院であっても、臨床研修病院群の臨床研修病院の構成を変更しようとする場合は、新たに協力型臨床研修病院の指定申請を行わなければならないこと。
 指定申請書には、当該病院の医師名簿(様式3)を添付しなければならないこと。
(4)  平成16年度から新たに臨床研修を開始しようとする病院の申請
 平成16年度から新たに臨床研修を開始するために臨床研修病院の指定を受けようとする病院については、平成15年6月16日から臨床研修病院の指定申請を受け付けることとしているので、当該病院の開設者は、できる限り速やかに申請願いたいこと。
 5  臨床研修病院の指定の基準
(1)  単独型臨床研修病院の指定の基準
 厚生労働大臣は、単独型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、単独型臨床研修病院の指定をしてはならないこと。
 臨床研修省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。
(ア)  研修プログラムには、次に掲げる事項が定められていること。
(1)  当該研修プログラムの特色
(2)  臨床研修の目標
 「臨床研修の目標」は、「臨床研修の到達目標」(別添)を参考にして、臨床研修病院が当該研修プログラムにおいて研修医の到達すべき目標として作成するものであり、「臨床研修の到達目標」を達成できる内容であること。
(3)  プログラム責任者の氏名
(4)  臨床研修を行う分野並びに当該分野ごとの研修期間及び臨床研修病院又は臨床研修協力施設
 「臨床研修を行う分野」とは、当該研修プログラムにおいて研修医が臨床研修を受ける診療科等をいうものであること。内科、外科及び救急部門(麻酔科を含む。以下同じ。)を「基本研修科目」とし、また、小児科、産婦人科、精神科及び地域保健・医療を「必修科目」とすること。
(5)  研修医の指導体制
(6)  研修医の募集定員並びに募集及び採用の方法
(7)  研修医の処遇に関する事項
 次に掲げる事項をいうものであること。
(@)  常勤又は非常勤の別
(A)  研修手当、勤務時間及び休暇に関する事項
(B)  時間外勤務及び当直に関する事項
(C)  研修医のための宿舎及び病院内の個室の有無
(D)  社会保険・労働保険(公的医療保険、公的年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険)に関する事項
(E)  健康管理に関する事項
(F)  医師賠償責任保険に関する事項
(G)  外部の研修活動に関する事項(学会、研究会等への参加の可否及び費用負担の有無)
(イ)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合には、臨床研修協力施設の種別及び名称、臨床研修協力施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び研修医の指導を行う者の氏名が研修プログラムに明示されていること。
(ウ)  研修プログラムに定められた臨床研修を行う分野並びに当該分野ごとの研修期間及び臨床研修病院又は臨床研修協力施設が次に掲げる事項を満たすものであること。
(1)  研修期間は、原則として合計2年とすること。
(2)  臨床研修を行う分野ごとの研修期間は、それぞれ1月以上とし、臨床研修病院の実情及び研修プログラムの特色を考慮して定めること。基本研修科目及び必修科目については、必ず臨床研修を行うこと。
(3)  原則として、当初の12月は基本研修科目を研修すること。また、内科においては、6月以上研修を行うことが望ましいこと。
(4)  基本研修科目及び必修科目以外の研修期間は、研修医が積極的に研修プログラムを選択し、臨床研修に取り組むことができるよう、地域や病院の特色をいかし、更に臨床研修を充実させるために活用すること。
(5)  臨床研修を行う分野ごとの研修期間は、(1)から(4)までを踏まえて多様に設定するものであるが、研修プログラムの特色や指導体制等各病院における体制によっては、例えば、当初の12月について、内科において6月の研修、外科及び救急部門において合計6月の研修を行うこととし、次の12月について、小児科、産婦人科、精神科及び地域保健・医療においてそれぞれ3月の研修を行うことなども考えられる。
(6)  救急部門については、救急部(救急部がない場合には救急外来)、麻酔科等を適切に経験させることにより対応すること。
(7)  総合診療科等臨床研修を行う診療科の名称が基本研修科目又は必修科目の診療科等の名称と異なる場合であっても、当該診療科における研修内容が基本研修科目又は必修科目のいずれかの診療科等の研修内容と同じものであるときには、研修内容に応じて、当該診療科における研修期間を、相当する基本研修科目又は必修科目の診療科等の研修期間として差し支えないこと。
(8)  地域保健・医療については、へき地・離島診療所、中小病院・診療所、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等を適宜選択して研修を行うこと。
(9)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合には、原則として、臨床研修協力施設における研修期間を合計3月以内とすること。
 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第19条第1項第1号に規定する員数の医師を有していること。
 医師数については、「医療法第21条の規定に基づく人員の算出に当たっての取扱い等について」(平成10年6月26日付け健政発第777号、医薬発第574号)に定める常勤換算により算出された医師(研修医を含む。)の数をいうものであること。
 臨床研修を行うために必要な診療科を置いていること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院と臨床研修協力施設の診療科とを合わせて、必要な診療科を置いていること。
 「臨床研修を行うために必要な診療科を置いていること」とは、原則として、内科、外科、小児科、産婦人科及び精神科の診療科を標ぼうしていることをいうものであること。
 救急医療を提供していること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院又は臨床研修協力施設のいずれかにおいて、救急医療を提供していること。
 「救急医療を提供していること」とは、救急告示病院又は医療計画上、初期救急医療機関、第二次救急医療機関若しくは第三次救急医療機関として位置付けられている病院であって、初期救急医療を実施しており、適切な指導体制の下に救急医療に係る十分な症例が確保できるものであることをいうこと。
 臨床研修を行うために必要な症例があること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院と臨床研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。
 「臨床研修を行うために必要な症例があること」とは、「臨床研修の到達目標」を達成するために必要な症例が確保されていることをいうものであること。
 臨床病理検討会(CPC)を適切に開催していること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院又は臨床研修協力施設のいずれかにおいて、臨床病理検討会(CPC)が適切に開催されていること。
 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院及び臨床研修協力施設が、それぞれの担当する臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
 「臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること」とは、臨床研修の実施に関し必要な施設のほか、臨床研修に必要な図書又は雑誌を有しており、また、原則として、インターネットが利用できる環境(Medline等の文献データベース、教育用コンテンツ等が利用できる環境)が整備されていることをいうものであること。さらに、次に掲げる施設及び設備を備えていることが望ましいこと。
(ア)  研修医のための宿舎及び病院内の個室
(イ)  医学教育用シミュレーター(切開及び縫合、直腸診、乳房診、二次救命処置(Advanced Cardiovascular Life Support:ACLS)、心音又は呼吸音の聴診等の訓練用機材)、医学教育用ビデオ等の機材
 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
 「患者の病歴に関する情報を適切に管理していること」とは、病歴管理者が選任されており、診療に関する諸記録(診療録、病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約等)の管理が適正になされていることをいうものであること。
 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
 「医療に関する安全管理のための体制を確保していること」とは、医療法施行規則第11条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を満たすことをいうものであること。
(ア)  医療に係る安全管理を行う者(以下「安全管理者」という。)を配置すること。
 安全管理者は、当該病院における医療に係る安全管理を行う部門(以下「安全管理部門」という。)の業務に関する企画立案及び評価、当該病院内における医療安全に関する職員の安全管理に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。
(1)  医師、歯科医師、薬剤師又は看護師のうちのいずれかの資格を有していること。
(2)  医療安全に関する必要な知識を有していること。
(3)  当該病院の安全管理部門に所属していること。
(4)  当該病院の医療に係る安全管理のための委員会(以下「安全管理委員会」という。)の構成員に含まれていること。
(イ)  安全管理部門を設置すること。
 安全管理部門とは、安全管理者及びその他必要な職員で構成され、安全管理委員会で決定された方針に基づき、組織横断的に当該病院内の安全管理を担う部門であって、次に掲げる業務を行うものであること。
(1)  安全管理委員会で用いられる資料及び議事録の作成及び保存、その他安全管理委員会の庶務に関すること。
(2)  事故等に関する診療録や看護記録等への記載が正確かつ十分になされていることの確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
(3)  患者や家族への説明など事故発生時の対応状況について確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
(4)  事故等の原因究明が適切に実施されていることを確認するとともに、必要な指導を行うこと。
(5)  医療安全に係る連絡調整に関すること。
(6)  医療安全対策の推進に関すること。
(ウ)  患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること。
 「患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること」とは、当該病院内に患者相談窓口を常設し、患者等からの苦情や相談に応じられる体制を確保するものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。また、これらの苦情や相談は当該病院の安全対策等の見直しにも活用されるものであること。
(1)  患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示されていること。
(2)  患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱い、相談情報の秘密保護、管理者への報告等に関する規約が整備されていること。
(3)  患者や家族等が相談を行うことにより不利益を受けないよう、適切な配慮がなされていること。
 研修管理委員会を設置していること。
 研修管理委員会は、6(1)を満たすものであること。
 プログラム責任者を適切に配置していること。
 「プログラム責任者を適切に配置していること」とは、6(5)を満たしたプログラム責任者が、研修プログラムごとに配置されていることをいうものであること。ただし、20人以上の研修医が一つの研修プログラムに基づいて臨床研修を受ける場合には、原則として、プログラム責任者とともに、副プログラム責任者を配置し、プログラム責任者及び副プログラム責任者の受け持つ研修医の数が1人当たり20人を超えないようにすること。
 適切な指導体制を有していること。ただし、臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院と臨床研修協力施設とを合わせて、その指導体制が適切なものであること。
(ア)  「適切な指導体制を有していること」とは、6(7)を満たした指導医が、原則として、内科、外科、小児科、産婦人科及び精神科の診療科に配置されており、個々の指導医が、勤務体制上指導時間を十分に確保できることをいうものであること。また、指導医は研修医に対する指導に関する責任者又は管理者の立場にあるものであり、指導医が研修医を直接指導することだけでなく、指導医の指導監督の下、上級医(研修医よりも臨床経験の長い医師をいう。以下同じ)が研修医を直接指導すること(いわゆる「屋根瓦方式」)も想定していること。その他の研修分野についても、適切な指導力を有している者が、研修医の指導に当たること。
(イ)  休日・夜間の当直における指導体制については、電話等により指導医又は上級医に相談できる体制が確保されるとともに、研修医1人で対応できない症例が想定される場合には、指導医又は上級医が直ちに対応できるような体制(オンコール体制)が確保されていること。また、休日・夜間の当直を1年次の研修医が行う場合については、原則として指導医又は上級医とともに、2人以上で行うこと。
(ウ)  精神科の研修を行う臨床研修病院又は臨床研修協力施設においては、精神保健福祉士、作業療法士その他診療要員を適当数配置していることが望ましいこと。
(エ)  研修医手帳を作成し、研修医が当該手帳に研修内容を記入するよう指導すること。また、研修医が担当した患者の病歴や手術の要約を作成するよう指導すること。
 受け入れる研修医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
(ア)  臨床研修を行うために適切な研修医の数は、プライマリ・ケアの基本的な診療能力を修得するのに必要な症例を勘案したものとするが、原則として、病床数を10で除した数又は年間の入院患者数を100で除した数を超えないものであること。この場合において、研修医の数とは、当該病院において受け入れているすべての研修医の数をいい、1年次及び2年次の研修医の数を合計したものであること。
(イ)  指導医1人が指導を受け持つ研修医は、5人までが望ましいこと。
(ウ)  原則として、研修プログラムごとに2人以上の研修医を毎年継続して受け入れることができる体制であること。
 研修医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること。
 「研修医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること」とは、原則として、公募による採用が行われることをいうものであること。
 研修医に対する適切な処遇を確保していること。ただし、臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院及び臨床研修協力施設のそれぞれにおいて、研修医に対する適切な処遇が確保されていること。
 将来、財団法人日本医療機能評価機構による評価等第三者による評価を受け、その結果を公表することを目指すこと。
(2)  管理型臨床研修病院の指定の基準
 厚生労働大臣は、管理型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、管理型臨床研修病院の指定をしてはならないこと。
 なお、アからソまでの各項目については、以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。
 臨床研修省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。
(ア)  原則として、研修期間全体の8月以上は、管理型臨床研修病院で研修を行うものであること。
(イ)  協力型臨床研修病院の名称、協力型臨床研修病院が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び指導医の氏名が研修プログラムに明示されていること。
 医療法施行規則第19条第1項第1号に規定する員数の医師を有していること。
 当該病院と協力型臨床研修病院の診療科とを合わせて、臨床研修を行うために必要な診療科を置いていること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院と臨床研修協力施設の診療科とを合わせて、必要な診療科を置いていること。
 当該病院又は協力型臨床研修病院のいずれかが、救急医療を提供していること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院又は臨床研修協力施設のいずれかにおいて、救急医療を提供していること。
 当該病院と協力型臨床研修病院の症例とを合わせて、臨床研修を行うために必要な症例があること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院と臨床研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。
 当該病院又は協力型臨床研修病院のいずれかが、臨床病理検討会(CPC)を適切に開催していること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院又は臨床研修協力施設のいずれかにおいて、臨床病理検討会(CPC)が適切に開催されていること。
 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。ただし、共同して臨床研修を行う臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院及び臨床研修協力施設が、それぞれの担当する臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
 研修管理委員会を設置していること。
 研修管理委員会は、6(2)を満たすものであること。
 当該病院又は協力型臨床研修病院のいずれかにおいて、プログラム責任者を適切に配置していること。
 適切な指導体制を有していること。ただし、臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、臨床研修病院群における指導体制が適切なものであること。
 受け入れる研修医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
 受け入れる研修医の数は、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院ごとに適切な数である必要があること。
 研修医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること。
 研修医に対する適切な処遇を確保していること。ただし、臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院及び臨床研修協力施設のそれぞれにおいて、研修医に対する適切な処遇が確保されていること。
 協力型臨床研修病院との間で緊密な連携体制を確保していること。また、地域医療の研修を幅広く確保する観点から、原則として、臨床研修病院群の中に研修の実施に必要と考えられる相当数の民間医療機関を含めること。
(ア)  「緊密な連携体制」とは、医師の往来、医療機器の共同利用又は合同臨床病理検討会(CPC)が組織的に行われている等、診療及び臨床研修について機能的な連携が具体的に行われている状態をいうものであること。
(イ)  地域医療のシステム化を図り、臨床研修病院群における緊密な連携を保つため、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院は、原則として、同一の二次医療圏又は同一の都道府県にあることが望ましいこと。ただし、臨床研修病院群を構成する臨床研修病院が異なる都道府県にある場合であっても、緊密な連携が図られる場合等については、臨床研修病院が同一の都道府県にある必要はないこと。
 協力型臨床研修病院として共同して臨床研修を行う病院が、(3)の協力型臨床研修病院の指定の基準に適合していること。
 将来、財団法人日本医療機能評価機構による評価等第三者による評価を受け、その結果を公表することを目指すこと。
(3)  協力型臨床研修病院の指定の基準
 厚生労働大臣は、協力型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、協力型臨床研修病院の指定をしてはならないこと。
 なお、アからケまでの各項目については、以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。
 臨床研修省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。
 医療法施行規則第19条第1項第1号に規定する員数の医師を有していること。
 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
 適切な指導体制を有していること。
 当該施設における臨床研修の実施を管理する研修実施責任者を配置していること。
 受け入れる研修医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
 研修医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること。
 研修医に対する適切な処遇を確保していること。
 管理型臨床研修病院として共同して臨床研修を行う病院が、(2)の管理型臨床研修病院の指定の基準に適合していること。
(4)  厚生労働大臣は、臨床研修病院の指定の申請があった場合において、当該病院が次に掲げる事項のいずれかに該当するときは、臨床研修病院の指定をしてはならないこと。
 14(1)により臨床研修病院の指定を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過していないこと。
 その開設者又は管理者に医事に関する犯罪又は不正の行為があり、臨床研修を行うことが適当でないと認められること。
(5)  (1)から(3)までの臨床研修病院の指定の基準については、臨床研修病院において年間を通じて常に遵守されていなければならないこと。
 6  研修管理委員会等の要件
(1)  単独型臨床研修病院の研修管理委員会は、次に掲げる者を構成員に含まなければならないこと。
 当該病院の管理者又はこれに準ずる者
 当該病院の事務部門の責任者又はこれに準ずる者
 当該研修管理委員会が管理するすべての研修プログラムのプログラム責任者
 臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、すべての臨床研修協力施設の研修実施責任者
(2)  管理型臨床研修病院の研修管理委員会は、次に掲げる者を構成員に含まなければならないこと。
 当該病院の管理者又はこれに準ずる者
 当該病院の事務部門の責任者又はこれに準ずる者
 当該研修管理委員会が管理するすべての研修プログラムのプログラム責任者
 臨床研修病院群を構成するすべての協力型臨床研修病院の研修実施責任者
 臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、すべての臨床研修協力施設の研修実施責任者
(3)  研修管理委員会の構成員には、当該臨床研修病院及び臨床研修協力施設以外に所属する医師、有識者等を含むことが望ましいこと。
(4)  研修管理委員会は、研修プログラムの作成、研修プログラム相互間の調整、研修医の管理及び研修医の採用・中断・修了の際の評価等臨床研修の実施の統括管理を行うこと。
(5)  プログラム責任者は、臨床研修を行う病院(臨床研修協力施設を除く。)の常勤の医師であって、指導医及び研修医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているものでなければならないこと。
 プログラム責任者は、研修プログラムごとに1人配置されることが必要であるが、研修実施責任者及び指導医と兼務することは差し支えないこと。
 「指導医及び研修医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているもの」とは、原則として、7年以上の臨床経験を有する者であって、プライマリ・ケアを中心とした指導を行うことのできる経験及び能力を有しているものをいうものであること。この場合において、臨床経験には臨床研修を行った期間を含めて差し支えないこと。
 プログラム責任者は、プライマリ・ケアの指導方法等に関する講習会を受講していることが望ましいこと。
(6)  プログラム責任者は、次に掲げる事項等研修プログラムの企画立案及び実施の管理並びに研修医に対する助言、指導その他の援助を行うこと。
 研修プログラムの原案を作成すること。
 研修医ごとに臨床研修の目標の達成状況を把握し、研修プログラムにあらかじめ定められた研修期間の終了の時までに、すべての研修医が臨床研修の目標を達成できるよう、全研修期間を通じて研修医の指導を行うとともに、研修プログラムの調整を行うこと。
 研修プログラムにあらかじめ定められた研修期間の終了の際に、研修管理委員会に対して、研修医ごとに臨床研修の目標の達成状況を報告すること。
(7)  指導医は、常勤の医師であって、研修医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているものでなければならないこと。
 「研修医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているもの」とは、原則として、7年以上の臨床経験を有する者であって、プライマリ・ケアを中心とした指導を行うことのできる経験及び能力を有しているものをいうものであること。この場合において、臨床経験には臨床研修を行った期間を含めて差し支えないこと。
 指導医は、プライマリ・ケアの指導方法等に関する講習会を受講していることが望ましいこと。
(8)  指導医は、担当する分野における研修期間中、研修医ごとに臨床研修の目標の達成状況を把握し、研修医に対する指導を行い、担当する分野における研修期間の終了後に、研修医の評価をプログラム責任者に報告すること。
 7  臨床研修病院指定証及び臨床研修協力施設証の交付
 厚生労働大臣は、臨床研修病院を指定した場合にあっては、当該指定を受けた病院に対して臨床研修病院指定証を交付し、また、当該臨床研修病院が臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行うときには、当該臨床研修協力施設に対して臨床研修協力施設証を交付するものとすること。
 8  臨床研修病院の変更の届出
(1)  単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の変更の届出
 単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の開設者は、当該病院に関する次に掲げる事項に変更が生じたときは、その日から起算して1月以内に、臨床研修病院変更届出書(様式7)をもって、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならないこと。
(ア)  開設者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)
(イ)  管理者の氏名
(ウ)  名称
(エ)  診療科名
(オ)  病床の種別ごとの病床数
(カ)  研修管理委員会の構成員
(キ)  プログラム責任者
(ク)  指導医及びその担当分野
(ケ)  研修医の処遇に関する事項
(コ)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該臨床研修協力施設に係る次に掲げる事項
(1)  開設者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)
(2)  管理者の氏名
(3)  名称
(4)  研修医の処遇に関する事項
(5)  研修医の指導を行う者及びその担当分野
(6)  臨床研修協力施設が医療機関である場合にあっては、次に掲げる事項
(@) 診療科名
(A) 病床の種別ごとの病床数
 臨床研修病院変更届出書は、厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
 共同して臨床研修を行う協力型臨床研修病院から臨床研修病院変更届出書の送付を受けた管理型臨床研修病院の開設者は、速やかに当該臨床研修変更届出書を厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(2)  協力型臨床研修病院の変更の届出
 協力型臨床研修病院の開設者は、当該病院に関する次に掲げる事項に変更が生じたときは、その日から起算して1月以内に、臨床研修病院変更届出書(様式7)をもって、その旨を共同して臨床研修を行う管理型臨床研修病院の開設者を経由して厚生労働大臣に届け出なければならないこと。
 開設者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)
 管理者の氏名
 名称
 診療科名
 病床の種別ごとの病床数
 プログラム責任者
 指導医及びその担当分野
 研修医の処遇に関する事項
 9  研修プログラムの変更又は新設の届出
(1)  研修プログラムの変更
 研修プログラムの変更とは、研修プログラムのうち、次に掲げる事項を変更することをいうものであること。
 臨床研修の目標
 臨床研修を行う分野
 臨床研修を行う分野ごとの研修期間
 臨床研修を行う分野ごとの臨床研修を行う病院又は施設
(2)  単独型臨床研修病院の研修プログラムの変更又は新設の届出
 単独型臨床研修病院の開設者は、研修プログラムを変更する場合又は新たに研修プログラムを設ける場合には、当該研修プログラムに基づく臨床研修を行おうとする年度の前年度の4月30日までに、当該研修プログラムに関し、次に掲げる書類を添えて、研修プログラム変更・新設届出書(様式8)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
(ア)  変更又は新設に係る研修プログラム(研修プログラムの変更の場合にあっては、変更前及び変更後の研修プログラム)
(イ)  研修プログラムの変更の場合にあっては、変更する箇所を記載した書類(変更部分に下線を付した変更前及び変更後の研修プログラムでも差し支えない。)
(ウ)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、臨床研修協力施設となる施設に係る臨床研修協力施設概況表(様式9)及び臨床研修協力施設承諾書(様式5)
 研修プログラム変更・新設届出書及び添付書類は、厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(3)  管理型臨床研修病院の研修プログラムの変更又は新設の届出
 管理型臨床研修病院の開設者は、研修プログラムを変更する場合又は新たに研修プログラムを設ける場合には、当該研修プログラムに基づく臨床研修を行おうとする年度の前年度の4月30日までに、当該研修プログラムに関し、次に掲げる書類を添えて研修プログラム変更・新設届出書(様式8)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
(ア)  変更又は新設に係る研修プログラム(研修プログラムの変更の場合にあっては、変更前及び変更後の研修プログラム)
(イ)  研修プログラムの変更の場合にあっては、変更する箇所を記載した書類(変更部分に下線を付した変更前及び変更後の研修プログラムでも差し支えない。)
(ウ)  臨床研修病院群を構成する病院相互間の連携体制を記載した書類
(エ)  臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、臨床研修協力施設となる施設に係る臨床研修協力施設概況表(様式9)及び臨床研修協力施設承諾書(様式5)
 管理型臨床研修病院の開設者は、当該病院に関する研修プログラム変更・新設届出書及び添付書類と、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修病院に関する研修プログラム変更・新設届出書とを、一括して厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(4)  協力型臨床研修病院の研修プログラムの変更又は新設の届出
 協力型臨床研修病院の開設者は、研修プログラムを変更する場合又は新たに研修プログラムを設ける場合には、当該研修プログラムに基づく臨床研修を行おうとする年度の前年度の4月30日までに、当該研修プログラムに関し、研修プログラム変更・新設届出書(様式8)を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修病院の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
(5)  現に研修医を受け入れている臨床研修病院は、当該研修医が研修を修了し、又は中断するまでの間、当該研修医が受ける臨床研修に係る研修プログラムの変更をしてはならないこと。
(6)  (5)にかかわらず、やむを得ない場合にあっては、研修プログラムの変更を行うことも認められること。この場合において、臨床研修病院の開設者は、速やかに、(2)から(4)までの届出を行わなければならないこと。
(7)  平成16年度から開始する研修プログラムの変更又は新設の届出
 平成16年度から開始する研修プログラムを変更又は新設する場合には、平成15年8月31日までに研修プログラム変更・新設届出書を提出すること。なお、届出は平成15年6月16日から受け付けることとしており、できる限り速やかに提出願いたいこと。
 10  臨床研修病院の行う臨床研修
 臨床研修病院は、臨床研修病院の指定申請の際に提出し、又は研修プログラムの変更若しくは新設の届出を行った研修プログラム以外の研修プログラムに基づいて臨床研修を行ってはならないこと。
 11  研修医の募集の際の研修プログラム等の公表
 臨床研修病院の管理者は、研修医の募集を行おうとするときは、あらかじめ、研修プログラムとともに、次に掲げる事項を公表しなければならないこと。
(1)  研修プログラムの名称及び概要
(2)  研修医の募集定員並びに募集及び採用の方法
(3)  研修の開始時期
(4)  研修医の処遇に関する事項
(5)  臨床研修病院の指定について申請中である場合には、その旨
(6)  研修プログラムの変更又は新設の届出を行った場合(当該届出を行おうとしている場合を含む。)には、その旨
 12  臨床研修病院の年次報告
(1)  単独型臨床研修病院の年次報告
 単独型臨床研修病院の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院に関する年次報告書(様式8)に、現に行っている臨床研修に係る研修プログラムを添えて、これを厚生労働大臣に提出しなければならないこと。また、臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、臨床研修協力施設概況表(様式9)を添付すること。
 年次報告書及び添付書類は、厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(2)  管理型臨床研修病院の年次報告
 管理型臨床研修病院の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院に関する年次報告書(様式8)に、現に行っている臨床研修に係る研修プログラムを添えて、これを厚生労働大臣に提出しなければならないこと。また、臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、臨床研修協力施設概況表(様式9)を添付すること。
 管理型臨床研修病院の開設者は、当該病院に関する年次報告書及び添付書類と、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修病院に関する年次報告書とを、一括して厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(3)  協力型臨床研修病院の年次報告
 協力型臨床研修病院の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院に関する年次報告書(様式8)を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修病院の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
 13  臨床研修病院に対する厚生労働大臣の報告の徴収及び指示
(1)  厚生労働大臣は、臨床研修の実施に関し必要があると認めるときは、臨床研修病院の開設者又は管理者に対して報告を求めることができること。
(2)  厚生労働大臣は、研修プログラム、指導体制、施設、設備、研修医の処遇その他の臨床研修の実施に関する事項について適当でないと認めるときは、臨床研修病院の開設者又は管理者に対して必要な指示をすることができること。
(3)  厚生労働大臣は、臨床研修病院群については、管理型臨床研修病院の開設者又は管理者に対し、協力型臨床研修病院に関する(1)の報告の徴収又は(2)の必要な指示をすることができること。
 14  臨床研修病院の指定の取消し
(1)  厚生労働大臣は、臨床研修病院が次のいずれかに該当するときは、法第16条の2第2項の規定により臨床研修病院の指定を取り消すことができること。
 臨床研修病院の区分ごとに、5(1)から(3)までのそれぞれの臨床研修病院の指定の基準に適合しなくなったとき。
 5(4)イに該当するに至ったとき。
 6及び8から12までに違反したとき。
 その開設者又は管理者が、13(2)の指示に従わないとき。
(2)  臨床研修病院群を構成する臨床研修病院の指定の取消し
 厚生労働大臣は、臨床研修病院群の臨床研修病院の構成に変化がある場合には、当該臨床研修病院群に係るすべての臨床研修病院の指定を同時に取り消すものとすること。この場合において、関係する臨床研修病院の開設者は、15の手続に従い、臨床研修病院の指定の取消しの申請を行わなければならないこと。
 臨床研修病院の指定を同時に取り消された病院が、再度、同様の臨床研修病院群を構成するものとして臨床研修病院の指定の申請を行う場合には、管理型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、当該病院に関する指定申請書(様式1)及び添付書類を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。また、協力型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、当該病院に関する指定申請書(様式1)及び添付書類を管理型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者を経由して、厚生労働大臣に提出しなければならないこと。この場合において、管理型臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、当該病院に関する指定申請書等と、協力型臨床研修病院として共同して臨床研修を行うこととなる病院に関する指定申請書等とを、一括して厚生労働省医政局医事課あてに送付しなければならないこと。
 15  臨床研修病院の指定の取消しの申請
(1)  単独型臨床研修病院の指定の取消しの申請
 単独型臨床研修病院の開設者は、臨床研修病院の指定の取消しを受けようとするときは、あらかじめ指定取消申請書(様式10)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
 指定取消申請書は、厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(2)  管理型臨床研修病院の指定の取消しの申請
 管理型臨床研修病院の開設者は、臨床研修病院の指定の取消しを受けようとするときは、あらかじめ指定取消申請書(様式10)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
 管理型臨床研修病院の開設者は、当該病院に関する指定取消申請書と、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修病院に関する指定取消申請書とを、一括して厚生労働省医政局医事課あてに送付すること。
(3)  協力型臨床研修病院の指定の取消しの申請
 協力型臨床研修病院の開設者は、臨床研修病院の指定の取消しを受けようとするときは、あらかじめ指定取消申請書(様式10)を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修病院の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
(4)  厚生労働大臣は、(1)から(3)までの申請があった場合において、当該臨床研修病院の指定を取り消すことが相当と認めるときは、その指定を取り消すことができること。
 16  臨床研修の中断及び再開
(1)  臨床研修の中断
 臨床研修の中断とは、現に臨床研修を受けている研修医について研修プログラムに定められた研修期間の途中で臨床研修を中止することをいうものであること。
 研修管理委員会は、医師としての適正を欠く場合等研修医が臨床研修を継続することが困難であると認める場合には、当該研修医がそれまでに受けた臨床研修に係る当該研修医の評価を行い、単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者に対し、当該研修医の臨床研修を中断することを勧告することができること。
 単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者は、イの勧告又は研修医の申出を受けて、当該研修医の臨床研修を中断することができること。
 単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者は、研修医の臨床研修を中断した場合には、当該研修医の求めに応じて、速やかに、当該研修医に対して、当該研修医に関する次に掲げる事項を記載した臨床研修中断証(様式11)を交付しなければならないこと。
(ア)  氏名、医籍の登録番号及び生年月日
(イ)  中断した臨床研修に係る研修プログラムの名称
(ウ)  臨床研修を行った臨床研修病院(臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行った場合にあっては、臨床研修病院及び臨床研修協力施設)の名称
(エ)  臨床研修を開始し、及び中断した年月日
(オ)  臨床研修を中断した理由
(カ)  臨床研修を中断した時までの臨床研修の内容及び研修医の評価
(2)  臨床研修の再開
 臨床研修を中断した者は、自己の希望する臨床研修病院に、臨床研修中断証を添えて、臨床研修の再開を申し込むことができること。この場合において、臨床研修中断証の提出を受けた臨床研修病院が臨床研修を行うときは、当該臨床研修中断証の内容を考慮した臨床研修を行わなければならないこと。
 17  臨床研修の修了
(1)  研修管理委員会は、研修医の研修期間の終了に際し、臨床研修に関する当該研修医の評価を行い、単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者に対し、当該研修医の評価を報告しなければならないこと。この場合において、研修管理委員会は、臨床研修中断証を提出し臨床研修を再開した研修医については、当該臨床研修中断証に記載された当該研修医の評価を考慮するものとすること。
(2)  単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者は、(1)の評価に基づき、研修医が臨床研修を修了したと認めるときは、速やかに、当該研修医に対して、当該研修医に関する次に掲げる事項を記載した臨床研修修了証(様式12)を交付しなければならないこと。
 氏名、医籍の登録番号及び生年月日
 修了した臨床研修に係る研修プログラムの名称
 臨床研修を開始し、及び修了した年月日
 臨床研修を行った臨床研修病院(臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行った場合にあっては、臨床研修病院及び臨床研修協力施設)の名称
(3)  単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者は、(1)の評価に基づき、研修医が臨床研修を修了していないと認めるときは、速やかに、当該研修医に対して、理由を付して、その旨を文書(様式13)で通知しなければならないこと。
 18  臨床研修病院の記録の保存
(1)  単独型臨床研修病院又は管理型臨床研修病院の管理者は、帳簿を備え、臨床研修を受けた研修医に関する次の事項を記載し、当該研修医が臨床研修を修了し、又は中断した日から5年間保存しなければならないこと。
 氏名、医籍の登録番号及び生年月日
 修了し、又は中断した臨床研修に係る研修プログラムの名称
 臨床研修を開始し、及び修了し、又は中断した年月日
 臨床研修を行った臨床研修病院(臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行った場合にあっては、臨床研修病院及び臨床研修協力施設)の名称
 修了し、又は中断した臨床研修の内容及び研修医の評価
 臨床研修を中断した場合にあっては、臨床研修を中断した理由
(2)  (1)に定める保存は、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識することができない方法をいう。)による記録に係る記録媒体により行うことができること。
 19  大学病院と共同して臨床研修を行う臨床研修病院の特例
(1)  大学病院と共同して臨床研修を行うことにより、管理型臨床研修病院又は協力型臨床研修病院の指定を受けようとする者に対する5(2)又は(3)の臨床研修病院の指定の基準の適用については、当該大学病院を管理型臨床研修病院又は協力型臨床研修病院の指定を受けようとする者とみなすこと。
(2)  大学病院と共同して臨床研修を行うことにより、管理型臨床研修病院又は協力型臨床研修病院の指定を受けようとする、又は指定を受けた者の指定の申請、変更の届出等については、おって通知するものであること。
 20  国の開設する臨床研修病院の特例
 国の開設する臨床研修病院の特例については、臨床研修省令の定めによること。
 21  施行期日等
(1)  臨床研修省令は、公布の日から施行すること。
(2)  臨床研修省令は、改正法附則第1条第1号に掲げる規定の施行の際現に改正法第4条の規定による改正前の法第16条の2第1項の規定による指定を受けている病院が、改正法附則第1条第1号に掲げる規定の施行の際現に医師免許を受けている者及び当該規定の施行前に医師免許の申請を行った者であって当該規定の施行後に医師免許を受けたものに対して臨床研修を行う場合には、適用されないこと。すなわち、次に掲げる臨床研修を行う場合には、臨床研修省令は適用されないこと。
 平成16年4月1日前に開始される臨床研修
 平成16年4月1日以後に開始される臨床研修であって、同日前に法第16条の2第1項の指定を受けている病院が、同日前に医師免許を受けている者及び同日前に医師免許の申請を行った者であって同日以後に医師免許を受けたものに対して行うもの
(3)  (2)ア及びイの臨床研修を行う場合における臨床研修病院の指定の申請手続、指定の基準等については、「臨床研修を行う病院の指定に係る申請手続について」(平成6年7月15日付け健政発第551号)及び「臨床研修病院の指定基準等について」(平成5年3月25日付け健政発第197号)によるものであること。
(4)  平成16年4月1日以後に開始される臨床研修であって、(2)イ以外のものを行う場合には、臨床研修省令が適用されること。この場合においては、臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、臨床研修省令の規定に従い、臨床研修病院の指定の申請を行わなければならず、また、同日前に法第16条の2第1項の指定を受けている病院についても、臨床研修省令の規定に従い、臨床研修を行わなければならないものであること。
(5)  平成16年4月1日前に法第16条の2第1項の規定による指定を受けている病院については、改正法附則第9条(指定病院に係る経過措置)の規定により、改正法による改正後の法第16条の2第1項の規定による指定を受けている病院とみなされるものであること。具体的には、同日前に、単独で臨床研修病院の指定を受けている病院については臨床研修省令に基づく単独型臨床研修病院と、主病院の指定を受けている病院については臨床研修省令に基づく管理型臨床研修病院と、従病院の指定を受けている病院については臨床研修省令に基づく協力型臨床研修病院とみなされるものであること。
第3  当面の取扱い
 1  趣旨
 新たな医師臨床研修制度の実施に向けての体制整備に伴い、医療機関において医師の確保が困難となる可能性や、あるいは、都市部において研修を受ける研修医数が増加し、地方に定着する医師数の減少を惹起する可能性など地域医療に与える影響を懸念する指摘があることから、平成19年3月31日までの間は、臨床研修病院の指定基準について以下の取扱いとするものであること。
 2  受け入れる研修医の数について
 受け入れる研修医の数については、第2の5(1)ス(ア)にかかわらず、おおむね、病床数を8で除した数を超えない範囲とすること。この場合において、研修医の数とは、当該病院において受け入れているすべての研修医の数をいい、1年次及び2年次の研修医の数を合計したものであること。
 3  医師数について
 改正省令により、第2の5(1)イ、(2)イ及び(3)イは適用しないものとしたこと。
 4  指導医について
 指導医の臨床経験については、第2の6(7)アにかかわらず、5年以上とすること。
 5  平成19年4月1日以降の取扱い
 2から4までの取扱いについては、平成19年3月31日までの間に、臨床研修の実施状況を把握の上、同年4月1日以降も当該取扱いを継続するか否かを含め、再検討を行うものであること。
第4  検討規定
   厚生労働大臣は、臨床研修省令の施行後5年以内に、臨床研修省令の規定について所要の検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。

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