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3 第8回福祉部会における意見

論点 意見
利用者の視点に立った改革
(1) 公益性の追求
 社会福祉法人は、本来の自主性・自立性を取り戻し、地域における様々な福祉需要にきめ細かく、かつ、柔軟に対応し、あるいは制度の狭間に落ちてしまった人々への支援も創意工夫の下で行うなど、真に地域に根ざした、地域住民から認められる存在としての社会福祉法人への再生が急務である。
 税制などにおいて優遇を受けている社会福祉法人として、国民に評価される役割を発揮しなければならない。
 地域への貢献、低所得者対策等は、社会福祉法人が果たすべき役割として改めて打ち出すまでもなく当然のことである。
社会福祉法人が行う事業には、本来行う事業に付随して一体的に行っている公益的な事業もあることから、画一的に定款に記載されていない事業は行ってはならないとする指導監査は、適切ではないのではないか。
【参考】本資料pp.6〜13
(2) サービスの質の向上
 適切な第三者評価事業の普及・促進に向けた基盤整備を推進する必要がある。
 介護過誤のリスク、労務管理上のリスク等の顕在化を未然に防止するためのマネジメント能力が経営者に問われている。
 特に施設サービスについては、サービスの利用開始後において実際に自分が受けるサービス内容を選択するに当たり、利用者は非常に弱い立場にある。施設利用者の意向の把握・利用者の主体性の発揮・利用者のプライバシー保護のための具体的取組が乏しい。施設間においても取組状況にばらつきがある。
(3) 事業の透明性の確保
 多様な事業主体が参入する中で、情報公開の徹底、第三者評価制度の導入、財務内容の開示の3つを行っていれば、提供主体が社会福祉法人であろうと他の主体(医療法人・株式会社)であろうとサービス提供において差はなくなる。
社会福祉法人の活性化
(1) 管理運営体制の充実
 
 (1)  理事・理事会
 法人経営における責任者である理事長・理事会と、施設の運営管理における責任者である施設長との二重構造により、理事長・理事会の形骸化が見られる。
 在宅サービス分野において民間企業、NPO等と競合して事業を展開する中で、経営責任を有する理事長・理事会の権限・責任の在り方を改めて考えるべきである。
 役員体制については、執行体制の公益性を確保するための規制は維持しつつ、可能な限り各法人の独自性を発揮することが可能となるような仕組みとする必要がある。
 (2)  評議員会
 社会福祉法人には、極めて高い公益性・公共性、事業の安定性・継続性の観点から評議員会の設置が必要であるが、諮問機関としての位置付けの明確化や、理事会機能との明確な分離が求められる。
 介護保険事業を行う法人のみに評議員会の必置を義務付けるのでは、措置事業のみを行う法人を含めた制度全体としての規制の整合性がとれないのではないか。
【参考】本資料pp.14〜18(PDF:201KB)
(2) 経営の自律性の向上
 
 (1)  資金の使途
 措置費については、本部会計への繰入限度額を引き上げるとともに、将来の施設整備等に備えるための積立(引当)を可能とし、引当金の限度額を廃止すべきである。
 保育所運営費については、その収支差額を法人経費や同一法人が経営する保育所運営への充当を可能とし、さらに、同一法人が経営する他の社会福祉事業、待機児童の解消や、地域の福祉需要への対応に向けた基盤整備への充当を可能とすべきである。
 社会福祉事業における収支差額を社会福祉法人が行う公益的な事業(収益事業を除く)に充当することを可能とすべきである。
 (2)  資金の調達
 独立行政法人福祉医療機構と市中金融機関との協調融資制度を確立すべきである。
 資金調達の際の抵当は、理事長・設立者が提供しており、連帯保証人もなり手がないのが実態である。
 事業の安定性・継続性を確保するための方策(債務保証制度等)を講じた上で、社会福祉法人の基本財産処分(担保提供)を可能とする基準等を整備すべきである。
 寄附金の募集について、都道府県知事等の許可を受けるための手続を簡素化するとともに、許可が円滑に行われるような方策を講ずるべきである。
 法人債の発行の在り方について検討を深める必要がある。
【参考】本資料pp.19〜21
社会福祉法人に対する助成・支援の在り方  
 社会福祉施設職員等退職手当共済制度については、公費助成、制度の在り方を検討する際には、現在の加入者に不利益が生じないような措置を講ずるとともに、今後とも良質な福祉従事者を確保しうる制度の構築を図る必要がある。
 社会福祉法人は、施設整備補助を受けて社会的弱者への処遇の拠点となってきており、また、施設整備補助により利用者の負担も軽減されてきた。利用者自身に負担させるべきという意見は検討に値するとしても、施設整備補助自体がおかしいとは必ずしも言えない。
 介護保険施設を経営する社会福祉法人については、補助額の減少・法人負担の増加という状況を踏まえ、経営能力を備えた安定的な事業体になる必要がある。
 社会福祉法人は、株式会社等では課税される分を、サービスの向上や、新たな福祉需要への対応、地域福祉への積極的な貢献の財源としている。この仕組みを維持することが、国民の福祉水準・セーフティネットの確保に有意義である。
 社会福祉法人の税制上の優遇に対応して、社会的な支援を必要とする人々への優先的な支援を義務として行うことが必要ではないか。
その他  
 指導監査の範囲について、最低基準に関する事項に限定し、改めて明確化するとともに、指導項目・指摘事項について、それぞれ指導の根拠となる法律名・条文を示す必要がある。
 業者選定については、手続が公的に定められている場合は入札とするが、その他の場合には、各法人において一定のルールを整備した上で行うことができるようにする必要がある。
 介護保険事業の安定性、効率性を確保するため、社会福祉法人の合併について、簡素化等の推進策を講ずるべきである。


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