(1) | 「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書(平成12年12月8日)(要旨) |
○ | 社会福祉に関わる諸制度については、貧困者の救済を中心とした選別的な社会福祉から、国民生活の下支えとしての社会福祉へとその普遍化が図られる一方、近年、社会福祉制度が充実してきたにもかかわらず、社会や社会福祉の手が社会的援護を要する人々に届いていない事例が散見されるようになっている。 |
○ | 社会福祉は社会連帯によって支えられるものであるが、その社会における人々の「つながり」が社会福祉によって作り出されることも認識することが必要。 |
○ | 「社会福祉事業法等の一部を改正する法律」は、「地域福祉の推進」など地域社会における「つながり」を再構築するための改正でもあった。 |
○ | 現代においては、「心身の障害・不安」、「社会的排除や摩擦」、「社会的孤立や孤独」といった問題が重複・複合化しており、こうした現象は、いわば今日の社会が直面している社会の支え合う力の欠如や対立・摩擦、あるいは無関心といったものを示唆。(別紙(PDF:23KB)参照) |
○ | これらの問題が社会的孤立や排除のなかで「見えない」形をとり、問題の把握を一層困難にしている。こうした見えない問題を見えるようにするため、いくつかの問題把握の視点からの複眼的取り組みが必要。 |
(1) | 個人、家庭、地域、職域の要因 自助・共助として、個別の問題を受け止め、解決してきた家族や地域のつながりが希薄化し、また職域の援助機能も脆弱化。 |
(2) | 行政実施主体の要因 業務の専門性が高まる反面、その枠に収まらない対象者が制度の谷間に落ちるのを見過ごす傾向。社会福祉法人などの福祉サービス提供者の目的とした事業以外への積極的な取り組み意欲を阻害する制度運営。 |
(3) | 福祉サービス提供側の要因 行政から委託される社会福祉事業の執行に努めるあまり、困窮した人々の福祉ニーズを把握できず、見落とすといった問題も発生。 |
(1) | 新たな「公」の創造 今日的な「つながり」の再構築を図り、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う(ソーシャル・インクルージョン)ための社会福祉を模索する必要。 |
(2) | 問題の発見把握それ自体の重視 |
(3) | 問題把握から解決までの連携と統合的アプローチ |
(4) | 全ての人々の基本的人権に基づいたセーフティネットの確立 |
6. | 社会福祉に関する相反する要請 (略) |
(1) | 社会的なつながりを創出することに係る提言 | ||||||
(2) | 福祉サービス提供主体に係る提言
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(3) | 行政実施主体の取り組みに係る提言 | ||||||
(4) | 人材養成に関する提言 |
(5)その他… | ボランタリズムの醸成、福祉文化の創造、生活保護制度の検証 |
(2) | 低所得者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額減免 |
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(3) | 社会福祉法人における地域貢献の実例 |
(社会福祉施設経営者協議会「地域社会に根ざした社会福祉法人経営に向けて−社会福祉法人における地域貢献[1法人(施設)1実践]事例収集状況(平成15年9月1日)」より抜粋) |
1 地域住民への生活相談・電話相談 |
(1) | あいりん地区労働者等に対する生活相談 |
(1) | 施設種別 | 救護施設 | |
(2) | 活動内容 | 医療、福祉等生活全般にわたる相談を受付。 | |
(3) | 実施頻度 | 土・日曜を除く毎日 |
(2) | 子育て電話相談 |
(1) | 施設種別 | 乳児院 | |
(2) | 活動内容 | フリーダイヤルにて子育てに関する電話相談を実施。月1日来所相談も実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 毎週月曜10:00から16:00まで | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
個人、家族、学校等地域住民の子育て等に関する様々な相談に対応。虐待の予防にも効果。 |
(3) | 児童及びその保護者等を対象とする医療相談 |
(1) | 施設種別 | 情緒障害児短期治療施設 | |
(2) | 活動内容 | 施設付属の診療所において、概ね20歳以下の者及びその保護者を対象とした外来相談の実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 年間延べ約5,000件 |
(4) | 障害者生活相談 |
(1) | 施設種別 | 身体障害者療護施設 | |
(2) | 活動内容 | 法人所在地及びその近隣の市町村に居住する障害者及びその家族を対象とした、電話及び訪問による相談の実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 月曜日から金曜日までの毎日9:00から17:45まで(緊急時の24時間365日相談員対応) | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
既存施設・相談機関・その他社会資源とのネットワーク形成によるサービス調整が進展。成年後見制度に関する専門相談、申立支援等に大きな役割。 |
2 入所者の方々による地域支援 |
(1) | 知的障害者の電話メッセージ |
(1) | 施設種別 | 知的障害者施設 | |
(2) | 活動内容 | 知的障害者からの電話によるメッセージサービスにより、社会一般の方々に対し安らぎを提供。 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
福祉や知的障害者に対するイメージが望ましい方向に変化。知的障害者に対する一般の人々の意識の啓発の効果。 |
(2) | 盲人ホーム入所者による外来者に対するマッサージ治療 |
(1) | 施設種別 | 盲人ホーム | |
(2) | 活動内容 | 盲人ホームの入所者により、高齢者医療費助成券を利用する高齢者等の外来者に対してマッサージ治療の実施。 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
マッサージ施術により地域住民の健康保持・増進に寄与。特に、助成券により安く治療を受けられるため、高齢者が治療を受けやすく、高齢者の健康・生きがいの支えの効果。 |
3 地域住民のボランティア活動やサークル活動の支援 |
(1) | 子育てサークル支援 |
(1) | 施設種別 | 保育所 | |
(2) | 活動内容 | 0歳から就学前の子どもと親を対象に、親と子の遊びを中心とした調理実習、応急処置、保育園行事への参加等の実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 毎月第1〜第4水曜日 9:30から11:30まで | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
親子遊びの中で保護者同士の交流が広がり、子ども自身も遊びへの楽しみが深まる。子育てを地域で考え合う機会とし、地域の主婦から子育ての知恵を感じ取りながら母親として学びを深める効果。 |
(2) | 子育てサークル支援・学童保育 |
(1) | 施設種別 | 保育所 | |||||
(2) | 活動内容 |
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(3) | 実施頻度 |
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(3) | 学童ボランティア活動支援 |
(1) | 施設種別 | 保育所 | |
(2) | 活動内容 | 小学生及びその保護者を対象に、ワークキャンプ(年1回)、赤い羽根共同 | |
(3) | 実施頻度 | 募金(年3回)、海岸の清掃活動(年3回)、「愛は地球を救う」募金活動(年1回)、空缶拾い(年12回)、福祉施設ふれあい交流(年12回) | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
小学生のボランティア活動に対する意識の醸成。 |
4 様々なサービスの提供 |
(1) | 知的通所授産施設でのトレーニング指導 |
(1) | 施設種別 | 知的通所授産施設 | |
(2) | 活動内容 | 障害者及びその保護者を対象として、健康ストレッチ・エアロビクス体操・民舞・カラオケ・スポーツジムトレーニングを指導者付きで実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 毎週土曜日 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
施設利用者のみならず、在宅の障害者(障害種別問わず)を含めた活動の広がり。 |
(2) | 障害児預かりサービス |
(1) | 施設種別 | 知的障害者更生施設 | |
(2) | 活動内容 | 家庭に係る負担を軽減するため、放課後及び長期休暇期間における養護学校に通う児童の保護預かり。保護者が送迎できない児童に対する施設による送迎の実施。 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
事業開始当初は、数名の方へ施設独自で行っていたが、次第に利用者が増え、現在は地域の理解が得られ市町村からの委託へと拡大。 |
(3) | 難病患者を対象とした入浴サービス |
(1) | 施設種別 | 特別養護老人ホーム | |
(2) | 活動内容 | 身体障害者(難病患者等)の送迎食事付き入浴サービスの実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 毎週火曜日・金曜日 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
介護保険の適用を受けられない障害者に対する支援策として有効。また、在宅酸素使用者や重度の身体障害者など長時間のサービス提供に耐えられない方々にも喜ばれている。 |
(4) | 小規模多機能ホームでの宿泊サービス |
(1) | 施設種別 | 小規模多機能ホーム | |
(2) | 活動内容 | 民家を一部増築した多機能ホームに、法人の公益事業として「泊り」サービスを設け、痴呆症の高齢者の通所・宿泊・居住が可能。 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
家族のレスパイトに寄与。 |
(5) | 地域の一人暮らし高齢者を対象としたサテライトデイサービス |
(2) | 活動内容 | 地域の一人暮らし高齢者を対象とした、地域の自治会館における健康チェック、体操、レクリエーション等の実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 毎月1回 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
活動を行う過程で自発的なボランティアグループが発足し、地域福祉活動として引き継ぎたいとのことで、当該グループが自主運営できるようになるまでサポートを続けた。デイサービスは現在も月1回実施されており、利用者を施設の行事に招いたり、ボランティアグループが施設内で活動するなどの交流が続いている。 |
(6) | 地域の一人暮らし高齢者等を対象とした配食サービス |
(1) | 施設種別 | 在宅介護複合施設 | |
(2) | 活動内容 | 独居や高齢者世帯に対する食事の配達の実施。糖尿病、腎臓病、高血圧患者向けの治療食も対応可能。 | |
(3) | 実施頻度 | 正月三が日及び日曜日を除く毎日 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
独居や高齢者世帯のため食事の用意が困難な方に提供することで、食生活が改善。また、配達時に安否確認ができ、在宅生活の不安の軽減に寄与。 |
(7) | 歩行浴温泉プールの無料開放 |
(2) | 活動内容 | 天然温泉を利用した歩行浴プールを用いた、地域の65歳以上の高齢者健康増進と介護予防。デイサービスの利用者以外の者も利用。 | |
(3) | 実施頻度 | 毎日10:00から15:00まで | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
利用者間の宣伝により、デイサービス利用者が前年対比で1日5.5人の増加。 |
5 その他の独自プログラム |
○ | 緊急通報システムに登録されている一人暮らし高齢者・障害者に対する声 かけサービス |
(1) | 施設種別 | 特別養護老人ホーム | |
(2) | 活動内容 | 緊急通報システムに登録されている一人暮らし高齢者・障害者に対して、ボランティアを活用して自宅へ電話をし、安否の確認、相談等を実施。 | |
(3) | 実施頻度 | 週3回 | |
(4) | 活動の成果 地域への影響 |
一人暮らし高齢者・障害者が在宅生活を送る上での安心材料としての効果。 |