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6 経営の自律性の向上

(1)  措置費(運営費)の弾力運用の見直しについて

 社会福祉施設の措置費の運用について、規制改革推進3カ年計画(平成15年3月28日閣議決定(再改定))の指摘を踏まえ、運用の制約を見直し、措置費の一層の弾力化を図った。

【見直しのポイント】

 同一法人が運営する措置施設の整備に係る償還金及び法人本部の運営費として充当できる措置費の対象範囲を拡大した。

 人件費積立金、修繕積立金、備品等購入積立金の積立限度額を撤廃し、中・長期的な視点で目的をもって積立てることができることとした。

 弾力運用を認めるにあたり、以下の要件を課した。

(1)  社会福祉法人会計基準により作成された計算書類を公開。

(2)   次のア又はイのいずれかを実施。

 入所者等に対する苦情解決の仕組みの周知、第三者委員の設置及び苦情内容や解決結果の公表。

 福祉サービスの第三者評価の受審及び結果の公表。


(2)  保育所の運営費補助の余剰金に係る会計処理の柔軟化について(概要)

 都市部を中心に相当数の待機児童が存在する中、充分な保育サービスの提供を可能とするとともに、次世代育成支援のための取組を促すため運営費の使途の規制緩和を行った。

【見直しのポイント】

 運営費・各積立金・繰越金の使途範囲の拡大を認めることとした。

 運営費・各積立金・繰越金について、あわせて運営費の3か月分相当額まで、以下の用途に充当することを可能とした。
(目的外使用を行う際は、都道府県知事への事前協議が必要)

(1)  保育所の施設整備・修繕、賃借料、借入金の償還・積立、租税

(2)  当該法人が行う子育て支援事業(※)のための施設整備・修繕、当該経費に係る借入金の償還に要する経費

 放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業等

 弾力運用を認めるに当たり、保育所の適正運営に加え、次の条件を満たしていることが必要。

(1)  社会福祉法人会計基準により作成された計算書類を公開。

(2)  保育サービスの質の向上を担保するため、次の措置を実施すること。

@  第三者評価の受審及び結果の公表(原則として弾力運用前1年以内に受審・公表を行うとともに、弾力運用後、少なくとも3年に1回程度受審・公表。)。

A  @により難い場合、利用者に対する苦情解決の仕組みの周知、第三者委員の設置及び苦情内容や解決結果の公表。この場合、弾力運用後、少なくとも3年に1回程度、第三者評価の受審・公表


(3)  基本財産の担保提供の承認に係る取扱いについて

 社会福祉法人に対する補助金や、独立行政法人福祉医療機構からの融資の伸びが期待できない中で、これらに加えて、新たな資金調達の方法が求められているところである。

 一方、基本財産は、法人存立の基礎となるものであることから、これを担保に供する場合には、所轄庁の承認を受けなければならないこととされているところであるが、承認の取扱いの地域による相違や、一律に不承認としている所轄庁も見られることから、本年3月2日に開催された社会・援護局関係主管課長会議において、以下のとおり担保提供の承認の考え方を示し、これに則した運用を促した。

所轄庁による担保提供の承認の考え方
1 担保提供の目的の妥当性について
   借入金の目的は、社会福祉事業に充てられるべきものであり、当該法人の役員や当該役員の経営する会社等の債務の担保に提供するなど、当該法人の事業とは無関係の目的で行う担保提供であってはならないこと。

2 担保提供の必要性について
   国・地方公共団体からの十分な額の助成が見込めないこと、基本財産以外に処分しうる財産が存在しないこと等の理由により、担保提供を行う以外に適当な資金調達の手段がないこと。

3 担保提供方法の妥当性について
   担保提供の承認の対象となる借入先については、地方公共団体、社会福祉事業団、社会福祉協議会のほか、確実な民間金融機関を含むものであること。
 なお、不当に利子を得るようなものは適当ではないこと。
   適正な償還計画があり、かつ、当該法人に対する寄附金や事業収入の状況から判断して、償還期間の間、当該法人の事業運営に支障が生じないと認められること。

4 担保提供に係る意思決定の適法性について
   定款所定の手続を経ていること。


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