戻る  前ページ  次ページ

V.公募研究事業の概要等

  各研究事業の概要及び新規課題採択方針等

1.行政政策研究事業(仮称)
(1)政策科学推進研究事業
 <事業概要>
   社会保障制度に対する国民の関心は高まっており、施策を推進していくうえでは専門的・実務的な観点からの実証的研究を踏まえた政策の企画立案が求められている。
 本研究事業は人文・社会科学系を中心とした人口・少子化問題、社会保障制度全般に関する研究、年金に関する政策科学研究等に積極的に取り組み、社会保障を中心とした厚生労働行政施策の企画立案及び効率的な推進に資することを目的としている。

 <新規課題採択方針>
   人口・少子化問題に関する調査研究、社会保障制度全般、社会保障と社会・経済、社会保障分野における情報化・政策評価、医療・介護の経済的評価、年金に関する政策科学研究。
 多職種による共同研究で施策に直結する実証的研究で短期間で具体的な成果を上げることが見込まれるものを積極的に評価。

研究費の規模:1,000〜10,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:23課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  社会保障制度に影響を与える社会経済の変化の動向及びこれらに対する政策的対応に関する調査研究
(ア) 人口・少子化問題に関する調査研究
(a) 男性の育児休暇取得を促進する要因及び政策についての調査研究
(b) 結婚、出産、子育ての家庭構造、ライフコース別変化の動向、要因の把握及びこれらに対する社会保障の政策的対応に関する調査研究
(c) 人口及び世帯推計の手法に関する調査研究
(d) 子どもを持つ世帯の実態と子育て支援に関する研究
(イ) 社会・産業構造等の変化が社会保障に与える影響に関する調査研究
(a) 社会保障における低所得者対策と生活保護の在り方に関する研究
(b) 就労形態の変化の動向及びこれらに対する社会保障の政策的対応に関する調査研究
(c) 社会保障とソーシャル・インクルージョン(貧困者や失業者、ホームレス等社会から排除されている人々の社会的参入)との関係に関する調査
(d) 家族構造及び女性のライフコース(一生を生きていく道筋)の変化と社会保障との関係に関する研究
(2)  社会保障の共通事項に関する調査研究
(ア) 社会保障分野の政策評価に関する調査研究
(a) 地域における少子化対策の評価に関する実証研究
(b) 保健医療分野の政策評価に関する実証研究
(c) 福祉・介護分野の政策評価に関する実証研究
(d) 年金分野の政策評価に関する実証研究
(e) 独立行政法人の政策評価に関する実証研究
(f) その他政策評価に関する研究
(イ) 社会保障におけるサービス提供主体に関する調査研究
(ウ) 社会保障財源と税制の在り方に関する研究
(エ) 社会保障分野における権利擁護と安全確保に関する法律学的分析及び研究
(オ) 社会保障制度が家計等経済主体に及ぼす影響に関する研究
(カ) 個人レベルの社会保障の給付と負担に関する情報を各人に提供する仕組みに関する研究
(キ) 人口、経済及び社会保障の総合的なモデルに関する研究
(ク) 所得・資産格差と社会保障給付・負担の在り方に関する研究
(3)  社会保障と関連する施策との連携に関する調査研究
(ア) 労働政策との連携に関する調査研究
(イ) 地域政策推進に関する調査研究
(a) 地域、ボランティア、家族等の私的ネットワーク機能の変動、今後の動向及びこれらに対する社会保障の政策的対応に関する調査研究
(b) 地方分権、市町村合併及び規制改革等を踏まえた、今後の社会保障分野における国、地方、民間の役割に関する調査研究
(ウ) 情報政策推進に関する調査研究
(a) 情報化社会における社会保障政策の在り方に関する研究
(b) 情報化による社会保障行政の効率化に関する研究
(c) 社会保障分野における個人情報の保護及び利活用に関する研究
(d) 社会保障分野における情報化の進展が経済及び社会に及ぼす影響に関する研究
(エ) 社会保障政策としての住宅政策に関する研究
(オ) その他社会保障と関連する施策との連携に関する調査研究
(4)  社会保障の個別分野に関する調査研究
(ア) 医療に関する制度及び施策並びに経済的評価に関する研究
(a) 医療行為及び医療機関の管理費用の評価に関する研究
(b) 医薬品の価格設定に関する国際比較研究
(c) その他医療に関する制度及び施策並びに経済的評価に関する研究
(イ) わが国の疾病負荷(disease burden)等に基づく保健医療研究分野の優先順位付けに関する研究
(ウ) 介護及び社会福祉に関する制度及び施策並びに経済的評価に関する研究
(a) 介護保険制度のマクロ経済への影響に関する研究
(b) 介護予防対策の費用対効果に着目した経済的評価に関する研究
(c) 介護サービスの利用に伴う高齢者の経済的負担に関する研究
(d) 地域福祉の在り方に関する研究
(e) その他介護及び社会福祉に関する制度及び施策並びに経済的評価に関する研究
(エ) 年金に関する政策科学研究
(a) 年金水準の比較(国際間、世代間等)に関する調査研究
(b) 就労形態、賃金体系、男女の賃金格差の変化と年金制度の設計に関する調査研究
(c) その他年金に関する政策科学研究

(2)統計情報高度利用総合研究事業
 <事業概要>
   少子・高齢化の進展や国民のニーズの多様化に伴い、厚生労働行政を推進するうえで、今後ますますきめ細かい、正確で使いやすい統計情報が必要とされる。
 これに対応するため、本研究事業では保健、医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に係る統計調査の在り方に関する研究及びこれまでの厚生労働統計調査で得られた情報の高度利用に関する研究を実施し、厚生労働行政の推進に資することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   保健、医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に係る統計調査の在り方に関する研究及びこれまでの厚生労働統計調査で得られた情報の高度利用に関する研究。
 なお、厚生労働省大臣官房統計情報部所管の統計調査に実際に応用が可能な研究を評価する。

研究費の規模:1課題あたり3,000千円〜4,500千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜2年程度

新規採択予定課題数:3〜4課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  厚生労働統計の高度分析指標の開発・適応に関する研究
(2)  厚生労働統計情報の高度処理システムの開発に関する研究
(3)  厚生労働統計情報の国際的情報発信等に関する研究
(4)  その他統計調査の高度な利用又は効率的かつ効果的な企画・立案及び実施方策に関する研究であって、重要性・緊急性が特に高いもの。
<参考>
   課題選択にあたっては、「統計行政の新たな展開方向(平成15年6月27日)」(http://www.stat.go.jp/info/guide/public/tenkai/pdf/houdou.pdf)を踏まえた研究を優先する。

(3)社会保障国際協力推進研究事業
 <事業概要>
   感染症、栄養、災害等の従来の問題に加え、近年は人口の急速な高齢化、都市部への人口集中、疾病構造の変化などに伴い、医療保険・年金、公衆衛生等を含めた広義の社会保障分野全体を視野においた国際協力が重要性を増しており、同時に国際協力の効果的、戦略的実施の必要性も高まっている。
 このため、本研究事業は、このような状況に対応した、社会保障に係る国際協力の効果的実施に資することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   効果的・効率的な協力を推進するための戦略的重点的方策に関する研究について募集を行う。
 上記状況に鑑み、WHO等の国際機関を通じた多国間協力及び二国間での国際協力を進めるにあたって、その具体的な方向性を示すための基礎資料となる研究を採択する。
 また、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり2,000千円〜5,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年程度

新規採択予定課題数:3課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  多国間協力事業の進捗管理及び評価(Monitoring &Evaluation)手法のあり方に関する研究
 (留意点)
 ・ 複数の拠出者(政府及び民間財団等)が支援する事業を対象とした多国間協力(マルチ)事業の進捗管理及び評価手法(Monitoring & Evaluation)を検討すること。
 ・ 例えばWHO関連パートナー(Stop TBやGAVI)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金など、民間企業やNGOsなどの市民社会が参画する事業を対象とすること。
 ・ それらの事業計画の立て方、進捗状況のモニタリング手法、事業の意志決定に対する拠出者の関与について明らかにすること。
(2)  国際協力支援事業のモニタリング・評価に関する研究
 (留意点)
 ・ USAID(米)及びDFID(英)等、他国政府や援助機関の中でモニタリングや事業評価に積極的に取り組んでいる事例の国際的な知見も集積し、これまで開発されているモニタリング方法、評価方法について比較すること。
(3)  国内施策へのメリットや整合性を踏まえた社会保障分野に関する国際協力の在り方に関する研究
 (留意点)
 ・ わが国の厳しい財政状況を勘案した、今後の支援分野及び支援地域に関する戦略的な重点化・優先順位化を検討し提言すること。
 ・ 国内施策の現状及びその方向性を踏まえ、国内施策と国際協力が連携するのに必要な方策に関する提示を含むこと。

(4)国際健康危機管理ネットワーク強化研究事業(仮称)
 <事業概要>
   BSE、エボラ出血熱及び最近のSARS(重症急性呼吸器症候群)、更にバイオテロの発生などに対して、国民の健康被害を最小限にするためには、国外からの情報等に基づく健康危機管理体制の強化が重要な課題である。このような観点から、ネットワーク強化事業研究及び健康危機管理の人材養成研究に、早急に取り組む必要がある。
 このため、本研究事業は、情報基盤整備及び健康危機管理人材養成に研究成果を活用することにより、我が国の保健医療システムが強化され、国民の健康に対する不安が軽減され、安心・安全な社会の確保に資することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   国際健康危機管理ネットワーク強化事業研究及び国際的な健康危機管理の人材養成研究について募集を行う。
 BSEやSARS、生物兵器を利用したテロ等の発生に対する国際的な感染症分野での研究を強化するとともに、国民の健康被害を最小限にするため、感染症等の発生動向の監視評価や国内外の情報収集と解明のための国際機関等とのネットワークのあり方や、国際的な健康危機管理に必要な人材養成に関する研究を採択する。
 また、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択する。

 研究費の規模:1課題当たり3,000千円〜12,000千円程度(1年当たり)

 研究期間:1〜3年程度

 新規採択予定課題数:6課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  ネットワーク強化事業研究
(ア) 国際的な感染症流行等の発生動向の監視システムのあり方、非政府機関とのネットワークのあり方、国際機関との連携や情報共有システムのあり方に関する研究
(イ) WHOなどの国際機関に加盟する他国との情報交換のあり方や具体的なシステム構築の考え方に関する研究
(ウ) 紛争地域や国際機関非加盟国など既存の国際的枠組みで連携困難な他国や地域との連携のあり方に関する研究
 (2)  健康危機管理の人材養成研究
(ア) 国際的な健康危機管理に特有のノウハウや、国際的なサーベイランスシステムの管理に必要なスキルの獲得に関する研究
(イ) WHO等の国際機関、米国CDC等他国援助機関、各国NGOにおける専門家等人材育成に対する支援や関与のあり方に関する研究


2.先端的基盤開発研究事業
(1)ヒトゲノム・再生医療等研究事業
 <事業概要>
   新しい千年紀のプロジェクト、すなわち「ミレニアム・プロジェクト」のうち、高齢化分野のプロジェクトを構成する事業の一つとして、高齢者の主要な疾患の遺伝子の解明に基づく個人の特徴に応じた革新的な医療の実現、自己修復能力を利用した骨、血管等の再生医療の実現などを目指す。また、これらに関わる安全性の確保のための研究を進める。
 なお、本研究事業は、総合的かつ効果的な推進のために、文部科学省、農林水産省、経済産業省との共同・連携を図っていくこととしている。

 <新規採択課題方針>
  (ヒトゲノム分野)
   高齢者に主要な疾患に関連する遺伝子の解析等に関する研究、遺伝子治療の基盤となる研究。

研究費の規模:1課題当たり30,000〜50,000 千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年(中間評価により中途で終了することがある。)

新規採択予定課題数:10〜15課題程度

(遺伝子治療分野)
   遺伝子治療に用いるベクターの開発研究及び遺伝子治療に用いるベクターの安全性及び有効性評価方法に関する研究

研究費の規模:1課題当たり30,000〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:5課題程度

(生命倫理分野)
   ヒトゲノム分野、遺伝子治療分野及び再生医療分野研究に関連する倫理に関する研究。

研究費の規模:1課題当たり3,000〜7,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年(中間評価により中途で終了することがある。)

新規採択予定課題数:2〜3課題程度

(再生医療分野)
   移植医療の発展に有用であり、以下の公募課題に合致した研究。

研究費の規模:1課題当たり10,000〜50,000 千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年(中間評価により中途で終了することがある。)

新規採択予定課題数:5課題程度

 <公募研究課題>
  (ヒトゲノム分野)
 (1)  高齢者の主要な疾患に関連する遺伝子の同定等に関する研究
 (2)  高齢者の主要な疾患に関連する遺伝子、たんぱく質等の機能の解明に関する研究
 (3)  高齢者の主要な疾患に用いる薬剤の反応性に関連する遺伝子の同定等に関する研究
 (4)  高齢者の主要な疾患に用いる薬剤の反応性に関連する遺伝子、たんぱく質等の機能の解明に関する研究

(遺伝子治療分野)
 (1)  遺伝子治療に用いる、従来より優れたベクターの開発研究
 (2)  遺伝子治療に用いるベクターの安全性及び有効性評価方法に関する研究

(生命倫理研究分野)
 (1)  臨床研究、遺伝子解析研究、再生医療等の先端医療分野における生命倫理に関する研究

(再生医療分野)
 (1)  移植医療に関する新たな技術開発に関する研究
(ア)  人工臓器開発等の新しい移植医療技術の開発に関する研究
(イ)  安全性等に資する新たな臨床技術の開発に関する研究
 (2)  移植医療におけるドナー及びレシピエントのQOL向上に関する研究
 (3)  移植医療に関する国際比較分析に関する研究
 (4)  その他、再生医療および移植医療に関する研究であって、重要性および緊急性が特に高いもの
 <参考>
   なお、研究計画の提出に当たり、以下の点も留意すること。
(1) 「7.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。
(2) 「11.申請者の研究歴等」につきより詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する論文3編を添付すること(各編毎に、論文(全文)の写し20部とそのPDFファイルを添付すること)。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。
 申請する課題に係る分野に特に関連するもの
 申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

(2)萌芽的先端医療技術推進研究事業
 <事業概要>
  (ナノメディシン分野)
   超微細技術(ナノテクノロジー)の医学への応用による非侵襲・低侵襲を目指した医療機器等の研究・開発を推進し、患者にとってより安全・安心な医療技術の提供の実現を図ることを目的とする。なお、事業の推進に当たっては、指定(プロジェクト)型及び公募型の研究費を設け、基盤的な技術開発については国として着実な推進を図る観点から指定(プロジェクト)型で、指定(プロジェクト)型以外の技術開発については広く知見を集積する観点から公募型で事業を推進することとしている。また、指定(プロジェクト)型、公募型とも、民間企業との連携を図ることとする。

 <新規課題採択方針>
  (ナノメディシン分野)
   超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療機器、医薬品の開発技術を、民間企業と連携を図り、発展させる研究。ただし、指定(プロジェクト)型の研究内容を除く。また、若手研究については必ずしも民間企業との連携を図る必要はない。

研究費の規模: 1課題当たり40,000千円〜80,000千円(1年当たり)
若手研究については5,000千円程度(1年当たり)

研究期間:3年

新規採択予定数: 15〜20課題程度
若手研究10課題程度

 <公募研究課題>
  (ナノメディシン分野)
   超微細技術(ナノテクノロジー)を用いた医療機器、医薬品の開発技術に関する研究のうち次に掲げるもの。

 (1)  薬物伝達システム(ドラッグ・デリバリー・システム)に関する研究
(ア) 患者の薬物治療コンプライアンス改善のためのナノ技術による新しい投薬方法の提供
(イ) 物理エネルギー等による局所ナノDDSの開発
(ウ) 遺伝子治療等に用いるキャリア材料の開発
 (2)  診断・治療機器等の医療デバイスの開発に関する研究
(ア) テーラーメイド医療実現のためのDNAチップ、プロテインチップ等を用いた新しい診断機器の開発
(イ) バイオセンサー等を用いた在宅での健康管理を可能とする機器の開発
 (3)  企業等、国立試験研究機関又は大学等に所属する36歳以下の研究者が上記(1)〜(3)において主体となって行う先端的あるいは基盤的研究(若手研究)


3.臨床応用基盤研究事業(仮称)
(1)基礎研究成果の臨床応用推進研究事業
 <事業概要>
   我が国で生み出された基礎研究の成果を臨床現場に迅速かつ効率的に応用していくために必要な技術開発、探索的な臨床研究等を推進することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   画期的かつ優れた治療法の確立を目指し、我が国で生み出された基礎研究の成果を臨床現場で適切に応用する探索的臨床研究

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜100,000千円(1年当たり)

研究期間:3年

新規採択予定数:5課題程度

 <公募研究課題>
 
(1) 主任研究者又は分担研究者が出願している薬物又は医療技術等の基本特許を活用して、画期的かつ優れた治療法として3年以内に探索的な臨床研究に着手しうることが明らかな薬物又は医療技術に関する研究。例えば、遺伝子治療、細胞治療、ヒト型化抗体を用いる治療、新規の医療機器の開発に関する研究等。
 なお、実施に際しては、医薬品GCP(平成9年厚生省令第28号「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」)又は臨床研究倫理指針(平成15年7月30日厚生労働省告示第255号)と等しいレベルでの科学性及び倫理性を確保すること。


4.長寿科学総合研究事業
(1)長寿科学総合研究事業
 <事業概要>
   我が国は、国民の1/4が高齢者という超高齢化社会を世界に類を見ないスピードで迎えようとしており、今後も活力ある社会を保ち続けるためには高齢者が健康で生きがいをもって生活できるようにすることが大切である。
 また、社会が「寝たきり」等で介護するようになった高齢者を無理なく受け入れ、国民が安心して生涯を過ごすことができる社会へと転換していくことが不可欠となっている。
 このため上記の課題に対応した長寿科学研究に積極的に取り組み総合的に推進することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   老化、老年病(看護、漢方及び東洋医学を含む)、リハビリテーション、介護、支援機器及び居住環境、老人保健及び老人福祉、社会科学に関する研究など高齢者の保健医療福祉に関する研究について募集を行う。
 ただし、基本的に、厚生労働行政と一体的に推進する研究や、老人福祉法、老人保健法、介護保険法等による実際のサービス提供への応用が可能な研究を採択する。
 また、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択するとともに、特に公募研究課題(3)〜(7)に係る課題採択にあたっては、「高齢者介護研究会報告書(平成15年6月)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/index.html)の趣旨を踏まえ、高齢社会の将来像を見据えた高齢者の尊厳を支える介護及び保健福祉施策の確立に資するものを優先的に取り扱う。

研究費の規模:1課題あたり5,000〜30,000千円程度(1年あたり)

研究期間: 原則として2年以内
ただし、内容に応じて3年以上の研究を認める場合がある

新規採択予定課題数:20〜30課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  老化分野
(ア) 老化の制御及び予防に関する研究
(イ) 高齢者の口腔機能の予防及び改善に関する研究
(ウ) 高齢者の栄養改善に関する研究
(エ) 高齢者における薬剤の適正使用に関する研究
(オ) 老化に関する長期縦断疫学研究
(2)  老年病分野
(ア) 主要老年病に係る治療法の開発及び普及に関する研究
(イ) 主要老年病に係る予防及び予防体制の確立に関する研究
(ウ) 高齢者の終末期ケアに関する研究
(エ) 高齢者の看護に関する研究
(オ) 高齢者の漢方及び東洋医学に関する研究
(3)  リハビリテーション分野
(ア) 高齢者の生活機能障害(音声言語機能障害を含む)のリハビリテーションに関する研究のうち以下に掲げるもの
(a) 生活機能障害とリハビリテーション効果の評価法に関する研究
(b) 病態別にみた高齢者リハビリテーションの標準化に関する研究
(イ) 高齢者の地域リハビリテーションに関する研究のうち次に掲げるもの
(a) 地域リハビリテーション体制の構築に関する研究
(b) 訪問・通所リハビリテーションに関する研究
(c) 高齢者の居宅における生活自立プログラムに関する研究
(ウ) 高齢者の施設内における要介護度に応じたリハビリテーションプログラムに関する研究
(4)  介護分野
(ア) 要介護状態の評価に関する研究のうち次に掲げるもの
(a) 要介護状態に着目した長期縦断疫学研究
(b) サービスの提供による状態の改善効果測定に関する研究
(イ) 介護サービスの方法・管理・評価に関する研究のうち次に掲げるもの
(a) 介護サービス及び介護従事者の質の評価に関する研究
(b) 介護サービスの計画及び標準化に関する研究
(c) 痴呆性高齢者の介護に関する研究
(d) ユニットケアにおける介護に関する研究
(e) グループホーム及び小規模多機能ケア施設における介護に関する研究
(f) 訪問介護・通所介護の方法・管理に関する研究
(g) 身体拘束をしない介護方法に関する研究
(h) 移動介護技術に関する研究
(i) 施設におけるサービスに関する研究
(j) 施設機能の地域分散展開に関する研究
(k) 介護における医療介入の必要度に関する研究
(ウ) 介護予防サービス及び介護予防事業の評価に関する研究
(エ) 介護支援専門員の資質向上等に関する研究のうち次に掲げるもの
(a) ケアプラン作成手法に関する研究
(b) ケアマネジメント評価に関する研究
(c) チームアプローチ手法に関する研究
(d) ケアマネジメント事例の評価・分析に関する研究
(オ) 介護サービスの利用者選択の促進に関する研究のうち次に掲げるもの
(a) 介護サービスにおける利用者選択要因に関する研究
(b) 介護サービスにおける情報開示に関する研究
(5)  支援機器及び居住環境分野
(ア) 高齢者の支援機器に関する研究
(イ) 高齢者の在宅医療に係る機器に関する研究
(ウ) 高齢者の居宅環境に関する研究
(6)  老人保健及び老人福祉分野
(ア) 老人保健事業の推進及び評価に関する研究
(イ) 老人の福祉施策の実施に関する研究
(ウ) 老人保健及び福祉に従事する人材の育成・研修に関する研究
(7)  社会科学分野
(ア) 高齢者虐待及び権利擁護に関する研究
(イ) 介護の場における在宅と施設の連携に関する研究
(ウ) 高齢者の社会生活促進に関する研究のうち次に掲げるもの
 (a) 地域包括ケアシステムの構築に関する研究
 (b) 地域包括ケアにおける当事者役割に関する研究
 (c) シニア・ピア・カウンセリング、傾聴ボランティア等に関する研究
(エ) 高齢者の社会参加及び社会貢献に関する研究
(オ) 高齢者の生きがい・満足感及び生活の質に関する研究
(カ) 高齢者の医療と介護の提供状況、役割分担及び連携に関する研究
(キ) 高齢者と障害者のケアに関する研究

(2)痴呆・骨折臨床研究事業
 <事業概要>
   豊かで活力ある長寿社会を創造することを目指して、要介護状態の大きな原因である痴呆及び骨折等を予防し、健康的な高齢期を過ごせることが国民から切に望まれている。
 このため、地域医療との連携を重視しつつ、先端的科学の研究を重点的に振興するとともに、その成果を活用し、予防と治療成績の向上を果たすための総合的な戦略である「メディカル・フロンティア戦略」の一環として、痴呆及び骨折等について、より効果的な保健、医療及び介護技術を確立するための臨床研究等を推進する。

 <新規採択方針>
   痴呆及び骨折等について、より効果的かつ効率的な予防、診断、治療、リハビリテーション及び介護等を確立するための臨床研究等について募集を行う。
 なお、臨床研究(介入研究を含む。)及び実践研究に係る課題採択にあたっては、ランダム化比較試験、症例対照研究等、質の高い情報が得られるよう配慮された試験計画を有するものを優先的に取り扱う。
 また、介護及び保健福祉に関する研究については、「高齢者介護研究会報告書(平成15年6月)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/index.html)の趣旨を踏まえ、高齢社会の将来像を見据えた高齢者の尊厳を支える介護及び保健福祉施策の確立に資するものを優先的に取り扱う。

研究費の規模:1課題あたり5,000〜30,000千円程度(1年あたり)

研究期間:2年以内

新規採択予定課題数:20課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  痴呆に係るより効果的かつ効率的な予防、診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する調査研究
(ア) 痴呆患者の個別病態ごとの具体的な医療手順に関する調査研究のうち次に掲げるもの
(a) アルツハイマー病の個別病態ごとの具体的な医療手順に関する調査研究
(b) 脳血管性痴呆の個別病態ごとの具体的な医療手順に関する調査研究
(イ) 痴呆のより効果的かつ効率的な予防、早期発見及び診断の確立に関する臨床研究のうち次に掲げるもの
(a) 痴呆のスクリーニング及び早期診断に関する研究
(b) 痴呆性高齢者の心身のアセスメント及び要介護状態の評価に関する研究
(c) 痴呆性高齢者の介護状態の進展予防に関する研究
(ウ) 痴呆のより効果的かつ効率的な治療及び介護の確立に関する調査研究のうち次に掲げるもの
(a) 軽度認知障害患者の治療及び介護に関する臨床研究
(b) 痴呆性高齢者の在宅介護技法に関する実践研究
(c) 痴呆性高齢者のケアプラン及びその評価に関する研究
(エ) 痴呆の進行の遅延及び痴呆性高齢者の自己決定の尊重に資する社会医学的研究のうち次に掲げるもの
(a) 痴呆性高齢者に適した生活環境に関する研究
(b) ユニットケアにおける痴呆性高齢者の介護に関する研究
(c) グループホーム及び小規模多機能ケア施設における痴呆性高齢者の介護に関する研究
(d) 痴呆性高齢者の権利擁護に関する研究
(e) 痴呆性高齢者への告知に関する研究
(2)  骨折に係るより効果的かつ効率的な予防、診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する調査研究
(ア) 高齢者の転倒、骨折等の予防対策の有効性及び効率性に関する研究のうち次に掲げるもの
(a) 骨粗鬆症の予防及び治療(骨粗鬆症検診に基づく生活指導を含む。)に関する研究
(b) 転倒、骨折の発生要因及び機序と予防(プロテクター等による予防を含む。)に関する研究
(イ) 高齢者の骨及び関節の疾患の予防及び治療の方法の研究開発のうち次に掲げるもの
(a) 骨及び関節の疾患の治療薬の開発に関する研究
(b) 骨及び関節の疾患の原因の究明に関する研究
(c) 骨及び関節の疾患の治療方法に関する研究
(ウ) 骨折及び脳卒中のリハビリテーションの確立に関する臨床研究のうち次に掲げるもの
(a) 大腿骨頸部骨折等のリハビリテーションに関する研究
(b) 脳卒中の超早期リハビリテーションに関する研究
(c) 脳卒中による機能障害及び能力障害の治療及び訓練に関する研究
(d) リハビリテーション施行時の心肺機能等の合併症の管理に関する研究
(e) 病棟でのリハビリテーションと施設整備に関する研究
(f) 脳卒中集中治療病棟(SCU)におけるケアに関する研究
(エ) 入院患者の個別病態ごとの具体的な医療手順に関する臨床研究のうち次に掲げるもの
(a) 大腿骨頸部骨折に関する研究
(b) 脳卒中による四肢拘縮、失語、歩行障害等の機能障害に関する研究
(オ) 寝たきりとなる過程の解明及びその主要因並びに介入効果に関する実践研究
(カ) 高齢者の日常生活動作(Activity of Daily Living)又は手段的日常生活動作(Instrumental Activity of Daily Living)の維持及び増進のための介入方法に関する実践研究
(サ) 虚弱高齢者を対象とした運動及び栄養指導に関する実践研究
(3)  高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な予防、診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する調査研究
(ア) 高齢者の腰痛症のより効果的かつ効率的な予防及び診断の確立に関する臨床研究
(イ) 高齢者の腰痛症のより効果的かつ効率的な治療、介護及びリハビリテーションの確立に関する調査研究

 <備考>
   本研究事業においては、質の高い大規模な臨床研究を実施する体制を整備するための人材の育成・整備を通じて、我が国の治験を含む臨床研究の向上に資することとする観点から、若手医師・協力者活用等に関する研究(臨床研究実施チームの整備)の募集を行っている。詳細については、「臨床研究実施チームの整備」を参照すること。


5.子ども家庭総合研究事業
(1)子ども家庭総合研究事業
 <事業概要>
   乳幼児の障害の予防並びに乳幼児及び生涯を通じた女性の健康の保持増進等について効果的・効率的な研究の推進を図るとともに、少子化等最近の社会状況を見据えて、児童を取り巻く環境やこれらが児童に及ぼす影響等についての総合的・実証的な研究に取り組むことにより、母子保健の推進及び子育て支援を総合的・計画的に推進するための児童家庭福祉の向上に資することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   「健やか親子21」及び「新エンゼルプラン」等に対応した、母子保健及び次世代育成支援を総合的・計画的に推進するための児童家庭福祉、乳幼児の障害の予防、母性・乳幼児の健康及び小児慢性疾患に関する研究

研究費の規模: 1課題当たり2,000〜20,000千円程度(ただし、(7)及び(8)の総合的研究については、上限50,000千円)(1年当たり)


研究期間:1〜3年(ただしマニュアルの開発を目的とした研究及び課題(6)(キ)は1年)

新規採択予定課題数:30課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  母子保健施策の推進に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア) 健やか親子21の推進のための情報基盤の整備に関する研究
(2)  思春期の保健対策推進に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア) 医療機関における性に関する思春期保健指導のためのマニュアルの開発に関する研究
(3)  妊娠・出産に関する安全性及び快適さの確保並びに不妊への支援に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア) 妊娠の初期から出産、育児の開始までを一貫して支援するケアの評価及びその質の保証に関する研究
(イ) 生殖補助医療の質の確保と向上に関する研究
ただし、不妊専門相談の質的向上に関する研究、生殖補助医療の安全管理に関する研究、治療後の妊娠や子どもの発達を含む一貫した治療システムに関する研究、配偶子・胚の提供による生殖補助医療に関するカウンセリングマニュアルの開発に関する研究を含むものであること。
(4)  小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア) 子どもの事故予防のための市町村活動マニュアルの開発に関する研究
(イ) 予防接種の実施率向上のための母子保健の現場における活動マニュアルの開発に関する研究
(ウ) 小児疾患の登録とその研究活用に関する研究
(エ) マススクリーニングの効率的実施及び開発に関する研究
(オ) 小児慢性疾患の治療法の効果的な普及に関する研究
(カ) 疾患のある子どもの家族等による療育等の相談に関する実証的研究
(キ) 疾患のある年長児童と病後の年長児童の社会的自立を妨げる要因の解明及びその要因への対応並びに当該児童の自立の支援に関する研究
(ク) 病気のある子どもの疾病管理が困難な家庭に対する支援方策に関する研究
(5)  子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア) 新たに認識されてきた課題(軽度発達障害等)に対応でき、かつ、疾病・障害に対するいわゆる「見逃し」のない精度の高い乳幼児健康診査及びその後の指導のためのマニュアルの開発に関する研究
(6)  子ども家庭福祉に関する研究のうち次に掲げるもの
(ア) 家庭内暴力被害者の自立とその支援に関する研究
(イ) 保護が必要な年長児童の社会的自立を妨げる要因の解明及びその要因への対応並びに当該児童の自立の支援に関する研究
(ウ) 思春期児童と乳幼児の交流が相互の発達に与える効果に関する研究
(エ) 地域における子どもに係る犯罪・事故の回避に関する研究
(オ) 地域における子どもと家庭に関する相談支援体制のあり方に関する研究
(カ) 児童福祉関係職員の資質の向上に関する研究
(キ) 子どもと家庭を対象とした総合評価票の開発に関する研究
(ク) 児童虐待について保育園・幼稚園・児童館・学校等が講ずべき対応のあり方に関する研究
(7)  妊娠の初期から出産、新生児医療、育児支援を通じてとぎれなく質の高いケアが提供される体制の構築・向上に関する総合的研究
(8)  次世代の健康を確保するための母子の栄養・食生活に関する総合的研究
 ただし、妊産婦の健康栄養状態に着目した保健栄養指導マニュアルの開発に関する研究、胎児の発育に影響を及ぼす母体の栄養状態に関する研究、胎児期の低栄養状態と児の将来的な生活習慣病発症のリスクとの関連についての研究、思春期以降若い女性のやせが心身の健康に及ぼす影響に関する研究を含むものであること。


6.循環器疾患等総合研究事業(仮称)
 <事業概要>
   根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine)の推進を図るため糖尿病、脳卒中、心筋梗塞等の生活習慣病に関して、より効果的な保健医療技術の確立を目指し、研究体制の整備を図りつつ、日本人の特性等に留意した質の高い大規模な臨床研究を実施することを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   糖尿病、脳卒中、心筋梗塞等、その他の生活習慣病について、より効果的かつ効率的な予防、診断、治療等を確立するための質の高い臨床研究
 糖尿病、脳卒中、心筋梗塞及びその他の生活習慣病の予防、診断、治療等を確立するための臨床研究
 我が国におけるエビデンスの確立に資するよう、必要な症例数の 集積が可能である班構成により実施される他施設共同研究

研究費の規模:初年度1課題あたり10,000〜50,000千円程度(1年あたり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:15課題程度

 <公募研究課題>
  (生活習慣病の臨床研究分野)
 (1)  糖・脂質代謝異常を合併した高血圧患者に対する標準的降圧療法の確立に関する研究
 (2)  高脂血症治療薬の糖尿病性血管合併症の進展予防に関する研究
 (3)  糖尿病を合併した心血管疾患患者におけるインスリン抵抗性改善の再発予防効果に関する研究
 (4)  糖尿病を合併した高血圧患者に対する無症候性虚血性病変の効果的かつ効率的診断法の確立に関する研究
 (5)  動脈硬化危険因子の集積に関する治療の体系化を目指した調査研究
 (6)  不安定プラークを同定し、安定化させる治療法の開発に関する研究
 (7)  インターベンション療法後の、心筋梗塞発症二次予防に関する研究
 (8)  脳梗塞後慢性期の再発予防のための抗血小板剤の効果判定に関する研究
 (9)  内頸動脈閉塞症にともなう血行力学的脳梗塞の発症予防に関する研究
 (10)  腎障害の進展抑制に関する研究
 (11)  長期透析に伴う合併症の克服に関する研究
 (12)  日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究
 (13)  糖尿病患者における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する研究

(心筋梗塞及び脳卒中の臨床研究分野)
 (1)  急性心不全とその関連疾患に対するより効果的かつ効率的な治療等の確立に関する臨床研究
 (2)  脳卒中の急性期とその関連疾患に対するより効果的かつ効率的な治療等の確立に関する臨床研究

 <備考>
   本研究事業においては、質の高い大規模な臨床研究を実施する体制を整備するための人材の育成・整備を通じて、我が国の治験を含む臨床研究の向上に資することとする観点から、若手医師・協力者活用等に関する研究(臨床研究実施チームの整備)の募集を行っている。詳細については、「臨床研究実施チームの整備」を参照すること。


7.障害関連研究事業
(1)障害保健福祉総合研究事業
 <事業概要>
   平成15年度からの「新障害者基本計画」及びその重点施策実施5か年計画(「新障害者プラン」)に基づいて、各種障害者施策を適切に推進することが重要な課題となっている。
 このため、障害全般(身体障害、知的障害及び精神障害)について、治療からリハビリテーションに至る適切なサービス、社会参加の推進、地域における生活を支援する体制等に関する研究を進め、障害保健福祉施策の効果的な展開に役立つ成果を得ることを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   障害全般(身体障害、知的障害及び精神障害)について、地域移行や地域生活支援に資する具体的な技術開発及び体制づくりに関する研究等を実施する。

研究費の規模:1課題当たり5,000〜15,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:10課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  障害者の社会参加の推進に資する具体的支援技術(支援機器、福祉用具及び情報アクセス)に関する研究
(2)  障害者の二次的障害(加齢によるものを含む)に関する研究
(3)  障害者のエンパワメントの視点と生活モデルに基づく、具体的な地域生活支援技術に関する研究
(4)  障害の状態と支援・介護の必要性にかかる客観的な評価に関する研究
(5)  高次脳機能障害者の生活支援手法に関する研究
(6)  アルコール依存症のリハビリテーション施設の在り方に関する研究
(7)  精神疾患への正しい理解と、精神障害者の地域生活支援体制に関する研究
(8)  精神障害者に対する適切な医療を確保する仕組みに関する研究
(9)  その他、障害者の保健福祉施策の企画・立案及び実施に資する研究であって、重要性及び緊急性が特に高いもの

(2)感覚器障害研究事業
 <事業概要>
   視覚、聴覚・平衡覚等の感覚器機能の障害について、原因となる疾患の病態・発症のメカニズムの解明、発症予防、早期診断及び治療、障害を有する者に対する重症化防止、リハビリテーション及び機器等による支援等に関する研究開発を進め、感覚器障害の軽減や重症化の防止、機能の補助・代替等に資する成果を得ることを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   視覚、聴覚・平衡覚領域における障害(重複障害を含む)及び日常生活上の支障をもたらす状態について、その原因となる疾患等の予防・治療及び障害の除去・軽減に資する研究開発等を実施する。

研究費の規模:1課題あたり10,000〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:5課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)   視覚障害に関する疫学的研究、予防、医療及びリハビリテーションに関する研究並びに視覚障害の要因となる疾病に関する研究
(2) 聴覚及び平衡覚障害に関する疫学的研究、予防、医療及びリハビリテーションに関する研究並びに聴覚・平衡覚障害の要因となる疾病に関する研究
(3) 視覚、聴覚及び平衡覚障害並びにそれらの重複障害により廃した機能を補助・代替し、自立と社会参加を促進する機器の開発及び改良に関する研究


8.エイズ・肝炎・新興再興感染症研究事業
(1)エイズ対策研究事業
 <事業概要>
   1997年からの多剤併用療法(HAART)の導入に伴い、HIV感染症の死亡率は激減し、HIV感染者・AIDS患者を取り巻く状況は新しい局面を迎えている。とくに、アジア・太平洋地域においてもHIVの感染拡大が予測されており、我が国への波及阻止が重要な課題となっている。一方、国内においてもHIV感染者・AIDS患者の報告は1984年のサーベイランス開始以来、依然として増加傾向である(平成14年のHIV感染者報告数は614件、AIDS患者報告数は308件)。
 このような状況を踏まえ、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」の理念に基づき、また、平成8年のHIV訴訟の和解を踏まえた恒久対策の一環として、人権に配慮しつつ予防と医療の両面におけるエイズ対策研究のより一層の推進を図る必要がある。
 本事業はその疾病の特殊性から常に最新の治療法の開発、治療ガイドラインの作成や、社会的側面や政策的側面も配慮した医学的・自然科学的研究等、エイズに関する基礎、臨床、社会医学、疫学等の研究を総合的に推進するとともに、エイズ対策に必要な施策を行うための研究成果を得ることを目的とする。

 <新規課題採択方針>
   HIV/AIDSに関する臨床医学、基礎医学、社会医学研究。
研究費の規模:
(1)及び(3)  1課題あたり3,000千円〜10,000千円程度(1年あたり)
(2)  1課題あたり10,000千円〜70,000千円程度(1年あたり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:5課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  臨床医学研究のうち次に掲げるもの
 多剤併用療法服薬の精神的、身体的負担軽減のための研究
<参考>
   課題採択に当たっては、「HIV薬剤耐性対策プロジェクト(平成15年9月)」(エイズ予防情報ネットの厚生労働省情報に掲載(http://api-net.jfap.or.jp/))を踏まえて、副作用軽減のための研究、服薬を容易にするための研究(製剤形状の工夫 により服薬回数を減らしたり、大きさ、味等に配慮する等)、飲み忘れ防止のためのプログラムや機器の開発及びNGO等が 医療機関と連携するモデル開発の研究を優先する。
(2)  基礎医学研究のうち次に掲げるもの(重点課題)
(ア) 薬剤耐性HIVの発生動向把握のための検査方法・調査体制確立に関する研究
<参考>
   課題採択に当たっては、「HIV薬剤耐性対策プロジェクト(平成15年9月)」(エイズ予防情報ネットの厚生労働省情報に掲載(http://api-net.jfap.or.jp/))を踏まえて、動向調査体制の確立、検査ガイドライン(検査施行基準、検査解析基準等を含む)に関する検討を含む研究を優先する。
(イ) HIVの増殖・変異の制御に関する研究
<参考>
   課題採択に当たっては、既存の抗HIV薬の作用機序である逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤以外の宿主因子等の要因を考慮した作用機序を持つ療法を長期目標とする研究を優先する。
(3)  社会医学研究のうち次に掲げるもの
 先進諸国におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析
<参考>
   課題採択に当たっては、少なくとも米、豪、英、仏の発生動向(感染経路、予測を含む)、調査体制(捕捉率を含む)、感染経路別の対策とその評価、これらを踏まえ、我が国のエイズ 対策に対する提言を含む研究を優先する。
<参考>
   なお、研究計画の提出に当たり、以下の点も留意すること。
(1)  「7.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。
(2)  「11.申請者の研究歴等」につきより詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する論文3編を添付すること(各編毎に、論文(全文)の写し20部とそのPDFファイルを添付すること)。欧文のものについては日本語要旨も添付す ること。
 申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。
後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

(2)肝炎等克服緊急研究事業
 <事業概要>
   肝炎ウイルスの病態及び感染機構の解明並びに肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の開発等を目的とする。

 <新規課題採択方針>
   肝炎ウイルス等について、その病態や感染機構の解明を進めるとともに、肝炎、肝硬変、肝がん等の予防、診断及び治療法等に資する研究

研究費の規模:1課題当たり10,000千円〜50,000千円(1年当たり)

研究期間:3年

新規採択予定課題数:9課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  B型及びC型肝炎ウイルスの新たな感染予防法の確立のための感染病態解明に関する研究
(2)  B型及びC型肝炎ウイルス感染者における新たな発がん予防法の確立のための肝がん発生等の病態解明に関する研究
(3)  B型及びC型肝炎の疫学及び検診を含む肝炎対策に関する研究
(4)  B型及びC型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究
(5)  歯科診療におけるB型及びC型肝炎感染防止体制の確立に関する研究
(6)  肝硬変非合併肝がんの病態解明及び予後改善に関する研究
(7)  B型及びC型肝炎患者における肝移植後の免疫抑制治療に関する研究
(8)  病期別にみた肝がん治療法の費用効果及びQOLの観点からみた有効性に関する研究
(9)  予後改善を目指した肝臓がん再発に影響を与える因子に関する研究

(3)新興・再興感染症研究事業
 <事業概要>
   近年、新たにその存在が発見された感染症や既に制圧したかにみえながら再び猛威をふるいつつある感染症が世界的に注目されている。これらの感染症は、その病原体感染源、感染経路、感染力、発症機序、診断、治療法等について解明すべき点が多い。
 また、日米包括経済協議の一環として、地球的展望に立った協力のための共通課題(コモン・アジェンダ)において、1996年4月に新たに追加された協力分野として「新興・再興感染症」についての研究協力が求められている。
 このため、本事業は、国内外の新興・再興感染症研究を推進し、研究の向上に資するとともに、新興・再興感染症から国民の健康を守るために必要な施策を行うための研究成果を得ることを目的とする。
 なお、本研究事業は、総合的かつ効果的な推進のために農林水産省との共同・連携を図っていくこととしている。

 <新規課題採択方針>
   ウイルス、細菌、寄生虫・原虫による感染症等に関する研究で、それらの解明、予防法、診断法、治療法、情報の収集と分析、行政対応等に関する研究を行う。

研究費の規模:1課題当たり10,000〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:14課題程度

 <公募研究課題>
 
(1)  ツベルクリン検査、BCG等に代わる結核等の抗酸菌症に係る新世代の診断技術及び予防技術の開発に関する研究
(2)  野生げっ歯類及び節足動物に由来する感染症の診断、疫学及び予防に関する研究
(3)  粘膜ワクチン開発の基盤的な技術開発に関する研究
(4)  動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究
(5)  わが国における飲食に起因する経口感染症の被害推計の精密化に関する研究
(6)  輸入真菌症等真菌症の診断・治療法の開発と発生動向調査に関する研究
(7)  ポリオ野生株ウイルスの封じ込め対策に関する研究
(8)  国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握及び今後の患者症例収集と検索システムの開発に関する研究
(9)  SARSコロナウイルスに対するワクチン開発に関する研究
(10)  SARSコロナウイルス検査法の精度向上及び迅速化に関する研究
(11)  大規模感染症発生時の効果的かつ適切な情報伝達の在り方に関する研究
(12)  国際的な感染症まん延防止対策を講じるためのシステム構築に関する研究
(13)  ワクチンの迅速な開発のための基盤的な技術開発に関する研究
(14)  診断キットの迅速な開発のための基盤的な技術開発に関する研究


トップへ
戻る  前ページ  次ページ