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9 米国における健康食品関連制度
米国における健康食品関連制度の枠組み
| ・ | 機能・構造強調表示(Structure/Function Claim)の表示に関する制度 
| − | 栄養補助食品健康教育法(DSHEA) 94年制定 
| ・ | 表示例:月経前症候群における正常で健康的な状態をサポートします。 |  |  
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| ・ | 健康強調表示(Health Claim)の表示に関する制度 
| − | 栄養表示教育法(NLEA) 90年制定 
| ・ | 表示例:常に運動をして、充分なカルシムを含む健康的な食事をすれば、十代や若い女性(白人もアジア人も)が健康的な骨を維持し、歳を取ってから骨粗しょう症になるリスクを低減するのに有効です。 |  |  
| − | FDA近代化法(FDAMA) 97年制定 
| ・ | 表示例:全粒穀物を51%以上含み、飽和脂肪、コレステロールおよび総脂肪量の少ない食事は、心疾患及びある種の癌のリスクを低減します。 |  |  
| − | 限定的健康強調表示(QHC(通達)) 00年開始 
| ・ | ω-3脂肪酸が冠動脈心臓病のリスクを低減するかどうかの科学的証拠は、暗示的ですが決定的ではありません。一般の人を用いた研究は魚を含む食事を対象にしたものであり、冠動脈心臓病のリスクを低減する効果が魚を含む食事によるものか魚の中のω-3脂肪酸によるものかはわかりません。 |  |  | 
| ・ | なお、これらの制度によらずに機能・構造強調表示又は健康強調表示を行った場合、不正表示として、流通停止、回収等の措置の対象となる。 | 
栄養補助食品健康・教育法(DSHEA)の概要(1)
| ○ | 栄養補助食品(注1)について、構造・機能強調表示(注2)しようとする者は、 
とされている。
|  | (1) | 製品の販売後30日以内に連邦食品医薬品局(FDA)に届出なければならないこと |  
| (2) | 表示以外に、 
という否定声明文も併せて表示しなくてはならないこと
|  | 「この記述は、FDAによる評価を受けたものではありません。この製品は、疾病の診断、処置、治療又は予防を意図したものではありません。」 |  |  
| (3) | 表示の記述が真実であり、誤解されるものではないという証拠を有していなければならないこと |  
 
 
|  | 注1) | 「栄養補助食品(Dietary Supplement)とは、錠剤、カプセル等の医薬品のような形状の食品であって、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、生薬等の植物由来成分等を摂取するものと位置づけられている。 
 
 |  
| 注2) | 「構造・機能強調表示」とは、食品によるヒトの構造・機能への影響に関する表示である。なお、栄養補助食品(構造・機能強調表示をしていないものを含む。)はFDA長官が公布する製造基準(GMP)に合致していなければならない。(現時点では製造基準は公布されていない。) |  | 
栄養補助食品健康・教育法(DSHEA)の概要(2)
| ○ | また、次のような場合には、不正表示とみなされ、流通停止、回収等の措置がとられることとなる。(実際には、製造者等への文書で警告することにより、自主的な対応を促すような運用がなされている。) 
| ・ | 連邦食品医薬品局に届出をせず、構造・機能強調効果の記載を行った場合 |  
| ・ | 構造・機能強調表示の範囲を逸脱し、疾病の診断、治療、予防に関する表示をしている場合 |  | 
(最近の動向)
|  | − | エフェドラを含む栄養補助食品により死亡事例2件を含む健康被害事例が報告されており、こうした事例を踏まえ、FDAは、エフェドラを含む栄養補助食品への警告表示の義務化の案についてパブリックコメントを求めた。(本年3月5日〜4月4日) 
 
 | 
| − | また、表示されている成分が含まれていない栄養補助食品の発覚が相次いだこと等を踏まえ、 FDAは、DSHEAで定められた製造基準(GMP)の案についてパブリックコメントを求めた。(本年3月13日〜6月11日) | 
健康強調表示に関する制度(1)
| ○ | 栄養表示教育法(NLEA:Nutrition Labeling and Education Act) 
| − | この制度の下では、企業からの申請に基づき、連邦食品医薬局(FDA)が食品と疾病予防との関連性を評価し、FDAが認めたものについて、健康強調表示*をすることが可能となった。(対象は食品全般。) 
 
 |  
| − | この制度の下では、健康強調表示は、一般的に入手可能であって、専門家の間に合意が存在する科学的な証拠(Significant Scientific Agreement=SSA)に基づいている必要がある。 
 
 |  
| − | FDAがこの制度の下で健康強調表示を承認すれば、申請者以外の者も当該健康強調表示を表示することができる。 |  
 
| * | 健康強調とは食品又は栄養素と疾病又は健康状態との関係に関する表示である。 |  | 
健康強調表示に関する制度(2)
| ○ | 食品医療局近代化法(FDAMA: Food and  Drug Administration Modernization Act ) 
| − | 食品医療局近代化法は、NLEAの下でのFDAでの評価には時間(一年以上)を要ることから、その迅速化を図るため、1997年、食品医薬局近代化法が制定された。 
 
 |  
| − | この法律の元では、権威のある文献(注)に基づく証拠による疾病のリスク低減表示について、発売の120日以前にFDAに申請すれば、健康強調表示が可能となる。(FDAに承認されれば申請者以外も表示できる。) 
|  | 注: | 権威ある文献:国立衛生研究所(NIH)、疾病管理センター(CDC)、全米アカデミー(NAS、IOM)等 |  
 |  
| − | ただし、栄養補助食品がこの制度を利用することは、認められていない。 |  | 
健康強調表示に関する制度(3)
| ○ | 限定的健康強調表示(Qualified Health Claims) 
| − | 1999年6月のピアソン・シャララ訴訟では、健康強調表示に関する暗示的な証拠はあっても決定的な証拠がないという理由で健強調表示を認めないのは違法であるとされた。 
 
 |  
| − | 2000年10月、この判決を受けて、健康強調表示に対して暗示的な証拠がある場合に、当該表示を支持する証拠の方が支持しない証拠に勝る場合には、一定の注釈文を付するという条件付きで限定的健康強調表示として、疾病のリスク低減表示を承認することとした。 
 
 |  
| − | 限定的健康強調表示は、FDAに対する申請により表示することができる。(FDAに承認されれば、申請者以外も表示できる。) |  | 
米国の構造・機能強調表示及び健康強調表示と保健機能食品の比較
【米国】
- 
健康強調表示:FDAへの申請及び承認が必要。(承認されれば、申請者以外も表示可能。) 
【日本】
- 
| 
| (例) 
 ○ビタミン含有食品
 (カプセル形状)
 | ●ヨーグルト ●納豆
 ○ジュース
 |  |  
| (形態により区分せず) |  
 栄養機能強調:基準への適合性は自己確認で可(栄養機能食品(○))
 その他の機能強調:個別商品毎の事前許可(特定保健用食品(●))
 疾病のリスク低減強調:現時点において、食品では認められていない。
 
栄養補助食品健康・教育法制定による基本的な仕組みの変化
| 
 
 
 (94年以前)
 
 
 
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| 医薬品
 | 錠剤・カプセル等
 の形状の食品
 | 食品 その他の食品(一般食品)
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| ↓ 
 構造・機能強調(身体の構造・機能に影響を与えること等の効果)を表示することは、医薬品に該当するものと解釈=販売等の禁止 |  | 
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(法制定の効果)
|  | 栄養補助食品(Dietary Supplement)てして定義
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| ↓ 構造・機能強調表示(身体の構造・機能に影響を与えること等の効果)は、FDAに販売後に届出すれば可能
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 栄養補助食品について、構造・機能強調の表示がなされたことのみをもって、「医薬品」とはされないこととされた。(FDAへの届出を前提)
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