1 はじめに |
2 食品の表示制度の目的 |
3 現行の食品の表示制度の問題点 |
4 表示項目の見直し |
(1)義務表示 |
(2)任意表示 |
(3)用語、定義の統一等 |
(4)その他 |
5 情報提供等 |
(1)行政による消費者への情報提供、事業者への周知徹底 |
(2)相談窓口の一元化 |
6 表示違反の監視、是正のための措置 |
(1)監視体制のあり方 |
(2)是正措置 |
(3)事業者の自主的な取組み |
7 組織法律の見直し |
(1)組織 |
(2)法律V |
8 おわりに |
(参考1)食品の表示制度に関する懇談会開催要領 |
(別紙)食品の表示制度に関する懇談会名簿V |
(参考2)これまでの審議経過 |
1 | はじめに |
本年1月に明るみに出た雪印食品の食肉の原産地偽装事件に端を発し、食品表示の偽装事件が次々と発覚している。これらの表示偽装事件の多発は、消費者の食品の安全や品質に対する信頼の崩壊を招いており、深刻な問題となっている。食品表示は消費者にとって極めて身近で重要な問題であることから、これらの虚偽表示が再び行われることのないよう、食品表示の信頼確保に向けて万全を期す必要がある。 一方で、食品の表示制度は、現在、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)等複数の法律に規定されており、各府省間に十分な連携がないままそれぞれの観点から表示制度を運用しているため、同じ表示項目に異なる用語が使われることがあるなど、消費者、事業者双方にとって分かりにくいものになっていること等が指摘されている。また、4月に示されたBSE問題に関する調査検討委員会報告においても、「現在の各種表示制度について一元的に検討し、そのあり方を見直す必要がある」と指摘されている。 このような状況を受け、消費者等関係者からの意見を今後の食品の表示制度のあり方の検討に反映させることを目的に、厚生労働省医薬局食品保健部長及び農林水産省総合食料局長の私的懇談会として、内閣府及び公正取引委員会の参画を得て、「食品の表示制度に関する懇談会」が開催されることとなった。本懇談会は、6月からこれまで5回にわたり検討を行い、その検討結果について以下のとおり中間取りまとめを行った。 今後、政府においては、この中間取りまとめを踏まえ、具体的な表示制度のあり方について引き続き検討していくことを要望する。 |
2 | 食品の表示制度の目的 | |||||
食品は、生命の維持に不可欠であることはいうまでもないが、そのことに加え、より安全・安心・良質な食品を求める消費者の要望は強い。しかし、消費者が自らのニーズに合った食品をその外観からのみ選択することは不可能である。 このようなことを踏まえ、本懇談会の検討課題である食品の表示制度は、以下の3点を目的とするものと考えられる。
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3 | 現行の食品の表示制度の問題点 |
食品の表示制度は、食品衛生法、JAS法、景表法など複数の法律に基づくものであることから、その表示のルールも、食品衛生法に基づくものは飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止を目的とし、JAS法に基づくものは品質に関し消費者の選択に資することを目的とするなど、それぞれ目的が異なっている。また当初は、表示項目が重複することも少なかったため、制度発足以来、各府省が互いに十分な連携をしないまま、それぞれの表示制度を充実してきた経緯がある。 しかし、食品衛生法に基づく表示とJAS法に基づく表示とが、制度発足当時と比較して相当オーバーラップしてきていることもあって、現行の食品の表示制度については以下のような問題が顕在化してきている。 (1)表示制度が複数の法律に分散して規定されており、一覧できないため、消費者、事業者双方にとって分かりにくいこと (2)それぞれの表示制度に基づく表示項目や表示内容が、それぞれの府省ごとに決定される仕組みであるため、整合性が取れておらず、用語や定義の統一性が欠けているものがあること。また、解釈等に関する情報提供などの運用面でも統一性に欠けること (3)監視体制や是正措置もそれぞれの制度によって異なり、連携が十分でないこと このため、表示ルールの設定・改廃や解釈、監視等については、全体として整合性があり、連携の取れたものとすることが必要であるとともに、その表示ルールについては、消費者、事業者双方にとって分かりやすいものとする必要がある。 |
5 | 情報提供等 | |||||
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6 | 表示違反の監視、是正のための措置 | ||||||||
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7 | 組織・法律の見直し | |||||
食品の表示制度については、食品衛生法、JAS法等の各制度が制度発足以来、各府省が互いに十分な連携をしないまま、それぞれの表示制度を独自に実施してきたことが消費者、事業者双方にとって分かりにくい仕組みとなった大きな要因である。このため、当懇談会ではさまざまな視点から現行の食品表示制度について検証を行い、2から6まででその改革方向を指摘・提言してきたところである。今後、これらの事項が確実に実施され、用語・定義の整理等が図られるとともに、監視の連携や情報提供の充実、相談窓口の一元化等が実現すれば、我が国の食品の表示制度は大きく改善されると考えるが、今後とも今回指摘してきたような問題点が再度発生しないよう、各府省の連携が将来にわたって継続的に推進されることが必要である。 このため、本懇談会では、表示のルール設定・監視の組織や法律のあり方についても議論を重ねてきた。
なお、中長期的には、食品に関する行政全般の中で、表示に関する組織・法律のあり方についても改めて検討していくことが適当である。 |
8 | おわりに |
本懇談会で取り上げた事項は非常に広範囲なものであり、速やかに対応できる項目から複雑な調整を要する項目まで存在している。 このうち、品質保持期限及び賞味期限の用語の統一等、速やかに対応できるものについては、関係府省で連携し速やかに対応すべきである。また、中長期的に検討すべき事項については、今後とも関係府省が十分な連携をとりながら対応を進めて行くことを要請する。 この際、国レベルにおける連携にとどまらず、各制度を実行する地方レベルにおいても、変わることなく連携が図られることが重要である。 なお、この中間取りまとめに盛り込まれた事項は、消費者にはもちろんのこと、表示を実行する事業者にも大きな影響を与える事項が多いので、今後引き続き関係者の意見を幅広く聴取しながら、行政として検討を進めることが必要である。また、その検討結果については、改めて本懇談会に適切な時期に報告することを要請する。 以上 |