C社 柔軟な就業形態が生産性を向上させ、長時間労働を抑制

ワーク・ライフ・バランスの実現を目指して

 仕事の生産性を向上させ、長時間労働をなくし、従業員が多様な生き方を実現できる「ワーク・ライフ・バランス」の実現を推進することが、従業員にとっても会社にとっても大切である、と経営陣は考えていました。

裁量労働制の導入

 時間外労働を月30時間以下にすることを目標にしていましたが、上流工程のしわ寄せが納期遵守のため製造・試験工程にかかることが多い、という受託型ビジネスの構造的な問題もあり、なかなか削減できませんでした。そこで、その解決策の一つとして2010年に裁量労働制を導入しました。現在、従業員数約1万1,000名、裁量労働の対象となる仕事を行っている管理職以外の従業員数は約5,000名、その6割にあたる約3,000名が裁量労働をしています。
 従業員満足度調査では、対象の業務範囲が広いほど仕事への活力が高い傾向を示しています。

生産性向上のために

 職場に個々の机を置かない「フリーアドレス」を導入することにより、業務遂行の時期やタイミングで最適なメンバー配置が可能となりました。コミュニケーション・ロスが減ったことがチームの生産性向上につながっています。
 「書類や記録の簡素化」、「会議時間の短縮化」なども行い、小さな時間の無駄をなくし、効率化を図ることでも、生産性を向上させています。
 従業員のキャリアアップのための社内認定制度もあり、従業員が自分自身の目標を持つことで仕事にメリハリを生み、従業員がスキルアップすることにより生産性向上に大きく寄与しています。

場所に縛られない働きかた

 シンクライアントシステム※1によりセキュリティを確保したリモートアクセス※2の環境整備を行い、上司の許可を得て、出張先、顧客など場所に縛られずに仕事をすることが可能で、約7,000名が利用しています。
 また、入社3年目以上の全職種の従業員を対象に認可制の在宅型テレワークを導入しており、事前申請により月8日までのテレワークが認められています。育児・介護との両立や、自宅で仕事に集中したい、などさまざまな理由でたくさんの人が利用しています。

※1シンクライアントシステム:ユーザーが使うパソコンなどの端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をサーバー側に集中させたシステム
※2リモートアクセス:ネットワークやコンピュータにインターネットなどを介して外部から接続すること

管理

 裁量労働制や在宅型テレワークを導入した際に課題となるので、管理です。
 どこで仕事をしていても、時間はパソコンのログで管理しています。
 業務内容については、全て成果で管理します。従業員の成果物は全てサーバー上にあり、個人の成果やプロジェクトの進捗状況を上司(マネージャ)が把握することができます。また、上司とともに業務計画を策定し、進捗や成果を確認する面談を適宜行います。上司と対象者がコミュニケーションを密にすることで、管理が適切にできています。

年次有給休暇100%取得を目指す

 チーム内で同日に複数のメンバーが年次有給休暇を取得できる「フレキシブルワークデー」を試験的に導入したり、グループウェアを活用して、部署やプロジェクト単位で年次有給休暇取得を含めた総労働時間管理を実践しています。現在、全従業の約80%が年次有給休暇を完全取得していますが、これを100%(全従業員)にすることを目指しています。

取組の成果

 裁量労働背により年次有給休暇が取得しやすくなり、全従業員の8割が完全取得しています。また、場所に縛られず、個々の事情に応じた場所で仕事ができることで、従業員はその力を存分に発揮し、生産性が高まることが、長時間労働の抑制につながっています。