大企業・親事業者の事業主の皆様へ
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号。以下「働き方改革関連法」という。)により改正された労働基準法(昭和22年法律第49号)に規定する罰則付きの時間外労働の上限規制(注1)や年5日の年次有給休暇の確実な取得(注2)を始めとする改正事項が順次施行される中、大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組が、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請及び附帯作業の要請などの「しわ寄せ」を生じさせている場合があります。
(注1)
時間外労働の上限規制については、パンフレット「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」をご覧ください。
(注2)
年5日の年次有給休暇の確実な取得については、パンフレット「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」をご覧ください。
平成30年12月に下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号)第3条第1項の規定に基づく振興基準が改正(平成30年経済産業省告示第258号)(注3)され、親事業者は、①自らの取引に起因して、下請事業者が労働基準関連法令に違反することのないよう配慮することや、②やむを得ず、短納期又は追加の発注、急な仕様変更などを行う場合には下請事業者が支払うこととなる増大コストを負担することなどが新たに盛り込まれました(注4)
(注3)
振興基準の改正については、経済産業省(中小企業庁)ホームページのこちらをご覧ください。
(注4)
振興基準については、パンフレット「下請振興法の『振興基準』とは?」をご覧ください。
ポイント(振興基準)
 「振興基準」は、下請中小企業の振興を図るため、下請事業者および親事業者のよるべき一般的な基準として下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づき、経済産業省告示で具体的内容が定められています。
 また、振興基準は、主務大臣(下請事業者、親事業者の事業を所管する大臣)が必要に応じて下請事業者および親事業者に対して指導、助言を行う際に用いられています。
また、働き方改革関連法により改正された労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)では、他の事業主との取引を行う場合において、長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮することが、事業主の努力義務(注5)となっています(平成31年4月1日施行)。
(注5)
他の事業主との取引において、長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮することについては、リーフレット「ダメ!短納期発注!!」をご覧ください。
(注6)
公正取引委員会・中小企業庁が取りまとめた、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)違反の疑いで指導等を行った事案及び不当な行為の事例集(いわゆる「べからず集」)は、リーフレット「『働き方改革』を阻害する不当な行為をしないよう気を付けましょう!!」をご覧ください。
以上のようなことから、適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請及び附帯作業の要請などを行わないことについて、事業主の皆様におかれましても御理解いただくとともに、社内の発注や調達部署の役員、責任者、担当者等に対しまして、適正な発注等が行われているか、御確認のほどお願いいたします。
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