「福祉室」には、「福祉係」、「医事係」があり、入所者の生活に密着した援助を行っています。また「医療社会事業専門員」を配置して、入所者の福利厚生及び各種相談事業等の専門的援助を行い、入所者の方々が日常生活を快適に安心して過ごせるように手助けをしています。
開所以来、入所者の方々は同胞の最後の世話は自分たちの手でと、夜伽・葬儀等の祭祀業務及び火葬は入所者の方々で行っていましたが、夜伽・葬儀等の祭祀業務については平成7年6月から、火葬業務については平成9年11月から福祉室職員が担当しています。また、園内の美化清掃業務も入所者の方々が行っていましたが福祉室職員が担当しています。
委託治療については、平均寿命が延びるにつれて悪性腫瘍等の合併症が目立つようになり療養所内の医療では対応できず、外部医療機関に委託せざる得ない状況となりました。しかし、ハンセン病に対する偏見のため、近隣の医療機関では受入れてもらえませんでした。昭和47年から当園が全国の施設に先駆け、京都大学附属病院での委託治療が始まりましたが、当時は交通の便も悪く、長時間の通院は病魔に蝕まれた肉体を苦しめました。昭和56年の香川医科大学附属病院開設を契機に、県下の医療機関においても徐々に委託治療が受入れられるようになり、関係医療機関の協力に支えられ委託治療は順調に推移してきました。しかし、外部の医療機関にかかるということで、想像以上のストレスに遭遇する入所者の方も中にはおいでました。委託治療の必要性を医師から説明をされたとき、「外部の医療機関から生きて帰れないのではないか。」という不安が頭から離れず、治療を拒否するケースも見受けられましたが、一方では委託治療を通してお世話になった関係者と新たな人間関係ができ、心温まる交流が生まれています。
平成8年4月1日のらい予防法廃止を契機に、退所して社会復帰を希望される入所者の方々に対して、平成10年3月24日から社会復帰準備支援事業が開始されました。近年はテレビ・新聞等のメディアによるハンセン病の報道や、療養所・自治体等によるフォーラム等の啓発活動により、ハンセン病に対する誤った知識や偏見がなくなりつつあります。しかし、社会復帰を希望しても、後遺症・高齢などの理由で自立して生活していくことが困難な入所者も多数おいでます。福祉室職員は、こういった入所者の方々が快適に安心して生活していけるように支援していきます。
- (福祉室の主な業務)
- (1)入所、退所の管理業務 (2)相談業務(ケースワーク) (3)金銭管理業務
- (4)外部委託医療機関調整業務 (5)葬祭関係業務 (6)移送・付添業務
- (7)作業業務(営繕、園内清掃、塵収集、焼却、廃棄物処理) (8)各種行事
- (9)機関誌「青松」編集 (10)入所者自治会・盲人会業務補助 (11)選挙関係業務
- (12)見学、慰問者への啓発業務 (13)面会人宿泊所の受付及び管理業務
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