「患者申出療養」制度とは?
未承認薬などをいちはやく使いたい。対象外になっているけれど治験を受けたい。
そんな患者さんたちの思いに応えるためにつくられた制度です。
患者さんからの申出を受け、医師や関連病院などが連携して、さまざまなケースについて対応できるかどうかを検討し、実施の可能性を探ります。
事前の診療計画や治療の経過などのデータは、今後多くの人が受けることのできる保険診療のために活用されます。
患者申出療養を含む保険外併用療養費制度について
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我が国においては、国民皆保険の理念の下、必要かつ適切な医療は基本的に保険収載しています。その上で、保険収載されていないものの、将来的な保険収載を目指す先進的な医療等については、保険外併用療養費制度として、安全性・有効性等を確認するなどの一定のルールにより保険診療との併用を認めています。
患者申出療養は、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものです。
これは、国において安全性・有効性等を確認すること、保険収載に向けた実施計画の作成を臨床研究中核病院に求め、国において確認すること、及び実施状況等の報告を臨床研究中核病院に求めることとした上で、保険外併用療養費制度の中に位置付けるものであるため、いわゆる「混合診療」を無制限に解禁するものではなく、国民皆保険の堅持を前提とするものです。
患者申出療養の申出を行うのは
どんなとき
- 日本では一般に行われていないけれど、海外で行われている治療法があるらしい。自分にも使えるような可能性を探りたい。
-
試してみたい治療法があるのですが、都会の病院でしか行われていないようです。とても通えないので、近くの病院で受けることはできないか。
- 治験に入りたかったけれど、対象外になってしまった。同じ治療を受けることはできないか…
- 先進医療が行われていたようだけど、今は患者を募集していないみたい。行う方法を知りたい。
「患者申出療養」を利用するためには
まずは患者さんと主治医の相談から始まります。
- 私の病気の治療に、海外で行われているらしい○○という治療法は使えないのでしょうか?
- その治療法は保険適用にはなりませんが、「患者申出療養」という仕組みが使えるかもしれません。
- その他、◇◇という治療法とか、どんな治療法でも使えるのですか?
- 科学的根拠が必要だったり、治験や先進医療が実施されているかも調べなくてはいけません。そういった方法を取ることができるかも含めて考えてみましょう。
- 費用面の心配もあり、できるだけ負担が少ないと助かるのですが…
- 保険が使えない分は自己負担になる可能性があります。どれくらいの負担が発生するかを含め、相談しましょう。
- ありがとうございます、ぜひお願いします!
治療実施までの主な流れ
まずは患者さんからの申し出に始まり、主治医と相談し、計画書の作成〜国での検討を経て治療の実施に至るというプロセスで進みます。
保険診療と併用して
先進的な医療が受けられます。
未承認薬などを治療で使うと全額自己負担となりますが、患者申出療養では保険給付の対象の分、自己負担が軽く済みます。
[患者さん負担のイメージ図]
Q & A
- 患者申出療養とはどのような制度ですか。
- 患者申出療養は、未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるため、患者さんからの申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、できる限り身近な医療機関で受けられるようにする制度です。将来的に保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集積することを目的としています。
- 先進医療とはどのような違いがありますか。
- 先進医療は、医療機関が起点となり、先進的な医療を実施するものであったのに対し、患者申出療養は、患者さんの申出が起点となって未承認薬等の使用について安全性が一定程度確認された上で、身近な医療機関において実施できる仕組みであり、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるものです。
- 患者申出療養制度を利用したら未承認薬を保険で使えるのですか。
- 患者申出療養制度は、「保険外併用療養費」の制度です。
したがって、未承認薬の費用など、保険適用されていない部分については、原則患者さんの自己負担となります。
- 患者申出療養はどのような医療が対象になるのですか。
- 将来的に保険適用をめざすための計画が立てられる医療であって、計画を立てるために必要なデータ、科学的根拠があるものが対象となります。したがって、現時点である程度の科学的根拠がない医療や、それに基づいた計画を臨床研究中核病院において作成が困難な場合は、対象となりません。
- 患者からの申出があればどんな医療技術でも受けられるのですか。
- 患者さんから申出のあった医療技術について、患者さんのその時点の病状に対してきちんと効く可能性が高いか(有効性)、また大きな副作用の心配などがないか(安全性)などについて、科学的根拠に基づいているか、保険収載をめざした試験計画になっているか、国の会議で確認の上で、実施できるか決定されます。
- 申出をしたら一ヶ月半(6週間)以内に治療を開始してもらえるのですか。
- 6週間は、患者さんが臨床研究中核病院を通じて国に書類を提出いただいてから、実施が認められるまでの目安の期間です。
一方で、患者申出療養の書類を国に提出いただく前には、
- 本当にその治療がご自身の病気、病状にとってよい治療法か、調べる期間
- その治療法をどのように使うか、計画などを定める期間
などが必要となります。
- 患者申出療養の申出は、本人の代わりに家族等が行うことができますか。
- 患者申出療養の申出は、治療を受けようとする患者さん本人が行うこととされています。ただし、患者さん本人が未成年者又は成年被後見人である場合にあっては、法定代理人が患者さん本人に代わって書類の提出等を行うことができます。
- 新しい医療技術の提案は患者自身が行うことができるのですか。
- 最終的には患者さん本人が申し出ることを決めていただくということになりますが、新しい医療技術についての専門的な知識や患者さんの病状にあわせた治療法の選択が必要となりますから、まずはかかりつけ医(主治医)にご相談ください。
- 医師から新しい治療法について強く薦められましたが、患者本人としては良く理解ができず、副作用も心配で、不安です。患者申出療養という制度の説明も受けたのですが、この制度を使った方がよいですか。
- 患者申出療養は、患者さんご自身がその医療技術、制度についてしっかりと理解し、納得した上で、患者さんの意思で申出を行う制度です。患者さんがしっかりと納得できるまで、医師とよく話し合ってください。
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