インタビュー

米田 功さん
「こころは重要な要素。
こころを中心に練習や日常生活をおくる」
アテネオリンピック金メダリスト
元体操選手 米田 功 さん

日々のことを周囲の人に話そう

Q7
こころに悩みをもっている人に対して、どうしたら解決の道が見えるのか、米田さんから先輩としてのアドバイスをお願いします。
A
頭の中で考えているだけでは、整理されないので、どんなことで悩んでいるのか自分でもわからないことが多いです。
悩んでいる自分はダメだと否定するんじゃなくて、悩みと向きあうことが大事だと思います。
それには普段起こっていることを口に出して、友達や親に話してみると効果があります。
すると、悩みが明確になり、前に進めるようになります。

単純な悩みなら、話すだけでも気持ちが浄化されてスッキリしていくと思っています。
もし話せる人がいないなら、この機会に話せる人を上手に見つけてみるといいと思います。
また、僕の場合はノートに「なりたいこと」「練習したいこと」などを書いてきました。

悩みを話したり書いたりすることで、次にどう行動したらよいか、見えてくるものですよ。

カウンセリングは恥ずかしいことじゃない!

Q8
カウンセリングを受けたことがあるそうですが、どんなことを聞かれたり話したりするのですか。
A
アテネオリンピックの後に、度重なる手術を乗り越えた経験があります。
そんなとき、メンタルトレーニングやカウンセリングで救われました。

カウンセラーには、日常あったことを話します。
競技の話はしないで、日常の出来事を話して、もやもやしているものを吐き出しただけ。
カウンセラーは、僕の話にじっと耳を傾けてくれてました。
すると、こころが浄化されて、スッキリした気分で帰ることができましたね。

カウンセリングを受けることは、悪いことでも恥ずかしいことでもないんです。
前に進もうとしている人にとっては、カウンセラーはパートナーのような存在だと思います。

相談されたら、だまって話を聞いてあげて!

Q9
相談を受けたときに、どんな対応をとるのが望ましいのでしょうか。メンタルトレーナーの立場からアドバイスをお願いします。
A
話をするとき、話し手はただ聞いてほしいだけ。
ただ聞いてあげるのがいちばんなんですが、親に話すと「こうしてほしい!」と、指示がとんできますよね。
すると、自分のことをわかってもらえないと思い、徐々に相談しなくなると思うんです。

こうした会話は、カウンセリングと同じだと思います。
話をじっと聞くことが大切。どんな悩みをもっているのか、どう感じているのかを引き出しながら聞いてあげて、しっかり理解してあげることが大事だと思います。
アドバイスは、ほんのひと言くらいで、ちょうどいいと思っています。

つり輪  床  跳馬

©徳洲会体操クラブ

写真左より、つり輪、床、跳馬で活躍する体操選手時代の米田さん。

米田 功さん

プロフィール

米田功(よねだ・いさお)さん

1977年大阪府生まれ。アイデアヒューマンサポートサービス所属。
7歳から体操を始めて、全国中学生大会で個人総合優勝。
高校時代にインターハイで個人総合2位、大学時代は全日本学生選手権個人総合優勝など。

2004年のアテネオリンピックでは日本男子体操のキャプテンとして団体で金メダル、個人の鉄棒では銅メダルを獲得。
2008年に現役を引退し、2009年からはメンタルトレーナーとしての活動をスタートし、中学・高校から講演会の依頼も多数受けている。

2012年の米田功体操クラブ設立に向けて準備中。


 

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