インタビュー

米田 功さん
「こころは重要な要素。
こころを中心に練習や日常生活をおくる」
アテネオリンピック金メダリスト
元体操選手 米田 功 さん

練習が大キライな中高生だった!?

Q4
中学生・高校生の頃から全国大会に出場するなど大舞台での競技も多かったと思いますが、どんな気持ちで練習し、本番を迎えていましたか?
A
小学校の中学年から体操の名門クラブに通い、全国中学生大会では個人総合優勝。
基礎をみっちり指導してもらったので、いつの間にか体操が上達していた感じでした。

高校時代はインターハイで個人総合2位。
自分の中では2位でもすごい!と思うんですけれど、優勝しないと先生から叱られるんです。
先生は強くなってほしくて「優勝しろ、練習しろ」と言うのかもしれませんが、どうしてこんなに大変な思いをして練習しなきゃいけないんだろうと思えてきて。練習がキライでした。

だから練習せずに強くなるにはどうしたらいいんだろうということを、いつも考えていました。
たとえば、体操は6種目あるので、思い切り集中して6本30分の練習で終わろう!なんて……。

基礎ができていたため、練習をそれほどしなくてもある程度の結果を出せたんです。でも、練習をしない者を誰も助けてくれないし、チームの輪が乱れていきます。結果として、シドニーオリンピックには出場出来ませんでした。

こころをメインに考えると、失敗も怖くない!

Q5
2004年アテネオリンピックでは、日本男子体操のキャプテンとして団体で金メダルを獲得されました。
プレッシャーのかかる場面で自分の力を発揮するには、どのようにこころをコントロールしているのですか。
A
スポーツ選手にとって、こころとどう向き合い、コントロールするかというのはとても重要な課題だと思います。
多くの選手は、試合でプレッシャーがかかると、緊張から失敗してしまった経験をもっているでしょう。

でも、体操競技で技を決めようとするときに、こころにブレーキをかけるものは、
「もしかしたら失敗するんじゃないか」
「これを決めれば勝てるんじゃないか」
という「気持ち(こころ)」なんです。
だから試合で失敗しないように、何とかこころをコントロールしようと、長時間にわたって技を磨く練習をするわけです。
でも、試合で失敗すると、「緊張して失敗した。もうだめだ」とやる気を失っていくことも多いと思います。

ここで重要なのは練習よりも「こころ」をメインに考えることだと思います。
すると練習の仕方も変わってきます。本当の試合だと思って、普段の練習をするんです。
すると、本番の試合でも何とかできるようになりますし、
「試合で緊張しても、できればいいじゃない」
「やる気を失わなければ、失敗してもいいじゃない」
と思えれば、失敗を怖がらなくてすむようになります。

失敗はダメじゃない!

Q6
失敗をこわがらなくてすむようにするのに、どんなふうにこころのメンテナンスをしていたのですか?
A
「失敗したからだめ」「失敗したからやる気がなくなった」と考える人が多いと思いますが、失敗してもだめではありません。
本来、「失敗」は「だめ」につながりません。失敗しても、やる気を失わない人もいますから。
こころをメインにすると、「次はできるようになろう」とやる気を失わないでいければ、「失敗してもいい」と考えられます。

また、「できない」ことは「よくないこと」と考える人も多いですね。
でも、こころをメインに考えると「できないことを、できるようにやっていくところ」が楽しいんだと思います。
そこを達成していく課程が魅力的だと思います。

 

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