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広報誌「厚生労働」

人や暮らしを守る厚生労働人

厚生労働省には、どのような仕事があるのでしょうか。専門的な職種に就いている人たちを紹介します。

「技術系職員」

厚生労働省労働基準局 安全衛生部 安全課 中央産業安全専門官 吉岡健一さん

吉岡健一さん
厚生労働省労働基準局 安全衛生部 安全課 中央産業安全専門官

安心して安全に働ける当たり前の日常をつくる

労災の死傷者は年間で約12万人 彼らの職場の安全確保に努める

 仕事中の事故などが原因でケガをしたり病気になる人は、年間で約12万人。亡くなってしまう人は約1,000人です。
 技術系職員は、こうした問題から労働者を守るため、労働現場での安全を確保することがその使命です。
 国家公務員総合職試験の「工学」「化学・生物・薬学」「農業科学・水産」「農業農村工学」「森林・自然環境」「数理科学・物理・地球科学」区分の合格者から、採用されます。
 多くの区分から技術系職員になれる理由について、安全衛生部安全課の吉岡健一さんは次のように説明します。「労働と一くくりに言っても業種や作業内容は幅広く、そこから派生する問題もさまざまです。多様な視点に立って考えなければならないので、多くの分野から採用されています」
 技術系職員になると、厚生労働省以外に都道府県労働局や労働基準監督署、関係団体や国際機関などで経験を積みます。「私は、厚生労働省と現場(都道府県労働局や労働基準監督署)を交互に経験してきました。現場にいたときは、ヘルメットをかぶって、据え付け前のボイラーのなかに入り、小さなハンマーで内部を叩き、その音を聞く打音検査をしたり、石綿を除去する作業現場に立ち入り、現場が密閉されているか、石綿が漏れていないかの確認などをしました。こうした現場の経験を活かして、厚生労働省で法律や政令・省令の制定や見直しをしています」

規制の策定やその見直しで労働者の負担軽減につなげる

 技術系職員は、労働安全衛生に関する規制をつくっていますが、新しい技術ができたり、作業方法が変わったりした場合には古い規制の見直しも図っています。
 昨年2月には、海底にあるパイプラインの修理作業についての規制を緩和しました。これまで日本では高気圧の作業室のなかで火を使うことが禁止されていたので、不具合が生じた場合は、パイプラインを地上まで引き上げて修理し、また海底に戻すという方法しかありませんでした。しかし、研究が進み、高気圧の作業室内でも酸素分圧をコントロールすることで、安全に火を使う作業が可能だと確認されたことを受けて規制緩和に至ったのです。
「研究が進んで安全性の確認がとれたり、海外の事例を参考にすることで、規制が見直され、事業者の負担が減るだけでなく、労働者もより安全に作業できるようになる場合があります。規制をつくることも、見直すことも労働者の安全へとつながると考えています」と吉岡さん。
 変化していく労働環境のなかで労働者が安心して働けるように、技術系職員は常に広くアンテナを張り、必要な決まりをつくっています。

《16年目の吉岡さんに聞く》

Q1.技術系職員をめざしたきっかけは?
A1.国家公務員試験に合格した後、官庁訪問で聞いた技術系職員の先輩の「朝、『行ってらっしゃい』と言って、仕事に行くお父さんを見送った子どもが、もう二度とお父さんに会えなくなってしまうことがある。私たちは、『行ってらっしゃい』と送り出された人が『ただいま』と家に帰れる日常を守っています」という話を聞き、労働者の安全を守ることは、国民の当たり前の日常を守ることだと思ったからです。

Q2.この仕事の大変さは、どのようなところにありますか?
A2.労働者も多様化し、それに伴い働き方も変化しています。そのため、制度をつくったり、見直したり、普及させたりするための合意形成がとても難しいです。多様な労働者や働き方それぞれに合わせなければならない部分と、一律に規制しなければならない部分があります。いずれにしても、目の前の一つひとつの課題に向き合い、労働者や事業主に理解・納得をしてもらえるように努めていくしかありません。

Q3.今後の目標を教えてください。
A3.安全であることは当たり前で、感謝をされることは多くないかもしれませんが、技術系職員をめざすきっかけとなった先輩の言葉は、今でも私の働く根幹をなしています。労働者やその家族の大切な日常を守っていく。この気持ちを忘れずに、これからも励んでいきたいです。

どんな仕事してるの? 吉岡さんの一日

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