ホーム > 報道・広報 > 広報・出版 > 広報誌「厚生労働」 > 人や暮らしを守る厚生労働人

広報誌「厚生労働」

人や暮らしを守る厚生労働人

厚生労働省には、どのような仕事があるのでしょうか。専門的な職種に就いている人たちを紹介します。

「数理系職員」

厚生労働省年金局数理課数理第二係長 併数理調整管理第一係長 山ア一郎さん

厚生労働省年金局数理課数理第二係長 併数理調整管理第一係長 山ア一郎さん

国民や財政への影響を数字で分析・検証し施策づくりを支える

統計や年金・保険数理などの専門知識を駆使する

 厚生労働省では、年金、医療、介護、雇用、労働災害などさまざまな保険制度を扱っています。これらの保険制度の内容を変更したり見直したりする際に、あらゆる数値を分析・検証しているのが数理系職員です。収支状況や人口の推移・男女比、経済情勢などの現状分析、制度変更後の効果や影響などの数字から施策の根拠を裏付けします。
「目算で施策をつくることはできません。あらゆる数値を分析し、緻密なシミュレーションを行います。数字という切り口でさまざまな判断をし、施策の立案のための根拠を支えているのです」と、年金局数理課の山ア一郎さんは話します。
 現在、厚生労働省には約100人の数理系職員がいます。うち、約1割が女性です。数理系職員は、分析・検証作業の多い保険局や年金局、政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)などに多く配属され、それ以外の部署には少人数ずつ配属されます。
 国家公務員総合職試験のうち「数理科学・物理・地球科学」区分の合格者が数理系職員として採用されています。出身大学や大学院での学部の制限はなく、資格も必要ありません。ただし、入省後に統計や情報処理、プログラミング、年金数理、保険数理といった専門知識をつけていきます。大学でこれらの知識を学んだ人もいれば、入省後に研修で習得した人も少なくないようです。

国民が安心して制度を使えるように

 数理系職員は、普段はデスクで分析・検証業務を行うことが多く、方向性を上司と相談しながら、仕事を進めています。「たとえば、国は制度の実態を把握するためにさまざまな調査を行っています。調査によっては、時間やコストの関係で調査の対象者を絞る必要があります。このときに統計学の知識を使い、調査内容に合わせて何件の回答を集める必要があるのかを、数理系職員が計算しています。また、回答の集計や統計分析を行うときにプログラミングもします」
山アさんのいる年金局数理課では、年金制度の財政的な見通しを、年金数理の知識やプログラミング等を駆使して作成したり、制度改正を行った場合等の財政的な影響を推計したりしています。
「年金や医療保険、介護保険の持続可能性に対して不安を抱いている人も少なくありません。社会保障は国民の関心が高いテーマであり、私たちは、これらの制度が持続できるように分析・検証を重ねています」
 数理系職員は数字の分析を通じて、国民が安心して制度を活用できるように支えているのです。

《7年目の山アさんに聞く!》

Q1.数理系職員をめざしたきっかけは?
A1.大学で、社会現象をコンピュータシミュレーションで分析していました。これを社会貢献という形で活かす方法を考え、数理系職員という道に進むことを決めました。特に、厚生労働省では年金や医療など財政的にスケールの大きい政策を扱っているので、高い技術や高度な分析が求められると思いました。

Q2.大変だったことは何ですか?
A2.法案審議の際に、その裏づけや根拠となる数値をみんなで一丸となり短期間で出さなければならなかったことですね。提出した数値のすべてが議論の場にあがるわけではありませんが、それでも細かく正確にすべてを計算しなければならず、ミスは許されません。「2日後までに」などという短い期間で、数値の分析・検証をし、省内幹部や新聞記者に説明することもありました。

Q3.今後の目標を教えてください。
A3.自分が導き出した数値が世のなかに出ると、うれしくなります。そして、それが何かの基準になったり、根拠になっていくのは、数理系職員でなければ経験できないものだと思います。今後も数字という切り口でさまざまな政策に対する気づきを与える専門職としての意識を、高くもっていたいです。

どんな仕事してるの? 山アさんの一日

ホーム > 報道・広報 > 広報・出版 > 広報誌「厚生労働」 > 人や暮らしを守る厚生労働人

ページの先頭へ戻る