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広報誌「厚生労働」

人や暮らしを守る厚生労働人

厚生労働省には、どのような仕事があるのでしょうか。専門的な職種に就いている人たちを紹介します。

「薬系技官」

厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬安全対策課 副作用情報専門官 鉄橋正士さん

厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬安全対策課 副作用情報専門官 鉄橋正士さん

医薬品や医療機器食品など幅広い分野で安全性の確保に貢献

化学・生物・薬学の知識で国民の健康を支える

 薬系技官は、医薬品、医療機器、再生医療等製品の安全性や実用化の検討を通じて、国民の健康保持・増進を支えています。国家公務員採用総合職試験(化学・生物・薬学)に合格することが条件となっており、「薬系技官」といわれていますが、薬学部に限定されているわけではなく、理学部や工学部など出身学部に関係なく採用されています。
 薬系技官の主な役割は、有効で安全な医薬品・医療機器を国民に届けること、食品の安全を守ること、毒物・劇物等の化学物質から国民の健康を守ることです。そのため、厚生労働省においても配属先はさまざまで、薬事分野、医療・介護分野、食品安全分野、化学物質分野、研究開発分野、その他行政分野と幅広く活躍しています。
 薬事分野では、医薬品等の研究開発の支援はもちろん、承認審査の迅速化に向けた制度設計をしたり、医療保険の適用を検討したりします。また、医薬品の品質の確保や、収集した副作用情報に基づく安全対策の実施なども薬系技官の業務です。そのほかにも、危険ドラッグの新たな指定や、家庭用品に含まれる有害物質の基準設定についても担当します。

2週間に1回の電話会議で欧米の担当者と意見交換

 医薬安全対策課の鉄橋正士さんは、自身の仕事についてこう説明します。「現在は市販後の医薬品等の安全対策を担当し、安全対策の充実に向けた制度の見直しをしています。具体的には、医薬品等の適正使用の情報の提供方法として、紙による添付文書情報の提供から、迅速に提供可能な電子的方法に移行することの是非についてや、製薬企業でのガバナンスが機能するように、品質や安全を担う技術責任者の在り方についてなどを、課内で議論し、外部の関係者、有識者の意見を聴いて、制度設計の検討を行っています」。薬系技官は、国民に安全な薬を届けるために日々、努めているのです。
 また、鉄橋さんは国際的にも薬系技官が活躍していると話します。「現在、2週間に1回電話で欧州とアメリカの担当官と国際会議を行い、医薬品の安全性に関する問題などについて意見を交換しています」
 薬系技官は、化学物質を扱う幅広い分野で活躍しているのです。

《9年目の鉄橋さんに聞く!》

Q1.薬系技官をめざしたきっかけは?
A1.日本で使われていない薬を、安全性を確保しつつ早く届けたいと思ったからです。自分で薬を開発することも魅力的ではありましたが、薬学を学んでいたときにドラッグラグ(注)が話題になっていたので、その解消に向けて何かできないかと思い薬系技官になりました。
(注)欧州やアメリカで使われている新薬が、日本では承認が遅れていることにより使えない状況

Q2.この仕事の魅力は、どのようなところにありますか?
A2.私は薬学を学んで薬系技官になったので、さまざまな薬についての事例を検証したり、承認のための段取りを組んだりして、安全な薬を実用化に結びつけることがやりがいです。入省して、最初に配属されたのが医薬食品局審査管理課(当時)でした。その当時は、日本で使用していた生ポリオワクチンが問題となっていたので、不活化ポリオワクチンの使用を承認するために奔走していました。こうした日々の積み重ねが、国民の安心感や健康を守ることにもつながっていきます。それがこの仕事の魅力だと思います。

Q3.今後の目標を教えてください。
A3.日本でも革新的な医薬品等を速やかに使用できるようにし、一人でも多くの人を助けたいです。早さだけではなく、安全面の検証もきちんとしていきます。また、諸外国の担当官と電話会議をするので、英語のスキルも磨いていかなければいけないと感じています。

鉄橋さんの一日

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