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広報誌「厚生労働」

人や暮らしを守る厚生労働人

厚生労働省には、どのような仕事があるのでしょうか。専門的な職種に就いている人たちを紹介します。

「獣医系技官」

厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課国際食品室 温井健司 さん

厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課国際食品室 温井健司 さん

獣医学分野の公衆衛生の知識を活かし国民の健康を守る

食品安全対策や感染症対策が主な業務

 獣医系技官は、獣医学分野の公衆衛生の知識を活かし、国民の健康を守っています。獣医師の資格を有していることが条件です。厚生労働省における獣医系技官の業務は大きく2つに分かれます(「温井さんの1日」参照)。
 1つ目は「食品安全対策」です。食中毒対策の立案・実施や、食品の輸出入などの国際的な課題への対応、食肉や残動物用医薬品、遺伝子組み換え食品などの安全性の確保が主な業務です。2つ目は「感染症対策」です。狂犬病やデング熱、鳥インフルエンザなど、動物がかかわる感染症のヒトへの感染を未然に防止するため、国民への感染症の情報発信や危機管理体制の整備、感染症を媒介する動物の輸入監視が主な業務です。
 厚生労働省内での配属はもちろん、内閣府、農林水産省や環境省などの他省庁や国際機関、検疫所、自治体に出向する場合もあります。
 2000年代初頭に世界的にBSE(注1)が流行しました。当時、厚生労働省の食品安全対策としてこの問題に対応するために、BSE発生国からの牛肉の輸入を禁止するとともに、国内の牛についてはと畜場における特定部位(注2)の除去・焼却とBSE全頭検査を開始。その後も、徹底した対応を継続した結果、発生数は大きく減少し、BSEリスクは低減しました。
「BSEの発生数が国内外で激減した後も、全頭検査をやめるとなると不安に思う国民や自治体の方もいました。リスクが十分に低下したので科学的な知見をもとに対策を見直すということを、丁寧でわかりやすく説明をするのも役割の一つです」と、医薬・生活衛生局の温井健司さんは説明します。現在は、日本の食を取り巻く環境変化や国際化等に対応し、食品の衛生管理としてHACCP(ハサップ)を導入し、制度化を進めています。
 感染症では近年、ワンヘルスアプローチ(注3)やSFTS(注4)など、動物由来感染症が課題です。そのため、海外で流行している感染症の情報収集だけでなく、国内の医師や獣医師を通じて情報の収集に努め、それをもとに対策を行っています。「情報を広く入手し、事前に周知できれば、動物の飼い主や動物に接触した人へ、早期の病院の受診を促したり、動物に対して感染症を想定した処置を施すなど、医師や獣医師も適切な診療・対処ができるようになります」と、温井さんは話します。医療機関、関係団体や研究機関と協力しながら対応を行っているのです。
 獣医学で学んだ知識を活かしながら、食品の安全や動物を経由したリスクや感染症を防ぎ、国民の健康を守るのが獣医系技官です。

注1)牛海綿状脳症のこと。牛の病気の一つで異常プリオンタンパク質が主に脳に蓄積し、神経症状を呈し、最終的に死亡する。
注2)異常プリオンタンパク質が溜まる部位である頭部、脊髄、扁桃、回腸遠位部など。
注3)動物由来感染症に対し、ヒト・動物・環境の衛生にかかわる者が連携して取り組む考え方を指す。
注4)重症熱性血小板減少症候群のこと。主にウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染する。SFTSウイルスに感染している動物の血液などに直接触れた場合、ヒトがSFTSウイルスに感染することも否定できない。

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