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広報誌「厚生労働」

特集
「働く」を変える 働き方改革推進法が成立しました

今年6月29日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革推進法)」が成立しました。これは、日本が直面している生産年齢人口の減少や働き手のニーズの多様化などの状況を踏まえ、就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境づくりといった重要な課題を解決するのが目的です。同法の成立により、国民一人ひとりの働き方はどのように変わるのでしょうか。
また、企業にはどのような対応が求められているのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

Introduction 日本が直面する課題と改革の背景

働き方改革推進法成立の背景を理解するためにはまず、今の日本がどんな課題に直面しているのかを知る必要があります。統計などをもとに、課題について解説します。


働く人の多様なニーズに応え労働参加を後押し

 日本では少子高齢化の進行により、生産年齢人口が減少するとともに、育児や介護と仕事の両立など、働く人のニーズも多様化しています。こうした課題を解決するため、国は働く人がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選べ、将来に対してよい展望をもてる社会を実現するという「働き方改革」を進めています。そのために成立したのが、今回の働き方改革推進法です。同法は大きく分けて、「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」の3つから成ります。
 その一つ、「多様で柔軟な働き方の実現等」は、働きたいのにさまざまな制約により働けない人が労働参加できる社会をつくるのが目的です。仮に、そうした人が労働参加できれば、生産年齢人口が減少しても就業者数は増加します。「労働力調査」や「日本の将来推計人口」などを基にした「労働力需給推計の活用による政策シミュレーション 全国推計」によると、2014年時点の就業者数は6,351万人で、経済成長と労働参加が適切に進まない場合、2020年の就業者数は6,046万人になる見込みです(図表1)。これらが適切に進めば6,381万人と、約340万人増えます。同様に2030年には、適切に進まない場合は5,561万人、適切に進む場合は6,169万人になると見込まれ、後者のケースであれば2014年と比較して就業者数はマイナス182万人にとどまると推測されます。

図表1 2030年までの就業者シミュレーション(男女計)

 働きたいのに働けない理由の一つが、仕事と家庭の両立の難しさです。約5割の女性が出産・育児により退職しており、仕事との両立困難の理由で最も多いものが「勤務時間があいそうもなかった(あわなかった)」(56.6%)です。日本の年平均労働時間は1,713時間と、ドイツの1,363時間やフランスの1,472時間(推計値)と比較して長くなっています(図表2)。週あたりの労働時間をみても、40〜48時間の労働者が38.2%、49時間以上の労働者が20.8%と、時間外労働をしている労働者の割合が高くなっています。さらに、年次有給休暇の取得率は2000年以降5割を下回り、2016年は49.4%となっています。こうした状況を変えていかなければ、働きたい人が働ける社会は実現しません。 。

図表2 年平均労働時間

  65歳を超えても働きたいと希望する人は約7割を占めています。希望する就労形態はパートタイムが最も多いのですが、フルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準が、ヨーロッパ諸国では7〜8割なのに対し、日本は6割弱と低くなっています。雇用形態による不合理な待遇差をなくす必要があります。

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