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広報誌「厚生労働」

ニッポンの仕事、再発見!

《電気通信機器組立工》

 無線や有線による電気通信に必要な機器を、部品のハンダ付け・配線など手作業によって組み立てる。

宇宙空間で活躍する精密機器の品質を手作業でつくり込む

電気通信機器は、ラジオなど身近なものから宇宙関連機器まで多種多様なものに使われています。宇宙空間に送り出す高精度の電気通信機器を手作業で組み立てているのが、馬場大作さんです。人工衛星を支えるベテランの技をご紹介します。



馬場 大作
ばば・だいさく

1965年生まれ。84年、日本電気株式会社に入社。約30機の人工衛星やロケット等に搭載する電子機器の組立・配線業務に従事、特に高圧電源の立体・組立配線の第一人者。2001年、NEC東芝スペースシステム株式会社(NECスペーステクノロジー株式会社)に出向。現在は生産本部機器製造検査部主任。15年、厚生労働省電子機器組立て特級技能士。16年、東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞。昨年、「現代の名工」に選定される。
(NECスペーステクノロジー株式会社 住所:東京都府中市日新町一丁目10番地)

人間の手によるからこそつくり出せる高い精度

 電気通信機器組立工が手がける機器はさまざまで、馬場さんが組み立てているのは、人工衛星に搭載する機器です。トランシーバーや携帯電話、ラジオなどは大量生産ですが、宇宙関連機器はすべて一点もの。多くの組み立て工程が手作業というから驚きです。
「数千点におよぶ大小さまざまな電子部品のハンダ付けや配線取り付けなどの作業を経て製品に仕上げます。そのすべてを自分の目で確認しながら完成させるので、達成感があります」と、馬場さんは仕事のやりがいを話します。
 配線設計図に基づいてプリント基板に電子部品をネジで固定し、その基盤をさらに箱の中に接着。次いで、ケーブルを使って配線しハンダ付けしていくのが、馬場さんの仕事です。こうした作業を何度も繰り返すことでコンポーネントの完成に至ります。
 配線は機械的に行っているわけではありません。一度、プリント基板を箱の中にネジで固定してしまったら修正できないため、どう配線すればより短いケーブルでつくり上げられるかをイメージすることが重要です。
「人工衛星は設計段階で総重量が決まっているので、搭載機器の重さをグラム単位で管理します。そのため、ケーブルの長さや接着剤の量の加減など軽量化を意識して仕事に臨むわけです」
 馬場さんは、自身のつくった機器が搭載された人工衛星が打ち上がったときが、最も喜びを感じる瞬間だと言います。さらに、宇宙空間で機器がきちんと機能していることが確認できたときの喜びも大きく、次の仕事への意欲につながるそうです。
 馬場さんが手がけた機器は、見た目の美しさがあります。デザイン性の高さ=機能の高さ。製品には、30年以上の経験に裏打ちされた機能美が凝縮されています。
「人工衛星が宇宙に飛んでいってしまったら修理はできませんから、100点満点の製品をつくることを肝に銘じています。精度の高さは、人間の手によるからこそ。この仕事がロボットに取って代わられることはないという自信があります」

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