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広報誌「厚生労働」

ニッポンの仕事、再発見!

《衣装着付け師》

優れた着付けの技術だけでなく、着物そのものやヘアスタイル、メーク、着物を着たときの作法など、着物に関する総合的な知識を身につける必要がある。

平面裁断の着物を立体の体に着せ 美しい姿を生み出す

鈴木 則子
すずき・のりこ

1938年、東京生まれ。56年、山野高等美容学校に入学。卒業後、山野愛子分室フタバ美容室で修業。20歳で独立し、トミー美容室を開業。約10年にわたり、町田美容専門学校の非常勤講師として着付け指導を行っている。2017年、「現代の名工」に選定される。
(トミー美容室 住所:東京都葛飾区亀有2-26-13)

日本特有の衣装でありながら、特別な存在となっている着物。着物は決して堅苦しいものではなく、洋服と同じように楽しめるものとの考えから、鈴木則子さんは着物文化の継承に取り組んでいます。

同じ着物でも人によって着せ方がちがうおもしろさ

 20歳の若さで美容室を開業、以来60年にわたり着付けの技能を磨きあげてきた鈴木則子さん。お宮参り、七五三、卒業式、成人式、結婚式など人生の節目での着付けはもちろん、十二単など古典衣装の着付けにも優れた技能と知識を発揮しています。鈴木さんは、どのようにして着付けの幅を広げてきたのでしょうか。
「美容室の経営だけに満足せずに勉強するように先輩から言われ、一流の着付けの先生の仕事を拝見したり、勉強会を主宰したりして探求しました。定休日も閉店後も勉強。365日休みなしでしたね」
 近年は着物に関心を持つ人が増え、観光地などでは着物体験サービスなどもありますが、着物はあくまで特別なときに着るものと捉えがちです。そのため、多くの人が、ハードルが高いと感じている衣装です。
「着物は色や柄で、コーディネートを楽しめるという点では洋服と一緒。着物は平面裁断、洋服は立体裁断。この違いだけなんですよ」
 着付けのおもしろさは、平面の着物を立体の体に、いかにきれいに着せるかです。人によって体格がまったく異なるため、同じ着物でも同じ着せ方はできません。どのように着せるときれいになるかを考えるのが、着付け師の腕の見せどころです。
 鈴木さんは創作帯も多く発表しています。あえてたくさん柄が見える様に考えており「あなたが1番よ」と送りだすために、帯も華やかに仕上げていると話す鈴木さん。
「体に合うように美しく着付けると、苦しくもないし着崩れもしません。体も心もシャキッとします。こうした体験をすると、着物に対するイメージが変わりますよ」
 着物は日本の文化であり、民族衣装。絶対に絶やしたくないというのが、鈴木さんの信念です。
「苦しくないように結び目の位置を考えるなど細やかな工夫がされていたり、帯などに飾りをプラスしたり、着物は大きく変化しています。無限大に楽しめるのが今の着物なので、もっと遊んでほしいですね。着物に親しむ人が増えるように努めていきたいと思っています」

鈴木さんは約20分程度で、その人が最もきれいに見えるよう着付ける

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