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広報誌「厚生労働」

特集 あなたは大丈夫? 間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方

健康維持や病気からの回復のために、薬を使っている人は多いでしょう。しかし、皆さんは薬に関する正しい知識を持っていますか? 薬と正しく付き合えていますか? 正しい使い方をしなければ、薬は効かないばかりか、体に害を及ぼすこともあります。本特集では、間違いやすい、誤解しやすい使い方をご紹介。改めて、薬との付き合い方を見直す機会にしましょう。

<Part1>
Q&A
挑戦してみよう! 薬の○×クイズ

意外と知らない薬の正しい使い方や、使用の際の注意点をクイズにしました。ぜひ、チャレンジしてみてください。

Q1 薬にはリスクがある

A1 〇

 薬は病気からの回復などに役立つ一方、副作用を起こすリスクもあります。ですから、使うときは必ず医師や薬剤師などの専門家から説明を受け、正しい使い方を理解したうえで服用しましょう。
 副作用とは、アレルギー反応の一つであるアナフィラキシーや肝機能障害のような、薬の望ましくない作用を指します。もちろん、薬を使ったからといって、常に起きるわけではありません。ただし、「アレルギーのある人」「過去にひどい副作用を経験したことがある人」「医師の治療を受けている人」「肝臓・腎臓など、薬の成分を代謝・排泄する臓器に疾患のある人」「ほかにも薬を飲んでいる人」「妊娠している女性、妊娠の可能性のある女性、授乳中の女性」「高齢者」は副作用が起きやすいので、特に注意が必要です。また、「高所作業や、乗り物または機械類の運転操作をする人」は、眠気等の副作用に注意が必要です。当てはまる人は服用する前に、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしましょう。
 もし、薬を使用して、何か異常を感じたら、すぐに医師や薬剤師などの専門家に相談してください。たとえば、発疹やかゆみ、皮膚や粘膜の赤み、胃痛などの症状が出たら相談しましょう。その際は、「何という名前の薬を」「どれくらいの量」「どれくらいの期間」使用し、「どのような症状」が出たのかを正確に伝えましょう。また、異常を感じた際、直ちに服用を中止する人もいるかもしれませんが、薬の種類によっては自己判断で急に中止すると危険な場合もあるので、まずは相談するようにしましょう。


【副作用の情報】

 医薬品ごとに発生する可能性がある副作用については、「患者向医薬品ガイド」「ワクチン接種を受ける人へのガイド」「くすりのしおり」で確認できます。
 重篤な副作用の概要や初期症状については、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」で確認できます。
 また、薬局では薬と一緒に必ず「説明文書」を渡しています。説明文書には、正しい使い方や効果、注意点に加え、副作用についても書かれているので、使う前に読んだり、必要に応じて確認できるように保存しておくことが大切です。

Q2 飲み忘れたからといって、2回分をまとめて飲んではいけない

A2 〇

 薬は決められた時間に服用しなければなりませんが、もし飲み忘れた場合は、思い出したときに、すぐに飲むようにしましょう。ただし、2回分をまとめて飲んではいけません。もし次の服用時間が迫っている場合には、飲み忘れた分は飲まず、次からいつものように飲むようにしましょう。
 なお、薬の種類によっては、飲み忘れたときの対応が異なる場合があります。薬を受け取るときには、必ず医師や薬剤師に確認しましょう。


【服用のタイミング】

 食 前:胃の中に食べ物が入っていないとき
     (食事の1時間〜30分前)
 食 後:胃の中に食べ物が入っているとき
     (食事の後30分以内)
 食 間:食事と食事の間
     (目安は食事の2時間後)
 就寝前:就寝30分くらい前
 頓 服:発作時や症状がひどいとき

Q3 たくさん飲めば、それだけ効果が高まる

A3 ×

 たくさん飲んだからといって、効果が高まるわけではなく、場合によっては副作用や中毒症状が現れることもあります。医師や薬剤師に指示された量や製品に記載されている用量を必ず守りましょう。
 また、薬を服用する際は、服用期間を守ることも大事です。「自覚症状が治まったから」と、自分で判断して服用をやめてしまう人もいますが、それにより再発したり、完治しなかったりすることも。医師や薬剤師から服用期間を指示されている場合には、服用期間の途中で症状が治まってきても、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

Q4 薬はジュースで飲んでもよい

A4 ×

 薬はジュースではなく水か、ぬるま湯で飲みましょう。
 また、薬を飲むときの水の量は、コップ1杯が目安です。少なすぎると、薬がのどや食道に張りついて炎症を起こす可能性があります。ただし、医師から水分をとりすぎないように注意されている場合は、その指示に沿った飲み方をしましょう。


【薬の組み合わせ】

 一緒にとることを避けたほうがよい組み合わせがあります。薬同士、薬と食品や飲料、薬とサプリメントなど、組み合わせによっては、薬が効きすぎてしまったり、反対に薬の効果が十分に得られなかったりするので、注意が必要です。たとえば、「高血圧の薬であるカルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュース」や「眠気防止薬とコーヒーや、いわゆるエナジードリンク等のカフェインを含む飲料」等の組み合わせでは薬が効きすぎて、体に害を及ぼしてしまいます。一方、血を固まりにくくするワルファリンという薬と納豆やクロレラ食品では、薬の効果を十分に得られません。
 薬をもらう際には、ほかにも飲んでいる薬やサプリメントなどがあれば、医師や薬剤師などの専門家に伝えるようにしましょう。

Q5 自分が処方された薬をほかの人にあげてもよい

A5 ×

 医師は、その人の病気や症状、体質、年齢などを考えて薬を処方しています。自分と同じような症状が出ている人がいても、自分の勝手な判断で薬を人にあげてはいけません。


【お薬手帳】

 自分に合った薬を処方してもらうには、医療機関を受診した際に体調や症状をきちんと伝えるだけではなく、医療機関や薬局でお薬手帳を見せるとよいでしょう。「お薬手帳」とは、自分が使っている薬を記録するためのもの。薬局で、薬の名前や飲み方を記入してもらうことができます。医師や薬剤師は、記入されている情報をもとに、副作用や飲み合わせ、薬の量などが適切かどうかを確認します。もし、薬を飲んだ後に体調が変化した場合や、自分で薬を購入した場合には、それを記録するようにしましょう。
 お薬手帳は薬局ごとに持つのではなく、1冊に薬の情報をまとめることが大切です。スマートフォンなどで利用できる電子版もありますので、使いやすいものを選んで活用しましょう。

Q6 子どもの手の届かないところに薬を置いておけば危険はない

A6 ×

 誤飲を防ぐため、薬は子どもの手の届かないところに置いておくことが第一条件です。実際、子どもの誤飲事故のうち、16.8%が医薬品・医薬部外品です(厚生労働省「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」2015年度、図表)

図表

 しかし、子どもも1歳以降になると、踏み台を使って保管場所から薬を取り出してしまうこともあります。ですから、子どもの手の届かないところに置くだけではなく、さらに鍵のかかる場所にしまうなどの工夫が必要です。特に向精神薬や気管支拡張剤、血圧降下剤や血糖降下剤など、重い中毒症状を引き起こす可能性がある薬の保管には十分注意しましょう。
 万が一、子どもが誤飲してしまった場合は、子どもの状態や薬の名称、飲んだ量を確認したうえで、すぐに専門の相談機関に連絡し、必要に応じて医療機関を受診してください。

誤飲した場合の相談機関

Q7 未開封でも、もらってから時間が経った薬は捨てたほうがよい

A7 〇

 有効期限を過ぎてしまった薬は、たとえ未開封であったとしても使わずに捨ててください。
 薬を保管するときは、湿気や光、熱の影響を受けないように、直射日光が当たらず、高温にならない場所を選びましょう。また、冷蔵庫で保存するように指示された薬は凍らせないように注意しましょう。そのほか、誤って使用するのを防ぐため、食品や農薬、殺虫剤などと一緒に保管することや、ほかの容器に入れ替えて保管するのもやめてください。


Q8 インターネット上で怪しい薬が売られていることもある

A8 〇

 インターネット上には、国内で承認されていない医薬品を販売している違法サイトがあります。これらの違法サイトで販売しているもののなかには、重大な健康被害 などを引き起こすものがありますので決して購入しないでください。
 インターネット上で国内で承認されている医薬品を購入する場合でも、実際の店舗で買い求めるときと同じように、薬剤師や登録販売者が薬を使用する人に質問し、説明をしてから販売することになっています。こうしたルールをきちんと守っているサイトから購入しましょう。厚生労働省のウェブサイトには、インターネットでの販売を行う届出をしている店舗一覧が掲載されています。このサイトに載っているかも確認しましょう。

インターネットでの販売を行う届出をしている店舗一覧

<Column> 知っていますか? ジェネリック医薬品

患者の医療費負担や国の医療費支出を削減

 これまでになかった有効成分を持つ、新規に開発された医薬品は、先発医薬品(新薬)と呼ばれています。開発した医薬品メーカーには、それを独占的に販売できる特許期間があります。ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品の特許が切れた後に、別のメーカーから販売される同じ有効成分の医薬品のことです。
 ジェネリック医薬品の値段は、一般に先発医薬品よりも安く設定されています。先発医薬品は、研究開発などに多くの費用がかかります。一方、ジェネリック医薬品は、先発医薬品の臨床試験などを踏まえて製造されているため、先発医薬品よりも試験項目が少なく、研究開発費も抑えることが可能です。研究開発期間についても、先発医薬品は約9〜17年といわれるのに対し、ジェネリック医薬品は約3〜5年と短いため、さらにコストを抑えられるのです。
 そのため、ジェネリック医薬品を使うと、患者の医療費負担が減るというメリットがあり、国の医療費支出を抑えることにもつながります。
 価格が安いことから、効き目や安全性に対して疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、先発医薬品と同じ有効成分が同じ量含まれているため、効果は変わりません。効き目や安全性が先発医薬品と同じものだけが、厚生労働大臣によって承認され、販売されています。製造に関しても、先発医薬品同様、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する基準)等に適合した工場でしかつくられていません。現在、発売中のジェネリック医薬品にも、都道府県の協力のもと、検査を実施しており、その結果も公表されています。なお、ジェネリック医薬品では、先発医薬品と使用されている添加物が異なるものもみられます。医薬品の成分で過去にアレルギーを起こしたことがある人は、先発医薬品、ジェネリック医薬品を問わず、添加物のなかでアレルギーを起こすものがあるかもしれませんので、医師や薬剤師にご相談ください。


使いたい場合は医師や薬剤師にその旨を伝達

 ジェネリック医薬品を希望する場合は、医師や薬剤師に「使いたい」と伝えてください。診察券や被保険者証に、市町村や協会けんぽ、健康保険組合が配布してい る「ジェネリック医薬品希望シール」を貼ったり、「ジェネリック医薬品希望カード」を提示する方法もあります。仮に処方せんに先発医薬品の名前が書かれていても、「変更不可」の欄にチェックがなければ、薬剤師と相談のうえ、ジェネリック医薬品に変えることも可能です(ただし、すべての先発医薬品にジェネリック医薬品があるわけではありません)。

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    (発行元の(株)日本医療企画のページへリンクします)

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