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広報誌「厚生労働」

特集1
虐待から子どもたちを守る
改正児童福祉法から見る「私たち一人ひとりにできること」

子どもの虐待に関するニュースが後を絶ちません。
実際、児童相談所の児童虐待相談対応件数は増加しており、2015年にははじめて10万件を超えました。
このような状況に鑑み、子どもたちを守るために、2016年5月に児童福祉法が改正され、2017年4月に全面施行されます。
未来を担う子どもたちの健全な育成のために、同法の改正内容を知るとともに、私たち一人ひとりができることを考えてみましょう。

Introduction:深刻度を増す児童虐待

児童虐待とは、どのようなものを指すのでしょうか。その定義と、昨今の状況について紹介します。

児童虐待とは? 相談対応件数が10万件超に

 皆さんは、児童虐待とは何を指すのか、ご存じですか。児童虐待は大きく分けて、身体的虐待(殴る、蹴るなど)、性的虐待(性的行為をする・見せるなど)、ネグレクト(家に閉じ込める、食事を与えない、病気になっても医療機関に連れていかないなど)、心理的虐待(言葉による脅し、無視、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるうなど)の4つがあります。
 こうした虐待を受けた子どもは、精神的・身体的に傷を負うだけではなく、残念ながら死に至るケースも起きています。虐待により死亡した子どものうち、0歳児が4割強を占めています。
 虐待から子どもを守るため、2000年11月に、「児童虐待の防止等に関する法律」(児童虐待防止法)が施行されました。それまでも児童福祉法のなかに、児童虐待に関する通告義務や、虐待が疑われる家庭への立入調査などが盛り込まれていましたが、児童虐待の防止等に関する施策を促進するため、同法が誕生したのです。その後も、何度か改正を重ね、児童福祉法とともに、今回の改正も行われました。
 では、児童虐待は1年間にどれくらい発生しているのでしょうか。2015年度中に全国208カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、10万3286件で、前年の8万8931件に比べ、大幅に増加し、はじめて10万件を超えました(図表)。


 さらに、この数字は、虐待の発生件数ではなく、虐待の相談に児童相談所が対応した件数です。そのため、実際に虐待が起きているものの、表面化していない(相談にきていない)ものがある可能性があります。
 相談内容を見ると、心理的虐待が増えており、前年に比べ約1万件増でした。その要因の一つとして、児童の目の前で児童の親(配偶者)に対する暴力がなされ、それを警察が通告するケースが増えたことが考えられます。
 また、児童相談所の全国共通ダイヤルの3桁化(189)(いちはやく)の広報が進み、相談・通告がしやすくなったこと、テレビや新聞などでたびたび児童虐待事件が報道され、国民や関係機関の児童虐待に対する意識が高まり、相談・通告が多く寄せられるようになったことも理由として挙げられます。2015年度に児童相談所が受けた児童虐待の相談経路では、警察等、近隣知人、家族、学校等からの通告が多くなっています。
 次ページからは、改正児童福祉法の中身を見ていきましょう。

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