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年1回の実施は事業者の義務です
ストレスチェック制度の取り組み
働く人のメンタルヘルス不調が大きな社会問題となっています。
“心の健康”を保っていくことの重要性を、企業・働く人双方が理解しなければなりません。
国は、働く人のメンタルヘルス対策を進めています。
その一環として、昨年12月に労働安全衛生法に基づいて創設されたのが、「ストレスチェック制度」です。
ストレスチェック制度により、従業員数50人以上の事業所では最低年1回、そこで働く人へのストレスチェックの実施等が義務づけられました。
対象となる事業所では、第1回目のストレスチェックを今年11月末までに実施する必要があります。
本特集では、ストレスチェックの概要と実施するための留意点、すでに取り組んでいる企業の実例等を紹介します。
Introduction 新たに導入された「ストレスチェック」
高止まりする職場でのメンタルヘルス不調
近年、仕事や職業生活をめぐり、強い不安や悩み、ストレスを感じる人が増えています。2013年労働安全衛生調査(実態調査)によると、職場生活で強い不安・悩み・ストレスがある労働者の割合は高止まりをし、メンタルヘルスの不調で連続1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は、2011年が9%、2012年が8・1%、2013年が10%と推移しています。
また、2014年度「過労死等の労災補償状況」における「精神障害の労災補償状況」をみると(図表1)、仕事による強いストレスなどによる精神障害の労災補償は2010年度には請求件数で1181件、支給決定件数は同308件でしたが、2014年度にはそれぞれ1456件、497件へと増えています。労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することは、ますます重要な課題となっています。
働く人へのストレスチェックと必要な措置を企業に求める
このような状況に対して厚生労働省は、2006年に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の策定、2013年には第12次労働災害防止計画においてメンタルヘルス対策を重点とする対策の一つに定めるなど、職場のメンタルヘルス対策に向けた取り組みを進めてきました。そして、2014年6月に労働安全衛生法を改正し、昨年12月1日から導入したのが「ストレスチェック制度」です。
ストレスチェック制度は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、医師や保健師等による心理 的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施することを事業所に義務づけた制度です。なお、50人未満の事業所では当分の間、努力義務となっています。検査の後、高ストレスで必要があると認められた労働者から申し出があった場合は、医師による面接指導を実施したり、必要に応じて就業上の措置を講じることも事業所の義務となりました。
ストレスチェック制度は、労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったりするほか、事業所は職場ごとの集計・分析に活用することで職場環境の改善につなげ、メンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。
2013年労働安全衛生調査(実態調査)の「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所割合」にみるように(図表2)、企業によるメンタルヘルス対策への取り組みは年々進んできています。今回のストレスチェック制度の導入により、職場でのメンタルヘルスに対する理解や取り組みがさらに広がることが期待されています。
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