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秋葉副大臣会見概要(新たな医薬品・医療機器産業ビジョンについて)

(H25.06.26(水) 13:40〜14:05  省内会見室)

【広報室】

説明のポイント

  •  医薬品と医療機器の産業ビジョンを同時に公表すること、そして、会見を開いて公表することは、ともに今回が初めて。「日本再興戦略」でも、健康長寿産業は戦略的分野の一つに位置付けられており、その中心である医薬品・医療機器産業は、まさに「1丁目1番地」である。
  •  二つの産業ビジョンは、厚生労働省の立場から、中長期的な視点で「産業の将来像」と「その実現のための取組」を示したものである。
  •  まず、「医薬品産業ビジョン2013」は、創薬環境の国家間競争が高まっている中、世界中の優秀な人材と企業が国境を越えて我が国に集結するという、真に魅力ある創薬の場にすることを目指している。
  •  具体的に、新薬メーカーの将来あるべき姿を次の通り例示する。新薬メーカーには、[1]革新的な医薬品の開発、[2]医薬品の安定供給、[3]経済成長への貢献、[4]日本初のイノベーションの発信、という大きく4つの役割が求められる。そして、これらの役割を果たすために、「患者ニーズへの対応」、「海外市場への展開」、「事業・人材への投資の充実」という三つの機能を今後強化すべきと考える。三つの機能のどれを強化するかは、それぞれの企業が経営判断で決めるべきものであるが、厚生労働省としては、研究段階から保険適用段階に至るまでの、企業が創薬を行う環境の整備に取り組むことで、支援していきたい。
  •  次に、「医療機器産業ビジョン2013」は、技術力があるにも関わらず、医療ニーズに活かされていない等の課題を克服し、日本から医療の進歩に貢献する医療機器を迅速に医療現場へ届けるということを目指している。
  •  具体的に、医療機器業界には、[1]優れた医療機器の開発、[2]医療機器の安定供給という二つの役割が求められる。ただし、産学官の関係者が医療機器の特性を認識した連携体制を取れていないために、優れたものづくり技術を医療ニーズに活かせていない。そこで、医工連携などといった産業界との密接な連携の構築、中小・ベンチャーの連携強化、人材づくりなど、医療機器業界を強化する仕組みを構築し、さらには、海外市場への展開も進めることで、医療の進歩に貢献する医療機器を医療現場へ迅速に提供していきたい。
  •  このような医薬品・医療機器業界の将来あるべき姿に向けて、厚生労働省としては、基礎研究から保険適用に至るまでの、各ステージへの切れ目のない支援施策を検討・実行するとともに、薬事法改正法案や再生医療等安全性確保法案などといった法律による環境整備、さらには企業の国際展開を積極的に支援していきたい。
  •  そして、以上のような、これまでとは次元の違う取組を進めることにより、2030年までに「日本を世界一の創薬国にする」、「世界のトップ企業を輩出する」、「医薬品・医療機器の貿易収支を改善する」、「医療機器の輸出金額を2倍にする(2011年度比)」、「医療機器の海外依存度を30%以下にする」という目標の達成を目指す。

会見の詳細

《冒頭》

(副大臣)

 よろしくお願いします。いよいよ今日で通常国会も閉会日です。開会中は、最後の記者会見になろうかと思いますが、今日はよろしくお願いしたいと思います。最近は残念ながら、副大臣会見も十分お取り上げいただかないこともあるんですけれども、今日は医薬品・医療機器のこれからの展開についてビジョンがまとまりましたので、御報告をしたいと思います。これまで過去2回のビジョンと違いまして、今回は数値目標や期限を明記したかなり踏み込んだ内容とさせていただいているところでございます。安倍政権の成長戦略、あるいは健康・医療戦略室主導のこれからの取組の中で、ベースになっていくプランだというふうに思っております。その医薬品と医療機器の新たな産業ビジョンについて説明をさせていただきたいと思います。皆さんのお手元にも資料をお配りさせていただいておりますが、これまでの産業ビジョンは御案内のとおり、5年に1度策定してまいりました。医薬品と医療機器、それぞれ公表をしてきたわけでございますが、今回は初めて、医薬品と医療機器のビジョンを同時にまとめて公表することにしたのは初めてでございまして、このような会見で御報告するというのも、したがって初めてでございます。今月14日に閣議決定されました「日本再興戦略」におきましても健康長寿産業は戦略的な分野の一つに位置づけられておりまして、医薬品・医療機器産業はその中心でございまして、まさに成長戦略の1丁目1番地だというふうに思っております。この二つのビジョンにつきましては、過去2回と同様に、厚生労働省の立場から5年から10年の中長期的な視点で産業の将来像とその実現のための取組を示したものでございまして、それぞれの産業ビジョンを策定した目的についてそれぞれ説明をさせていただきたいと思います。
 まず、医薬品についてですけれども、創薬については、アメリカやスイスに次ぐ第3位の位置付けにありますけれども、1位のアメリカとは御案内のとおり大きく引き離されているような状況でございます。新薬の創出国を国別に見ますと、3位とはいいましても、企業ごとに見た場合には、日本で1番の売上高を誇る武田薬品工業でさえ、世界の中で見れば、残念ながら12位に留まっている。世界のトップ10の中に日本の企業が1社もないというのは非常に残念なことであります。また、最近よく話題に上がりますけれども、医薬品は現在約1.6兆円の貿易赤字でございます。この輸入超過の状況は近年特に拡大傾向にあるわけでございます。これがそのまま日本の医薬品産業の国際競争力の弱さを必ずしも表しているわけではありませんけれども、やはり輸入に頼っている製品なども実際にあるわけでありますから、研究開発の促進などを通しまして、これは改善をしていかなければなりません。さらに、現在の創薬環境を見ておりますと、製薬企業は医薬品の元になるシーズを世界のアカデミアから獲得したり、国家レベルで創薬を支援する体制を構築しているなど、いわゆる国家対国家、つまり創薬環境の国家間競争が高まっている状況にございます。これらの課題を克服し、世界中の優秀な人材と企業が国境を越えて我が国に結集するという、真に魅力ある創薬の場にすることを目指すために、この「医薬品産業ビジョン2013」を策定したということであります。次に、医療機器の方を御覧いただきたいと思います。医療機器の分野におきましても、医薬品同様に、世界での売上高を見ますと、テルモと東芝の順位が入れ替わる年もありますけれども、テルモの15位が最新のデータだと最高の状況であります。そして、16位に東芝ということで、やはり医療機器についても日本はMRIやCTスキャンなど検査機器は比較的強いと言われてはきましたけれども、全体的に見れば、これも残念ながらベスト10に入っている状況ではありません。貿易赤字が11年度ベースで6千億円ということでございまして、これもまさに輸入超過の状況にございます。海外の製品が実に44.4%を占めているということでございまして、技術立国日本としては、やはりこのシェアといいますか、この割合を低下させていかなければならないと思います。せっかく世界に誇れる技術力があるにも関わらず、医療ニーズに十分活かされていない、この現状を真摯にとらえ、しっかりと具体的な政策の中で、解決を図っていかなければならないと考えております。これらの課題を克服して、日本から医療の進歩に貢献する医療機器を迅速に医療現場に届けるということを目指すために、この「医療機器産業ビジョン2013」を策定したところでございます。
 それでは、資料のパネルの2枚目でございますけれども、産業ビジョンについて少し具体的な内容を御説明させていただきたいと存じます。まず、医薬品でございますけれども、厚生労働省として考える医薬品産業、特に新薬メーカーの将来のあるべき姿を表したのがこちらのパネルでございます。患者ニーズへの対応、事業や人材への投資の充実、海外市場への展開ということを革新的な医薬品の開発、医薬品の安定供給、経済成長への貢献、日本発のイノベーションの発信という役割に力点を置きながら波及効果を高めていかなければならないと思っております。この三つの矢印は、先ほどの役割を果たすために新薬メーカーが今後強化すべき機能を示しておりますけれども、やはり、一つ目は患者ニーズに対応した研究開発を行うという機能でございます。二つ目には海外市場に展開し、グローバルに活動するという機能でございます。三つ目には新たな事業分野への進出や優秀な人材確保のための投資を行うという機能でございます。留意すべきは、これら3つの機能のどれを強化するということではなくて、それぞれの企業が経営判断で決めるべきものだということではあります。残念ながら、現時点では、どの機能に力を入れることが正解なのかということは、私どもも含めて、確たるものがない状況の面もございますけれども、しかし、状況の変化に適宜対応しながら、厚生労働省といたしましては、文科省を始め、経産省と十分連携を取りながら、研究段階から保険適用段階に至るまでの企業が創薬を行う環境の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次にパネルの3枚目、資料の3番目を御覧いただきたいと思います。医療機器産業の将来像を示したのがこちらの図にあります。まず、医療機器業界に求められております役割を二つ記載をいたしております。一つは優れた医療機器の開発を行うこと。そしてもう一つは医療機器の安定供給ということでございます。医療機器に関しては、先ほども触れましたが、我が国には世界に誇れるものづくりの技術があるにも関わらず、医療ニーズに十分活かされていないという問題点があります。産官学の関係者が、まだまだ医療機器の特性を認識した連携体制を必ずしも十分取っているとは言えない状況だと思います。医療機器は、臨床使用を通じて新たな課題や医療のニーズが明らかになって更に改良・改善が行われるという特性を持っております。医工連携など、産業界との密接な連携を更に深めながら、十分なコミュニケーションを活性化することで、優れた医療機器の持続的な開発や改良が可能になるわけでありまして、こうした医療機器産業の将来像を本ビジョンでは描いております。この他、赤い吹き出しで書いておりますように、中小やベンチャーとの連携強化、人材づくりなど、いわば、ことづくりの人材というものをしっかりと育成をしていかなければなりません。こうした取組を通して、医療機器業界全体を強化する仕組みづくりが重要だと考えております。また、海外市場への展開という視点も必要です。疾病の克服や健康保持は世界共通の課題ですので、医療機器の海外展開も通じまして国際貢献をするとともに、それを我が国の経済成長のエンジンにもしていかなければいけないわけでございまして、こうした取組みを通して、このビジョンの目的であります医療の進歩に貢献する医療機器を医療現場へ迅速に提供するということにつながるんだと思います。
 次に、パネルの4枚目でございますけれども、この産業ビジョンに記載しております産業政策について御説明を申し上げます。厚生労働省といたしましては、どうしてもこうした分野はこれまで経済産業省が主導してきた部分がございます。今回は、これまでにも増して我が省も関わりを強化をしていきたいというふうに思っております。医薬品・医療機器産業への支援こそ、安倍政権の成長戦略の1丁目1番地であると認識しているところでございまして、今回の産業ビジョンに盛り込んだ施策には、安倍政権の成長戦略と同様、可能な限りKPI、すなわち成果目標を具体的に盛り込みさせていただいたところでございまして、これまで過去2回のビジョンにはなかったことであります。このビジョンを絵に描いた餅にしないように、これまでと次元の違う取組を進めることでしっかりと実行性ある政策を推進してまいりたいと思います。政府も「日本再興戦略」におきましても、2030年までの中長期的な目標を掲げておりますけれども、それと合わせた形にしております。2030年までの目標といたしましては、具体的に五つ設けました。まず、日本を世界一の創薬国にしていくんだということでございます。そして、日本から世界のトップ企業を輩出していきたいと。大変高い目標かもしれませんけれども、少なくてもトップ集団を目指して具体的な成果を上げてまいりたいと。また、輸出入につきましても、医薬品や医療機器の貿易収支をしっかりと改善をし、その格差を縮めていかなければならないと思っております。特に医療機器につきましては、貿易収支の改善にとどまらずに医療技術と医療機器が一体となった国際的な展開ということが大事だと思っております。医療機器の輸出金額を現在の輸出金額の2倍にするという具体的な数値目標も掲げさせていただきました。そして国内におきましても、医療機器は海外からの輸入製品が比較的多く使われておりますけれども、その依存度を30パーセント以下にしていくという目標値も掲げさせていただいたところでございます。そして、支援施策につきましては、基礎研究から保険適用に至るまでのそれぞれのステージ、プロセスにおいて切れ目のない支援施策をしっかりと実行していかなければなりませんし、今回の国会では時間切れで残念ながら薬事法、医療機器法の改正が、あるいは再生医療新法、残念ながら継続審査という形になってしまいましたけれども、この秋には臨時国会がまた始まります。年内には必ず成案を終えて、これまでと違いましてルールの面におきましても、立法措置を通してこのビジョンが前進するように、しっかりと整備を図ってまいりたいと思っておりますし、さらには企業の国際展開も積極的に支援をしてまいりたいと考えているところでございます。このように、KPIを含めた具体的な目標と、法改正事項を含む支援との組合せによりまして、これまでとは次元の違う姿勢で医薬品及び医療機器産業への支援を行ってまいりたいと考えております。これらの産業ビジョンの取組を通じまして、我が国を真に魅力のある創薬の場にすること、医療の進歩に貢献する医療機器を迅速に医療現場へ届けるということをしっかりと目指してまいりたいと思います。
 最後に皆様のお手元に「医薬品産業ビジョン2013」、そしてもう一つ、「医療機器産業ビジョン2013」、二つの冊子を配布をさせていただきました。今日初めて公にする資料でございます。また、各々サブタイトルを入れさせていただいております。医薬品の産業ビジョンの方には創薬環境の国家間競争を勝ち抜くために次元の違う取組をしていくんだと。今までのビジョンをしっかり前に進めるために、予算措置は財務省との協議ということにもなりますけれども、厚生労働省として出来うる立法措置は可能な限り、これのビジョンを実現する環境を整えていくんだということを実現をしてまいりたいと思います。一方、医療機器産業ビジョンの方にも副題をもうけさせていただいております。次元の違う取組で優れた医療機器を迅速に世界の人々に届ける、まさに日本はこれからこのアベノミクスを着実に進展させることによって、もう一度世界経済を復活させていく、その主役にならなければならないと思っております。そのためには、やはり1丁目1番地であるこの医薬品・医療機器の分野というものをしっかりと進展をさせてまいりたいと考えております。国民の皆様にも、今回厚生労働省としては従来にない深掘りの中で踏み込んだビジョンを取りまとめさせていただいたということ、そして、我が省も関係省庁としっかり連携をしながら取り組んでいくということ、健康医療戦略室にも我が省から精鋭の職員を3名派遣をしております。こうした人の面での派遣というのもこれまでにはなかったことでありますし、本格的にこの分野について具体的な成果が得られるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。まず私からのビジョン策定の報告については以上でございます。よろしくどうぞお願いいたします。

《質疑》

(記者)

 先ほどもお話にありましたように、こういったことは今まで経産省が主導してきたというイメージがあるのですが、今後経産省とはどのようなすみ分けといいますか、協力態勢を取られるんでしょうか。

(副大臣)

 やはり経済産業省との連携というのは非常に重要だと思っております。やはりこれまでやってきたような取組のビジョン、あるいは方向性というのものはこれまで必ずしも十分な成果に結びつかなかったのは世界的な経済状況の変化を始め、外的な要因ももちろんありますけれども、例えば治験の短縮化にしてもですね、あるいはPMDA等の整備状況にしても、やはりルールの面で十分我が省としての取組がなされてこなかったということを反省しております。ですから、経済産業省としっかり連携をしながら、こうしたビジョンというものが加速するためのルール作り、その一つがまさに今国会に提出しておりました薬事法の改正であり、再生医療新法だったわけでありますが、9月からの臨時国会には医療法の改正案も提案をしたいと思っておりまして、そうした医療法の改正の中にも、こうした医薬品・医療機器の開発促進につながるような内容を盛り込ませていただきたいと思っておりますので、経済産業省からさまざまなニーズやこれまでの状況というのを一番詳しいわけでありますから、それを解決するためにどんなルールの見直しが必要なのかということについては、まさに我が省、規制官庁として見直すべきことは見直しをしてスピードアップにつながるようなそういう取組をするということも初めてだと思っておりますので、そういう意味では私どもとしてもこのビジョンに対する意気込みというのを御理解いただいて、ルール的な支援をしっかりしていくということに尽きるるんだろうと思います。

(記者)

 そういえば、こちらにドラッグラグの話は特には出てきていないんですが、サマリーの方の中には盛り込まれているでしょうか。

(副大臣)

 ドラッグラグの問題については指摘をされてまいりました。例えばアメリカと比べましても、医療機器等の承認には23か月以上のずれがあるなんということもよく指摘をされてまいりました。やはり1年も2年も違うという状況ではなかなか日本も世界に出ていくことはできないわけでありまして、関係者の皆さん、あるいは我が省の検討会を始めとする様々な場面におきましてもいろんな御知恵を頂きながら、とにかくスピードアップにつながるルール作りということはこれからも本当に考えていかなければいけないというふうに思っておりまして、まさにドラッグラグの解消のためにあらゆる政策を動員していくつもりで取り組んでいくことが大事なんだろうと思っております。

(記者)

 規制官庁と経済推進官庁というのは分かれているからこそ安全性という面で重要だと考えているんですが、規制官庁までが経済推進のアクセルを思いっきり踏んだのでは安全性が損なわれないかとすごい心配してもおかしくないと思いますけど。

(副大臣)

 ごもっともなことでございまして、我が省として一番重要視して取り組んでいかなければならないのはやはり安全性ということだと思います。今後ともこの安全性ということは最優先でしっかり担保しながらも、ただ様々な人員不足やあるいはルールの不十分さもあって時間がかかってきたというのも現実だろうと思います。ですから安全性を最優先にしながらも、やはりスピードアップできるための人員の強化であったり、ルールの見直しということが前提になるんだろうと思います。PMDA等も累次人員増強してまいりましたけれども、御案内のとおり、この秋にはWESTという形で十数名の体制でのスタートにはなりますけれども、相談窓口を強化をしたわけでございますし、東北地方などからも医療機器を中心とするEASTを是非作ってくれ等という御進言もいただいておるところでございまして、こうした環境の整備ということと安全性の担保というのは当然両立できるわけでございまして、やはりアメリカなどと比べても特に組織、体制の面でのビハインドというのは否めないんだろうと思っております。ですから、我が省もこのビジョンを本当に実現するためにしっかり財務省とも協議をして必要な予算措置が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

(記者)

 財務省というお話があったと思うんですけれども、これ読ませていただくと、税制についても踏み込んでいるとは思うんですけれども、所管しているのは財務省で、そうしますとこのビジョンの実効性というのはいかほどあるのかを伺いたいんですけれども。

(副大臣)

 これはもちろん、6ページですか。医薬品の方の6ページ。

(記者)

 例えば医薬品の方の59ページ。

(副大臣)

 やはりまさに財務省との協議ということも大きな課題の一つなんだろうと思います。最終的に財務省がどういう判断をするのかというのは全体の中での優先順位はもちろんですけれども、我が省としていかんともしがたいそこは乗り越えられない壁という面でもございますけれども。しかしまさにこの霞が関の谷間という呪縛から脱却しなきゃいけないというふうに思ってます。せっかくこうしたビジョンができあがってもどうしても予算措置の連動が十分じゃなかったり、あるいは各省連携が不十分なために効果が半減してきたというのがこれまでの傾向の中で見られることでございますから、結果は私どもに権限があるわけでありませんから、十分なお答えをこの場でするわけにはまいりませんけれども、しかし、まさに安倍政権の成長戦略の1丁目1番地に位置付けられている分野ですから、そういった観点、それからここ5年間特に医薬品の輸入超過状況は拡大傾向にあります。まさに今止めなければ、これはもう成果が出るのに10年スパンでかかる分野でございますから、そうした我が省としての思い入れをしっかりアピールをして、必要なら我々三役も財務省に乗り込んでいくぐらいの気持ちで考えているところでございます。

(記者)

 あともう1点お伺いしたいのですが、35ページに太文字で、結論として企業のあるべき姿、適者生存というふうになっているですけれども、ある意味経済原則からすれば当たり前の話で、逆に言えば、過去2回いろいろな特徴付けをして将来像を指し示してきたのを捨てたようにも見えるんですけれども、その点どうなんでしょうか。

(副大臣)

 そこは事務方からお答えさせていただきます。

(事務方)

 御指摘のとおりでございます。過去2回、メガファーマとか、グローバルニッチというカテゴリーを示し、そこを目指してはどうかと方向性を示してきました。その当時から萌芽が出ていて、今はそれは顕著になって来ていることとして、創薬の仕方が化学物質を探求することから現場のニーズを踏まえて行うことに変わってきている。例えば、病態を解明し、どういうタンパクが関係しているかが見つかるというような研究アプローチに変わり、そしてそれをバイオという技術を使って作るとなると、企業の研究、創薬アプローチが変わり、そしていわゆる市場規模も、低分子の化合物のように1千億円を超えるようなものではなくて、数百億になる。そうなれば、そういったメガファーマとか、グローバルニッチという姿が、以前は階層のようになってたんですけれども、今後は階層でないかもしれない。すべての疾病領域での創薬ができないかもしれず、規模も小さくなるかもしれない。なかなか従前の分類では言えないし、従来の姿が変わってきます。さらに、それからそれをどう選ぶかというのも企業の判断が大きくなってくるということです。つまり、自分たちはこの領域で創薬を目指すという判断の影響が大きいという意味で適者生存ということにいたしました。過去の分類を前提としつつも、こういった新しい方向性で自分たちの企業の姿を作っていってほしいということでございます。

(記者)

 コンパニオン診断薬、新薬と一緒にですね、開発あるいは一緒に同時承認というようなことからも問題になっておりまして、この分野はだいぶ遅れているという指摘があるんですけれども、PMDAであるとかですね、そうしたコンパニオン診断薬であるとか、検査薬の承認に関してですね、どのような措置をとられると考えられるかをお考えがあれば教えていただきたいのですが。

(副大臣)

 この点につきましてはこれまでも申し上げてまいりましたとおり、やはり基本的にもっともっとマンパワーの強化をしていかなければならないということ、そして同時に、もっと委託をしてPMDA以外にも、今回15社だったか17社委託先を指定もさせていただいてきましたけれども、やはりスピードアップするためにはどうしても組織、体制の強化ということが本当に日本は一番不十分だったために、担当者それぞれは頑張っているし、先ほどの御質問じゃないですけど安全性を本当に担保するためにいい仕事をしていただいてはまいりましたけれども、如何せん、不十分な体制の面でもしっかりやっぱりフォローアップしていくということが大事なんだろうというふうに思います。そういうことが全体のスピードアップにもつながると思いますし、また一方で、そうした今までのいわゆるラグといいますか、先ほどから出ていますような格差を縮めるために私たちも何とかこの秋の臨時国会では関係法令を通して、ルール上もそうしたスピードアップにつながるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

(事務方)

 補足しますと、大きな話は今副大臣から申し上げたとおり、67ページの半ばに、PMDAで安全性評価のガイドラインとかってあると思いますけれども、それについてはコンパニオン診断薬も指摘しておりますので、その点でそういったことで取り組んでいきたいと考えております。

(副大臣)

 今日はどうもありがとうございました。今回のビジョン、本当にこれまでとは次元の違う取りまとめをさせていただきましたので、我が省としての思いが御理解いただけたんじゃないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(了)


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