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厚生労働省発表 |
担 当 |
雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課 |
コース別雇用管理制度の実施・指導等状況
厚生労働省では、男女雇用機会均等法(以下「法」という。)第29条(注1)に基づき企業の雇用管理について実態把握を行っているところであるが、今般、平成19年度に都道府県労働局雇用均等室が実施したコース別雇用管理制度(注2)導入企業123社の実態把握及び指導等の状況を取りまとめた。
概要
対象企業における制度の実施状況
・総合職採用予定者に占める女性割合・・・16.9%
・総合職に占める女性割合・・・6.0%
・総合職と一般職間で転換制度がある企業のうち
双方向への転換制度がある企業の割合・・・77.0%
都道府県労働局雇用均等室における指導等の状況
・法違反に対する法第29条に基づく行政指導割合・・・2.4%
・法第14条(注3)に基づく法の趣旨に則った望ましい雇用管理を
促すための助言を行った企業割合・・・84.6%
対象企業:コース別雇用管理制度導入企業全国123社 実施方法:都道府県労働局雇用均等室職員が企業を訪問 |
(注1)法第29条
厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
2前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。
(注2)コース別雇用管理制度
労働者の職種、資格等に基づき複数のコースを設定し、コースごとに異なる配置・昇進、教育訓練等の雇用管理を行うシステム。
(注3)法第14条
国は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するため、事業主が雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的とする次に掲げる措置を講じ、又は講じようとする場合には、当該事業主に対し、相談その他の援助を行うことができる。
一その雇用する労働者の配置その他雇用に関する状況の分析
二前号の分析に基づき雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善するに当たつて必要となる措置に関する計画の作成
三前号の計画で定める措置の実施
四前三号の措置を実施するために必要な体制の整備
五前各号の措置の実施状況の開示
コース別雇用管理制度の実施・指導等状況
1対象企業の概要等
(1)対象企業123社の内訳
[1]業種 | 123社 | (100.0%) |
製造業 | 35社 | (28.5%) |
金融・保険業 | 35社 | (28.5%) |
卸売・小売業 | 26社 | (21.1%) |
建設業 | 10社 | (8.1%) |
その他 | 17社 | (13.8%) |
[2]労働者規模 | 123社 | (100.0%) |
5,000人以上 | 16社 | (13.0%) |
1,000人以上5,000人未満 | 47社 | (38.2%) |
300人以上1,000人未満 | 26社 | (21.1%) |
300人未満 | 34社 | (27.6%) |
(2)コース形態の分類
総合職基幹的業務又は企画立案、対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事し、原則転居を伴う転勤がある
一般職主に定型的業務に従事し、原則転居を伴う転勤がない
準総合職総合職に準ずる業務に従事し、原則一定地域エリア内のみの転勤がある
中間職総合職に準ずる業務に従事するが、原則転居を伴う転勤はない
専門職特殊な分野の業務において専門的業務に従事する
現業職技能分野の業務に従事する
2コース別雇用管理制度の内容等
(1)制度導入時期
・コース別雇用管理制度の導入時期は、平成11年以降に導入した企業が57社(46.3%)、昭和61年〜平成10年までに導入した企業が51社(41.5%)となっている。(第1表)
(2)コースの形態
・総合職のコースがある企業は113社(91.9%)、一般職のコースがある企業は116社(94.3%)、準総合職のコースがある企業は9社(7.3%)、中間職のコースがある企業は27社(22.0%)、専門職のコースがある企業は15社(12.2%)、現業職のコースがある企業は19社(15.4%)となっている。(第2表)
(3)コースの組み合わせ
・総合職と一般職の2コースのみの組み合わせとしている企業が最も多く65社(52.8%)。(第2表)
・総合職と一般職の2コースに加えて、準総合職又は中間職のコースがある組み合わせとしている企業は18社(14.6%)。(第2表)
・総合職と一般職の2コースに加えて、専門職又は現業職のコースがある組み合わせとしている企業は20社(16.3%)。(第2表)
(4)コース転換制度
[1]制度内容、転換の要件
・対象企業123社のうち転換制度を導入している企業は111社(90.2%)である。(第3表)
・総合職と一般職がある106社のうち、この両コース間での転換制度がある企業は87社(82.1%)で、その77.0%に当たる67社は双方向への転換制度がある。(第4表)
・一般職から総合職への転換に必要な要件としては、当該転換制度がある企業87社のうち「本人の希望」をあげる企業が83社(95.4%)、次いで「筆記試験」が57社(65.5%)、「上司の推薦」が49社(56.3%)となっている。(第5表)
[2]転換実績
・転換制度を導入している企業111社のうち85社(76.6%)の企業において、過去3年間のうちいずれかの年に実績がある。(第6表)
・一般職から総合職への転換制度がある企業87社について、平成19年度の実績をみると、30社(34.5%)で実績があり、そのうち転換者が男性のみである企業は5社(16.7%)で、残り25社(83.3%)は男女とも又は女性のみ実績があるとしている。(第7表)
・また上記企業87社について、過去3年間の転換実績をみると、毎年実績がある企業は13社(14.9%)である一方、3年間一度も実績がない企業が34社(39.1%)ある。(第8表)
・総合職から一般職への転換制度がある企業67社のうち、過去3年間、毎年転換実績がある企業は12社(17.9%)となっている。(第9表)
(5)コース別雇用管理制度の見直し
・対象企業123社のうち、これまでに制度の見直しを行った企業は39社(31.7%)である。(第10表)
・これまでに制度の見直しを行った又は今後見直しの予定がある企業59社について見直しの内容をみると、「昇格に上限のあるコースの昇格上限を引き上げる、転勤経験等昇格要件を見直すなどの処遇の見直し」とする企業が21社(35.6%)と最も多く、次いで「コース転換の資格要件の緩和」が14社(23.7%)、「制度全体又は特定のコースの廃止」が13社(22.0%)となっている。(第11表)
3総合職及び一般職に関する採用及び在籍者の状況
(1)採用の状況
(※該当のコースがあり、かつ男女別の応募者・採用者の数を把握できた企業についての状況)
[1]総合職
・総合職の採用者に占める女性の割合は、平成18年4月採用については16.6%、平成19年4月採用については12.4%、平成20年4月採用予定については16.9%となっている。(第12表)
・総合職の採用者に占める女性の割合が1割未満である企業は、平成18年4月採用については56.3%、平成19年4月採用については46.6%、平成20年4月採用予定については51.2%となっている。(第13表)
・総合職の応募者に占める採用者の割合は、平成18年4月採用については男性4.4%、女性1.0%、平成19年4月採用については男性8.0%、女性1.4%、平成20年4月採用予定については男性5.6%、女性1.5%となっており、女性の採用割合はいずれの年についても男性の採用割合を下回っている。(第12表)
[2]一般職
・一般職の採用者に占める女性の割合は、平成18年4月採用については92.8%、平成19年4月採用については92.6%、平成20年4月採用予定については92.8%となっている。(第14表)
・一般職の採用者に占める女性の割合が100%である企業は、平成18年4月採用については85.5%、平成19年4月採用については76.8%、平成20年4月採用予定については80.7%となっている。(第15表)
(2)在籍者の状況
(※該当のコースがあり、かつ男女別の配置数を把握できた企業についての状況。)
[1]総合職
・総合職に占める女性の割合は、6.0%である。(第16表)
・総合職に占める女性の割合が1割未満である企業が84.7%を占め、総合職に占める女性の割合が3割を超えている企業はない。(第16表)
[2]一般職
・一般職に占める女性の割合は、77.9%であり、5,000人以上規模の企業においては、90.0%となっている。(第17表)
・一般職に占める女性の割合が100%である企業は34社(30.1%)である。(第17表)
4採用10年後の総合職の状況
(※平成10年度に男女各1人以上の総合職を採用した25社についての状況)
・調査時点で、平成10年度に採用した総合職女性が在籍している企業は17社(68.0%)である。(第18表)
・最高役職位について男女で比較すると、男性の方が上位職である企業が15社(60.0%)で、このうち8社については、平成10年度に採用した総合職女性はすでに在籍していない。また、男女で同職位である企業は10社(40.0%)である。(第19表)
・採用後10年間に転居を伴う配置転換の実績がある企業は21社(84.0%)であり、そのうち、男性総合職のみに転居を伴う配置転換の実績がある企業は11社(52.4%)である。また、転居を伴う配置転換の実績が全くない企業は4社(16.0%)である。(第20表)
5都道府県労働局雇用均等室における指導等の状況について
<法違反に対する法第29条に基づく行政指導>
均等法違反企業は3社(2.4%)であり、いずれも募集・採用に当たり、法違反とならない場合(※)に該当しないにもかかわらず、男女異なる取扱いを行っていたことについての指導である。
(※)男女異なる取扱いを行っていても法違反とならない場合として「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」第2の14に掲げる場合
◆法違反企業の事例◆
募集の段階では記載していないものの、説明会において総合職は男性のみ、一般職は女性のみとの説明を行っている。
→総合職・一般職の募集・採用に当たって事実上男女別の区分とすることは、法第5条に違反するため、是正するよう指導した結果、性別により区別する取扱いをやめ、説明会においても総合職と一般職の区分がある旨の説明のみ行うこととするとの報告があり、法違反は是正されることとなった。
<法第14条に基づく法の趣旨に則った望ましい雇用管理を促すための主な助言事項>
雇用均等室が助言等を行った企業は104社(84.6%)であった。
・ | 実質的な男女別の雇用管理にならないよう、制度の必要性やコースの違いによる処遇の差に合理性があるかどうか検討すること。 |
17社(13.8%) | |
・ | コースを区分する基準において、女性又は男性が事実上満たしにくいものとなっている場合は、その必要性や合理性について検討すること |
16社(13.0%) | |
・ | 教育訓練の実施等により他のコースへの転換が円滑に図れるようにすること。 |
23社(18.7%) | |
・ | 転居を伴う転勤を募集・採用の要件とする場合には、転勤の期間、場所、頻度、実績等の情報提供を行うこと。 |
29社(23.6%) | |
・ | 採用担当者に対し、研修等を通じて、性別にとらわれず、意欲、能力や適性等に応じた採用を行うという方針の徹底を図ること。 |
22社(17.9%) | |
・ | コースの差異について、応募者に十分説明し、応募者が適切なコースを選択しうるよう配慮すること。 |
15社(12.2%) |
付表(PDF:176KB)
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