平成20年7月10日
担 当 |
厚生労働省老健局計画課認知症・
虐待防止対策推進室 室 長井 内 雅 明 室長補佐山 本 亨 専門官武 田 章 敬 電話 03-5253-1111(内線3867、3868) 03-3595-2168(直通) |
「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」
報告書の公表について
今般、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」において、同プロジェクト報告書が取りまとめられたので、公表する。
報告書の概要は以下のとおりである。
〈概 要〉
○ 本プロジェクトは、今後の認知症対策をさらに効果的に推進し、「たとえ認知症になっても安心して生活できる社会を早期に構築する」ことが必要との認識の下、厚生労働大臣の指示の下に設置された。
○ 本プロジェクトの検討においては、医療、介護等の有識者に参画いただいたとともに、認知症の人の家族や認知症対応型サービスの代表者からのヒアリング等を実施した。
今般、その結果を以下のとおり取りまとめたところである。
○ 今後の認知症対策の基本方針は、早期の確定診断を出発点とした適切な対応の促進
○ 具体的には、(1)実態の把握、(2)研究開発の加速、(3)早期診断の推進と適切な医療の提供、(4)適切なケアの普及及び本人・家族支援、(5)若年性認知症対策を積極的に推進するため、財源の確保も含め、必要な措置を講じていく必要がある。
II 今後の認知症対策の具体的内容
1 実態の把握
○ 認知症患者数を正確に把握するため、医学的に診断された認知症の有病率調査を実施
○ 認知症患者の症状別、医療機関・施設別の利用の実態や、地域における認知症に対する医療・介護サービス資源の実態等について調査を実施
○ 要介護認定で使用されている「認知症高齢者の日常生活自立度」は、より客観的で科学的根拠に基づくものへの見直しを検討
2 研究・開発の促進
○ 今後5年以内に、アルツハイマー病の促進因子・予防因子を解明し、有効な予防方法を見いだすことを目標とした研究を促進
○ 今後5年以内に、アルツハイマー病について早期に、確実に、身体に負担をかけない診断が可能となるよう、アミロイドイメージングによる画像診断、血液中のバイオマーカー等の早期診断技術の実用化を目標とした研究を推進
○ 資源を集中し、今後10年以内にアルツハイマー病の根本的治療薬の実用化を目標とした研究を推進
3 早期診断の推進と適切な医療の提供
○ 認知症診療ガイドラインの開発・普及、専門医療機関の整備等により、早期診断の促進とBPSDの急性期や身体合併症への適切な対応を促進
○ 認知症の専門医療機関である認知症疾患医療センターを全国に150か所整備し、地域包括支援センターとの連携担当者を新たに配置
○ 認知症の専門医療を提供する医師の育成や研修体系の構築
4 適切なケアの普及及び本人・家族支援
○ 認知症ケアの標準化・高度化に向けた取組みの推進
○ 認知症連携担当者を配置する地域包括支援センターを認知症疾患医療センターに対応して新たに全国に整備し、医療から介護への切れ目のないサービスを提供
○ 身近な地域の認知症介護の専門家等が対応するコールセンターを設置
○ 市町村等による定期的な訪問相談活動等きめ細やかな支援の取組みを推進
○ 「認知症を知り地域をつくる10か年」構想等の推進
5 若年性認知症対策
(1) 気軽に相談できる全国1か所の若年性認知症コールセンターを設置し、
(2) 認知症連携担当者が新たに診断された若年性認知症の人を把握し、本人の状態に合わせて雇用・就労サービスや障害者福祉、介護サービスにつなぐとともに、
(3) 医療・福祉と雇用・就労の関係者からなる若年性認知症就労支援ネットワークの創設、
(4) 若年性認知症ケアのモデル事業の実施による研究・普及、
(5) 国民、企業等への広報啓発
等により、「若年性認知症総合対策」を推進
認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書(1〜18ページ(PDF:341KB)、 19〜27ページ(PDF:289KB)、 全体版(PDF:374KB))
PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。
Adobe Readerは無料で配布されています。(次のアイコンをクリックしてください。) Get Adobe Reader
認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト
プロジェクトチーム
西 川 京 子 厚生労働副大臣
朝 田 隆 | 筑波大学臨床医学系精神医学教授 |
阿曽沼 慎 司 | 厚生労働省老健局長(事務局長) |
岩 坪 威 | 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 神経病理学分野教授 |
上 田 博 三 | 厚生労働省大臣官房技術総括審議官 |
遠 藤 英 俊 | 国立長寿医療センター包括診療部長 |
外 口 崇 | 厚生労働省医政局長 |
中 島 健 一 | 日本社会事業大学社会福祉学部大学院 社会福祉学研究科教授 |
中 村 秀 一 | 厚生労働省社会・援護局長 |
中 村 吉 夫 | 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 |
永 田 久美子 | 認知症介護研究・研修東京センター主任研究主幹 |
(五十音順・敬称略) |
今後の認知症対策の全体像
「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」開催要綱
1.目的
認知症について、的確な実態把握、診断技術等の研究開発、保健・医療・福祉サービスや地域支援体制による総合的・継続的な支援のあり方等認知症対策の基本方針及び具体的な対策を策定するため、厚生労働大臣の指示の下に、厚生労働省内関係部局による内部打合会議を開催する。
2.名称
本会合は、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」と称する。
3.主な検討事項
(1)認知症患者の実態把握・将来推計
(2)予防・治療技術等の研究開発
(3)医療対策の充実
(4)介護対策の充実
(5)本人・家族への支援
(6)その他
4.構成員
厚生労働大臣の指示の下に、大臣官房技術総括審議官、医政局長、社会・援護局長、障害保健福祉部長及び老健局長並びに専門的な助言を得るための有識者により構成する。
また、プロジェクトチームの進め方については、適宜副大臣の指示を仰ぎ、調整する。
(有識者)
・朝田 隆(筑波大学教授)
・岩坪 威(東京大学教授)
・遠藤 英俊(国立長寿医療センター包括診療部長)
・中島 健一(日本社会事業大学教授)
・永田 久美子(認知症介護研究・研修東京センター主任研究主幹)
5.運営
・ 本プロジェクトの庶務は、関係課の協力を得て老健局計画課認知症・虐待防止対策推進室が行う。
6.開催期間
平成20年5月に第1回打合会議を開催し、7月を目途に基本方針、短期的対策及び中・長期的対策のとりまとめを行う。
7.施行日
本要綱は、平成20年5月1日から施行する。
認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト
検討経過
第1回 (平成20年 5月 1日)
○ プロジェクトの目的、内容、スケジュール等について
○ その他
第2回 (平成20年 5月19日)
○ 関係団体からのヒアリング
・ 社団法人 認知症の人と家族の会
代表理事 高 見 国 生 氏
・ 特定非営利活動法人 全国認知症グループホーム協会
代表理事 木川田 典 彌 氏
副代表理事 岩 尾 貢 氏
○ 介護対策
○ 若年性認知症者の自立支援
○ 本人・家族の支援
○ その他
第3回 (平成20年 6月 5日)
○ 医療対策
○ 研究開発
○ その他
第4回 (平成20年 6月30日)
○ 「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」
論点の取りまとめ
○ その他