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「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」報告書
これからの日本では就業人口が減少するとともに、個人の職業生活が長期化することが見込まれている。それだけに、働く人一人一人がその生涯を通じて、能力を高め、発揮できるような社会の形成がきわめて重要となる。これにより我が国社会の活力が維持され、その発展が支えられることにもなる。
日本においては、バブル崩壊後経済の長期停滞が続いていた間、企業による人材育成への投資は減少傾向にあった。また個人は能力開発への意欲が高いものの、時間面・金銭面に余裕がないため十分に取り組むことができない状況にある。さらに、若年者については、フリーター、ニート等労働意欲の不十分な者が増加しており、若いうちに十分な能力開発が行われていない。知識に基盤をおく経済社会の発展により、国際的な人材開発競争が活発化しているにもかかわらず、しかも人材こそが大きな資源であったはずの我が国で、このような状況が続いていることはまことに憂慮すべきことである。
今後、日本社会が様々な変化の中でその活力を維持し続けるとともに、雇用の安定を図り、社会的な公正・公平を実現するためには、このような課題に対応しつつ、重要な資源である人材への投資を強化し、人材による成長を実現すべきである。個人も企業もこれまで以上に能力開発に取り組んでいく必要がある。また、国、地方公共団体は、そのための環境整備を連携・協力して進めていく必要がある。
人材育成は、投資をしてもすぐにその成果が得られるとは限らない。しかしながら、我が国が大きな転換点にある今こそ、将来に向け、その基盤を整備し、人材による成長を導くために一層の投資をしていくことを社会全体の共通認識とすべき時期にある。
このような観点から、今後、知識社会化、グローバル化、人口減少などをはじめとした我が国を取り巻く様々な変化に対処しつつ、個人や企業をはじめとした様々な関係者がどのように職業能力開発に取り組んでいくべきかについて、「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」において検討し、今般報告書を別添のとおり取りまとめた。(概要は別添1、報告書本体は別添2)。