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厚生労働省発表
平成15年9月11日
職業能力開発局能力評価課
 課長 高ア 真一
 課長補佐 金成 真一
 上席技能検定官 小沼 宏治
 電話03-5253-1111内線5944
 直通03-3502-6958

技能検定試験の受検資格要件の抜本的緩和及び
若年者向け技能検定職種の大幅拡大について

−「社会基盤としての職業能力評価制度」の整備の一環として−

(ポイント)
技能検定試験の受検資格要件の抜本的緩和(制度発足以来最大の改正)
1級技能検定  12年 → 7年(実務経験のみの場合)
 職業高校等の在学中に2級合格の場合、卒業後2年の実務経験を経て3年目に受検可能。
(現行は、職業高校の在学中に3級合格の場合(2級受検資格なし)、卒業後6か月の実務経験(1年目)で2級受検・合格、更に5年の実務経験を経て最短7年目に受検可能。)
2級技能検定   3年 → 2年(実務経験のみの場合)
 職業高校等の在学生については、3級合格の場合受検可能。
(現行は、職業高校等の在学生には受検資格なし。なお、教育・訓練中の在学生に2級技能検定の受検資格を付与するのは初めて。)
3級技能検定   1年 → 6か月(実務経験のみの場合)
 職業高校等の在学生については、在学生全て(1年生を含む。)が受検可能。
(現行は、卒業見込み者(最終学年)のみが受検可能。)
若年者向け技能検定職種の大幅拡大
平成16年度から、建築大工(大工工事作業)、電気機器組立て(配電盤・制御盤組立て作業)を開始。
平成16年度以降の早期に機械保全(電気系保全作業)、電気機器組立て(シーケンス制御作業)、機械・プラント製図(機械製図手書き作業及び機械製図CAD作業)及びフラワー装飾(フラワー装飾作業)を開始するため、本年度中に試験基準を策定。
(注)「職業高校等」とは、検定職種に係る職業高校、短大・高専、大学、専修学校、各種学校及び職業能力開発施設をいう。


1 「社会基盤としての職業能力評価制度」の整備の必要性(別添1参照)
 これまで、我が国においては、企業が職業生活の全ての期間にわたり、Off−JT、OJTを組み合わせて職業能力の開発・向上を行うことが一般的であった。
 しかしながら、失業の増加、企業における即戦力志向の高まり、技術革新のスピードが早まる中で、労働移動が活発化し、労働者の職業能力の開発・向上については、企業に加え、労働者が自ら取り組むべき役割も大きくなっている。
 こうした状況の下で、労働者は自らが持っている職業能力を、企業は労働者に求める職業能力を互いに分かりやすい形で示せるような職業能力評価の仕組みが求められている。
 このため、社会基盤として、職業能力評価基準及びこれを基にした職業能力評価制度の整備が不可欠な状況となっている。
 さらに、若年者をめぐる雇用問題が深刻化し、未就職者、無業者、フリーターが急増する中で、若年者のキャリア形成の目標付けや企業側の採用の目安として、若年者向けの実践的な職業能力評価制度を整備する必要性も高まっている。

 本年6月10日に策定された「530万人雇用創出プログラム」においては、「職業能力評価制度が企業内外を通じて労働者の能力を測る基準として通用するようになること(標準化)が必要であることから、社会的に必要な職業能力評価基準の策定を進める」とされるとともに、同月27日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」においては、「労働市場の環境整備のため、キャリア・コンサルティングを担う人材の育成・活用や産業ニーズに応じた職業スキル標準・カリキュラムの策定、職業能力評価制度の整備等を進める」とされている。

 整備の具体的内容
(1)職業能力評価基準の整備
 現在、職業能力評価制度の整備のために、官民の有する既存の職業能力評価基準を活用しつつ、ものづくり産業からサービス業に至るまでの幅広い産業の労使団体との連携・協力のもと、当該産業内にある職務の内容を明らかにするための職務分析を実施し、これらのデータを基にして、職務遂行に必要とされる職業能力を「職業能力評価基準」として策定する事業に取り組んでいる。策定された職業能力評価基準は、企業の求める能力要件の明確化、個人の職業能力診断・証明、職業紹介や人材派遣の際の職業能力に基づいたマッチングの実施、キャリア・コンサルティングの充実等のために活用していく。こうした施策展開を通じて、社会基盤としての職業能力評価制度の整備・構築につなげていくこととしている。
(2)技能検定制度の拡充及び整備(別添2参照)
 製造業、建設業関連職種を中心に事務系職種についても技能検定試験を実施するとともに、技術革新の進展に適切に対応した試験基準、出題内容の見直しや民間機関を活用した指定試験機関方式技能検定の導入による職種の拡大により、労働者が技能検定を受ける機会の拡大を図っている。
 また、個々の企業等が雇用する労働者の職業能力を評価しているものであって、労働者の技能の向上等につながるものについては、技能検定等を補完するものとして、社内検定の認定を行っている。
(3)ビジネス・キャリア制度の拡充及び整備(参考資料参照)
 社会人としての基礎的な知識・技能を身につけ、明確な職業意識をもったホワイトカラー労働者を対象とした職業能力評価制度について、既存のビジネス・キャリア制度等を活用し、社会人基礎レベルから一定の実務経験を積んだ者にいたる幅広い層に対し制度の利用促進を図ることとする。

 今回発表する整備の内容
 今般、厚生労働省では、上記2の(2)の対策について、以下のとおり技能検定試験の受検資格要件の抜本的緩和及び3級技能検定の一層の職種拡大を実施する方針を固めた。
(1)技能検定試験の受検資格要件の抜本的緩和
 等級ごとの受検資格要件の改正内容
(イ)1級技能検定(12年から7年に短縮等)
 実務経験のみの場合に必要とされる実務経験年数を、現行の12年から7年に短縮するとともに、下位等級合格歴、学歴等の要件に応じた所要の短縮を行う。
例 2級合格者が受検する場合の実務経験年数を5年から2年に短縮等)
(ロ)2級技能検定(3年から2年に短縮、3級合格の職業高校等の在学生に付与等)
 実務経験のみの場合に必要とされる実務経験年数を、現行の3年から2年に短縮するとともに、学歴等の要件に応じた所要の短縮を行う。
 なお、現行制度では受検が認められていない職業高校等の在学生に、3級合格を条件として受検資格を付与し、職業高校等の在学中に企業において評価が得られている2級技能検定の受検を可能とする。
(ハ)3級技能検定(1年から6か月に短縮、職業高校等の全ての在学生に付与)
 実務経験のみの場合に必要とされる実務経験年数を、現行の1年から6か月に短縮する(職業高校等の在学生、卒業生は実務経験不要で受検可能。)。
 なお、職業高校等の在学生については、卒業見込み者(最終学年)に限定していたものを撤廃し、職業高校等の在学生全て(1年生を含む。)に受検資格を付与する。
(ニ)単一等級技能検定(5年から3年に短縮等)
 実務経験のみの場合に必要とされる実務経験年数を、現行の5年から3年に短縮するとともに、学歴等の要件に応じた所要の短縮を行う。
 改正のスケジュール
 当該方針については、今後、労働政策審議会職業能力開発分科会(10月1日開催予定)の審議を経て改正内容を確定し、パブリックコメントの募集等を行った後、平成16年度前期試験からの適用に向けた所要の制度改正を行う。
(2)3級技能検定の職種拡大(別添3参照)
 若年者をめぐる雇用問題の深刻化に対応して、3級技能検定の拡充により、職業高校等の在学生に教育・訓練の目標を持たせ、職業に関する適性の早期発見、就業についての動機付け等を行うことにより、優れた技能を継承する若年技能者を確保し、未就職のまま学校を卒業する者やフリーターの増加を防止する対策を推進している。
 平成16年度に開始する職種
 建築大工(大工工事作業)、電気機器組立て(配電盤・制御盤組立て作業)について平成16年度から3級技能検定試験を開始する。
 平成16年度以降の早期に実施する予定の職種(本年度内に試験基準を策定)
 機械保全(電気系保全作業)、電気機器組立て(シーケンス制御作業)、機械・プラント製図(機械製図手書き作業及び機械製図CAD作業)及びフラワー装飾(フラワー装飾作業)について、本年度内に試験基準を策定し、平成16年度以降の早い段階で3級技能検定試験を開始する。


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