添付資料 3 |
児童福祉施設等評価基準検討委員会公開シンポジウムにおける意見
1 評価の方法
(1)評価調査者
調査時間は、開所時間に応じて設定すべきである。
保育現場の経験者を評価調査者の中に入れるべきである。
保育士養成施設の教員が評価調査者となり、保育園の保育者等と評価調査を通じて理解を深めることは意義がある。
施設長経験者を評価調査者に活用できる。
評価調査者は、ある程度コンサル的な機能をもってもよいのではないか。
評価調査者の考えを押しつけるべきではない。
評価調査者の養成研修が重要である。さらに進んで何らかのライセンスの付与も必要である。
都道府県や市町村単位で評価調査者を確保する必要がある。
(2)総合評価の手法
2次調査により評価調査後のサービスの改善状況を確認し、その結果を踏まえて最終的な評価とすべきである。
施設の特徴や独自性をどう評価するかが課題である。
評価基準で反映されない部分を総合評価で補う必要がある。
(3)評価の決定
現場を適正に評価するための評価基準が大事で、これが定期的に見直されていくシステムが必要である。
評価の結果についてはできるだけ詳しく、課題がはっきりと認識できるような形で現場に報告する必要がある。
マニュアルや記録の整備よりも、実際の取り組みが大事だが、一方で、多様な勤務形態の保育者が増える中で、マニュアル化も大切である。
(4)自己評価、利用者調査と第三者評価の関連
評価にはものさしが必要であるが、これは自己評価にも使える。従来、感覚的に理解されてきた世界に、保育がどのようなものから成り立っているかを示す基準ができることは、保育の科学化の観点から意義深い。
自己評価は、園全体で取り組むべきである。
保育の質の評価は、保育園自らが積極的に取り組むべきであり、保育の科学化の観点から第三者評価の導入はよいことである。
オーストラリアの第三者評価も、自己評価、利用者評価を踏まえて評価している。
利用者の視点は重要である。
第三者評価を主体的に受け止める利用者、住民をつくることが大事である。
2 評価結果の公表
ある水準以上の施設を認証すれば、それは一つの目標にはなるが、ランクづけとなるような公表は避けるべき。
結果の公表は、「良い」か「悪い」のみの公表は避けるべき。問題点については、改善のための猶予期間を設け、改善後の評価結果を公表すべき。
公表は、画一的な評価の結果のみではなく、施設の独自性などに関するコメントをつけて行うべき。
保育所について、従来、保育内容に関しては、情報公開がなされていなかったが、保育所の役割が高まっている中で、保育内容に関する情報公開は当然の流れである。あら探しではなく、今の保育水準がどういう状況にあるかを確認し、高めるべきである。
評価結果をそのまま公表するのではなく、評価を受けるまでの過程や、評価結果を受けての改善が重要である。
保育園の「売り」の部分を公表すべきである。
公表に当たり事業者の同意が必要である。
評価結果を単に利用者に公表するだけではなく、その評価を受け入れて質を改善させていくことが大事である。
3 第三者評価機関
地域の児童福祉施設、保育士養成施設等で、NPOを設立して実施する方法等も考えられる。
行政自らが評価を行うのは疑問である。
第三者評価機関は、公正・中立な機関とすべきである。
4 第三者評価受審の促進
受審費用について、公立園は財政難で捻出が難しい。何らかの補助のようなものは考えられないか。
公立園では、第三者評価を受ける受けないの判断はできない。多くの公立園が受けられるように市区町村への働きかけが必要である。
第三者評価は、いわゆる手あげ方式であり、それを活用しようとする事業者が費用を出し、これを使って、質の向上を目指すものである。よって、費用については、基本的には施設の負担であるが、施設がこの費用を支払いやすいような工夫は必要である。
5 第三者評価のあり方
利用者の選択を通じて、事業者のサービスの質の向上を促すという考え方は疑問。自分の園を選んでもらうために質の向上を図るのでは、園の差別化についながる。隣の園といっしょに質の向上を図るという視点が大事である。
第三者評価は「受けるもの」ではなく、「活用するもの」である。第三者評価というサービスをそれを使う側の事業者がどのように使うかを考えておくべきである。「多様な使い方」が考えられるため、厚生労働省が示すガイドラインもこの多様性を認める方向で示すべきである。
全部の施設が第三者評価を受けるという仕組みはおかしいし、逆に、誰も受けないような仕組みもおかしい。「懐の深い第三者評価」であるべきである。
利用者に迎合するような第三者評価や第2の監査となるような第三者評価はやめるべきである。
保育に欠ける子どものために、従来から行ってきた保育の内容が果たしてレベルの高いものであるかどうかはわかり得なかった。しかし、地域や家庭の機能が低下している中で、保育現場、保育士養成施設、行政関係団体などが知恵を出し合って、第三者評価という新たな取り組みが行われつつあることを互いに認識しあうことが重要である。
保育園が受けてよかったと思える第三者評価にしていく必要がある。