労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和元年(不再)第31号
ユナイテッド・エアーラインズ不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X1組合、X2組合(併せて「組合」) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和4年3月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合員の解雇の撤回や復職についての団体交渉を、組合員の使用者ではないこと、これ以上の団交で合意に至る可能性がないことなどを理由として拒否したことが労働組合法(「労組法」)第7条第2号の不当労働行為であるとして、組合より救済申立てがあった事案である。
2 初審東京都労委は、本件団交拒否は労組法第7条第2号の不当労働行為には当たらないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合が再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 会社は組合員の使用者ではないとの理由について
会社は、申立外C会社(「C」)の成田ベースで勤務していた組合員の本件解雇当時の使用者は、雇用主であるCであって、会社は組合員の使用者には当たらないと主張するが、Cが行った本件解雇に関する交渉事項については、平成29年4月1日に会社がCを合併したことにより会社が交渉すべき地位を引き継いでいるのであるから、会社が、本件団交申入れに対応すべき使用者に当たらないとして拒否することは、正当な理由であると評価することはできない。
(2) 団交で合意に至る可能性がないことの理由について
ア 平成28年2月4日から同年4月1日までに行われた5回の団交(「本件C団交」)が行き詰まりに達していたかについて
Cは、成田ベースを閉鎖することを、必要かつ十分な程度において、具体的な理由とともに説明し、成田ベースの閉鎖が決定済みで覆すことができないという前提のもと、早期退職プログラム及び地上職の配転について、譲歩提案をしつつ理解を求め、また、組合員の希望に速やかに応対するなどし、さらに、組合が客室乗務員としての勤務の継続について質問、提案した事項についても、それが困難な理由を具体的に説明するなどしていたのであるから、その対応全体をみるに、特段不誠実な点は見当たらない。その上で、あくまで客室乗務員としての乗務、雇用を求めると主張する組合と、成田ベースの閉鎖が決定済みで、客室乗務員として勤務を続けることはできないとするCとの間で、交渉が膠着し、それ以上は進展する見込みがなくなっていたと評価するのが相当である。
イ 会社との団交が進展する可能性について
本件団交申入れは、本件C団交において行き詰まりに達していた事項そのものについて再度交渉を求めるものにほかならないところ、組合は、同事項の交渉が進展する事情の変更を何ら示していないのであるから、会社が、本件団交申入れに応じても進展がないと考えたことは、無理からぬ判断であったと認められる。
以上のことからすると、会社が本件団交申入れに応じることで、交渉が進展する可能性があったということはできないから、この点で会社に新たに団交応諾義務が生じていると認めることはできない。
ウ 結論(団交で合意に至る可能性がないとの理由の正当性について)
以上を総括すると、本件C団交においては、客室乗務員としての雇用の維持を巡り、交渉が膠着し、行き詰まりに達していたと認められるところ、組合は、Cを吸収合併した会社に対し、改めて交渉の進展が望める事情の変化がある旨は何ら示さずに、本件C団交において行き詰まりとなった客室乗務員の雇用等に係る団交申入れを再度行ったというものであるから、これに応じても合意の可能性がないとして拒否した会社の対応には正当な理由があると認められる。
(3) 不当労働行為該当性
以上のとおり、本件団交申入れに対し、会社が、組合員の使用者ではないと回答したことには正当な理由は認められないが、団交で合意に至る可能性がないとして拒否したことは、正当な理由による団交拒否と評価できるのであるから、本件団交拒否は、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当しない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成29年(不)第32号 棄却 令和元年5月14日
 
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