事件番号・通称事件名 |
東京都労委平成29年(不)第32号
ユナイテッド・エアーラインズ(団体交渉)不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X1・X2組合(組合) |
被申立人 |
Y会社 |
命令年月日 |
令和元年5月14日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
平成28年2月4日、
グアム一成田便等の航空事業を営んでいた申立外B会社は、 組合との団体交渉において、
成田にあった同社の業務上の拠点となる事業所(成田ベース)を3月31日をもって廃止することを告げるとともに、同ベースに所属する客室乗務員に対し早期退職又は成田空港
における地上職への配置転換(地上職への配転)の二つの選択肢を提案した。この時点で、
客室乗務員である組合員20名は、全員が成田ベースに所属していた。
これ以降、組合とB会社とは、成国ベース廃止の理由や組合員の雇用継続等について団体交渉を続けていたが、
4月13日の団体交渉において、 同社は、団体交渉はデッドロックであると述べて、交渉を終了した。
B会社は、 5月31日付けで、それまでに早期退職又は地上職への配転に応じなかった組合員12名を解雇した。
29年4月1日、Y会社は、B会社を吸収合併した。
4月10日、組合は、Y会社に対し、 本件解雇の撤回や組合員の復職について団体交渉を申し入れたが、
同社は団体交渉に応じなかつた。
本件は、 組合が29年4月10日付けで申し入れた団体交渉にY会社が応じなかったことが、
正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案であり、東京都労働委員会は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 Y会社の使用者性について
Y会社は、吸収合併によりB会社の地位を引き継いだ。したがって、
29年合併前のB会社が行った本件解雇について、B会社が団体交渉に応ずべきである場合には、Y会社が組合員の労働組合法上の使用者として団体交渉に応ずる義務を負う。
2 組合が29年4月10日付けで申し入れた団体交渉にY会社が応じなかったことが、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かについて
組合とB会社との団体交渉は、交渉を尽くした上で行き講まり状態に達しており、本件解雇は、その団体交渉結果を受けて行わ
れたものである。その後のY会社とB会社との合併によって、事情が変化している可能性があるとはいえるものの、組合は、4月
10日付団体交渉申入れにおいても、また、この申入れに対してY会社が要求の趣旨を確認した際にも、29年合併を経てY会社が
改めて団体交渉に応ずべき状況となったといえるような事情が生じたことについて特段言及していない。これらの状況からすれ
ば、組合が4月10日付けで申し入れた交渉事項は、実質的には、B会社との5回の団体交渉における交渉事項と同様のものであ
ると解さざるを得ず、Y会社が上記交渉事項について、これ以上団体交渉で合意に至る可能性はないとして申入れに応じなかった
ことも、やむを得ない対応であったというべきである。
したがって、 組合が29年4月10日付けで申し入れた団体交渉にY会社が応じなかったことが、
正当な理由のない団体交渉拒否に当たるということはできない。 |
掲載文献 |
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