労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  道委平成27年(不)第14号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年5月29日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社は、経営悪化を理由に、従前の賃金協定(以下「旧協定」という。)に代わりオール歩合制への変更、賞与の廃止等を内容とする賃金協定(以下「新協定」という。)を提案し、その後、その内容を就業規則化し、全乗務員に適用したが、新協定に調印した乗務員と調印しない乗務員が混在する期間において、新協定に調印しない乗務員の協定外残業、公休出勤、シフト変更を認めなかった。
 本件は、会社が、新協定に調印しない申立人組合の組合員に対し、平成27年7月21日から同年11月20日までの間、協定外残業, 公休出勤、シフト変更を認めなかったことが労働組合法(以下「法」という。)第7条の不当労働行為であるとする申立てに係る事件で、北海道労働委員会は、申立てを棄却した。


 
命令主文   本件申立てを棄却する。
 
判断の要旨  1 申立人組合は、法第7条第1号及び第3号の適用について法適合組合といえるか(申立人組合の一部役員が会社から金銭を受領したことは、法第2条ただし書第2号本文の「使用者の経理上の援助」に該当するか)。(争点1)
 会社の3度の金銭供与は、私的な費消目的を持つA2らの意図を認識していたか、又は認識することが可能でありながら行われたものであり、また、同人らが受け取った金銭は、申立人組合の運営費には一切宛てられず、私的に費消されているのであるから、法第2条ただし書第2号本文で定める「使用者の経理上の援助」に当たらないと解するのが相当である。
  よって、本件申立てを却下すべきであるとの会社の主張は認めることができない。
2 会社が、平成27年7月21日から同年11月20日までの間、申立人組合員に対して協定外残業、公休出勤及びシフト変更を認めなかったことは、申立人組合員であることを理由とした不利益取扱いとして、法第7条第1号の不当労働行為に該当するか。(争点2)
(1) 不利益性について  会社の取扱いは、旧協定適用者よりも新協定適用者を優遇する内容となっているから、申立人組合員らの組合活動を制約する効果を否定することはできず、不利益性がないということはできない。
(2) 会社の取扱いが申立人組合員であること又は申立人組合が正当な行為をしたが故に行われたものかどうかについて
① 会社は、申立人組合との間で、賃金改定について第1次から第3次まで、他の労組及び非組合員との時期や内容を同じくして協議の申入れをし、団交を行っており、団交の内容についても、他の労組と同様の説明をしており、団交の既成事実を維持するため形式的に行われているとは認められないし、その提示した内容が抽象的であったり、会社からの具体的な説明がなかったという事実も認められない。
② 旧協定適用者に対して行った会社の取扱いは、賃金等の低下を内容とする新協定に調印して会社の再建に協力してくれる新協定締結者を不利に扱うわけにはいかないとの考えによるものであり、かかる取扱いをすることは予告されていた。
 また、会社は、申立人組合員だけでなく、同じく未調印であった非組合員11名に対しても同様の取扱いをしている。
③ 申立人組合が嘱託組合員についてのみ新協定に調印することを認めるよう要請したのに対し、会社が申立人組合の一括調印でないと認めない旨の回答をしたのは、申立人組合と申立人組合に所属する組合員について別異の取扱いはできないと考えたからであり、そのような対応は申立人組合に対してだけでなく、他の労組に対しても同様であった。
④ そうすると、申立人組合員が受けた不利益は、申立人組合員が会社との交渉で自主的な選択をし、また、組合の方針ないし状況判断に基づいて選択した結果であるというべきであって、会社のかかる行為が申立人組合に対する団結権の否認ないし嫌悪の意図が決定的動機として行われたと認めることはできない。
⑤ 以上のとおり、会社が同年7月21日から同年11月20日までの間、申立人組合員に対して協定外残業、公休出勤及びシフト変更を制限したことは、申立人組合員であること又は申立人組合が正当な行為をしたことを理由とした不利益取扱いであるとは認められないので、法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとはいえない。
3 会社の前記2の行為(混在期間において、申立人組合員に対し、協定外残業、公休出勤及びシフト変更を認めなかったこと)は、組合組織の弱体化・組織破壊を狙った申立人組合に対する支配介入として、法第7条第3号の不当労働行為に該当するか。(争点3)
 会社のかかる行為が、申立人組合員に対する不利益取扱いとして不当労働行為に該当するものでないことは前記2で判断したとおりであり、申立人組合が会社との自主交渉で自主的な選択をし、また、組合の方針ないし状況判断に基づいて選択した結果というべきであるから、法第7条第3号の不当労働行為であるともいえない。
 
掲載文献   

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