労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  神労委平成26年(不)第7号
神奈川歯科大学不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  法人Y(法人) 
命令年月日  平成29年6月13日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人法人が、①組合の組合員であるA2に対し、平成25年4月10日から12か月間の休職を命じ、就労可能であるとの診断書及び復職願いを提出後も復職を認めなかったこと、②A2に対し、休職中であることを理由として賃金8割減額、賞与未払、定期昇給停止とし、また、年次有給休暇の取得を認めなかったこと、③A2の休職命令の撤回、年次有給休暇取得、定期昇給の是正と未払賞与の支払及び復職後における処遇等に関する団体交渉に誠実に応じなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
 神奈川県労委は、法人に対し、バックペイ、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、平成25年7月1日から平成26年10月9日までの間にA2に対して支払うべき賃金と同期間に同人に対して支払済みの賃金との差額に、年率5分相当額を加算した額の金員を速やかに支払わなければならない。
2 被申立人は、平成25年6月支給分の賞与について、被申立人の基準に従い、当時休職していたA2に対して支払うべき額に、年率5分相当額を加算した額の金員を速やかに支払わなければならない。
3 被申立人は、本命令受領後速やかに、下記の文書を申立人に手交しなければならない。
(省略)
4 その余の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 法人がA2の復職を認めなかったことについて
 法人は、少なくともA2による2回目の提出となる25.6.14診断書を受領した段階で、A2の復職を判断することができたと考えられる。
 よって、法人が、A2に対する平成25年休職命令発出後、遅くとも組合が主張する同年7月1日以降に同人を復職させなかったことは、法人が組合を嫌悪していたこと及び復職をさせない理由に合理性が認められないことからすると、A2が組合員であることを理由とした不利益取扱いである。そして、A2に対する不利益取扱いは、法人の組合嫌悪の情に基づいて行われ、組合の組織・活動にも影響を及ぼすおそれがあると認められることから、支配介入にも当たる。
2 法人がA2の平成25年夏季賞与を不支給としたについて
 法人が、平成25年夏季賞与の不支給を決定したのは、A2の一回目の診断書提出後の平成25年6月5日であり、不支給に合理的な理由は認められないことからすると、平成25年夏季賞与の不払いが法人の不当労働行為意思に基づいて行われたと推忍せざるを得ない。
 法人が、A2に対して平成25年夏季賞与を支払わなかったことは、A2が組合員であることを理由とする不利益取扱いであり、ひいては組合の組織・活動にも影響を及ぼすおそれがあるものとして、支配介入にも当たる。
3 A2の出向について
 本件出向において、A2に対して何らかの不利益性があるとは認められないことから、本件出向は不当労働行為に当たらない。
4 平成25年4月22日開催の第4回団体交渉及び平成26年1月31日開催の第5回団体交渉における法人の対応について
 法人は、第4回及び第5回団体交渉が開催されるまでの状況から、組合が重点的に取り上げる事項について容易に予想できる状況にあった。しかし、これら団体交渉において、法人は、言を左右にしたり、実質的な回答を行わないなどの対応を行ったのである。法人の第4回及び第5回団体交渉における対応は、団体交渉が行われなかったことと等しい効果をもたらすものであり、不誠実な交渉態度であるとの評価を免れない。
 法人が、団体交渉において不誠実な対応を取れば、団体交渉による問題の解決が困難となることから組合にとって団体交渉そのものが無意味なものになり、ひいては組合の弱体化を招来するおそれがあるといえるから、法人が第4回及び第5回団体交渉において不誠実な対応を行ったことは、支配介入にも当たる。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成29年(不再)第33号 変更、棄却 平成31年2月8日
東京地裁令和元年(行ウ)第238号 棄却 令和2年6月26日
 
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