労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  岡崎学園 
事件番号  中労委平成25年(不再)第89号 
再審査申立人  学校法人河原学園(「学園」)[平成26年4月1日に学校法人岡崎学園を合併し、再審査申立人の地位を承継] 
再審査被申立人  岡崎学園教職員組合(「単組」) 
再審査被申立人  愛知県私立学校教職員組合連合(「私教連」) 
命令年月日  平成27年11月4日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 本件は、学園が、①単組のA執行委員長に対し、物品購入の際における見積りの取り方に問題があったとして、自宅待機を命じたこと、けん責処分を行ったこと並びに教科主任及びクラス担任を解任したこと、②上記①の処分の軽減と引換えに一定の組合活動をやめるようにA執行委員長に対し働きかけたこと、③労使合意の書面化を拒んだこと、④団交に関して不誠実な対応をしたこと、⑤誠実な交渉を行わずに、昇給停止、夏季一時金不支給及び冬季一時金削減支給を行ったことが不当労働行為であるとして、愛知県労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審愛知県労委は、上記①④⑤は不当労働行為に当たり、学園に対し、本件自宅待機命令等がなかったものとしての取扱い等、団交期日の速やかな設定、実質的な交渉権限を有する者の出席、誠実団交応諾、文書交付を命じたところ、学園は、これを不服として、再審査を申し立てた。 
主文の要旨  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 本件自宅待機命令、本件けん責処分及び本件教科主任等の解任(本件自宅待機命令等)は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たるか(争点1)
 本件自宅待機命令等は、いずれも労組法第7条第1号の「不利益な取扱い」に該当する。また、本件自宅待機命令等にはいずれも合理的な理由は認められず、合理性に欠けるものである。一方、当時の労使関係をみると、学園は、定期昇給停止や夏季一時金不支給をめぐり単組と厳しく対立していた中で、これらに関する団交が継続している時期に、本件自宅待機命令等を、単組において中心的役割を果たしていた執行委員長を対象に行ったものである。これらの点を総合して判断すると、本件自宅待機命令等は、単組の存在及び活動を嫌悪し、その中心的人物であったA執行委員長の活動を嫌悪して行われたもの、すなわち、A執行委員長が組合員であることの故をもって、又は、単組の正当な行為をしたことの故をもって行われた不利益な取扱いであると認められ、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
2 23年5月23日から同年12月9日までの間における7回の団交に関する学園の対応は、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるか(争点2)
 ①第2回団交を延期したこと、②第6回団交後、速やかに団交期日の候補日を組合に連絡しなかったこと、③第5回から第7回団交において、本件自宅待機命令等について回答や説明を拒否したこと、④第7回団交において、冬季一時金の支給額の根拠について具体的な説明を行わなかったこと、⑤第5回から第7回団交において実質的な交渉権限を持つ者を出席させなかったことは、いずれも不誠実な対応であるから、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
 また、このように組合を軽視する対応が上記7回の団交の間に重ねて行われたことは、組合の団体交渉権ひいては団結権を尊重しない学園の態度の現れであり、その結果、組合員の組合の交渉力に対する信頼を揺るがせるものであるから、上記①ないし⑤の学園の一連の対応は、組合の組織・運営に対する支配介入であり、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
3 23年度夏季一時金の不支給及び同年度冬季一時金の減額支給は、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるか(争点3)
 23年度夏季一時金について、学園は、団交において一時金が問題とされているにもかかわらず、組合との団交を回避するとともに、その後の団交において根拠を組合に示すこともなく、夏季一時金の不支給という措置をとったものであり、同年度冬季一時金についても、学園は、団交が継続しているにもかかわらず、支給日前の団交を回避するとともに、前年度を下回る支給額を組合との団交を経ずに決定し、また、その根拠を団交において組合に示すこともなく、当該一時金を支給したものであり、これらの措置は誠実団交義務に違反するものということができる。また、学園が、組合と実質的な交渉を行うことなくこれらの措置をとったことは、組合を無視し、組合員の組合の交渉力に対する信頼を揺るがすものであり、組合の弱体化を企図したものとみざるを得ない。したがって、学園が単組との交渉を誠実に行わないまま、23年度夏季一時金を不支給とし、また、同年度冬季一時金を前年度より減額して支給したことは、いずれも労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たる。 
掲載文献    

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛知県労委平成23年(不)第13号 一部救済 平成25年11月25日
東京地裁平成28年(行ウ)第86号 棄却 平成29年7月19日
 
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