労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京地裁平成28年(行ウ)第86号
岡崎学園不当労働行為救済命令取消請求事件  
原告  学校法人X1学園 
被告  国(処分行政庁・中央労働委員会) 
被告補助参加人  Z1教職員組合
愛知県Z2教職員組合連合 
判決年月日  平成29年7月19日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、X1学園が、①Z1教職員組合のA1委員長に対し、物品購入の際の見積りの取り方に問題があったとして、自宅待機を命じたこと、けん責処分を行ったこと並びに教科主任及びクラス担任を解任したこと、②上記①の処分の軽減と引換えに一定の組合活動をやめるようにA1委員長に対し働きかけたこと、③労使合意の書面化を拒んだこと、④団交期日の設定・延期や実質的な交渉権限を有する者の出席等に関して不誠実な対応をしたこと、また、団交時において自宅待機命令等や冬季一時金削減支給について、回答や具体的な説明を拒否したこと、⑤合理的な理由なく団体交渉を行わないまま、昇給停止、夏季一時金不支給及び冬季一時金削減支給を実施したこと、が不当労働行為であるとして、愛知県労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審愛知県労委は、上記②③については組合の主張を認めず、上記①④⑤については不当労働行為に当たり、X1学園に対し、本件自宅待機命令等がなかったものとしての取扱い等、団交期日の速やかな設定、実質的な交渉権限を有する者の出席、誠実団交応諾、文書交付を命じたところ、X1学園は、これを不服として、中央労働委員会に対し再審査を申し立てた。
3 中労委は、初審愛知県労委の命令を維持し、再審査申立てを棄却した。
4 X1学園は、これを不服として、東京地裁に再審査命令の取消しを求める行政訴訟を提起したが、同地裁は、X1学園の請求は理由がないことから、これを棄却した。    
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は、原告の負担とする。  
判決の要旨  1 自宅待機命令等の不当労働行為(労組法7条1号)について
 ①自宅待機命令等は教員として業務に就労する機会を奪うものであり、職務上・精神上・経済上の不利益を被らせる取扱に当たること、②見積の取り方として三者見積を個別に取得することを定めた内規や業務命令が存在せず、従って業務命令に違反すると認める余地はないことから、自宅待機命令等の発令の合理的理由は認められないこと、③当時、人件費削減(昇給停止、夏季一時金不支給)を巡ってX1学園とZ1教職員組合は激しく対立しており、X1学園は、執行委員長としてZ1教職員組合の中心的役割を担っていたA1委員長に対して理由のない業務命令違反を根拠として人件費削減の障害となるA1委員長を団交から排除する意思を有していたことが推認されること、からX1学園はA1委員長が組合員であること又は正当な組合活動をしたことの故をもって不利益な取扱をしたものであり労組法7条1号の不当労働行為に当たる。

2 ①団交延期等、②自宅待機命令等や冬季一時金削減支給についての団交時の回答や具体的説明の拒否、③実質的な交渉権限を有する者を出席させなかったことの不当労働行為(労組法7条2号及び3号)について
 これら①②③に係るX1学園の対応は、いずれも不誠実な対応であり、合理的な理由は認められないことから、組合との団交を正当な理由なく拒んだものであり、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。
 また、こうしたX1学園の団交拒否の姿勢は、組合を殊更に無視し、その団結権・団交権を軽視し、組合の交渉力に対する組合員の不信を醸成し、組合の弱体化を招来することから、同条3号の組合の運営に対する支配介入の不当労働行為に該当する。

3 ①夏季一時金不支給及び②冬季一時金削減支給に係る対応の不当労働行為(労組法7条2号及び3号)について
 これら①②に係るZ1教職員組合の要求や主張に対して、X1学園が正当な理由なく団交を拒否し、又はZ1教職員組合の求めにかかわらず事前に交渉をせず、夏季一時金不支給、冬季一時金削減支給を実施したことは、上記2と同様、不誠実な対応であり、労組法7条2号及び3号の不当労働行為に当たる。
 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛労委平成23年(不)第13号 一部救済 平成25年11月25日
中労委平成25年(不再)第89号 棄却 平成27年11月4日
 
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