労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  岡崎学園 
事件番号  愛労委平成23年(不)第13号 
申立人  岡崎学園教職員組合、愛知県私立学校教職員組合連合 
被申立人  学校法人岡崎学園 
命令年月日  平成25年11月25日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が①申立人組合(単組)の執行委員長であったX2に対し、自宅待機を命じ、その後、譴責処分に付し、教科主任等を解任したこと、②上記処分の軽減と引換えに一定の組合活動をやめるようにX2に働きかけたこと、③労使合意を書面化することを拒んだこと、④団交において不誠実な対応をしたこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 愛知県労委は法人に対し、1 上記①の処分等がなかったものとして取り扱うこと、2 団交の申入れを受けたときは速やかに諾否を回答すること等、3 団交において合意形成に向けて誠実に応じること、4 文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人岡崎学園教職員組合の副委員長X2に対する平成23年6月23日付け自宅待機命令、同年8月10日付け譴責処分並びに同日付け教科主任及びクラス担任の解任命令をなかったものとして取り扱い、同人を直ちに教科主任に復帰させるとともに、平成26年度からクラス担任に復帰させなければならない。
2 被申立人は、申立人岡崎学園教職員組合から団体交渉の申入れを受けたときは、速やかに諾否を回答し、申入れを受けた日からできる限り近接した時期に団体交渉期日を設けなければならず、かつ、設定した期日を正当な理由なく変更してはならない。
3 被申立人は、申立人らとの団体交渉において、実質的な交渉権限を有する者を出席させた上で、合意形成に向けて誠実に応じなければならない。
4 被申立人は、申立人らに対し、下記内容の文書を本命令書交付の日から1週間以内に交付しなければならない。
(記 省略)
5 その余の申立ては棄却する。 
判断の要旨  1 本件自宅待機命令等について
 被申立人法人は、物品購入の際の見積書の取り方に問題があったこと(3社の見積書を同じ封筒に入れていたこと)を理由に組合員X2に対し、自宅待機を命じるとともに、譴責処分等を行っているが、当時、3社分の見積書の具体的な取得方法については定まっていなかったとみるのが相当であり、本件自宅待機命令等は合理性のない措置といえる。一方、法人が申立人組合(単組)からの団交申入れ等の書面の受取りを拒否したこと、法人の理事長がX2の見積書の取りまとめに係る事実を聞いた時、単組の弱体化の口実にできるなどと述べたことが認められ、これらの言動からすると、法人は単組の存在を疎ましく思っていたものといえる。よって、本件自宅待機命令等は、法人が上記のような見積書の取りまとめに係る事実を口実に、X2を単組の執行委員長であるが故に不利益に取り扱ったものといえる。
2 X2に対する働きかけについて
 組合らは、法人によるX2に対する聞き取り調査の際、一番軽い譴責処分にする代わりに、申立人組合(私教連)傘下の他の単位組合からの抗議をやめさせてほしいとの取引を持ちかけられたと主張する。しかし、このような取引を持ちかけられた事実の存在を認めることは困難である。
3 労使合意の書面化の拒否について
 平成23年7月15日の団交において、単組が同年3月14日の労使懇談会で別紙1ないし3の内容で労使が合意し、調印することになっていたとして、調印を求めたのに対し、法人が応じなかったことが認められる。しかし、認定した事実によれば、そのような合意があったとまでは認められない。よって、法人が調印を拒否したことをもって不当労働行為であるとはいえない。
4 団交における対応について
(1) 期日設定
 法人による平成23年6月30日の団交予定期日の延期及び第7回団交の期日設定は、合理的理由なく団交の開催を引き延ばすとともに、夏季一時金定例支給日前及び冬季一時金支給予定日前の交渉を回避する不誠実なものである。
(2) 交渉態度
 第5回団交で、他に見積りの取りまとめを依頼した者はいないかとの組合側からの質問に対し、法人側は答える必要はない等と述べたこと、並びに第6回及び第7回団交で、組合側がX2の教科主任等の解任理由を尋ねたのに対し、法人側は本人に適性がないと判断したもので、具体的な内容は団交の場で説明すべきことではない旨の答えを繰り返したことが認められるが、これらの法人の態度は不誠実なものといえる。また、第7回団交で法人が平成23年度上半期の収支状況を具体的に説明しなかったことが認められ、このような態度は不誠実なものといえる。
(3) 出席者
 単組との各団交に法人の代表者たる理事長は出席しておらず、事務局長又は事務長と代理人弁護士が出席していたことが認められる。しかし、これら法人側出席者の態度が不誠実なものであったことは前記(2)で判断したとおりであり、法人側出席者には団交の進展に対応しつつ妥協点を見出す方向で話合いを進めることができる実質的な交渉権限が与えられていなかったというほかない。このような法人の対応は不誠実なものといえる。
(4) まとめ
 以上のような法人の不誠実な対応は、労組法7条2号の団交拒否に当たる。また、単組の弱体化を企図して行ったものと解するのが相当であり、同条3号の支配介入にも当たる。
 さらに、法人は単組からの交渉申入れがあるにもかかわらず、夏季一時金不支給及び冬季一時金削減支給を、合理的な理由なく組合との交渉を行わないまま、通知・実施したものであり、これは団交拒否及び支配介入に当たるといえる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成25年(不再)第89号 棄却 平成27年11月4日
東京地裁平成28年(行ウ)第86号 棄却 平成29年7月19日
 
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