概要情報
事件名 |
大磯恒道会(その2) |
事件番号 |
神労委平成25年(不)第27号 |
申立人 |
大磯恒道会労働組合(X)、湘南ユニオン(Z) |
被申立人 |
社会福祉法人大磯恒道会 |
命令年月日 |
平成26年11月20日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人が①申立人組合Xが組合員らに対する処分の撤回等を求めて平成25年8月5日付けで行った団交申入れに応じなかったこと、②その後、同年10月及び12月に開催された団交で不誠実な対応をしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
神奈川県労委は法人に対し、上記①の団交の誠実応諾及び文書手交を命じた。
なお、本件は神労委平成25年(不)21号事件の関連事件である。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人大磯恒道会労働組合が平成25年8月5日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人らに手交しなければならない。
記(省略)
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判断の要旨 |
1 平成25年8月5日付けの団交申入れに応じなかったことについて
被申立人法人は、平成25年9月3日の本件救済申立ての時点では団交に応じておらず、その理由について、申立人組合Xの要求事項の中には理事会の決定を要するものや別件訴訟あるいは別件不当労働行為事件(神労委平成25年(不)21号)に関するものがある旨主張する。しかし、理事会や訴訟、不当労働行為救済に係る手続の存在が労使間の自主的交渉の障害となることはなく、不応諾の正当な理由とはなり得ない。
また、法人の理事長Y1は同年9月27日開催の理事会において、「一定の判断ができる状態がないと責任ある回答はできない」として団交に直ちに応じられない旨を述べている。しかし、使用者は労働組合による団交の申入れに応じて交渉すべき義務を負う以上、労働組合の質問に責任をもって回答できないことを理由に応諾自体を拒むことは許されない。
したがって、法人が同年10月25日に至るまで上記団交に応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たる。
2 団交における法人の対応について
Y1は平成25年10月25日の第1回団交の際、次回団交の期日について遅くとも同月29日までには連絡すると約束したにもかかわらず、これを履行せず、最終的に第2回団交の期日が決まったのは同年11月13日に開催された当委員会の第3回調査期日の後であった。このように法人は、団交の期日の決定について非協力的な対応をすることによって団交の引き延ばしを図るという不誠実な態度をとっている。
また、Y1は、第1回団交においてXから求められた労働協約の締結に関し、同年11月29日の理事会において一部については合意し得る旨表明していたにもかかわらず、12月4日の第2回団交では締結すること自体について再度理事会に報告する旨述べるにとどめた。さらに、同月10日、Xから修正後の協約書を受け取った際、同月20日の理事会で確認した上で調印する旨回答したにもかかわらず、同月24日、協約書の第8項について理事会で継続審議となったことを理由に調印を拒否し、結局、労働協約が締結されたのは26年1月29日の本件追加申立て及び2月7日の第3回団交を経た後であった。このような法人の態度は、合意し得る事項から合意を成立させようとするXらに対し、理事会等での手続の必要や合意に至っていない条項の存在を理由に締結を先延ばしにしている点で誠意を欠いている。
以上のような団交期日の決定や労働協約締結に関する法人の対応は、不誠実な団交に当たる。 |
掲載文献 |
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