労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大磯恒道会 
事件番号  神労委平成25年(不)第21号 
申立人  湘南ユニオン 
被申立人  社会福祉法人大磯恒道会 
命令年月日  平成26年11月20日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が①その設置・運営する老人ホームの施設長X2及びコミュニティケアセンターのセンター長X3を出勤停止処分としたこと、②X2らが申立人組合に加入した後、同人らの役職を解任した上で自宅待機を命じ、さらに法人の施設外に新設した分室での勤務を命じたこと、③X3の賃金から役職手当相当額を減じたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 神奈川県労委は法人に対し、1 組合員X2らに対する上記②の役職解任をなかったものとして取り扱うこと等、2 組合員X3に対する上記③の減給処分をなかったものとして取り扱うこと等、3 文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X3に対する平成25年6月6日付け役職解任及び同組合員X2に対する同月17日付け役職解任をなかったものとして取り扱い、同人らを原職に復帰させなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X3に対する平成25年9月1日付け減給処分をなかったものとして取り扱い、当該減給処分がなかったならば支給されるべきであった役職手当相当額に年率5分相当額を加算した額の金員を支払わなければならない。
3 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記(省略)
4 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合員X2及び同X3に対する出勤停止処分について
 被申立人法人の理事長Y1がX2及びX3に本件出勤停止処分を通知したのは、同人らが申立人組合に加入した平成25年5月2日の前日であり、また、法人が同人らの組合加入を知ったのは同月15日付けの組合加入通知及び団交開催申入れの文書が到達した後である。このような経緯によれば、法人が上記処分の時点でX2らの組合加入を認識し、それを理由に当該処分をしたものと認めることはできない。
2 役職解任、自宅待機命令及び分室勤務命令について
 X2らの施設長又はセンター長解任には身分上の不利益が、自宅待機命令には精神的な不利益が、分室勤務命令には職務上の不利益に加えて精神的な不利益がそれぞれ認められる。
 また、Y1は、X2らが本件出勤停止処分に納得せず、別件訴訟の提起に加え、組合に加入して法人と争う姿勢をより明確に示したことから、同人らが今後の法人運営にとって障害となることを恐れ、役職解任、自宅待機命令及び分室勤務命令によって現場から徹底して排除しようとしたものであり、かかる取扱いは同人らの組合加入及び組合活動を嫌悪したことによるものと推認するのが相当である。
 以上から、本件役職解任、自宅待機命令及び分室勤務命令は、組合員であること又は組合の正当な行為をしたことを理由とする不利益取扱いに当たる。
3 X3に対する減給処分について
 Y1は、X2のセンター長解任に際して、当該措置は組織の見直しに伴う業務命令であり、処分ではない旨の説明をしていたが、後日、一転して減給処分を同人に通知し、同人からその理由を明らかにするよう求められたものの、本件結審日まで回答していない。
 また、Y1は、上記センター長解任と同時に発せられた自宅待機命令の理由について、本件出勤停止処分が別件訴訟において争われることに加え、団交等の場で組合との交渉議題となることを極力回避したい旨の意向を示している。
 さらに、前記2で述べたように、本件自宅待機命令の後に分室勤務命令を発したことはX3が組合の組合員であること又は組合の正当な行為をしたことを理由とするものである。
 これらを併せ考えると、本件減給処分はX3の組合加入及び組合活動を嫌悪する意思によるものと認められ、同人が組合員であること又は組合の正当な行為をしたことを理由とする不利益取扱いに当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川県労委平成25年(不)第27号 全部救済 平成26年11月20日
中労委平成26年(不再)第58・59号
大磯恒道会不当労働行為再審査事件
一部変更 平成28年4月6日
 
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