労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成24年(不)第92号 
事件番号  大阪府労委平成24年(不)第92号 
申立人  X労働組合 
被申立人  有限会社Y、有限会社Z 
命令年月日  平成26年9月29日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   ①被申立人会社Yが、日々雇用の形で生コンクリートミキサー車の運転手として勤務していた組合員X3の退院後における就労復帰を認めなかったこと、②Y及び被申立人会社ZがX3と同様の形でYに雇用されていた組合員X2に対し、申立人組合への加入後、就労日数を減少させたこと、③YがX2の組合加入後、同人に専属車両を割り当てなくなったこと、④Zの取締役Y2がX2に対して組合脱退を働きかけたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委はYに対し、X2に対する配車差別の禁止等及び組合に対する文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人有限会社Yは、申立人の組合員X2に対し、組合加入前と比べて配車差することなく配車するとともに、平成24年8月分以降の同組合員が就業していた期間の賃金について、組合加入後、配車差別がなければ得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払わなければならない。
2 被申立人有限会社Yは、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
3 申立人の被申立人有限会社Yに対するその他の申立て及び被申立人有限会社Zに対する申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社Zは組合員X3及び同X2の労組法上の使用者に当たるか
 申立人組合は、被申立人会社Zの取締役Y2が被申立人会社Yの従業員に対して指示を出していたなどと主張するが、認定した事実によれば、Y2がX3及びX2の基本的な労働条件について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にあったとみることはできない。また、組合は、Zの事業は事実上、Yのそれと一体として営まれているので、Zも労組法上の使用者として扱わなければならないと主張するが、認定した事実によれば、両社はそれぞれ独立した法人として活動しているとみることができる。
 以上のとおりであるので、ZはX3及びX2の労組法上の使用者であるとはいえず、Zに係る申立ては棄却する。
2 YがX3の退院後の就労復帰を認めなかったことについて
 認定した事実によれば、X3の担当医師がX3の就労復帰が可能か否かは不明である旨Yの取締役Y1に回答した後、Yが団交において、X3が薬を取りに行っている証拠としての薬代の領収書の提出又はX3の就労可能性についての医療照会への同意書へのサインを求めたのに対し、X3及び組合はそのいずれも行わなかった。そうすると、X3は自分が就労復帰可能な状態にあることをYに示せていないのであるから、Yが同人の運転業務への復帰を認めなかったことは使用者として当然の配慮であって、その対応に不自然、不合理な点は認められない。
 また、組合は、Y1が組合に対して金銭解決を打診したことなどをもって本件就労拒否はYの組合嫌悪の意思に基づくものであると主張するが、それらのことのみをもって、組合嫌悪の意思が決定的な動機となってYがX3の就労復帰を認めなかったものとはいえない。
 以上のとおりであるので、この点に係る組合の申立ては棄却する。
3 YがX2の組合加入後、同人の就労日数を減少させたことについて
 認定した事実によれば、YはX2の組合加入直後から同人の就労日数を減少させていると認めるほかなく、加えて、そのことに対する合理的な説明は認められないのであるから、当該就労日数の減少は同人の組合加入を理由としてなされたものと推認することができ、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。
4 X2の組合加入後、同人に専属車両を割り当てなくなったことについて
 YがX2に車番5の車両を割り当てなくなったことについては、同車両の塗装のやり直しをするためという理由があったことなどからすれば、他の運転手と比べてX2が特別不利益に扱われているとまで認めることはできない。したがって、この点に係る組合の申立ては棄却する。
5 ZのY2がX2に組合脱退を働きかけたことについて
 Yの営業所でのY2とX2との会話においてY2がX2に対して組合脱退を勧めているかのごとき言葉があったことが認められるが、Y2がYの指示を受け、又はその意を体して上記の会話を行ったと認めるに足りる疎明はない。また、その時Y2が業務上の不利益を示唆したり、業務上の権限を背景に威圧したりしている様子も見受けられない。以上のことからすれば、この言動がYによる組合への支配介入に当たるとまで認めることは困難である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第52号 棄却 平成29年5月10日
東京地裁平成29年(行ウ)第445号 棄却 平成31年3月22日
 
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