概要情報
事件名 |
大月書店 |
事件番号 |
福岡労委平成25年(不)第8号 |
申立人 |
福岡地区合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社大月書店 |
命令年月日 |
平成26年8月8日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
X2は被申立人会社から米国書籍1冊を翻訳することの依頼を受けて翻訳を完了させ、会社がその書籍を出版した。その後、X2は、会社の編集部員から2冊目の翻訳を同人に依頼するつもりはない旨の連絡を受けた後、申立人組合に加入した。本件は、組合がX2への2冊目の翻訳の拒否に対する慰謝料の支払等を求めて申し入れた団交を会社が拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
福岡県労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員X2の労組法上の労働者性について
X2の労働者性に関し、申立人組合はこれを肯定する旨の、被申立人会社は否定する旨の主張をそれぞれしている。当委員会としては、この点について、基本的判断要素としての①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性、補充的判断要素としての④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、及び消極的判断要素としての⑥顕著な事業者性の6つの判断要素を総合的に考慮して判断することとする。
認定した事実によれば、①から③までの基本的判断要素並びに④及び⑤の補充的判断要素のいずれも認められず、⑥の消極的判断要素を否定することもできないことから、X2は会社との関係において労組法上の労働者には当たらないと考えられる。
2 団交拒否の成否について
前記1のとおり、X2は会社との関係において労組法上の労働者とは認められない。
また、組合は、組合の団交要求に対して会社が団交に応諾すると回答していることをとらえて、会社が団交応諾義務を認めていたと主張する。しかし、会社は会社とX2との間に契約関係はないと回答しているのであって、会社が回答書に団交に応じると記載したことにより団交応諾義務が生じたとは考えられない。
以上のことからすれば、会社は組合との関係で団交応諾義務を負っているとはいえないのであって、組合の団交申入れに対する会社の対応は労組法7条2号に該当しない。 |
掲載文献 |
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