労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  暁星学園 
事件番号  都労委平成24年不第103号 
申立人  暁星学園教職員組合 
被申立人  学校法人暁星学園 
命令年月日  平成26年7月1日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が、①申立人組合側の団交出席者が7名を超えていることを理由に団交を途中退席したこと、②団交において組合の質問に回答しないなどの対応をしたことが不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は法人に対し、上記①の理由により団交を拒否してはならず、団交に誠実に応じることを命じた。 
命令主文   被申立人学校法人暁星学園は、申立人暁星学園教職員組合が団体交渉を申し入れたときは、組合側出席者の人数が7名以内でないことを理由にこれを拒否してはならず、誠実に応じなければならない。 
判断の要旨  1 申立人組合側の団交出席者が7名を超えていることを理由に団交を退席したことについて
 認定した事実によれば、被申立人法人は平成22年11月30日の団交の際に組合の出席者が従来より多い9名であったことに異議を唱え、後日組合に対して今後は7名以内とする旨の通知文書を交付し、それ以降の団交の通知文書にも同じ記載をしていた。また、24年11月13日の団交においては、終了に当たり、今後は7名以内でなければ団交に応じない旨を組合に申し入れていた。そして、同年11月27日の団交では、組合側出席者が8名であったため、法人が7名以内でないと議題には入れない旨述べたところ、組合から激しい抗議を受け、結局法人が退席して協議が終了した。
 組合と法人との間で団交に関するルールは作成されていない。そのような中で、法人は団交において、妥結した内容の文書化、組合の求める数字の回答、資料の開示や給与制度等の話合いに十分に応じないなど、その対応に問題がなかったわけではなく、こうした状況において、組合側出席者の人数を一方的に制限しようとする法人の対応に組合が不満を覚えたとしてもやむを得ないものがある。
 また、22年11月30日以降、24年11月13日より前の団交において、議題の持ち方等を巡って紛糾した事実はあるものの、それが組合側出席者が7名を超えたことを原因とするとは認め難く、11月13日の団交についても7名を超えたことが原因で不正常といえるほどの混乱を生じたとは認め難い。まして、11月27日の団交における組合側出席者は7名を1名超過しているにすぎないのであるから、法人が冒頭から7名に固執し、それを超えていることを理由に途中退席したことは、正当な理由のない団交拒否に該当するといわざるを得ない。
2 団交において組合の質問に回答しないなどの対応について
 組合と法人との団交は、平成22年以降、出席人数や団交事項の制限等を巡って対立し、最重要議題である給与の改定や管理職制度についても、法人は給与制度そのものについて交渉するつもりはないなどと述べて、協議を拒否する姿勢をとり続けていた。24年11月13日の団交において、法人は自らの考え方を説明してはいるものの、事前に回答書を交付しようとし、ゼロ回答を示唆する発言をするなど譲歩の意思がないかのごとき姿勢を示し、組合が求めた人件費比率等の回答や資料の提示をしていない。そして、法人が協議事項について持ち帰って検討するとしたことから、同月27日に再協議が予定されていたところ、上記1で述べたとおり、法人は実質的な協議に入らないまま退席している。
 以上の経緯を併せ考えれば、組合が、法人はそもそも団交の申入れ事項について交渉するつもりはないものと解したとしてもやむを得ず、法人は組合の理解及び納得を得るべく努力する姿勢に欠けていたといわざるを得ない。
 したがって、11月27日の団交における法人の対応は、不誠実な団交に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第39号 棄却 平成28年6月15日
東京地裁平成28年(行ウ)第392号 棄却 平成30年1月29日
 
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