労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本ロール製造 
事件番号  都労委平成24年不第37号 
申立人  全日本金属情報機器労働組合、同東京地方本部、同日本ロール製造支部 
被申立人  日本ロール製造株式会社 
命令年月日  平成26年3月4日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   ①被申立人会社のパイプ事業部の事業の縮小・廃止に伴う組合員の雇用及び労働条件、②組合員X1及びX2の人事異動、③組合員X3の退職願の撤回の各事項に係る団交における会社の対応が不誠実な団交に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 パイプ事業部の事業の縮小・廃止に伴う組合員の雇用及び労働条件に関する団交について
(1) 事業計画の説明
 申立人組合は、パイプ事業部の今後の見通し(計画)を明らかにするよう要求したことに対する被申立人会社の対応について、パイプ事業部をどのようにして続けていくのか、会社の考えを具体的に聞きたかったのであり、ただ続けると回答するだけでは話合いにならないと主張する。
 しかし、会社は団交において、事業計画について説明できる範囲では説明していることを述べ、関係先である他社と交渉中であるため、組合の求める内容では要求に応じられない旨回答したり、社内扱いの資料を交付して説明したりしており、その段階でできる範囲の説明をしていたものと認められる。組合の求める内容での具体的な計画を開示できない理由については、他社と交渉中であり、取引先に与える影響を考えると開示できないとすることには、それ相応の理由があったと認められる。
 したがって、会社は、パイプ事業部は続けるとだけ述べ、具体的な説明をしていなかったとはいえず、組合員の雇用や労働条件について、その時点でできる範囲の説明をしてきたものと認められることから、会社の対応が不誠実であったとはいえない。
(2) 会社の経営資料の提示状況
 組合は、会社が団交においてパイプ事業部の決算数字(赤字総額)の開示を拒否し、また、同日以降に提示した資料は赤字であるデータが記載されたものにすぎず、これらの資料からは労働者の雇用が守られることを確認できなかったと主張する。
 しかし、組合は会社の経営状況について、ある程度は理解していることが窺え、パイプ事業部の赤字額については会社の説明で一応の理解をしていたものといえる。また、組合は、交渉の中でパイプ事業部の経営状況に関する資料については具体的に要求していないのであるから、会社がパイプ事業部の決算資料を示さなかったことが不誠実であったとまではいえない。
(3) パイプ事業部の継続及び雇用を守ることの書面化
 組合は、会社が、パイプ事業部は続ける、雇用は守ると口頭で言いながら、書面化を求めるとそれを拒否し続けたことが不誠実であると主張する。
 しかし、会社はパイプ事業部の継続及び雇用を守ることを明確に文書に記載してはいないが、パイプ事業部が存続する形で雇用を守るよう努めることについて、それが窺える形で「事業計画について」と題する書面でも回答している。また、書面化しないことにより団交が阻害された事実も認められない。このような経緯に照らせば、会社が、組合が求める形での書面化に応じていないとしても、そのことが不誠実であったとまではいえない。
2 組合員X1及びX2の人事異動に関する団交について
 組合は、組合員の人事異動については組合と十分に協議し、組合の了解を得てから実施すべきであり、これまでもそのようにされてきたにもかかわらず、会社はX1及びX2の人事異動の理由や人事異動後のパイプ事業部がどうなるのかについて組合の質問に回答しないまま、一方的に辞令を交付した旨主張する。
 しかし、会社においては、事前に組合の同意を得てから人事異動を行うとする労使間の協定や慣行は認められず、また、会社はX1らの人事異動の前に組合に対する説明会を開き、団交にも応じ、それらの場で人事異動の内訳及び人事異動実施後のパイプ事業部の人員やX1らの異動理由について説明していることを勘案すると、会社の対応が不誠実であったとはいえない。
3 組合員X3の退職願の撤回に関する団交について
 組合は、組合がX3の退職願の撤回を求めたのに対し、会社は撤回を認めないとのスタンスを貫き、その理由の説明を求めても説明しなかった旨主張する。
 しかし、X3の退職願は同人が会社に提出し、承認権者により承認されたことにより、会社は退職手続を進め、後任の異動も決めていた。X3が撤回の意思表示をしたのは提出から2週間以上も経った日であった。それにもかかわらず、会社は3回の団交において、手続を進めており、撤回はできないことや、退職願の撤回は今までも認めていないことを説明し、更に組合からの再検討の要求に応じ、退職願を受け取った状況等について追加説明をしている。
 これらのことからすると、会社が退職願の撤回を認めない理由を説明しなかったとはいえず、団交における会社の対応が不誠実であったとは認められない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第24号 棄却 平成28年1月6日
東京地裁平成28年(行ウ)第343号 棄却 平成30年5月30日
 
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