労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  セブン-イレブン・ジャパン 
事件番号  岡委平成22年(不)第2号 
申立人  コンビニ加盟店ユニオン 
被申立人  株式会社セブン-イレブン・ジャパン 
命令年月日  平成26年3月13日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が申立人組合(会社などコンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを展開する者との間でフランチャイズ加盟店契約を締結している加盟者により構成されているもの)からの、団交のルール作り等を協議事項とする団交の申入れに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 岡山県労委は会社に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、申立人コンビニ加盟店ユニオンから「団体交渉のルール作り他」を協議事項とする団体交渉申入れに応じなければならない。
2 被申立人株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、申立人コンビニ加盟店ユニオンに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
   今般、岡山県労働委員会において、当株式会社セブン-イレブン・ジャパンが、コンビニ加盟店ユニオンからの団体交渉申入れに対して、交渉を拒絶したことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。
   今後、当社は、コンビニ加盟店ユニオンを労働組合と認め、誠実に団体交渉に応じます。また、二度とこのような行為を繰り返さないことを誓約します。
     年  月  日
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
代表取締役 Y1
   コンビニ加盟店ユニオン
   執行委員長 X1 殿 
判断の要旨  1 加盟店主は労組法上の労働者に該当するか
 被申立人会社と加盟店主が締結した契約は、いわゆるフランチャイズ契約であり、会社が加盟店主に対してセブン-イレブン・システムによるコンビニエンスストア加盟店を経営・運営することを許諾するとともに、経営指導、技術援助及び商品仕入援助、販売促進の援助等のサービスを継続的に提供することを約し、加盟店主は会社の許諾のもとにセブン-イレブン店の経営・運営を行い、会社に対して一定の対価(ロイヤリティー)を支払うことを約することがその趣旨とされている。フランチャイズ契約は、加盟店とフランチャイザーがそれぞれ独立した事業者として、各自の責任において締結するものであり、加盟店がフランチャイザーの社員として雇用されるものではなく、加盟店は自己の資本を投下して事業を行う「独立した事業者」である。
 会社は、加盟店主と会社がともに独立した事業者であることから、加盟店主は労組法上の労働者には該当しない旨主張する。しかし、同法の目的(同法1条)と憲法28条(勤労者の団結権及び団体行動権)の趣旨を合わせ考えると、同法上の労働者には、事業者であっても相手方との個別の交渉においては交渉力に格差が生じ、契約自由の原則を貫徹しては不当な結果が生じるため、労働組合を組織して集団的な交渉による保護が図られるべき者が幅広く含まれると解するのが相当である。したがって、加盟店主が独立した事業者であることをもって、ただちに労働者性を否定する理由にはならない。
 本件において加盟店主が労組法上の労働者に該当するかどうかについては、最高裁判例で示された判断基準及び本件当事者の主張に沿って、前述の観点を踏まえ、以下の①から⑥までの判断要素を用いて総合的かつ実質的に判断することとする。
①事業組織への組入れ:加盟店主は、会社の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか。
②契約内容の一方的・定型的決定(団体交渉法制による保護を保障すべき交渉力格差):本件契約は、加盟店主の労働条件や労務の内容を会社が一方的・定型的に決定しているといえるか。
③報酬の労務対価性:セブン-イレブン店の経営・運営によって加盟店主が得る金員は、会社に対する労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか。
④業務の依頼に応ずべき関係:加盟店主が会社からの個々の業務の依頼に対して基本的に応じなければならないといった関係が認められるか。
⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束:加盟店主が、会社の指揮監督の下に労務を提供していると広い意味で解することができるか。労務の提供に当たり、日時や場所について一定の拘束を受けているか。
⑥顕著な事業者性:加盟店主が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し、自らリスクを引き受けて事業を行う者とみられるか。
 認定した事実によれば、上記①については、会社の事業組織と会社が運営するセブン-イレブン・チェーンとは別のものであるとはいえ、加盟店主が店舗を経営・運営することは会社が運用・統括する同チェーンに密接不可分に組み込まれており、加盟店主の存在及び店舗経営・運営は、会社の「組織内に」確保されているとまではいえないものの、不可欠な存在として評価できる。また、①の補充的判断要素である④について、加盟店主は会社が提供する新サービスを拒むことは実質的に困難であるといえる。
 ②については、会社が用意した定型的な契約書の内容が当事者間の交渉によって変更されることはなく、会社と加盟店主の間に交渉力格差があることが認められ、加盟店主にある一定の労務提供を義務付けるものといえる。②の補完的判断要素である⑤についても、加盟店主が会社の指揮監督の下に経営・運営を行っているとものと認められる。
 ③については、加盟店主の収入はセブン-イレブン店の経営・運営という労働によって得た利益、つまり対価とみるのが相当である。
 ⑥については、加盟店主は従業員を雇用して自己の事業組織を構築し、自己の才覚で利得する機会を有し、自らリスクを引き受けて事業を行う者ではあっても、それは限定的であって、その事業者性が顕著とまではいえない。
 以上からすれば、加盟店主は、会社とは別の立場にある事業者であるとはいえ、その独立性は希薄であり、労組法上の労働者に当たる。
2 本件団交拒否は不当労働行為に当たるか
 申立人組合が会社に対して要求した協議事項は「団体交渉のルール作り他」であり、これは将来、加盟店主が営業時間、チャージ率、業務のシステム、情報の開示など労働条件に準ずると認められる加盟店主の業務上の諸問題に関して会社と団体交渉するための「団体交渉のルール作り」に関する事項であると認められるので、「団体的労使関係の運営に関する事項」であり、かつ会社に処分可能なものであるから、義務的団交事項に当たる。
 会社は加盟店主が労組法上の労働者でないことを理由に団交を拒否したが、前記1のとおり、加盟店主は労組法上の労働者であるから、かかる団交拒否には正当な理由がないといわなければならない。よって、会社の本件団交拒否は不当労働行為に該当する。 
掲載文献   

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