労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第4号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第4号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成26年1月27日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   愛知県内に本社を置く被申立人会社が、大阪市内に勤務場所がある組合員の勤務時間の問題等を協議事項とし、同市内を開催場所として申し入れられた団交に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、団交開催場所に係る協議が整うまでの間、大阪市内で団交に応じること及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から平成25年1月24日付け、同年2月6日付け及び同月14日付け団体交渉申入書で申入れのあった団体交渉について、団体交渉開催場所にかかる協議が整うまでの間、大阪市内において、速やかに応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略) 
判断の要旨   団交開催場所に係る協議が労使間で整わない場合には、組合員の就労場所等、当該組合と使用者との労使関係が現に展開している場所を基本としつつも、使用者がそれ以外の場所を指定したことに合理的な理由があり、かつ当該指定場所で団交をすることが当該組合や組合員に格別の不利益をもたらさないといえるときには、使用者が当該指定場所以外で団交に応じないことにも正当な理由が認められ得る。
 本件についてみると、被申立人会社は①人事管理を担当する部署が本社(本件申立て時までは愛知県春日井市内に所在)にあって、決裁権限を有する者が本社にしか常駐していない、②団交に係る組合員Cが勤務する店舗は、建物の構造上から、また、常時従業員の出入りがあるため、団交開催場所としてふさわしくない、③大阪市内で団交ができるような施設を所有していない、④申立人組合の呼出しに応じて組合事務所で団交を行わなければならない法的根拠について明示されたい、旨の回答を行い、協議は平行線になったことが認められる。
 しかし、上記①に関しては、団交には交渉権限を有する者の出席が望ましいものの、交渉権限を認められた者が出席し交渉に応じた上で、合意事項について決定権限者と諮って適宜の処置をとることも可能であり、決裁権限を有する者が本社にしか存しないとしても、会社が交渉権限を第三者に委任することは可能である。したがって、会社の主張に合理性は認められない。
 上記②ないし④に関しては、組合は適切な会議場所がないにもかかわらず、あえてCが勤務する店舗や会社施設での開催を求めていたというものでもない。また、組合は、団交開催に適した施設を大阪市内に所有していない旨の会社の回答を受けて、組合事務所を団交開催場所として提案したにすぎない。
 したがって、会社が主張するいずれの理由をみても、会社が愛知県春日井市内又は名古屋市内以外で団交に応じないとすることの合理的な理由と認めることはできず、会社が大阪市内で団交をするための調整を行う努力をした形跡も認められない。
 さらに、組合の事情についてみると、大阪市に事務所を置く労働組合が大阪市内に勤務する組合員の問題に関して、会社の本社所在地である愛知県春日井市内又は名古屋市内まで出向いて団交を行わなければならないということになれば、組合及び組合員の過重な負担となることが容易に推認される。
 以上のとおりであるから、会社は組合に対し、団交の開催地を含め、実施方法について具体的条件を提案して協議を進める一方で、まずは、組合及び組合員が過重な負担を伴うことのない大阪市内において団交に応じるべきものであるにもかかわらず、自らの希望する愛知県春日井市内又は名古屋市内での団交開催に固執して大阪市内での団交開催に一切応じようとしなかったとみるのが相当である。
 したがって、会社が本件団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるとはいえない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第8号 棄却 平成27年1月28日
東京地裁平成27年(行ウ)第137号 棄却 平成28年4月25日
東京高裁平成28年(行コ)第215号 棄却 平成28年10月12日
最高裁平成29年(行ツ)第35号・平成29年(行ヒ)第37号 上告棄却・上告不受理 平成29年3月2日
 
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